「東~、ヨコヅナ~。西~竜兵~」
相撲っぽい言い回しをする天使だが、方角はまるであっていない。
「見合って見合って~」
ヨコヅナは相撲の手合の構えをとるが、竜兵は我流の立ち技形の構えだ。
「はっきよぉ~い…のこったぁっ!!」
本来、相撲に開始の合図はないのだが、そこはノリを合わせてヨコヅナはブチかましに動く。
その体格からは想像も出来ない程の速いブチかましに対して竜兵は、
「オラッ!」
フック気味に拳をヨコヅナの頬に喰らわせる。
唯のデブであれば、これで膝をつくだろうが、
ヨコヅナは唯のデブではない。
ブチかましの軌道は僅かにズレるも、肩で竜兵を吹っ飛ばす。
唯のチンピラであれば、これで倒れるだろうが、
竜平もまた、唯のチンピラではない。
後ろに飛ばされるも、しっかり両足で着地する。
「凄ぇ衝撃だぜっ!」
そう言いながらもダメージがないかのように即座に殴りかかる竜兵。
ヨコヅナも張り手で迎え撃つ。
両者が同時に相手の顔面に攻撃を叩き込む。
そこからは両者足を止めて、拳と掌での殴り合いになる。
「…やっぱてめぇは…最高だぜヨコヅナ…ハハハハっ!!」
殴り合いながら、野獣のように笑う竜兵。
「喋ってると…舌噛むだよ」
そう言うヨコヅナも、少しだけ楽しそうに笑みを浮かべている。
「あははっ!面白れぇ~!」
「よくやるねェ、避けようと思えば避けれるくせに…」
「まぁ~じゃれ合ってるだけだしね~」
ヨコヅナも竜平もその気になれば、攻撃を避けるなり受け流すなりすることは可能だ。
しかしこれは腹ごなしであり、傍から見れば壮絶な殴り合いだが、お互いにとってはじゃれ合いに過ぎない。
「くっ…」
「どうしたリュウ、ふらついてんぞ!」
「情けないねェ、しっかりしな」
「リュウちゃん、頑張れ~」
川神の不良達を暴力で取りしきる竜平、武術の心得がないのにそれが可能なのは天性の高い身体能力を有しているからであり、頑丈さも人並み以上だ。
そんな竜兵でもダメージが足にきだしたのに対して、
「止めたくなったら膝をついたらいいだよ」
まだまだ余裕のあるヨコヅナ。
力士の頑丈さは人並みとは比較にならない。そしてヨコヅナにおいては並みの力士以上、竜兵とは言え肉体の頑丈さを比べ合うには相手が悪すぎるのだ。
「なめんなっ!オラァっ!!」
挑発のような言葉に全力の蹴りを、ヨコヅナの出っ張った腹に叩きこむ。
「食べた直ぐ後だと、ちょっと苦しいだな」
傍からは全然苦しそうには見えず、蹴り足を下げられる前に瞬時に両手で掴むヨコヅナ。
「なっ!?」
そして回転するように、竜兵を振り回す。
「わ、お、おおい~!?」
「これで終わりだべ」
勢いをつけてハンマー投げのようにして、川に向けて放り投げる。
ボっしゃぁ~ん!!
「ヒャッハー、勝負ありだぜ!!」
「凄い飛んだね~」
「決まり手はジャイアントスイングになるのかねェ」
小説投稿サイト『カクヨム』にて、
ヨコヅナが主人公のオリジナル小説、
『なんでオラ、こんなとこにいるだ?』を投稿しております。
https://kakuyomu.jp/works/1177354054922126022
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