真剣でちゃんこに恋しなさい!   作:ニッケン

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30話

 ズドーンと、四股の踏む音が森に響き渡る。

 ヨコヅナが早朝にいつものように、相撲の鍛錬を行っていると、

 

「もうはじめておったか、おはようヨコ」

「感心な赤子だと、評価してやろう」

「あれ、紋様にヒュームさん……おはようございますだ」

 

 突然現れた、紋白とヒュームに驚きながらも挨拶するヨコヅナ。

 

「こんな朝早くにどうしましただ?」

「うむ、ヨコが普段どんな稽古をしているのか直に見たくなってな。我の事は気にせず続けよ」

「?…面白いものでもないと思うだが」

 

 首を傾げつつも、気にしなくても良いと言うのであれば、稽古を続けるヨコヅナ。

 

 足の裏が天に向くほど高々と上げ、四股を踏む。

 ズドーン、ズドーン

 

 巨大な岩を抱えながら、すり足。

 ザッザッザッザッ

 

 大木に向かて、左右交互に張り手

 ダッ、ダッ、ダッ、ダッ

 

 一回一回、手合の構えから、大木に向けて渾身のブチかまし。

 ドッーン、ドッーン

 

「ふむ……。ヨコ、毎日これだけの稽古を行っておるのか」

「そうだべ。日課みたいな、ものですだ」

 

 ヨコヅナが相手を想定しての投げ技を練習をしながら、紋白の質問に答える。

 

「研修の詳細を聞いて驚いたが……なるほどの」

 

 何かを納得する紋白。

 

「おい、赤子。一人稽古だけでは物足りないだろう、俺が相手をしてやる」

「……お断りしますだ」

 

 とても嫌そうな顔をして、ヒュームの申し入れを断るヨコヅナ。

 

「俺が稽古をつけてやると言っているのに断るとは随分だな赤子」

「絶対この間の、ジェノ…なんとかかんとか、って技を使う気だべ。あれ凄く痛いだよ、研修に参加してた人達が何人も病院送りになってただよ」

「貴様も病院送りになりたくなかったら、俺のジェノサイドチェーンソーを喰らえ」

「言ってる事が支離滅裂だべ!?」

「フハハハハ、ヒュームは下がっておれ」

 

 紋白はヒュームを下がらせ、

 

「我なら一撃入れても良いだろ、ヨコ」

 

 そう言ってヨコヅナの前にたつ。

 

「…何故オラが攻撃されるのかが分からないだべが……まぁ腹に一撃ぐらいならいいだよ」

「フハハハハ、その立派な腹は、最も自信がある箇所でもあるのだな……よし、ではいくぞ」

 

 紋白は一撃を入れる為に構えを取り、

 

「セイッ!」

 

 ヨコヅナの腹に向けて、渾身の拳を突き出す。ボムンっ!

 

「……予想以上の衝撃だべな」

 

 紋白の小柄な体格からの予想以上の衝撃に驚くヨコヅナ。が、逆に言えば驚いただけであり…

 

「むぅ~…全然効いてるようには見えぬの」

 

 紋白の武術は護身の域は出ないが、それでも打撃にセンスがあると言われていたので、悔しそうにしている。

 

「では次は俺の番だな赤子」

「ヒュームさんの番なんてないだよ」

「……ヒュームの相手はともかくとしてだ、一人稽古だけではやはり物足りぬだろ。どうだ九鬼の訓練に参加しないか?」

「オラが鍛錬しているのは体が鈍らないようにする為ですだ。そんなオラが訓練に参加したら迷惑になるだよ」

 

 以前、鉄心に川神院の稽古に誘された時と、同じように事を言うヨコヅナ。

 

「でも、研修では格闘訓練も行っていたであろ…」

「あれは、業務だからですだ」

「では、業務であれば訓練に参加するのだな」

「……ヒュームさんみたいな、大怪我しそうな人の相手はしなくて良いなら参加するですだ」

 

 とことんヒュームとの手合わせは避けるヨコヅナ。それも仕方ない、ヒューム相手ではヨコヅナでも怪我する可能性は低くない。

 

「そうかそうか、では今後そういう業務もあるかもと思っておいてくれ」

「分かりましただ」

「では、学校に遅刻しないよう戻るぞ、ヒューム」

「今日の所はこれで下がってやる赤子。正式に訓練に参加するときは覚悟しておけ」

「また学校でなヨコ」

 

 そんな感じで紋白とヒュームは帰っていった。

 




 小説投稿サイト『カクヨム』にて、

 ヨコヅナが主人公のオリジナル小説、

『なんでオラ、こんなとこにいるだ?』を投稿しております。

 https://kakuyomu.jp/works/1177354054922126022

 こちらも読んで頂ければ幸いです。
 
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