九鬼家研修、二日目
ヨコヅナは早朝にいつも通り相撲の鍛錬をしていた。
三日間泊まりこみで研修だが、拘束されるのは約八時間、他に食事や風呂の時間は決まっているが、それ以外は基本は自由だ。
宿舎の近くだと迷惑になるので、離れた場所で四股を踏んでいたヨコヅナに、
「昨日あんだけシゴいてやったのに、自主鍛錬たぁ可愛げのねぇガキだな」
忍足あずみが話しかけてきた。
「おはようございますだ。忍足先輩」
「おはようさん」
「業務時間外だから、稽古しながらでも良いだか?」
「ああ、いいぜ」
ズッド~ン!!
「……お前疲れ残って無いのか?」
地を揺らす程の四股を踏む力強さに思わずそう聞いてしまうあずみ。
「疲れはそんなに…でもお腹が擦り傷で痛いだよ」
ヨコヅナは前日の匍匐前進でお腹が擦れすぎて今は包帯を巻いている。
「あんなに匍匐前進下手な奴、アタイ初めて見たぜ」
「オラはずっと倒れない鍛錬をしてきただよ、伏して動くのが下手なのは当然だべ」
「ははは、そいつは言えてるな…でも、疲れは残ってねぇわけか」
「後半はちゃんこ番だったべからな」
軍隊式は前半の4時間で後半の4時間は夕飯のカレーを作っていたヨコヅナ。
「あの多人数の料理だ、それなりに重労働だろ」
「料理は得意なんだべ、聞いてないだか?」
「聞いてるよ……九鬼家従者部隊に入りたいわけじゃないんだよな」
「そうだべ」
「じゃあ何でお前、この研修受けてんだ?」
「それはオラが聞きたいだよ!?」
思わず四股を踏むのを止めるヨコヅナ。
「ははは、冗談だ。この研修は心身ともに疲れ切った後、通常業務を通常通りこなすってのか基本的な目的だ」
「あぁ~、分からなくもないだな。……それまでに脱落してた人もいただべが…」
心身が疲れ過ぎて、昨日の前半ですでに脱落した者もいる。
「そんな奴はほっとけ、それだけの存在だ」
「オラが脱落してたら、援助の話はなくなっただか?」
「そうかもしれねぇな~……どうするかは紋様が決めることだがな」
何でも彼んでも教えるつもりはないあずみ。
「今日と明日も似た感じだ、その調子なら乗り切れるだろ。アタイは用事あるから戻ってくんのは明日の夕方だけどな」
「忍足先輩はいなくなるんだべか……」
「楽になりそうとか考えてんなら甘ぇぞ。ヒューム卿が様子見に来るって言ってるからよ」
「それはしんどそうだべな…」
ヒュームのシゴキとか考えるだけでも疲れる。
「あと、ステイシーもお前のでかいケツに弾撃ち込みたいって言ってたから気つけろよ」
「…オラも脱落した方が良い気がしてきただな」
「早朝に自主鍛錬してる奴が何言ってやがる」
「日課だべからな」
そう言ってヨコヅナは鍛錬を再開する。
「……ヒューム卿が研修参加を許可するわけだ」
それを真剣な目で見つめるあずみ。
その日の研修では、
「ジェノサイドショット!…どうした赤子ども、早く上がってこい」
「オラオラ!、ビビってんじゃねぇぞ、ウジ虫共が!!」ダッダッダッ
丸太を担ぎながら山の斜面を登る際に、上からはヒュームの繰り出す衝撃破が、下からはステイシーの撃ちだすゴム弾が飛んでくるなど、ハードモードの研修が行われた。
小説投稿サイト『カクヨム』にて、
ヨコヅナが主人公のオリジナル小説、
『なんでオラ、こんなとこにいるだ?』を投稿しております。
https://kakuyomu.jp/works/1177354054922126022
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