あずみ達が会議を終了し鍛錬場に向っていると、ドゴっ!と外まで音が聞こえてきた。
「ヒュ~!、激しくやってるっぽいな」
「厳しいのは常ですが、新人に怪我させてなければ良いのですが…」
「本当ですね、新人虐めはいけないと母も言ってました」
「口が笑ってますよ桐山。紋様もいるはずですから皆加減してますよ」
「…にしても、鍛錬場の防音はしっかりしてるはずだが…」
あずみが少し疑問に思いながら鍛錬場の扉を開けようとした時、先に内側から誰かが扉を開ける。
「ん…貴様ら会議は終わったのか?」
鍛錬場から出てきたのはヒューム。
「はい、紋様の専属の議題もあったので最後に見学をと思いまして」
「そうか……まぁ、都合がいい」
「……あの、それは?」
あずみがそれと言ったのは、ヒュームの両手にぶら下げている従者二人。
「新入りを〆ようとして、逆に〆られた無様な赤子だ……全く何度俺を医務室に行かせつもりだ」
愚痴を言いながらヒュームはシュパッと姿が消える、医務室へ向かったのだろう。
空いた扉から鍛錬場に入ると、
鍛錬場の真ん中でヨコヅナが従者の一人と対峙していた。
「すでにボロ雑巾、はねぇみたいだな」
「おぉ、あずみ達来たのか、会議は終わったのか?」
鍛錬場に入って来たあずみ達に紋白が話しかける。
「はい紋様。最後の議題は紋様の付き人の件だったのですが、要観察という事になり訓練を見にきました」
「そうか、間に合って良かったな」
紋白の「間に合った」の言葉はつまり、もうすぐ終わりだったということだ。
時間的にはまだまだ余裕がある、余裕がないのは、
「……この格闘訓練に参加の従者は20人のはずですが…1人だけ?」
鍛錬場にいる従者はヨコヅナと対峙している者だけであった。
「他は医務室へヒュームが運んだぞ」
ヒュームは愚痴通り何度も鍛錬場と医務室を往復していた。
つまり、新人に逆に〆られた無様な従者は19人いると言う事だ
「紋様が目をかけているだけの事はあるということですか…」
「目をつけたのは料理の腕だったのでは?」
「それだけなら、専属にはしないでしょ」
シュタッとヒュームが鍛錬場に戻ってくる。
「待たせたな、はじめていいぞ」
鍛錬場の中央でヨコヅナと対峙する従者に注目するあずみ達。
「相手はドキューか」
「ドキュー君は紋様の専属になりたいを前から言っていましたからね」
ヨコヅナが相対しているのは九鬼従者部隊序列800位 ドキュー・レジュメ。今日は集められた従者の中でもっとも順位が上だ。
ドキューは紋白を至高の存在だと思っており、専属従者になる事を目指して頑張っていた。
いかに帝の決定であろうと、ヨコヅナが紋白の専属になることを認められず、反対している従者の一人である。
「いつでもいいだよ」
「チっ、生意気な奴だ……言っておくがこのルールで貴様が勝っても」
「戯言は止めろ赤子。ルールを承知の上でここ来たのだろう」
訓練でのヨコヅナとの勝負には、特別なルールが存在する。
・素手の格闘、反則は目つぶし、金的、噛みつき。
・土俵と同じ広さに床に張ったテープの中で戦う。ただし、ちょっと足が出るぐらいなら負けにはならない。
・足の裏以外が地についた時点で負け。
・勝負はヒュームの監督下でのみ。
相撲を元にしているのでヨコヅナに有利のルールだが、学生相手だから誰も否定しなかった。訓練が始まるまでは…
「ぐっ…はい」
ヒュームの叱責を受け、構えを取るドギュー、構えのベースはキックボクシングで小刻みにステップを踏んでいる。
それに対してヨコヅナは手合の構えではなく、両手を開いて腕を胸前に上げ、腰は少し落としてドッシリとした構えをとった。
小説投稿サイト『カクヨム』にて、
ヨコヅナが主人公のオリジナル小説、
『なんでオラ、こんなとこにいるだ?』を投稿しております。
https://kakuyomu.jp/works/1177354054922126022
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