「それより今は仮専属の件だぞ」
「う~ん…………………」
悩むように首を傾げ、なかなか答えないヨコヅナ。
「…随分悩むの、嫌なら……」
「あ~、断ったら資金援助の話は無しだべか?」
「そんなこと言うつもりはないぞ。まぁ専属従者として頑張る方が、高評価になり援助できる資金も増せるのは確かだがな」
「それならオラとしてもお請けしたいだべが……他に紋様の専属従者になりたい人は沢山いるんじゃないだか?」
「当然だ赤子、従者部隊で紋様の専属希望者と募れば、3桁は軽く集まるぞ」
「だったらオラより、心から紋様の専属になりたいと思っている人を採用してあげるべきじゃないだか?」
九鬼家の研修に参加したヨコヅナは、参加者用の宿舎で従者部隊に入りたい人達、序列位を上げたい人達と一緒に過ごした。
その中には九鬼家の専属従者になりたいと言う人もたくさんいた。
そんな人達を差し置いて、資金援助目当てのヨコヅナが仮とは言え、専属従者になることを申し訳ない考え悩んでいたのだ。
「…なるほどな。そういう考え方をする訳だなヨコは…フハハハ」
ヨコヅナが単純に自分の専属従者を嫌がっているわけでないと分かって、少し安心する紋白。
「では、こう考れば良い。例えばだ……ヨコが将来の夢である、ちゃんこ鍋屋『ヨコヅナ店』を開業したとする。でその『ヨコヅナ店』はまぁまぁ好評だった」
分かり易いようにちゃんこ鍋屋を例え話に出す紋白。
「だが、近くに新しくちゃんこ鍋屋ができ、しかも『ヨコヅナ店』よりも美味しくて客はみんなそっちに食べに行く。……こんな状況になったらヨコはどうする」
「それは……もっと美味しいちゃんこ鍋を作れるように頑張るしかないだな」
「そうだ、それで良い!今回の専属の件も同じだ。新人のそれも学生に専属従者の座を取られた。当然既存の従者達は悔しいだろう。我としてはその悔しさをバネに頑張ってほしいのだ」
「あぁ~…」
「それにヨコが期間限定であるなら「期間終了後こそは自分が」と皆が精進するだろう。だが、同情で専属の座を譲るとその効果はない。つまり九鬼財閥の全体を考えるのであれば、ヨコが請けてくれた方がプラスになると言う事だ」
「九鬼財閥にとってプラスになるんだべか。それならオラも、気兼ねなくお請け出来ますだ」
例え話で少し長くなったが、おかげでヨコヅナは納得して仮専属従の件をお請け出来る。
「さすが紋様だべな、色々考えてますだな」
「フハハハ、これぐらい当然である。上に立つ者は視野を広く、そして先を見なくてはならぬからの。ヨコも店を持つなら、出来るようにならねばなぬぞ」
「……難しそうだべな」
「安心しろ、我の専属になるのだから我が鍛えてやる、フハハハハ」
家族での食事の時宣言したとおり、ヨコヅナを育てて行くつもりの紋白だった。
小説投稿サイト『カクヨム』にて、
ヨコヅナが主人公のオリジナル小説、
『なんでオラ、こんなとこにいるだ?』を投稿しております。
https://kakuyomu.jp/works/1177354054922126022
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