源義経たちの歓迎会は駆け足なスケジュールながらも、ほとんど問題なく開催された。
そんな会場の一角でヨコヅナは、
「よし出来ただよ」
ちゃんこを作って皆に配っていた。
「本当にちゃんこ鍋作ったんだ…」
それを見て少し驚く大和、初夏の歓迎会で鍋料理は微妙という大和の考えは、間違ってはいない。
だが、料理部でメニューを相談し合った時、ヨコヅナがちゃんこを作ることを反対した者はいない
理由は簡単だ、
「う~ん、美味しいわ~。ヨコちゃんのちゃんこ鍋は別格よね~」
「うん、凄く美味しいから僕、いくらでもお替り出来る」
「クマちゃん、歓迎会だからほどほどにね」
「でも、その気持ちは分かる~」
「食べ過ぎて体重増えるみたいな」
料理部は皆知っているからだ、ヨコヅナのちゃんこ鍋が初夏の歓迎会でも食べたいぐらい美味しい事を。
「…わぁ~、美味しいよヨコヅナ君」
「………本当に美味しいです」
ちゃんこを食べた伊予とまゆっちも自然に美味しいと言葉が口から出る。
「私、ちゃんこ鍋って初めて食べたけど、こんなに美味しいんだ」
「いえ、この味は作り手の技術。ちゃんこ鍋を作る練度が高いからです……」
ヨコヅナのちゃんこを真剣な表情で評価する由紀恵。
「あははっ、さすがヨコヅナ君」
「こいつぁ、舌を巻かざるをえねぇぜ!」
「ありがとうだべ」
伊代とまゆっち(松風)の称賛の声に笑顔でお礼を言うヨコヅナ。
「直江先輩もどうぞだべ」
大和にもちゃんこの入った器を渡す。
「ああ、ありがとう」
受け取ったちゃんこを大和も食べる。
「あ、美味しい……」
基本的に直江大和は計算高い人間だ、仮に味が好みでなかったとしても、後の利に繋がる場合や、場の空気を読んで美味しいと言ったりする。
だが、今はそんな他意などなく、美味しいと言葉が出た。
「……クマちゃんやまゆっちが褒めるわけだ。でも、これだと井ノ中はずっと鍋の前から離れられないんじゃないか?」
カセット式コンロで火を使ってる為、鍋の前に一人付いていなければならない。
でもヨコヅナはそれでも良かった。
「構わないだよ、みんなに美味しいと言って貰えてオラも嬉しいから」
「そうか」
ニコニコと本当に嬉しそうな笑顔で言われたら、大和も頷くしかない。
「それに今日は源義経先輩達の歓迎会だべしな」
「そうだな。俺ちょっと義経達呼んでくるよ」
ヨコヅナの言葉から義経達にも食べて欲しいのだと察した大和は、ちゃんこを食べながら、義経達を呼びに行った。
「……何か催促したみたいになっちまっただな…」
先輩をパシらせる感じになってしまってちょっと後悔するヨコヅナ。
「大和さんは察しが良いですからね」
「でも、それが利になると考えての行動だから、ヨコっちが気にすることないぜ!」
松風の言う通り、義経達に美味しいちゃんこ鍋を教える事を利と考えたこその大和の行動である。
小説投稿サイト『カクヨム』にて、
ヨコヅナが主人公のオリジナル小説、
『なんでオラ、こんなとこにいるだ?』を投稿しております。
https://kakuyomu.jp/works/1177354054922126022
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