歓迎会の料理を作りながら、
「あ、そうだべ、臨時収入が入ったから、またみんなで食べ歩きに行かないだが?」
部活動の提案をするヨコヅナ。
時間とお金に余裕ある者で、食べ歩きするのは料理部の活動の一つ。自腹なのでもちろん強制ではない。
「あぁ、聞いたわよヨコちゃん。2-Sの先輩から上食券100枚巻き上げたんだって~」
茶化すようなオカマの言葉に、
「人聞き悪いだな、決闘を申し込んできたのも、上食券100枚をくれるって言ったのも相手からだべ」
不満そうに答えるヨコヅナ。
事実ヨコヅナは降りかかる火の粉を掃ったに過ぎない。
「井ノ中君は普段優しいのに、時々暴力的になるよね」
尊敬に値するクマちゃんの言葉にも、
「お腹空いた時の熊飼先輩ほどじゃないだよ」
さらに不満そうに答えるヨコヅナ。
事実空腹の時のクマちゃんは凶暴だ。
「でも食べ歩きは賛成だわ~、どうですかクマちゃん先輩~」
「僕ももちろん賛成」
クマちゃんは一人でも趣味で食べ歩きをしているからスケジュールさえ合えば、断ることはない。
そしてもっとも川神の飲食店を知っているクマちゃんが参加する時点で決定と言って良い。
「まゆっちと伊予ちゃんも一緒にどうだべ?」
「料理部じゃなくても参加していいの?」
「料理部の活動と言っても自腹で食べに行くだけだべ、以前部員以外の人も参加してた事もあるから問題ないだよ」
2-Fの頭にバンダナを巻いたクマちゃんと仲のいい生徒が参加したこともある。
「あら、ヨコちゃん、さりげなく女子を食事に誘うなんて、やるわねコノコノっ~」
「別に他意はないだよ。二人女子が増えたところで一緒だべ」
料理部で美味しい料理を競い合えば、ヨコヅナ、クマちゃん、オカマの男子生徒三人でトップ争いをすることになるのだが、他の部員はほぼ全員女性生徒である。
しかし、ヨコヅナの他意はないという言葉は嘘だ。
「あ、あの、その私なんか参加したら…」
「ちょっと、まゆっち」
いつものネガティブ発言をしようとするまゆっちの脇を伊予が肘で突っつく。
「ヨコヅナ君が友達作りの為に誘ってくれてるんだから、用事もないのに断ったら駄目だよ」
ヨコヅナに他意はあるが、それは別にやましい事ではなく、由紀恵の友達作りの協力だ。
料理の得意な由紀恵なら、料理部員と共通の話題があるだろうと誘っているのだ。
「はっ!そうですね」
「ヨコっちからのパス、スルーするわけには行けねぇぜ、まゆっち」
「ぜ、是是非、参加させてください!!」
「私も参加するよ」
「じゃあ詳しいことは今度改めて決めるべ」
楽しく会話をしながらも、歓迎会の料理は順調に進んでいく。
そんなヨコヅナ達を他の料理部員は調理をしながらも、気になって仕方がなかった。
名の通り力士体型のヨコヅナ、そしてクマちゃんも負けず劣らずの大柄な体格をしている。二人が揃ってだけでも迫力がある。
さらに坊主頭にそりこみの入ったオカマと刀を持って馬のストラップと会話する由紀恵が一緒に料理をしてる光景はかなりシュールと言える。
「あの一角、凄いね…」
「うん、料理の腕もだけど…圧力と言うか」
「オーラが出てるみないな」
「楽しそうに調理してるけども、傍から見ると
「あのメンバーと食べ歩きしたら、目立ちそうだな~」
「クマちゃんも井ノ中君もオカマ君も良い人なんだけどね」
「まぁ、行きたい人だけ行けば良いでしょ」
「クマちゃんのおすすめ店はどこも美味しいから行きたいんだけどな~」
料理部員達は次の食べ歩きに参加するかかなり悩みどころであった。
小説投稿サイト『カクヨム』にて、
ヨコヅナが主人公のオリジナル小説、
『なんでオラ、こんなとこにいるだ?』を投稿しております。
https://kakuyomu.jp/works/1177354054922126022
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