「オラ!オラ!オラ!」
先に攻撃を仕掛けたのはドキュー、速いパンチの連打をヨコヅナに浴びせる。
「……気合の割に随分腰の引けた攻撃だな」
あずみの言う通りドキューの攻撃は腰が入っておらず速いだけだ。
「捕まる事を恐れているのでしょうね」
「あの体格差では仕方のないとは思いますが……」
ドキューの体格は平均男性を上回るし鍛えているので体重も80㎏を超えるのだが、それでもヨコヅナとは50㎏以上の体重差がある。
それも足の裏以外が地についたら負けのルール、捕まるのを避けるのは当然とも言えるが…
「ジェノサイドチェーンソーを喰らっても倒れない相手に効くわけねぇだろ、そんなもん」
軽い攻撃ではヨコヅナの動きを止めることは出来ない、ドキューの攻撃に対して頭部は守りつつ前に出る。
ドキューは素早いステップで距離を取ろうとするが、テープの張られている範囲は土俵を基準としている為狭い。
「あの狭さではヒット&アウェイも難しいですね」
「……考えてみたらこのルールで力士に勝つのって難しいかもな」
「これは見に来て正解でしたね」
桐山は小さく呟きヨコヅナの動きに集中する。
「オラっ!!」
ドキューはいつまでも逃げ切れないと考え、前に出てくるヨコヅナの足にローキックを叩き込む。
「くっ!?」
痛みに動きが止まる
「足を蹴ったドキュー君の方が痛がっている!?」
「…力士は足腰を最重点に鍛えるからな、肥満体型なのに太ももは鍛え上げられた筋肉が見てとれる」
「下手な蹴りでは寧ろ蹴った方がダメージを負うわけですか…」
痛みで出来た隙を逃さずヨコヅナは相手の腰を掴む。
「くっ、…掴んだら、勝てるなどと思うなよ!オラァっ!!」
ヨコヅナの出っ張った腹にドキューの渾身の膝蹴りが叩き込まれる。
だがしかし、
ドゴォンっ!!
「ぐはぁ……」
ヨコヅナは膝蹴りで片足立ちになったドギューを下手投げで頭から床に叩きつけた。
「…勝者ヨコヅナ」
勝負と言う名目なので一応勝利者宣言をするヒューム。
「あっさり勝ちやがった、相変わらず可愛げのねぇガキだ」
「…今の、先にドキューの膝蹴りがモロに腹に入ってたよな」
「ええ、完璧に…それなのにまるで効いてないかのように投げてました」
「ご立派なお腹は、最も防御力に自信がある場所という事ですか…」
「あのルールでヨコヅナに勝つの、アタイらでも厳しいかもな…」
「ローやミドルへの攻撃じゃあ動きを止めれねェとなると、やっぱ攻めるのは頭部か…」
「ですが、本人もそれは分かっているのでガードが高めでした」
「膝の関節を狙えばローが全く効かないわけではないでしょう。しつこく足を攻めればいつかは倒せると思いますが…」
「その場合、試合範囲の狭さが問題だな…」
「いくらスピードに差があっても、あの中だけで攻撃しつつ捕まらないようにするのは、至難ですね」
真剣に相談するあずみ達を見て小十郎は、
「………あの皆さん、要観察の方向性が違いませんか」
序列最下位の正論なツッコミ。
ヨコヅナが紋白の専属に適任なのかを見に来たのだが、話題はどうやったらヨコヅナに勝てるかになっていた。
小説投稿サイト『カクヨム』にて、
ヨコヅナが主人公のオリジナル小説、
『なんでオラ、こんなとこにいるだ?』を投稿しております。
https://kakuyomu.jp/works/1177354054922126022
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