井上準はヨコヅナとの決闘のことを詳しく話す。
「開始早々の足払い……相撲でいう蹴手繰りですね」
学年主席だけに知識の幅が広い冬馬。
「その生徒は本物のRIKISHIなのですか?」
「そういえばマルギッテさんは交流戦の一年の部の時いませんでしたね?」
「私はその時クリスお嬢様と一緒でした」
一年の交流戦時、マルギッテは2-Sのモニタールームにいなかった為、不死川心が話したヨコヅナの詳しい情報を知らない。
「角界に入ってないので本物の力士とは言えませんが、相撲部屋で本格的な稽古はしていたらしいですよ」
「なるほど……RIKISHIではないにしろ、神事とまで言われるSUMOUの稽古を享受していたと言うであれば、井上準が負けるのも無理はない」
フリードリヒ親子の影響で相撲に対する評価が高いマルギッテ。
「そうですね。準に軽率な部分もあったかと思いますが、ここは相手も強者だったという事で、これぐらいで良しとしませんか?あずみさん」
「……確かに井ノ中ヨコヅナとかいう一年は、川神鉄心も目を掛けてるぐらいだ。ハゲが自滅じゃなく、実力で負かされたとしても不思議じゃねぇ」
「というか、あずみはあのおじいさん執事から何も聞いてないの?」
小雪の言うおじいさん執事とはヒュームのことであり、同じ九鬼家従者部隊なのだから、ヒュームから決闘の詳細を聞いてない事の方が不思議と言える。
「あのジジイは、「自分で調べろ」つって何も教えてくれなかったんだよ。だからこうしてハゲに問いただしてんだ」
「え!?…詳細を聞きたかっただけならもっと穏便に…」
「あぁん!」
「何でもないです、すみません!」
「……まぁ、今日の件は相手も悪かったということで見逃してやる」
あずみはそう言って準を許す……と、見せかけて、
「何て言うと思ったかボケ!!」
「やっぱり~!」
「てめぇのせいでアタイは今晩、老人共の山ほどネチネチ嫌味を言われ、徹夜の始末書が確定してんだよコラァ!」
あずみは苦無の刃の部分でとうとう準を…
と、まさにその時、
「フハハハ!我、帰還なり」
「きゃるーん、お帰りなさいませ英雄様☆」
九鬼英雄が戻ってきたことで血の惨事はまぬがれた。
「おや、英雄何かいい事でもあったのですか?」
昼休みの一件を聞いてテンションが低くなっていた英雄だが今は元に戻っている。
「さすが我が友冬馬、分かるか。今しがた行われた、義経と一子殿の一戦まさに見事であった。惜しくも一子殿は敗れたが、それでもあの輝かしい姿は見ている者皆を奮い立たせる」
英雄は校庭で行われていた義経対一子の決闘を見て、テンションを回復させたようだ。
「ん?どうした準、頭頂部の発光ぐあいが乏しいではないか?」
その理由は準の心情を表しているからだろう……、もしくはあずみが苦無でグリグリし過ぎたせいか…
「……英雄、昼休みの紋様に迷惑をかけた件、すまなかった」
改めて英雄にも謝罪する準。
「それで?」
「え?」
「それで、準はどうするのだと聞いている」
準にそう問う英雄にはただの生徒にはない、人の上にたつ者の風格があった。
「俺は…紋様に言われた通り俺は成長する」
英雄の目を真っすぐ見て準は宣言する。
「あの敗北が恥でも何でもないぐらい大きく成長してみせるぜ!!」
そんな準の決意の宣言を
「うむ! 努、その在り方を損なうな」
王のように受け止める英雄。
「帰るぞあずみ、我に続け!フハハハハ!」
「はい、英雄様!どこまでもついていきます!!」
そして英雄はあずみを連れて颯爽と帰っていった。
「さすが九鬼英雄と言ったところですね」
「おかげで助かったぜ」
「でもさっきのはその場しのぎの言葉ではないですよね」
「もちろんだぜ若。生まれ変わった井上準を見ていてくれ」
「ふふ、楽しみにしてますよ」
「僕も準が輝けるように協力するのだ」
「こら、頭をワックスで拭くのはやめなさい!」
斯くして雨降って地固まる的な結果に今回の件は…
「収まるわけねぇだろ、ボケ!」
「ほんと勘弁してください」
小説投稿サイト『カクヨム』にて、
ヨコヅナが主人公のオリジナル小説、
『なんでオラ、こんなとこにいるだ?』を投稿しております。
https://kakuyomu.jp/works/1177354054922126022
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