真剣でちゃんこに恋しなさい!   作:ニッケン

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次回は1/15に投稿する予定です。


56話

「おう井ノ中ヨコヅナ」

 

 部屋に忍足あずみが入って来た。

 

「おはようございますだ。忍足先輩」

「仮とは言え従者部隊だ、先輩は止めとけ」

「それじゃ忍足さんで良いですだか?」

「まぁいいだろ。……どうした、腹痛ぇのか?」

 

 ちょっとお腹を摩ってるヨコヅナにそう聞くあずみ。

 

「さっき、揚羽様に腹を殴らせてほしいと言われて、深く考えず応じてしまっただ」

「で、殴られたわけか。相手が揚羽様じゃしゃあねぇな」

「揚羽様結構本気だったのに、こいつ膝をつきもしないんだぜ」

「小十郎だったら、吹っ飛ぶほどの一撃だったと思いますよ」

「マジか!?相変わらず頑丈だな」

 

 改めてヨコヅナの頑丈さに驚くあずみ。

 

「……だとすると今後も殴られそうだな」

「え!?」

「間違いないな」

「残念ながら否定出来ませんね」

  

 あずみの言葉にステイシーと李も頷いて肯定する。

 

「断ったら駄目なんですだか?」

「殴らせろなら断れるが、稽古に付き合えだと基本無理だな」

 

 さっき、「手合わせしよう」と言われてヨコヅナは断っていたが従者としての業務であれば本来断れない。

 

「ヨコヅナは紋様の仮専属のだから、本当に嫌なら紋様に相談するんだな」

 

 

 

 その後あずみは業務の説明をし、「二時間後からお前が正式に傍につきな」とヨコヅナに指示して、ステイシーと李に「後はお前達頼んだぜ」と言って軽やかに去っていった。

 

 

「まずは、着替えですね」

 

 部屋にはヨコヅナが着る執事服が用意されていた。

 

「ヒュームさんが来てるのと同じ形の服ですだか?」

「デザインは全く同じです。サイズは全然違いますが」

「仕立て屋にサイズ伝えたら、「力士にでも執事をやらせるのですか?」って言われたらしいぜ」

 

 ヨコヅナは立派な力士体型なのでそう言われても不思議ではない。

 

「それじゃ今これに着替えな」

「分かりましただ」

 

 ヨコヅナは服を脱ぎだすが、

 

「…」

「…」

「出て行かないんだべか?」

「気にせず着替えてください」

「さーて、どう初心な反応してくれんのかな」

 

 そうステイシーと李は楽しそうな笑みをしているが、

 

「反応も何も、一度見られてるだよ」

 

 ヨコヅナは二人を気にせず、服を脱ぎ褌一丁になる。

 

「稽古の時だけじゃなく、普段から褌なのか」

「英雄様もそうですから、褌派の人はそうなのかもしれませんね」

 

 以前従者部隊と格闘訓練をしていた時に、褌姿は観られているし、ヨコヅナは褌姿を他人に見られたところで恥ずかしいとは思はない。

 

 

 ヨコヅナは執事服に着替えた後は、建物の中を案内してもらい、紋白と合流する時間となった。

 

「おおヨコ。今日から宜しく頼むぞ」

「はいですだ、紋様」

「執事服を着た感想はどうだ?サイズは合っているか?」

「サイズは合ってますだ。ただ、鏡で自分の姿を見て違和感が凄かったですだ」

「フハハ、始めはみんなそうらしいぞ、なぁお前達?」

 

 紋白は李とステイシーに声をかける。

 

「はい、私も最初は戸惑いがありました」

「私も初めて着た時「こんな格好で私は何やってんだ?」って声が出ちまったぜ」

「でも直ぐ慣れますよ」

「そうそう」

「元暗殺者と元傭兵がこう言っておるのだから、ヨコも直ぐに慣れる安心しろ」

「そうですだか」

「よし、では我の部屋に行くとするか…とうっ!」

 

 学園にいる時のようにヨコヅナの肩に座る紋白。

 

「ステイシーと李は普段の業務に戻ってよいぞ」

「分かりました。失礼します紋様」

「失礼します。頑張れよヨコヅナ」

 

 そういってステイシーと李は去っていった。

 

 

 

 部屋についた紋白とヨコヅナ。

 

「ヨコヅナの腹は良い背もたれになるの」

 

 部屋では紋白はヨコヅナの肩ではなく膝に座っていた。

 

「今日は挨拶まわりにしようと思っておったのだが、父上は海外、母上は大阪、姉上と兄上も入れ違いで出かけてしまった。だから今日はのんびりお喋りでもするかな」

「そうですだか。英雄様と揚羽様にはここに到着して直ぐの時に会いましただよ」

「お、出かけ際で間に合っていたか、何か話したか?」

「少しだけ、英雄様にいきなりハグされましただ。ちょっと驚きましただ」

「フハハ、兄上は男の新人相手にはいつもやっているからな」

「揚羽様には腹を殴られましただ。痛かったですだ」

「フハハハ、我がヨコの頑丈さを話した時、殴ってみたいと言っていたからな……というか、姉上に殴られても平気なのかヨコは?」

「平気じゃないだよ。今でもちょっと痛いですだ」

「…ニコニコ笑顔でそう言れても、平気にしか見えぬ」

「そういえば、英雄様に時間がある時に相撲をとろうと言われましただ。接待勝負した方が良いだか?」

「わざと負けたりはしなくともよいが、怪我はさせないように気を付けるのだぞ」

「分かりましただ。後、揚羽様にも手合わせしようと言われましただ。断って良いだか?」

「う~ん、兄上の相手はするのに、姉上の相手はしないというのもな……姉上にグローブを着用してもらえば、ヨコなら何とか相手が務まるのではないか?」

「……どうだべかな?揚羽様の強さは次元が違うと思いますだ」

「フハハハ、そうだな、姉上は女性としては世界最き……」

「ん?どうしましただ紋様?」

「いや、何でもない、……ワハハ、我の今日の習い事も武術の鍛錬だったのだ。もともとは護身で習い始めたのだが、今の目標はヨコに膝をつかせることだ」

「ははは、それはおっかないですだな」

 

 

 この後、本当にのんびり過ごし、他に(おこな)ったのは従者部隊や義経達に挨拶をしたぐらいで、

 ヨコヅナの仮専属執事の初日は問題なく終わった。

 




 小説投稿サイト『カクヨム』にて、

 ヨコヅナが主人公のオリジナル小説、

『なんでオラ、こんなとこにいるだ?』を投稿しております。

 https://kakuyomu.jp/works/1177354054922126022

 こちらも読んで頂ければ幸いです。
 
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