日曜日の朝、場所は多馬川の河原で板垣家+1名が鍋を囲んでいた。
「なぁ、もう食っていいんじゃねえか?」
「この美味そうな匂い、増々腹が減って来るぜ」
「もうちょっと待つだよ」
我慢できないとばかりに鍋に箸を入れそうな、板垣天使と板垣竜兵を止め、
「前は飢えを凌ぐ為の鍋だったけど、今じゃ楽しみの一つだねェ」
「美味しいもんね~、ヨコヅナ君のちゃんこ鍋」
「河原でちゃんこってのも乙なものだべ」
板垣亜巳と板垣辰子の言葉にそう答える、板垣家の四人と一緒に鍋を囲んでいるもう一人はヨコヅナだった。
「良い感じに煮えただ、どうぞだべ」
ヨコヅナが出来たちゃんこを器によそい渡していく。
「モグモグっ、ふへぇ!ふへぇ!」
「ガブガブっほふほ、ふへぇな!」
「飲み込んでから喋りな……でもがっつきたくなるぐらい美味しいのは確かだね」
「そこら辺のモノで作ったとは思えないよね~」
「出汁とか仕込みが必要な材料はオラが持って来てるべからな。ここで食材を調達出来るみんなも凄いだよ」
辰子が言った「そこら辺のモノ」というのは比喩ではなく、生えてるキノコや野草、川で釣った魚などが主な鍋の具である。
「執事だかメイドだかが来て金を稼ぐ当てが潰されから、情けないぐらい金欠だ」
「……賭け試合もその影響でなくなったんだべよな」
「そうだよ……無敗記録更新中だったのに、残念だったねェ」
「それはどうでもいいだ、寧ろ捕まらなくて安堵してるだよ」
ヨコヅナと板垣家の交友のきっかけを簡単に説明するとこんな感じだ。
川神に来たばかりのヨコヅナ、知らずに治安の悪い親不幸通りへ、
↓
肩がぶつかったチンピラに絡まれる。
チンピラA「痛ってぇ~、折れたかもしれね~」
チンピラB「治療費払ってもらおうか」
ヨコヅナ「ぶつかって来たのはそっちだべ」
チンピラC「デカい図体してんのが悪いんだろうが!」
↓
金を出せと襲ってくるチンピラABCを返り討ちにするヨコヅナ。
↓
たまたま通りかかった板垣亜巳。
亜巳「やるねェ。いい儲け話があるんだけどどうだい?」
ヨコヅナ「儲け話だべか…」
↓
貧乏で世間知らずのヨコヅナは亜巳についていく。
↓
亜巳「簡単に言えば格闘試合だよ」
ヨコヅナ「試合に出ればお金が貰えるだか」
亜巳「試合に勝てばだよ」
ヨコヅナ「……まぁ、大丈夫だべかな」
あまり深く考えず試合に出場することを了承するヨコヅナ。
↓
観客A「大金賭けてんだ、負けんじゃねぇぞ!」
観客B「見ない顔だな、でもデカいだけだろうな。ここは手堅く賭けるか」
ヨコヅナ「大丈夫じゃない気がしてきただな……」
気づいた時にはすでに遅く、賭け試合の選手としてリングに立っていたヨコヅナ。
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リングに上がってくる対戦相手をバッタバッタとマットに沈めるヨコヅナ。
↓
相撲という喧嘩では珍しい戦い方で賭け試合が盛り上がり、大きく儲ける亜巳。
↓
亜巳から少なくないファイトマネーを貰うヨコヅナ。
「おかげで儲けたよ、コレ報酬だよ」
「でも、これって違法賭博じゃないだか?」
「もちろん違法さ……捕まりたくなかったら次回も来るんだよ」
「マジだべか!?」
以降ヨコヅナは、脅迫まがいながらもバイト感覚で賭け試合に通うようになり(選手としてであり賭けた事は一度もない)、板垣家の他の弟妹とも知り合いになる。
ほどなくして、九鬼家の治安強化により賭け試合が開催できなくなったので通う必要は無くなったが、大きな収入源がなくなった為、新しくバイトを探さなくてはいけなくなったのである。
小説投稿サイト『カクヨム』にて、
ヨコヅナが主人公のオリジナル小説、
『なんでオラ、こんなとこにいるだ?』を投稿しております。
https://kakuyomu.jp/works/1177354054922126022
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