艦これ Modern Record   作:箕理 田米李

37 / 38
今回は番外編という事で重巡艦娘 青葉の時点で本編では語られない裏側の話をします。それではどうぞ!


特別記録01「AOBA's Report File01:QFOPへ突撃取材です❗️」

日本国 神奈川県 海上自衛隊 横須賀基地

基地食堂

 

衣笠「ねぇ、青葉知らない❓」

横須賀基地の食堂で青葉型重巡洋艦娘 次女"衣笠"が姉"青葉の所在を同じ重巡艦娘の古鷹型姉妹2人に尋ねる。

 

古鷹「見てないよ。加古は❓」

加古「さぁ〜...あ、そういや山本...じゃなかった高野司令の許可を取り付けてQFOPに行くって言ってたなぁ。」

衣笠「許可下りたの⁉️「海に浮かぶ機密の塊」の様な所なのに...。」

加古「今頃窓を覆った飛行機に押し込まれて他の乗客と口を聞くことも許されずにQFOPに向かっているんじゃないか❓」

古鷹「アハハハハ(汗)」

 

「クリスタルス○ルの王国」での某冒険家のセリフみたいな事を言う妹の加古に苦笑いをする姉の古鷹。

 

衣笠「それでも青葉のジャーナリスト魂が黙っていられないんだと思う。取材しても公には出せない情報ばかりしかないのに。」

加古「今に何かしでかして捕まりそうだな。」

古鷹「加古❗️滅多な事言わないの❗️」

加古「ちょっ、怒んなよ古鷹〜。」

衣笠「アハハハハ、その時は衣笠さんがしっかり手綱握るから安心して。」

 

QFOP 埠頭プラットフォーム

 

青葉「私青葉は今、国連平和維持海軍の秘密基地"QFOP"に来ています。」

 

心配されてるのかされてないのかよく分からない(※衣笠はちゃんと心配しています)様な会話をしているのと時を同じくして青葉はビデオカメラを片手にQFOPの埠頭プラットフォームで撮影を始めていた。

 

青葉「ここを拠点に置く第81独立機動艦隊は太平洋方面艦隊に属する国連直属の艦隊でどの国家の指揮下になくほぼ独立した部隊であるそうです。見てください❗️埠頭に並ぶ威風堂々としたこの艦艇の数々を❗️日本、アメリカ、ロシアの艦娘艦に現役、退役を含む現用艦が並んでいますよー‼️」

 

ビデオカメラを埠頭にいる艦艇に向ける。彼女の目は遊園地や美味しい食べ物に目を輝かせる子供の様に光っている。

 

???「Oh.もしかしてアオーバ❓」

 

声を掛けられた方にカメラを向けるとそこには綺麗な長い金髪をたなびかせ「絵に描いたようなアメリカン」な事で有名なアメリカ海軍戦艦娘"アイオワ"がいた。

 

青葉「あ、アイオワさん❗️お久しぶりですぅ〜❗️」

アイオワ「元気そうねアオーバ。取材に来たの❓」

青葉「はい❗️是非とも取材したくて呉からすっ飛んできましたよ❗️あ、許可はちゃんと取り付けてきしましたし取材内容も公表できるものとそうでないものはちゃんと精査しますから大丈夫ですよ❗️」

アイオワ「楽しそうでなによりネ。」

青葉「そういうアイオワさんはこれからどこに行くんですか❓」

アイオワ「Meの戦隊を引き連れて"イリィ"と"タッキー"のいるウィス(4番艦のウィスコンシンのこと)の戦隊を鍛えるのよ。2人は姉妹の中でもまだまだ経験が浅いから。」

 

"イリィ"と"タッキー"ことイリノイとケンタッキーはそれぞれアイオワ級の5及び6番艦だ。史実ではどちらも大戦中に空母の建造が優先され建造中止となり艦娘として転生もしていなかったが、QFOPの提督がFRAMⅠ(近代化及び再就役)改装時と設計図を元に引き直して建造した。就役と同時に艦娘が出現しQFOPの貴重かつ大きな戦力となって今に至っている。

 

青葉「なるほど〜、でお相手の方は❓」

アイオワ「第6戦艦戦隊と第1巡洋駆逐戦隊よ。第6には紀伊classがいるのよ❗️」

青葉「おぉ❗️実在の噂は聞いてましたがまさか実在していたとは❗️」

 

"紀伊型戦艦"、大和型の次級の「改大和型」のさらにまた次級の「超大和型」に当たる幻の計画艦だ。これもQFOP提督が戦力拡大の為(と元より日本には戦艦が少なく、QFOPに配属できる数も限られていたので)この計画案を引っ張り出し大和型2隻の現世改装のデータを反映して「紀伊」「三河」「尾張」の3隻が建造された。先述したイリノイとケンタッキー同様、こちらの紀伊型姉妹も艦娘を得ている。

 

アイオワ「"相手にとって不足はない"って言うのはコーユー事を言うのよネ✨

今からとても楽しみヨ❗️」

青葉「私はこれからまだまだ取材する所があるので見に行けないのが惜しいんですが、後でアイオワさんや紀伊さんら皆さんご一緒にまとめて取材したいんです❗️」

アイオワ「OK OK❗️Coverageはいつでも歓迎ヨ✨」

 

演習を間近で見れない事が惜しいがこれは特ダネもののネタが拾えると予感する青葉であった。

 

QFOP居住区プラットフォーム

食堂

 

青葉「歩き回ってお腹が空いたと思ったらもうお昼間近でした。今私は居住区の食堂に来ております。もう既にたくさんのスタッフさん達が昼食を取っております。」

 

食事をテーブルに運んでいる時でもカメラを手からは離さない。ここでもジャーナリスト魂は健在だ。艦艇群が日本、アメリカ、ロシアで構成されてるだけ合ってそれら三ヶ国の人種がほとんどだが、それだけでなく見たところヨーロッパ系、アジア系、中東系、アフリカ系などアメリカにも負けない"人種の坩堝(るつぼ)"に青葉は思えた。

 

???「おや、青葉さんじゃないか❓」

 

青葉は声を掛けられた方にカメラを向ける。そこには背が低く長い銀髪の愛らしい駆逐艦娘がいた。

 

青葉「おやおやこれは響ちゃんじゃないですか❗️」

 

暁型駆逐艦娘の次女"響"。姉妹の中ではとても落ち着きがあり、やたら「大人のレディ」を主張し背伸びしたがる長女の"暁(あかつき)"や「もっと私に頼っていいのよ✨」と「世話焼き狐の○狐さん」よろしく世話焼きな三女"雷(いかづち)"、「はわわわ」と慌てん坊な四女"電(いなづま)"のまとめ役もこなしつつ時折見せる「不思議ちゃん」振りなどクールな外見とのギャップがある面白い駆逐艦娘と内外に広く知れ渡っている。

 

響「久しぶりだね、取材に来たのかい❓」

青葉「はい❗️そうなんですよ〜、おッ❗️そちらの見慣れないお方はどちら様ですかッ⁉️」

 

響の隣にいる彼女と同じくらいの白い肌の美形でかつ身長は二頭身程高く赤い目をした美女が何者かを尋ねる青葉。

 

響「あぁ、彼女はウクライナさん。」

ウクライナ「ウクライナです。よろしく青葉さん。」

 

食事を乗せたトレーを持ち青葉に会釈(えしゃく)するウクライナ。見れば見るほどその美しさに見惚(みと)れて少し気が抜けてしまう。

 

響「青葉さん大丈夫かい❓」

青葉「はっ❗️あ、ああぁッ⁉️申し訳ないです❗️響さんとウクライナさん、お話聞かせて貰って良いですか❓」

響「構わないよ。良いよねライナ❓」

ウクライナ「はい。」

響「立ち話もなんだし、座って話そう。私達もそうだが、青葉さんもお腹が空いただろう❓」

青葉「はい❗️是非❗️是非❗️」

 

空いてる席を見つけ座り食事を摂りながら取材を進める青葉。食べながらではメモは取れないので早くたいらげる。響は青葉のジャーナリズムの姿勢をよく知っているので驚かないが、ウクライナに至っては空いた口が塞がらず。汗を垂らして少しドン引きしている。「ごちそうさまでした❗️」と手を合わせ食事を済ませた青葉はすぐさまポケットからメモ帳とペンを取り出して話を聞く。まず聞いた内容はウクライナ、彼女自身の事だった。

 

青葉「えぇッ⁉️艦娘だったんですかぁッ⁉️」

ウクライナ「はい、旧ソ連崩壊と共に建造中止となったスラヴァ級ミサイル巡洋艦の4番艦です。」

 

ウクライナは自身が建造中止となり放置され、その後紆余曲折を充てQFOP提督が彼女を引き取り近代化改装込みの建造が再開され就役。その際になんの前触れもなく気が付いたら艦娘の身体を得て艦橋にポツンと立っていたという。

 

響「司令官はそうやって建造中止や退役艦を見ると皆引き取っちゃうのさ。」

ウクライナ「そう...とても優しい人...。」

 

ウクライナはポッと頬を赤くする。彼女がQFOPに来て改装を受ける際、提督はほぼ毎日足を運び声を掛けてもらったという。

 

青葉「分かりますよ。あの人はほぼ全ての艦娘に優しい且つ軍艦/兵器マニアな面がありますから、スラヴァ級であるウクライナさんも提督の目には魅力的に映ったのでしょう。」

 

青葉にそう言われさらにまた頬を赤くするウクライナ。「現用艦が艦娘に⁉️」という新たなネタを得られて青葉も満足な表情を浮かべた。

 

工廠班プラットフォーム

 

青葉「おぉ〜、ここが"QFOPの工場街"...。」

 

昼食を済ませ次に青葉が向かったのは艦船の建造や修理の為のドック、武器/兵器の生産を一点に担っている工廠版プラットフォーム、別名"QFOPの工場街"だ。

 

青葉「あ❗️明石さ〜ん、夕張さ〜ん❗️」

 

青葉が声を掛けたのはこの工廠班の"主(ぬし)"とも言うべき2人の艦娘。旧帝国海軍 明石型工作艦 明石と"実験型軽巡"と呼ばれ帝国海軍型重/軽巡洋艦の設計に大きく影響を与えた夕張型の夕張だ。

 

明石「あ、青葉さん。」

夕張「久しぶり〜青葉さん。取材に来たの❓」

青葉「どもどもお久しぶりで、もちのろんですよ♪今大丈夫ですか❓」

明石「いいよ〜ちょうどキリがついたとこ。」

 

明石と夕張に工廠班プラットフォームを案内されながら取材をすることになった。

 

青葉「今は艦艇の修理にお忙しいみたいですね。」

明石「そうなのよ、一番酷いのは大和さんと武蔵さんですかね。あ、ここがそうよ。」

 

大和と武蔵が入渠(にゅうきょ)しているドックの前に立つ3人。破損箇所は修理に入っているが、所々に傷がまだ残っており激しい戦いが行われた事が想像できる。

 

青葉「これではしばらく出撃は無理そうですね。」

明石「まぁ提督もしばらくは大和さん達戦艦戦隊が動く様な大規模な作戦はないと言ってるから、大和さんと武蔵さんからもこの間に「徹底的にやってくれ」と頼まれたのでそれに追われてますね。他の艦の損傷は大した事ないので良いんですが。」

青葉「大変と言ってる割には明石さん楽しそうですよ。」

明石「ま〜ね〜♪工作艦娘である私にはこれが生き甲斐ですから。"ドバッて掛けただけで直る液体"なんてあったら便利でしょうけど現実的じゃないしそんなのあったら商売あがったりですよ。」

 

大変だと思い感じる事はあってもそれを生き甲斐とし楽しんで笑いながら何かとんでもなく意味深なメタ発言の様な何かを言う明石に青葉も釣られて笑顔になる。

 

明石「艦自体や艤装の修理は私が担当で、武器/兵器システム関連は夕張と分担してやってるの。」

青葉「そういえば夕張さんは重巡、軽巡、駆逐艦の現世改装のテストベッドを務めたと聞いた事がありますけど本当ですか❓」

夕張「///まぁ〜なんか恥ずかしい話なんだけどそうなのよ。///まぁ私自称"兵装実験軽巡"を名乗ってる以上は実験開発って言葉が大好き過ぎるのよね。提督にもそうしたいって願いを出したら叶っちゃったって感じで。」

青葉「その話詳しく聞きたいです❗️」

夕張「えぇ⁉️い、良いけど...。」

ふと明石の方に目を向ける夕張。明石は「大丈夫行っといで」とアイコンタクトをする。

夕張「じゃあ向こうで話そっか❗️」

青葉「え❓まだこの先見る物があるんじゃ...❓」

夕張「いいからいいから❗️さぁ早く早く❗️」

 

青葉を引っ張って明石のもとを離れる2人。「いってらっしゃ〜い」と小さく手を振り見送る明石。

 

明石「(そのまま引きつけておいて夕張。ここから先のエリアはまだ見せるわけにはいかないですからね。)」

 

そう心中に思う明石が振り向いた視線の先には大きな壁に囲まれた建造ドックがあった。

 

明石「新たな戦闘空母打撃群六個艦隊分と新型護衛戦艦にその発展型のミサイル戦艦、今は見せられないからまた来た時に見せてあげますね。」




時系列的には「トライデント作戦」の後です。青葉の時点でQFOPのあれこれを見て行くという話でした。
本編にはまだ登場していない艦娘の登場がありましたね。史実では未成に終わったイリノイとケンタッキーが艦娘を得て登場しています。この二艦の存在を知ったのはTV版「エヴァ」第8話「アスカ、来日」で出したいなと思い出しました。アイオワ級は実際には就役した4艦全てが博物館となっています。この作品でのアイオワ級は本編に語っているイリノイとケンタッキー同様に一から建造しています。ただし"ミサイル戦艦"時の姿ではなく第二次大戦時の姿で建造しそこから現世改装したという特殊な経緯を持ってます。
アイオワの口から紀伊型(超大和型)の存在が語られましたね。紀伊型もアイオワ達と似た様な経緯です。46㎝もそうですが、51㎝なんて規格外な主砲を持つ艦ですから提督も余程の大きな作戦にしか出さないと思います。
食堂に移って色んな人種の人が働いてる様子を見ていたら響とスラヴァ級の艦娘 ウクライナと出会います。「現用艦を艦娘に」というのはファンが良くやってて自分も作品内で出したいと思い、まず建造中止で放棄されたスラヴァ級4番艦を出しました。「現用艦娘は珍しいケース」という形でこの作品に登場していますが、他にもいますのでそこはまた本編にてお楽しみに。
明石と夕張という「艦娘随一のメカ強」コンビのご登場です。「夕張は現世改装で大きな貢献をした」というのはやはり史実での実験艦振りを活かしたかったからです。明石は青葉にまだ見られたくない物の建造に関わってるらしいです。そこはまた次章にて。

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。