「ほぉ、今年の一年は小粒ばかりだと思っていたが、見処ある者もいるではないか」
2-Sのモニタールーム(Sクラスの一部生徒は川神学園にたくさん寄付金をしているので大画面のモニタールームで一年の対決を見ている)でそう言ったのは九鬼英雄。
「あずみ、あの者のこと分かるか?」
「少々お待ちください英雄様!」
忍足あずみはKパット(※Kパットとは九鬼家が開発したタブレット型端末)を取り出し、生徒のデータを探す。
だが、あずみが目的のデータを見つけるより先に、
「あれは、井ノ中ヨコヅナ…」
モニターに映っている生徒、ヨコヅナの事を知る者がいた。
「不死川、知り合いか?」
ヨコヅナの名前を口にしたのは不死川心であった。
「まっさか~心にクラス以外で知り合いがいるわけないよ~」
ニコニコと酷いことを言うのは榊原小雪。
「おるわ!知り合いぐらい…」
「ではあの大きな一年と知り合いなのですね?」
男の色気を出しながらそう聞いてくるのは葵冬馬。
「…知ってはいるが、知り合いではない」
「ホラ、やっぱり~」
「うるさいのじゃ!!」
「で、一人獅子奮迅の戦いをしてる生徒は誰なんだ?」
ハゲが眩しい井上準が再度、心に質問する。
「あやつは井ノ中ヨコヅナ、不死川の親類が後援会をしている相撲部屋に通っていた者じゃ」
「確かに見たまんま相撲だな」
「此方も相撲は好きなので見学に行ったことがあっての、当時井ノ中は中学じゃったが普通に大人と…それどころか関取とも渡り合っておった」
「それはすごいですね、でも中学卒業して直ぐ、角界には入らなかったのですか」
「……いや、相撲を辞めたと聞いた、ここの相撲部にも在籍しておらぬはずじゃ……有望な日本人力士と期待されておったのじゃがの」
「何でだ、怪我でもしたか?とてもそうは見えねぇが…」
ヨコヅナの戦いぶりを見るに怪我をしているとは到底思えない。
「周りの期待が重くて嫌になったのでしょうかね?」
「理由までは此方も知らん。喧嘩別れして家を出たとだけは聞いていたが…まさか川神にいるとはの」
「あずみ、補足することはあるか?」
「井ノ中ヨコヅナ、クラスは1-C、料理部に所属しているようです」
「相撲部でなく料理部か…得意料理はちゃんこ鍋かな」
準の半分冗談で言ったことだが、間違ってはいない。
「早朝に相撲の鍛練をしているとの情報があります」
「相撲を辞めた訳ではないと?」
「それはなんとも言えません…、一人で鍛練しているとのことなので、体が鈍らないようにしているだけの可能性もあります」
「体が鈍らない程度の鍛錬……で、あれが起こりえるのか?」
ヨコヅナは先方隊に続き、主力部隊の生徒もバッタバッタと倒し、わずかな時間で地に沈んでいる天神館の生徒は30人近い。
「でも、あの一年生優しいね」
だが、そんな光景を見ていながら小雪の場違いな言葉。
「どういう意味ですか?小雪」
「見たまんまだよ~トーマ」
「む、何じゃあれは?」
モニターに映るヨコヅナの戦いに変化があった。
「……女子生徒に取り押さえられている?」
「つうか、乗っかられてるって感じたな」
小説投稿サイト『カクヨム』にて、
ヨコヅナが主人公のオリジナル小説、
『なんでオラ、こんなとこにいるだ?』を投稿しております。
https://kakuyomu.jp/works/1177354054922126022
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