「……ううっ!」
胸に手をあて苦しそうに呻く紋白。
「え!紋白!?」
「おい、どうした?」
「大丈夫だか!?」
周りが心配する中、
「う、う…美味い!フハハハハ!」
苦しむ演技をやめて豪快に美味いと宣言する紋白。
「…なんだ冗談か」
「またベタなことを…」
「そういう冗談はやめて欲しいだな、ほんとのほんとに…」
普通の生徒であれば「はははっ」で済ますが、
「ふふふ、紋様は演技がお上手でいらっしゃいますね」
九鬼家従者部隊、序列3位 クラウディオ・ネエロ
「Fuck!騙されちまったぜ」
九鬼家従者部隊、序列15位 ステイシー・コナー
「紋様がこんな悪戯するとは珍しいですね」
九鬼家従者部隊、序列16位 李 静初
一瞬にして九鬼家の執事やメイドに囲まれたら、ヨコヅナでも全く笑えない。
「すまんすまん、一度やってみたくてな」
「俺が見ているのだ、もしもの事などあるわけないだろう」
ヒュームが目の前にいるのに、異物を混入させることなど不可能。
紋白に何も問題が無かったので、ヨコヅナを囲んでた従者達は解散する。
「でも、美味いと言ったのは演技ではないぞ。ヒュームはどうだ?」
「学園一年という事と、安価な材料で作ったことを加味すれば、十分美味いと言うに値するかと」
遠回しな言い方だが、ヒュームも美味しいと思っているようだった。
「辛口なヒュームに美味いと言わせるとは、将来の夢に向けて努力を惜しんでないようだな」
「ちゃんこは小さい頃から作ってたべからな」
「ふむ…モグモグ…」
紋白はちゃんこを食べながら、
「…しかし、「自分の店を持ちたい」ということは、ただの料理人になりたいわけではないのだな」
「そうだべ。他人が決めたルールの下で料理を作るのは疲れるだよ」
この場合の疲れるは、ストレスが溜まるという意味である。
「……言いたい事は分かるが、大手チェーン店が幅を利かす今の情勢で、個人店がやっていくのは厳しいぞ」
「元々簡単とは思ってないだよ」
ヨコヅナの表情は笑みではあるが、その言葉は真剣なモノだと読み取った紋白は、
「フハハハハ!面白い、賭けてみる価値はありそうだな」
「ん?何を賭けるだ?」
「詳しい事は日を改めて話そうではないか、来週月曜日の放課後は空いているか?」
「月曜日の放課後だべか……空いてるだよ」
「では我の為に空けておいてくれ、詳しい話をしようではないか」
「……分かっただ」
紋白の言いたい事はいまいち分からないが、悪い話でもなさそうなので分かったことにするヨコヅナだった。
小説投稿サイト『カクヨム』にて、
ヨコヅナが主人公のオリジナル小説、
『なんでオラ、こんなとこにいるだ?』を投稿しております。
https://kakuyomu.jp/works/1177354054922126022
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