真剣でちゃんこに恋しなさい!   作:ニッケン

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34話③

「オラ!オラ!オラ!」

 

 先に攻撃を仕掛けたのはドキュー、速いパンチの連打をヨコヅナに浴びせる。

 

「……気合の割に随分腰の引けた攻撃だな」

 

 あずみの言う通りドキューの攻撃は腰が入っておらず速いだけだ。

 

「捕まる事を恐れているのでしょうね」

「あの体格差では仕方のないとは思いますが……」

 

 ドキューの体格は平均男性を上回るし鍛えているので体重も80㎏を超えるのだが、それでもヨコヅナとは50㎏以上の体重差がある。

 それも足の裏以外が地についたら負けのルール、捕まるのを避けるのは当然とも言えるが…

 

「ジェノサイドチェーンソーを喰らっても倒れない相手に効くわけねぇだろ、そんなもん」

 

 軽い攻撃ではヨコヅナの動きを止めることは出来ない、ドキューの攻撃に対して頭部は守りつつ前に出る。

 ドキューは素早いステップで距離を取ろうとするが、テープの張られている範囲は土俵を基準としている為狭い。

 

「あの狭さではヒット&アウェイも難しいですね」

「……考えてみたらこのルールで力士に勝つのって難しいかもな」

「これは見に来て正解でしたね」

 

 桐山は小さく呟きヨコヅナの動きに集中する。

 

「オラっ!!」

 

 ドキューはいつまでも逃げ切れないと考え、前に出てくるヨコヅナの足にローキックを叩き込む。

 

「くっ!?」

 

 痛みに動きが止まる()()()()

 

「足を蹴ったドキュー君の方が痛がっている!?」

「…力士は足腰を最重点に鍛えるからな、肥満体型なのに太ももは鍛え上げられた筋肉が見てとれる」

「下手な蹴りでは寧ろ蹴った方がダメージを負うわけですか…」

 

 痛みで出来た隙を逃さずヨコヅナは相手の腰を掴む。

 

「くっ、…掴んだら、勝てるなどと思うなよ!オラァっ!!」

 

 ヨコヅナの出っ張った腹にドキューの渾身の膝蹴りが叩き込まれる。

 だがしかし、

 

 ドゴォンっ!!

 

「ぐはぁ……」

 

 ヨコヅナは膝蹴りで片足立ちになったドギューを下手投げで頭から床に叩きつけた。

 

「…勝者ヨコヅナ」

 

 勝負と言う名目なので一応勝利者宣言をするヒューム。

 

「あっさり勝ちやがった、相変わらず可愛げのねぇガキだ」

「…今の、先にドキューの膝蹴りがモロに腹に入ってたよな」

「ええ、完璧に…それなのにまるで効いてないかのように投げてました」

「ご立派なお腹は、最も防御力に自信がある場所という事ですか…」

「あのルールでヨコヅナに勝つの、アタイらでも厳しいかもな…」

「ローやミドルへの攻撃じゃあ動きを止めれねェとなると、やっぱ攻めるのは頭部か…」

「ですが、本人もそれは分かっているのでガードが高めでした」

「膝の関節を狙えばローが全く効かないわけではないでしょう。しつこく足を攻めればいつかは倒せると思いますが…」

「その場合、試合範囲の狭さが問題だな…」

「いくらスピードに差があっても、あの中だけで攻撃しつつ捕まらないようにするのは、至難ですね」

 

 真剣に相談するあずみ達を見て小十郎は、

 

「………あの皆さん、要観察の方向性が違いませんか」

 

 序列最下位の正論なツッコミ。

 ヨコヅナが紋白の専属に適任なのかを見に来たのだが、話題はどうやったらヨコヅナに勝てるかになっていた。

 




 小説投稿サイト『カクヨム』にて、

 ヨコヅナが主人公のオリジナル小説、

『なんでオラ、こんなとこにいるだ?』を投稿しております。

 https://kakuyomu.jp/works/1177354054922126022

 こちらも読んで頂ければ幸いです。
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