「赤子の為に俺も少し、教育してやろう」
「執事としての心得とかだべか?」
ヒュームから怖い雰囲気が薄れている、元々ヨコヅナのせいで減給させられたなどと本気で思っていなかったのだろう、……そうだとヨコヅナは信じたい。
「そんなものは、一晩中語っても終わらんぞ。……先ほどのちゃんこ鍋屋の例えで、ライバル店から客を戻す方法が他にもある、言ってみろ」
「…料理の値段を下げるか、同じ値段で量を増やすとかだべかな、それをお金を払って大々的に宣伝すれば効果あると思うだよ」
「それでは客は来ても利益が上がらないだろう。何より料理が美味しいからライバル店に移った客は戻って来ない」
「…あとは、………ライバル店の評判を落とす、とかだべかな…オラはそんなことしないだが…」
ヨコヅナがするしないは関係なく、ライバル店の評判を落として客を集めるという方法は実際に存在する。
「そうだ。相手の評価を落とす、もしくは邪魔をして仕事を出来なくする、これはどんな業種の競争でも行われる。従者部隊でもだ」
「……つまり、オラの評価を落とそうと仕事を邪魔する従者がいるってことだべか……でも、オラは執事の仕事なんて出来ないから、そもそも低いんじゃないだか……さらに、低くなったらクビになるだか紋様?」
「いや、我が期限までにヨコをクビにするとしたら、それはヨコが将来の夢を諦め、努力をやめた時じゃな」
紋白はヨコヅナを育てようと思って従者にした、努力をする限りはクビにする気はない。
「ミスなどしても気にするな、姉上の専属従者もミスだらけだが、クビになっていないしなフハハハハ」
「そうだべか……だったら、オラの評価を落とす意味なんてないべ。それにヒュームさんがフォローするのに邪魔してくる人とかいるんだべか?」
ヒュームは序列零番、若手纏め役のあずみの更に上、そのヒュームがフォローすると言っているのにヨコヅナの邪魔をする者がいるとは普通思えない。
「もちろん、姑息な真似で邪魔する者がいたら俺が排除してやる。が、正攻法であれば別だ」
「正攻法で邪魔…って何だべ?」
「父上がな、ヨコに不満がある者は、訓練の時に勝負を挑む事を許可してな」
「……あぁ~、なるほどだべ」
ヨコヅナがなるほどと言ったのは、正攻法の邪魔の意味を理解したからではない。確かに九鬼財閥のトップである帝が許可したのであれば、正攻法なのかもしれないが何故勝負を挑むことを許可したのか、理解できない。
ヨコヅナがなるほどと言ったのは、今の状況だ。
「だからオラ、こんなとこにいるだべか…」
今まで紋白とヒュームと話をしなら移動し、ヨコヅナが到着した場所は九鬼のビルにある鍛錬場。
「今日の業務は、集まっている従者部隊序列800位以下の希望者20人との格闘訓練だ」
以前、業務としてなら訓練に参加すると言ったのでヨコヅナも格闘訓練自体に思う所はない。
のだが、
既存の従者部隊20人はヨコヅナを敵意むき出しの目で見ている。
「訓練が辛くて赤子が勝手にやめる分には俺は何も言わんからな」
「皆、本気だからヨコも遠慮する事ないぞ」
新人のカワイガリが行われるようとしていた。
小説投稿サイト『カクヨム』にて、
ヨコヅナが主人公のオリジナル小説、
『なんでオラ、こんなとこにいるだ?』を投稿しております。
https://kakuyomu.jp/works/1177354054922126022
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