「オイオイ、新人が物足りないからって一人稽古始めちまったぜ」
「順位800以下で一番強いドキューであれですから、他はもっとあっさり終わったのでしょうね」
「……これは…不味い状況ですね」
「ああ、……不味いな」
「え、何が不味いんですか?」
「分かんねぇのか小十郎。今の状況は「従者部隊の格闘訓練は、こんなもんか…」と新人、それも学生に思われてるってことなんだよ。そんな状況を…」
シュタッ「俺が許すとなどと思っていないだろうな、赤子共」
医務室から戻って来たヒュームがあずみ達の背後に現れる。
「まさか、このまま新人に舐められたままで良いと思っていないだろうな」
「……アタイらがヨコヅナに膝つかせるしかねぇか」
帝が訓練でヨコヅナに勝負を挑む許可をだしたが、それは若手に限定される。
その為ヒュームが自分で相手をすることはできない。あずみ達が入って来たとき「都合が良い」と言ったのはこうなることを予想していたからだ。
「あずみとステイシーと李は駄目だぞ」
だが、話が聞こえていた紋白がそう拒否する。
「ヨコは女性相手に思いっきり戦えないからな、今日参加の従者も男性に限定した」
「……そういえば、交流戦の時もそんな感じだったな」
東西交流戦での戦いを見ているあずみは、ヨコヅナが女性に怪我をさせないように戦っていたのを思い出す。
「て、なると相手出来るのは、桐山か小十郎か…」
「お前が行けよ、マザコン」
「……いえ、限定しているのであれば、今日は私も参加出来ませんね」
「何を言っているのですか、あなたは男でしょう…」
「そっちのではありませんよ。紋様、今日の参加は男性の序列800以下の従者限定ですよね」
「うむ、そうだぞ」
「では私は参加できませんね」
「フハハ、確かにそうなるな」
桐山の序列は42位、今日は限定内でしか勝負を出来ないのであれば、桐山も勝負できないことになる。
「テメェ屁理屈を言いやがって、ただ勝つ自信がねぇだけだろ!」
「……確かに100%勝てるとは言えませんね」
簡単に負けるつもりはないが、今日戦うのはリスクが大きすぎると考えた桐山。
「じゃ、小十郎しかいねぇか……」
「分かりました。私がヨコヅナ君と勝負します」
「うむ、ヨコもう一番いけるか?」
「構わないですだよ」
紋白の言葉にヨコヅナは四股を踏むのを止め、いつもの笑顔で答える。
「チっ、あの余裕の笑みを消してやれ、小十郎」
「従者部隊の本当の恐ろしさを教えてやれよ、小十郎」
「勝てたら揚羽様もお喜びになりますよ、小十郎」
「応援してますよ、小十郎君」
「はい!皆さんのご期待に応えてみせます!うおぉぉぉ!!」
((((期待はしてないけどな…))))
テープ土俵の中で向い合うヨコヅナと小十郎。
「いつでもいいだよ」
「九鬼家従者部隊序列999位、武田小十郎行きます!!」
小十郎の体格もヨコヅナと比べたら圧倒的に小さい。捕まれば勝てないことはドキューとの試合を観ていれば分かるから、真正面から突っ込むようなこと普通はしない。
普通はしないが…
「揚羽様の専属として恥ずかしい戦いは出来ない!うおぉぉ!!」
ヨコヅナに拳を叩き込もうと真正面から突っ込む小十郎。
「真正面から…何か策でも…」
ヨコヅナを倒すための策があるのかと思いそうなところだが…
「あるわけねぇだろそんなもん」
小十郎にそんなものはない。
「うおぁ!?」
ヨコヅナの蹴手繰りで盛大に転ぶ小十郎。
「…勝者ヨコヅナ」
「「「「「やっぱり…」」」」」
小説投稿サイト『カクヨム』にて、
ヨコヅナが主人公のオリジナル小説、
『なんでオラ、こんなとこにいるだ?』を投稿しております。
https://kakuyomu.jp/works/1177354054922126022
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