ヒュームの勝利者宣言に、
「よし!オラの勝ちだべな」
早く終わってよかったと思うヨコヅナ。
「え!いや、ちょっ、今の無し…」
「何が無しだハゲ!どう見たってヨコっちの勝ちだろう!ブー!ブー!」
ちゃんと二人の動きが見えていた松風(由紀恵)のブーイング。
「今のは油断、」
「無様な言い訳はやめろ!恥の上塗りだ!!」
当然ヒュームも二人の動きは見えており、準の言い訳など聞く気はない。
ほとんどの者は準が転んで自滅したと思っている。仮に自滅だとしても足の裏以外が地についたら負けというルールである以上、準の負けに異論を唱える者など……
「ちょっとまったぁ~!!」
ここで出しゃばるのがムサコッスである。
「先輩の仇は私が…」
「やめよムサコッス」
「紋様?」
そんなムサコッスを紋白が止める。
「これ以上昼休みを邪魔するのは忍びない…それにヨコヅナは女子とは戦わんぬ。そうであろ?」
「それを分かってくれてるのは嬉しいだな」
「だが、せっかくだ、先ほどの質問には答えてくれるか?」
先ほどの質問のとは、
「あぁ、将来の夢だべか……」
ヨコヅナは少し言いよどむように言葉を止める。
「私はその、将来の夢はまだ決まってない…です、他にやりたい事が無ければ、父上の後を継ぐ可能性はありますが…」
間を繋ぐ為でもないが、後になって夢がないとは答え辛いので由紀恵が先に答える。
「そうか!ではそのやりたい事が「九鬼財閥で働く」というのはどうだ?」
グイっと由紀恵に迫る紋白。
「え!、あ、その、考えておきます」
「うむ!、では名刺を渡しておく、前向きに考えてくれ」
「あ、はい、……ありがとう、ございます」
そう言って紋白はヨコヅナに向き直る。
「井ノ中はどうだ?まだ一年なのだ、夢が決まってなくとも恥ずかしがることはないぞ」
言いよどむヨコヅナを将来の夢が決まってないからかと思った紋白だが…
「オラは、将来自分の店を持つのが夢、なんだべ」
少し照れくさそうに、将来の夢は言うヨコヅナ。
「ほぉ~!、自分の店を持つか……それはちゃんこ鍋屋か?」
「…本当に目を見ただけで色々分かるんだべな」
「フハハハ、我は人を見る目にはそれなりに自信があるのだ」
「誰でも分かる気が…」
詳しく知らなくても、ヨコヅナという名前と体型的に9割以上がちゃんこ鍋屋の思いうかべるだろう。
「では機会があればお前のちゃんこを食べさせてくれ」
「いいだよ」
「うむ、邪魔して悪かったな、今日はこれで失礼する。フハハハ!」
入って来た時同様、豪快に笑って教室から出て行く紋白。
その後に続こうする準にヨコヅナは、
「ハゲでロリコンだけど超強い先輩、上食券100枚忘れないでくれだよ」
酷い言い方ではあるが、全て準が自ら言った台詞だ。そもそもヨコヅナは井上準の名前を知らない。
「くっ……分かっている」
準はハゲでロリコンだけど決闘での約束を反故にするほど愚かではないし。超ではないが、本当にそれなりには強いので、自滅ではなくヨコヅナに負けた事もちゃんと分かっていた。
小説投稿サイト『カクヨム』にて、
ヨコヅナが主人公のオリジナル小説、
『なんでオラ、こんなとこにいるだ?』を投稿しております。
https://kakuyomu.jp/works/1177354054922126022
こちらも読んで頂ければ幸いです。