ズドーンと、四股の踏む音が森に響き渡る。
ヨコヅナが早朝にいつものように、相撲の鍛錬を行っていると、
「もうはじめておったか、おはようヨコ」
「感心な赤子だと、評価してやろう」
「あれ、紋様にヒュームさん……おはようございますだ」
突然現れた、紋白とヒュームに驚きながらも挨拶するヨコヅナ。
「こんな朝早くにどうしましただ?」
「うむ、ヨコが普段どんな稽古をしているのか直に見たくなってな。我の事は気にせず続けよ」
「?…面白いものでもないと思うだが」
首を傾げつつも、気にしなくても良いと言うのであれば、稽古を続けるヨコヅナ。
足の裏が天に向くほど高々と上げ、四股を踏む。
ズドーン、ズドーン
巨大な岩を抱えながら、すり足。
ザッザッザッザッ
大木に向かて、左右交互に張り手
ダッ、ダッ、ダッ、ダッ
一回一回、手合の構えから、大木に向けて渾身のブチかまし。
ドッーン、ドッーン
「ふむ……。ヨコ、毎日これだけの稽古を行っておるのか」
「そうだべ。日課みたいな、ものですだ」
ヨコヅナが相手を想定しての投げ技を練習をしながら、紋白の質問に答える。
「研修の詳細を聞いて驚いたが……なるほどの」
何かを納得する紋白。
「おい、赤子。一人稽古だけでは物足りないだろう、俺が相手をしてやる」
「……お断りしますだ」
とても嫌そうな顔をして、ヒュームの申し入れを断るヨコヅナ。
「俺が稽古をつけてやると言っているのに断るとは随分だな赤子」
「絶対この間の、ジェノ…なんとかかんとか、って技を使う気だべ。あれ凄く痛いだよ、研修に参加してた人達が何人も病院送りになってただよ」
「貴様も病院送りになりたくなかったら、俺のジェノサイドチェーンソーを喰らえ」
「言ってる事が支離滅裂だべ!?」
「フハハハハ、ヒュームは下がっておれ」
紋白はヒュームを下がらせ、
「我なら一撃入れても良いだろ、ヨコ」
そう言ってヨコヅナの前にたつ。
「…何故オラが攻撃されるのかが分からないだべが……まぁ腹に一撃ぐらいならいいだよ」
「フハハハハ、その立派な腹は、最も自信がある箇所でもあるのだな……よし、ではいくぞ」
紋白は一撃を入れる為に構えを取り、
「セイッ!」
ヨコヅナの腹に向けて、渾身の拳を突き出す。ボムンっ!
「……予想以上の衝撃だべな」
紋白の小柄な体格からの予想以上の衝撃に驚くヨコヅナ。が、逆に言えば驚いただけであり…
「むぅ~…全然効いてるようには見えぬの」
紋白の武術は護身の域は出ないが、それでも打撃にセンスがあると言われていたので、悔しそうにしている。
「では次は俺の番だな赤子」
「ヒュームさんの番なんてないだよ」
「……ヒュームの相手はともかくとしてだ、一人稽古だけではやはり物足りぬだろ。どうだ九鬼の訓練に参加しないか?」
「オラが鍛錬しているのは体が鈍らないようにする為ですだ。そんなオラが訓練に参加したら迷惑になるだよ」
以前、鉄心に川神院の稽古に誘された時と、同じように事を言うヨコヅナ。
「でも、研修では格闘訓練も行っていたであろ…」
「あれは、業務だからですだ」
「では、業務であれば訓練に参加するのだな」
「……ヒュームさんみたいな、大怪我しそうな人の相手はしなくて良いなら参加するですだ」
とことんヒュームとの手合わせは避けるヨコヅナ。それも仕方ない、ヒューム相手ではヨコヅナでも怪我する可能性は低くない。
「そうかそうか、では今後そういう業務もあるかもと思っておいてくれ」
「分かりましただ」
「では、学校に遅刻しないよう戻るぞ、ヒューム」
「今日の所はこれで下がってやる赤子。正式に訓練に参加するときは覚悟しておけ」
「また学校でなヨコ」
そんな感じで紋白とヒュームは帰っていった。
小説投稿サイト『カクヨム』にて、
ヨコヅナが主人公のオリジナル小説、
『なんでオラ、こんなとこにいるだ?』を投稿しております。
https://kakuyomu.jp/works/1177354054922126022
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