真剣でちゃんこに恋しなさい!   作:ニッケン

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34話⑤

「オイオイ、新人が物足りないからって一人稽古始めちまったぜ」

「順位800以下で一番強いドキューであれですから、他はもっとあっさり終わったのでしょうね」

「……これは…不味い状況ですね」

「ああ、……不味いな」

「え、何が不味いんですか?」

「分かんねぇのか小十郎。今の状況は「従者部隊の格闘訓練は、こんなもんか…」と新人、それも学生に思われてるってことなんだよ。そんな状況を…」

シュタッ「俺が許すとなどと思っていないだろうな、赤子共」

 

 医務室から戻って来たヒュームがあずみ達の背後に現れる。

 

「まさか、このまま新人に舐められたままで良いと思っていないだろうな」

「……アタイらがヨコヅナに膝つかせるしかねぇか」

 

 帝が訓練でヨコヅナに勝負を挑む許可をだしたが、それは若手に限定される。

 その為ヒュームが自分で相手をすることはできない。あずみ達が入って来たとき「都合が良い」と言ったのはこうなることを予想していたからだ。

 

「あずみとステイシーと李は駄目だぞ」

 

 だが、話が聞こえていた紋白がそう拒否する。

 

「ヨコは女性相手に思いっきり戦えないからな、今日参加の従者も男性に限定した」

「……そういえば、交流戦の時もそんな感じだったな」

 

 東西交流戦での戦いを見ているあずみは、ヨコヅナが女性に怪我をさせないように戦っていたのを思い出す。

 

「て、なると相手出来るのは、桐山か小十郎か…」

「お前が行けよ、マザコン」

「……いえ、限定しているのであれば、今日は私も参加出来ませんね」

「何を言っているのですか、あなたは男でしょう…」

「そっちのではありませんよ。紋様、今日の参加は男性の序列800以下の従者限定ですよね」

「うむ、そうだぞ」

「では私は参加できませんね」

「フハハ、確かにそうなるな」

 

 桐山の序列は42位、今日は限定内でしか勝負を出来ないのであれば、桐山も勝負できないことになる。

 

「テメェ屁理屈を言いやがって、ただ勝つ自信がねぇだけだろ!」

「……確かに100%勝てるとは言えませんね」

 

 簡単に負けるつもりはないが、今日戦うのはリスクが大きすぎると考えた桐山。

 

「じゃ、小十郎しかいねぇか……」

「分かりました。私がヨコヅナ君と勝負します」

「うむ、ヨコもう一番いけるか?」

「構わないですだよ」

 

 紋白の言葉にヨコヅナは四股を踏むのを止め、いつもの笑顔で答える。

 

「チっ、あの余裕の笑みを消してやれ、小十郎」

「従者部隊の本当の恐ろしさを教えてやれよ、小十郎」

「勝てたら揚羽様もお喜びになりますよ、小十郎」

「応援してますよ、小十郎君」

「はい!皆さんのご期待に応えてみせます!うおぉぉぉ!!」

 

((((期待はしてないけどな…))))

 

 

 

 テープ土俵の中で向い合うヨコヅナと小十郎。

 

「いつでもいいだよ」

「九鬼家従者部隊序列999位、武田小十郎行きます!!」

 

 小十郎の体格もヨコヅナと比べたら圧倒的に小さい。捕まれば勝てないことはドキューとの試合を観ていれば分かるから、真正面から突っ込むようなこと普通はしない。

 普通はしないが…

 

「揚羽様の専属として恥ずかしい戦いは出来ない!うおぉぉ!!」

 

 ヨコヅナに拳を叩き込もうと真正面から突っ込む小十郎。

 

「真正面から…何か策でも…」

 

 ヨコヅナを倒すための策があるのかと思いそうなところだが…

 

「あるわけねぇだろそんなもん」

 

 小十郎にそんなものはない。

 

「うおぁ!?」

  

 ヨコヅナの蹴手繰りで盛大に転ぶ小十郎。

 

「…勝者ヨコヅナ」

「「「「「やっぱり…」」」」」

 




 小説投稿サイト『カクヨム』にて、

 ヨコヅナが主人公のオリジナル小説、

『なんでオラ、こんなとこにいるだ?』を投稿しております。

 https://kakuyomu.jp/works/1177354054922126022

 こちらも読んで頂ければ幸いです。
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