月曜日の放課後、場所は川神学園の屋上。
ヨコヅナは約束した通り紋白と会って話をしていた。
「まずは本題に入る前に…すまないが、井ノ中ヨコヅナという人物について調べてさせて貰った」
「学長から聞いただか?」
「他にも、お前の実家や通っていた相撲部屋にもだ」
「そんな遠くに行かなくても、聞かれたら答えるだよ」
ヨコヅナに知られて困るようなことはない…
「本当か?親不幸通りでの賭け試合で、お前に似た褌一丁の男が戦っていたという情報も入ってきておるのだが…」
「何の事だか分からないべ…」
…こともない。
「フ、嘘の下手な赤子だな」
いつも通り紋白の傍にはヒュームがついている。
「フハハハハ、若気の至りの一つや二つ、九鬼は気にも止めん……それよりもだ、何故相撲を辞めた井ノ中ヨコヅナ」
ヨコヅナは相撲の稽古は続けている、この場合は何故角界に入らなかったのかという意味だ。
「調べたんじゃないんだか?」
「お前の口から直接聞きたい」
そう問いかける紋白には、小さいながらも王の風格があった。
「ちゃんこを作るのも、食べてもらって喜んでくれるのを見るのも好きだからだべ」
「それは、料理店を持とうと思った理由であろう。力士になってからちゃんこ鍋屋を開いても遅くはないし、その方が有利性は高い」
「……情報を集めたんならオラが、兄弟子を
「うむ、そしてその兄弟子は再起不能になったと言う事も聞いた」
九鬼家が集めた情報では、
稽古中にヨコヅナは兄弟子を再起不能になる程の大怪我をさせた。
相撲は危険な格闘技、本気で稽古をしていたらそういう事も起こりえる。
「誰もお前を咎めたりはしなかったが、お前は怪我させた事を気に病み、同じ事が今後も起こりえると危惧して相撲を辞めた」
実家や相撲部屋にまで行って聞いた、ヨコヅナの相撲を辞めた理由がそれだった。
「……付け加えるなら、相撲を続けたらオラも大怪我するかもと怖くなっただよ。元力士という肩書がある方が、ちゃんこ鍋屋を開くのに有利かもしれないだが、大怪我をするリスクの方が大きいと考えて相撲を辞めただよ」
相撲を辞める理由としては一応筋は通っている。
先ほどヒュームにも指摘された様にヨコヅナは嘘が下手だが、
「本当の事を言ってるようだな」
実際全て本当の事だから、嘘とも思われない。
「この話は終わりで良いだか。答えるとは言っただか、楽しい話題じゃないだよ」
「……最後にもう一つだけ答えよ?」
紋白はヨコヅナの目を真っすぐ見て問いかける。
「兄弟子が再起不能になったのは事故か?」
「故意だべ」
ヨコヅナは紋白の目を真っすぐ見返して即答した。
小説投稿サイト『カクヨム』にて、
ヨコヅナが主人公のオリジナル小説、
『なんでオラ、こんなとこにいるだ?』を投稿しております。
https://kakuyomu.jp/works/1177354054922126022
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