真剣でちゃんこに恋しなさい!   作:ニッケン

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20話③

「……ううっ!」

 

 胸に手をあて苦しそうに呻く紋白。

 

「え!紋白!?」

「おい、どうした?」

「大丈夫だか!?」

 

 周りが心配する中、

 

「う、う…美味い!フハハハハ!」

 

 苦しむ演技をやめて豪快に美味いと宣言する紋白。

 

「…なんだ冗談か」

「またベタなことを…」

「そういう冗談はやめて欲しいだな、ほんとのほんとに…」

 

 普通の生徒であれば「はははっ」で済ますが、

 

「ふふふ、紋様は演技がお上手でいらっしゃいますね」

 

 九鬼家従者部隊、序列3位 クラウディオ・ネエロ

 

「Fuck!騙されちまったぜ」

 

 九鬼家従者部隊、序列15位 ステイシー・コナー

 

「紋様がこんな悪戯するとは珍しいですね」

 

 九鬼家従者部隊、序列16位 李 静初

 一瞬にして九鬼家の執事やメイドに囲まれたら、ヨコヅナでも全く笑えない。

 

「すまんすまん、一度やってみたくてな」

「俺が見ているのだ、もしもの事などあるわけないだろう」

 

 ヒュームが目の前にいるのに、異物を混入させることなど不可能。

 紋白に何も問題が無かったので、ヨコヅナを囲んでた従者達は解散する。

 

「でも、美味いと言ったのは演技ではないぞ。ヒュームはどうだ?」

「学園一年という事と、安価な材料で作ったことを加味すれば、十分美味いと言うに値するかと」

 

 遠回しな言い方だが、ヒュームも美味しいと思っているようだった。

 

「辛口なヒュームに美味いと言わせるとは、将来の夢に向けて努力を惜しんでないようだな」

「ちゃんこは小さい頃から作ってたべからな」

「ふむ…モグモグ…」

 

 紋白はちゃんこを食べながら、

 

「…しかし、「自分の店を持ちたい」ということは、ただの料理人になりたいわけではないのだな」

「そうだべ。他人が決めたルールの下で料理を作るのは疲れるだよ」

 

 この場合の疲れるは、ストレスが溜まるという意味である。

 

「……言いたい事は分かるが、大手チェーン店が幅を利かす今の情勢で、個人店がやっていくのは厳しいぞ」

「元々簡単とは思ってないだよ」

 

 ヨコヅナの表情は笑みではあるが、その言葉は真剣なモノだと読み取った紋白は、

 

「フハハハハ!面白い、賭けてみる価値はありそうだな」

「ん?何を賭けるだ?」

「詳しい事は日を改めて話そうではないか、来週月曜日の放課後は空いているか?」

「月曜日の放課後だべか……空いてるだよ」

「では我の為に空けておいてくれ、詳しい話をしようではないか」

「……分かっただ」

 

 紋白の言いたい事はいまいち分からないが、悪い話でもなさそうなので分かったことにするヨコヅナだった。

 




 小説投稿サイト『カクヨム』にて、

 ヨコヅナが主人公のオリジナル小説、

『なんでオラ、こんなとこにいるだ?』を投稿しております。

 https://kakuyomu.jp/works/1177354054922126022

 こちらも読んで頂ければ幸いです。
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