「では、二投目じゃ」
鉄心が振ったダイスで出た、名前は
【椎名】 【忍足】
実況百代『これは…なかなか面白い対決だ~!』
解説ルー『どちらも武器を得意とする生徒だけド、素手でも一般人を大きく上回る実力だからネ』
「さて、どれにしましょうか?」
カードを受け取り、わざとらしい素振りで考えるあずみ。
そして、大和も悩みどころだった。
京には勝ち星をあげて欲しいのだが、相手は忍足あずみ。
マルギッテよりはマシかもしれないが、簡単に勝てる相手ではない。格闘の実力だけでなく何して来るか分からない怖さがある。
「1を出して大和」
「京…」
悩んでいた大和に、椎名がそう声をかけた。それも相手にも聞こえる声量で、
「聞こえてますよ~。しかも、それだと私に確実に勝てると言ってみたいに~」
「みたい、じゃなくて、そう言ってるんだけど伝わらなかった?」
無表情で応える京。
「そうですか…分かりました」
それに対して、口は笑っているが目が笑っていないあずみ。
「両者カードは決まったな…では、オープン!」
大和 『1』 あずみ 『2』
「数字の大きい2-Sどうする?」
「もちろん、戦います」
あずみは勝負をすることを宣言。
実況百代『見ごたえありそうな試合が決定した!』
解説ルー『どちらが勝つか予想がつかないネ~』
「では、椎名、忍足の2名は前へ」
「京頑張れ、でも怪我するなよ」
「うん、分かってる大和」
「両者構えて…」
(さっきは随分やすい挑発をしてくれたな、…本当の挑発を教えてやるよ)
構えをとるあずみは笑みを消す。
「はじめっ!!」
京は開始の声と同時に前に、
「てぁー!」
速攻を仕掛ける。
実況百代『京開始に早々前に出た。素早い攻撃の連打!』
解説ルー『忍足は回避に徹してるネ…』
あずみは、京の速攻をのらりくらりとかわしながらも、反撃はせず代わりに、
「一つ教えてやるよ」
戦いの最中でありながら、京だけに聞こえる声量で話しかける。
「必要ない」
京はそれを意識を削ぐ策だと思い、相手にせず攻撃を止めない。
「そう言わず聞けよ。お前らが屯ってる廃ビル…取り壊そうって話が出てるんだぜ」
「な!?」
あずみの言葉に攻撃を止める京。
「武士道プランの一環で、川神で悪さをしている奴等を九鬼財閥が排除してるのは知ってるだろ」
「私たちは悪い事なんてしてない!」
「若者が廃ビルに屯って騒いでるのが、親不幸通りで廃工場に屯ってる不良達と、知らない人から見れば大して変わらないと判断出来るってことだよ。実際、たまにうるさい時があると近所の者が言ってたそうだ。後、武器持ってうろついてる女もいて怖いとか」
「それは……」
否定したくても出来なかった、外からでも分かるぐらい騒いでる時もあるし、武器持ってうろついている女もいるのだから。
「廃ビル取壊しの書類は、要思案の状態だが…」
これはブラフである。全部が嘘ではなく、風間ファミリーが基地にしている廃ビルの近隣の者からの苦情は本当で、会議の時に口頭だけで廃ビルのことも出たが、一子の居場所を奪うなど九鬼英雄が許すわけないのだ。だから書類など存在しない。
だが、動揺している京は思い至らない。
「近所が迷惑してるだけの必要ない廃ビルなんて、さっさと取り壊すべきだよな」
クッキーからの情報で、京が廃ビルの基地を大切に思っていることを知っているあずみ。
あずみの挑発の言葉に、京の表情が一変し、
「お前、死ねよ」
殺気が感じられるほどの、怒りの形相で殴りかかる京、
「忍足流、分身の術」
あずみの姿が忍術で数人に増える。
京は怒りのまま攻撃を繰り出し、実体のないあずみを殴る。
(バーカ、所詮ガキだな)
あずみは分身を隠れ蓑に、京の隙を狙い、
(お前とは潜って来た修羅場の数が違うんだよ)
渾身の一撃を繰り出す。
「ぐはぁっ!?」
渾身の肘打ちが、適格に鳩尾に決り、地に膝を着く…あずみ。
(カウンター!?……こいつ…怒った演技を…?)
そう思ったあずみだが、
「許さない」
今も京は怒り心頭してるようにしか見えない。
あずみは知らないことだが、普段クールに見える京は、感情で戦闘力が変化するのである。
「私の大切なモノを潰すと言うなら、お前の大切なモノも潰してやる…」
京の視線はあずみの大切なモノに向けられていた…視線の先は当然のあずみの主、九鬼英雄。
意味を理解して、肘打ちの痛みが吹っ飛び立ち上がるあずみ。
「ぶっ殺す!!」
「死ぬのはお前だ!」
この後、滅茶苦茶殴り合った。
小説投稿サイト『カクヨム』にて、
ヨコヅナが主人公のオリジナル小説、
『なんでオラ、こんなとこにいるだ?』を投稿しております。
https://kakuyomu.jp/works/1177354054922126022
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