ヨコヅナが鍛錬場で格闘訓練を行っているのと同時刻。
九鬼家従者部隊の若手だけで、特別会議が行われていた。
「――さて、次。紋様の付き人についてだ」
「いきなりですよねぇこれ。井ノ中ヨコヅナ…君ですか」
不満そうに言う桐山鯉。
「食事中に決まったことだが、帝様が許可している」
「ノリで決まった感がかなりあったけどな」
決定が下される場にいた、あずみとステイシーがそう言うが、従者部隊の者達としてはその場のノリで専属を決めないで欲しいところだ。
「ですが、ヒューム卿が完璧にフォローすると言っていたのですよね……零番がそう言っている以上、口を出すことはないでしょう」
「ポンコツ疑惑が出てるけどな~」
「ステイシー、あんまり調子に乗ってると、いつか痛い目見ますよ」
「李の言う通り、この件で従者部隊としてはヒューム卿が責任をもつ、だが、ヒューム卿にも別の仕事で傍にいられない場合もある、その場合は皆でフォローすることになるからしっかり頼む……」
その言葉に対する皆の反応は、トップが決めた事なら仕方ない感が満ちており、否定はしないがあまり良いものではなかった。
「……この件はあずみさんも納得していないご様子ですね」
あずみの表情はほとんどいつも通りだが、桐山はそう指摘した。
「納得はしているさ……小十郎が揚羽様の専属をしてることに比べたらな」
その言葉には皆「あぁ~、確かに」と納得する。
「……今の、褒められてませんよね、自分」
「聞かなくても分かりなさい」
小十郎は隣にいる李に小声で聞くが、李はきつめの言葉を返す。
「アタイは、専属をペット扱いみたいなのが……いや、やっぱ何でもない」
これは唯の私情だと思い、言葉を止めるあずみ。
「…そうですか」
桐山はそれを見抜いたのか、追及はしなかった。
「そういえば、その者…ヨコヅナ君、に訓練で勝負を挑んでも良いという話を聞いたのですが…」
会議に出席しているのだから自分も意見を言わなくてはと思い発言をする小十郎。
序列999位である小十郎も、今鍛錬場で行われている格闘訓練の参加の有無を聞かれていたのだが、会議があるので不参加を伝えた。
「ああ、素手での格闘限定だがな、それに勝っても代わりに紋様の専属になれるわけじゃない」
「ですがそれは、井ノ中ヨコヅナが紋様の専属であることに、不満がある奴は勝負にかこつけてシゴいて良いってことですよね」
「ぶっちゃけた言い方をすればそうなるな」
「そして、訓練が辛くて自主的に専属を辞めたとしても、責任は問われない」
「ヒューム卿の監視下で訓練することが条件だがな…」
「学生相手に、随分酷い許可を出しますね帝様も…」
ヨコヅナを哀れに思う李だが、
「ヨコヅナはあのヒューム式研修も耐えきったから、アタイはその辺心配ないと思うがな」
「マジで頑丈だからなヨコヅナ、ゴム弾撃ち込んでも、デコピンされた程度の反応しかしないんだぜ」
研修の監督官をしたあずみやステイシーは多少のシゴキでヨコヅナが辞めることはないと考えていた。
「今丁度、鍛錬場で訓練している時間ですよね……どうです、様子を見に行きませんか?」
「まだ、会議中ですよ桐山」
「議題はこれで最後ですし、井ノ中ヨコヅナの件は要観察という結論で締めれば大丈夫ですよ」
「ナイスアイディアじゃねえかマザコン、見に行こうぜあずみ」
あずみは少し考えてから、
「そうだな、井ノ中ヨコヅナに関しては要観察という結論以外にないしな……だが、大勢でゾロゾロ行っては邪魔になる。人数を絞るぞ」
鍛錬場で行われている訓練に、あずみ、ステイシー、李、桐山、小十郎の五名が様子を見に行くこととなった。
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ヨコヅナが主人公のオリジナル小説、
『なんでオラ、こんなとこにいるだ?』を投稿しております。
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