「アタイは別にお前がどこの誰に、どんな無様な負け方をしようが、知ったこっちゃねぇ。2-Sの評価を下げたとしても、小言ぐらいで済ましてやる。でもな…」
マルギッテのは説教であったが、あずみのこれは違う。
「紋様の顔に泥を塗ったとなれば話は別だ」
苦無を準の顔前でちらつかせながら、
「お前が決闘に負けた事で、紋様の評価まで少なからず下がってんだ。その落とし前どうつけんだコラ!」
今にも小指を出せと言いだしそうな目をしている。
準は勝手に紋白の従者ぶっておきながら、紋白が会いに行った相手と決闘して負けた。
これでは転入早々の紋白のイメージが悪くなってもおかしくない。
ただ、これには一応言い訳も出来る。
「いや、紋様は許してくれて…」
準はヨコヅナに決闘で負け1-Cの教室を出た後、すぐ廊下で土下座して「申し訳ありませんでした!」と文字通り地に頭を擦りつけて紋白に謝罪した。
準も迷惑かけた事を重々承知してるからの行動。
それに対して紋白は「頭を上げよ、井上準。我にはちゃんと見えていた。この負けを糧に成長するがいい。フハハハハ」と寛大に許している。
「そうか、紋様が許したんなら、しゃねぇ…」
あずみのその言葉に準は安堵……
「なわけねぇだろ、ボケ!」
出来なかった。
準のむき出しの頭を、苦無で持ち手の部分で殴るあずみ。
「痛っ、めっちゃ痛い」
刃の部分でないだけマシではあるが、鉄製なので本の角で叩く倍は痛い。
「英雄様はてめぇが紋様に迷惑かけたと聞いてから、ちょっとテンションが低くなってるんだよ」
英雄にとって紋白は可愛い妹だ。クラスメイトが妹に迷惑をかけたと知れば、テンションも低くなるだろう。
「どうしてくれんだ、コラ!」
殴った個所をさらに苦無の持ち手の角でグリグリするあずみ。
「痛い、い痛っ」
地味に痛い。
英雄はそもそも人一倍テンションが高いので、周りから見れば寧ろ丁度良くなったぐらいなのだが、真に英雄の忠臣であるあずみからすれば、許されざることなのである。
「落ち着いてください、あずみさん。話し合いましょう」
「頭は目立つから駄目なのだ~!」
葵冬馬は本当に準を助けようとしているが、小雪は終始笑顔である。
「私が聞いた噂では、準は足を滑られせ自滅したと聞いたのですが本当なのですか?」
このまま会話の主導権があずみにあると、暴力が振るわれ続けるのは目に見えているので、冬馬が話をふる。
それに冬馬は準が本当は強い事を知っているし、ロリコンなので紋白の為なら本気で決闘に勝ちに行くだろうことも分かっている。
本気の準がそんなヘマをするとは冬馬には到底思えない。
「準はハゲで滑りやすいから仕方ないよ」
そういって準の頭のツルツル感をアピールする小雪。
「いや、自滅じゃないんだ」
そう準は足を滑られ自滅したわけではない。
「足払いで転ばされて負けた」
相撲の決まり手で言えば【蹴手繰り】である。
小説投稿サイト『カクヨム』にて、
ヨコヅナが主人公のオリジナル小説、
『なんでオラ、こんなとこにいるだ?』を投稿しております。
https://kakuyomu.jp/works/1177354054922126022
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