九鬼家研修三日目
「ようしっ!、これで研修三日目も終わりだ。今日よりお前らはウジ虫を卒業!これからはロックなウジ虫だ!!」
「…ウジ虫なのは変わらないんだべな」
業務終了時間になり、脱落してない全員が集合している。
全員と言っても…
「見てない間に随分と数が減ったなぁオイ」
用事を終えて戻って来たあずみは呆れたような声を出すがそれも仕方ない。
「まったく!最近の赤子共は情けない」
「寧ろよく6人も残ったと私は思うぜ」
二日目からのヒューム式ハードモード研修により、脱落者が続出。
残っているのはヨコヅナを含めてたったの6人、参加人数の十分の一以下だ。
「バイトの学生ですら残っているのだぞ」
「そう言って、若手達に危機感を持たせるのが狙いだろうに…」
九鬼家の従者部隊の研修に参加しているが、ヨコヅナは学生なのでアルバイト契約である。
「フハハハハ、我、顕現である!」
最終日の終了時に現れた紋白は、
「最後まで残ったようだなヨコ……とうっ!」
来て早々ヨコヅナの肩に飛び乗る。
「っと……紋様、こんなところまで来たんですだか?」
「うむ、ヨコが脱落したらその時点で会うつもりだったのだが、連絡が来なくて待ちくたびれたぞ」
「脱落したら、援助の話は無くなるかと思って頑張っただよ」
「マイナス評価にはなるが、脱落しても一発アウトにするつもりはなかったぞ。軍隊式のやり方が合わない者もいるからな」
「そもそもなんでオラは従者部隊の研修に参加させられたんですだ?」
「理由の一つは、根性試し。将来に夢に賭ける思いを測ろうと思ってな……だがヨコを測るには物差しが短かったかな」
紋白が見るにヨコヅナは疲れてはいるが、まだ余裕がありそうだ。他の残った参加者5人はもう立ってもいられないとばかりに、座り込んでいる。
「そんなことないだよ……オラも大変だったべ。特に二日目後半のデータ入力」
「データ入力?……」
研修の一日の後半に行われる通常業務はローテーションで、ヨコヅナが行った通常業務は、一日目飯炊き、二日目パソコン使ってのデータ入力。三日目は電化製品の簡単な組立作業。
「オラはパソコン苦手だから苦労しただよ」
「………フハハハハ、パソコン技能は経営者には必須だから、しっかり身につけるのだぞ」
ヒュームのシゴキよりもデータ入力が大変だったと言うヨコヅナに対して楽しそうに笑う紋白。
「……さっき、一つは根性、と言っただが他にもあるだか?」
「うむ……ヨコは土木工事のバイトで暴力事件を起こしてクビになっておるだろ」
「それも知ってるだか…」
ヨコヅナは代行業のバイトをする前、賭け試合の稼ぎだけでは足らないので、土木工事のバイトもしていた。
「女性にセクハラしてた上司を軽く張り飛ばしたら、クビになって治療費請求されただ」
一話でヨコヅナが「急遽お金が必要になっただよ」と言っていたのはこれが原因である。
「女性を助けようとする心意気は買うが、カッとなって暴力を振るうのは駄目だぞ」
口ではそう言っている紋白だが、今回の研修で罵詈雑言を受けたり、無慈悲にシゴかれたりしても、暴力を振るわないことは確認できたので、問題視する必要はないと判断している。
「……九鬼家の使用人はオラ以上に暴力的だと思うだよ」
ヨコヅナのそんな皮肉めいた言葉に、
「聞こえてんぞデブ」ダンッ
「痛っ……」
ステイシーの銃から放たれたゴム弾がヨコヅナの尻に撃ち込まれる。
「九鬼の暴力は計算されているので問題ないのだ」
「今オラが撃たれたのも計算されてるだか!?」
こんな感じでヨコヅナの三日間の九鬼家研修は終わりとなった。
小説投稿サイト『カクヨム』にて、
ヨコヅナが主人公のオリジナル小説、
『なんでオラ、こんなとこにいるだ?』を投稿しております。
https://kakuyomu.jp/works/1177354054922126022
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