真剣でちゃんこに恋しなさい!   作:ニッケン

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次回は2/19に投稿予定です


62話

「さぁ、黛さん!川神学園一年最強を決めましょうか!」

 

 武蔵小杉ことムサコッスは入学当初から決闘を挑みまくり、一時は「一年で一番強いかも?」と言われていた。

 だた今は一年最強は間違いなく、

 

「一番強いのは1-Sのヒューム・ヘルシングさんだと思うのですが…」

「特別枠の生徒は含まなくて良いのよ!!」

 

 言われるまでも無く一年でヒュームが最強なことぐらいムサコッスは身をもって知っている。

 

「最近、一年最強(ヒュームは除く)は1-Cの黛由紀恵か井ノ中ヨコヅナじゃないのかって言う人達がいるみたいなのよ」

 

 東西交流戦でのヨコヅナと由紀恵の活躍は緩やかに広まっており、さらにヨコヅナは九鬼紋白の従者になったり、体育祭で活躍したりと目立っていた。

 

「そして井ノ中ヨコヅナに聞いたところ、黛さんの方が強いって言うのよ」

 

 正確に言うとムサコッスは「本当の一年最強がヨコヅナか由紀恵」という噂を聞いてヨコヅナに決闘を挑んだのだ。

 しかしヨコヅナは一年最強なんかに興味はなく、何より女性と決闘する気など全くない。

 それを言ってもムサコッスは簡単には引かなかったので「ヒュームさんを除いての一年最強はまゆっちだべ」と言ってしまったのだ。

 でもこれは決闘を避けるための嘘ではない、ヨコヅナの本心だ。

 

「確かにヨコっちが相手でも真剣ならまゆっちの方が強いよな」

「まず戦うことがないと思います」

 

 由紀恵も女性なのだから当然ヨコヅナは進んで戦おうとはしないし、由紀恵も友達とは戦おうと思わない。

 

「と言う事だから黛さん、正々堂々素手で勝負よ!」

 

 ビシっとカッコイイ感じで言うムサコッスだが、

 

「大会のルールで許可されているので武器対素手でも正々堂々になると思うのですが?」

「そ、それはそうだけど、黛さんも後で「刀を使ったから勝てた」なんて言われたら嫌でしょ!」

「別に嫌とか思ったりしませんよ…」

 

 由紀恵は、「刀は己が魂」と思っているので、「刀が使ったから勝てた」と言われても嫌だと思ったりはしない。

 

「ですが、分かりました素手でお相手します」

 

 結果に差はないので、持っていた刀を丁重に床に置く由紀恵。

 

(やりっ!素手ならいけるわ!)

 

 

 

 由紀恵とムサコッスは会話しているが、試合は始まっている。

 なので、ヨコヅナとアンディが既に戦闘を始めている。

 

「ふぉあたぁぁぁー!!」

 

 アンディの気合を上げた猛攻。

 

「……なるほどだべな」

 

 それをヨコヅナは冷静に手ではたき捌く。

 

実況『アンディ選手の激しい連続攻撃を井ノ中選手全てはたき落としています。見た目のよらず素早いですね井ノ中選手』

百代『体型から井ノ中は動きが遅そうですが、反射速度は常人より速いですね。本場の力士もデカいだけでノロマだと番付は上がれないらしいですし』

実況『それにしても一戦目と違って防御に徹してますね井ノ中選手、何か作戦でしょうか?』

百代『…作戦が必要な相手とを思えませんがね」

 

「意外とやるな。ならば」

 

 アンディは下がって距離をとり、

 

「喰らえ、斬影拳!!」

 

 アンディの必殺の一撃を、

 

「拳じゃなく肘じゃないだか…」

 

 ツッコミを入れながら、あっさり手の平で受け止めるヨコヅナ。

 

「もう終わりにするだ」

 

 動きが止まったアンディの腰の帯を掴む。

 そして体を開きつつ腰投げの要領でアンディーを頭から床に叩きつける。

 

「うぁっ…」

 

 投げ一発で立てなくなるアンティ。

 倒そうと思えばヨコヅナはいつでもアンディを倒せた。そうしなかったのは作戦などではなく、観察していたのだ。

 

「共通点はあるだが、別物だべな」

 

 相撲と骨法は起源を同じとするいう説を聞いた事がありちょっと骨法に興味があったヨコヅナ。

 掌底打ちを多用するところや、すり足での歩法など「確かに相撲との共通点もあるだべな」とか観察しながら考えていたから、ちょっと決着が遅くなっただけだった。

 

 そして、ヨコヅナがアンディを倒したのとほぼ同時に、

 

「ぐぁっ…」

 

 由紀恵は一撃のもとムサコッスを倒した、描写する必要がないぐらいあっさりと。

 

 男女で別れたが同時で決着がつき、

 

「そっちも終わっただかまゆっち」

「ええ、ヨコヅナ君と同時でしたね」

「今さらだべが、一人倒せば勝ちだから、無理に二人とも倒す必要ってないだったべな」

「そうですね。まぁ武術の試合ですから文句を言う人はいませんよ」

「そうだべな」

 

 ヨコヅナと由紀恵は近づきながらお互い手を上げ、

 

「何にせよ…」

「これで…」

 

 パシンっ!

 

「本選出場だべな」「本選出場ですね」

 

 笑顔でハイタッチをして、本選出場を喜んだ。

 

 

 

 

実況『三戦目も圧倒的勝利で『不倒天剣』本選出場です』

 

 実況の言葉を聞きながらモニターに映る、ヨコヅナと由紀恵を知性チームの松永燕が鋭い目で見ていた。

 

「また厄介なチームが本選残っちゃったなぁ」

「厄介なチームって、まゆっちと井ノ中のチームの事ですか?燕先輩」

「大和君は二人と知り合いだったね」

「ええ。まゆっちは友達ですし井ノ中とも最近九鬼の人材紹介でよく会います。確かに二人とも強いですね」

「ただ強いだけじゃないんだよね。モモちゃんが最初に言ってた「本気の実力が未知数」、あれって伸びしろが見えないって意味だよ多分」

「伸びしろが見えない……確かに一年ですけど、俺達と一つ二つしか違わないですよ」

「…あの二人の性格、凄く真面目だけど世間知らずで、他人と感覚がズレてたりしない?」

「え、まぁそうですね……試合を見ただけでそんなこと分かるんですか?」

「今日の試合だけでの推測じゃないけどね。二人とも幼い時から厳しい基礎鍛錬を毎日欠かさず行ってきたってのが見て取れるんだよ」

「…真面目な二人ならそうでしょうけど、強くなりたいなら当たり前なのでは?ワン子も師範代になるために毎日頑張ってますよ」

「あの二人は強くなる明確な目標あるの?」

「……ん、あ~、まゆっちは父親の後を継ぐかもだけど、井ノ中はちゃんこ鍋屋を開くのが将来の夢って言ってましたね……何で鍛えてるんだろ?」

「たまにいるのよ。常人がついて行けない程の基礎鍛錬をさしたる目標もないのに習慣化してる、感覚がズレた強者って」

「それでも一心に武術を頑張ってる人に比べたら…」

「そこは悲しいかな武術って才能の世界だから」

「二人が天才ってことですか?」

「黛さんは天才だと思うけど、井ノ中君って男の子は秀才ってとこかな」

「本選で当たったら勝てますかね?」

「大和君が井ノ中君を引き付けてくれたらね」

「…捕まったら即アウトっぽいですけど、頑張ります」

「うん、モモちゃんに回避を鍛えられてる大和君なら大丈夫だよ(まぁ、黛さんだけでも無傷じゃ勝てなさそうだから、他に負けてくれることが一番だね。だけど勝ち上がってきたら……)」

 

 




 小説投稿サイト『カクヨム』にて、

 ヨコヅナが主人公のオリジナル小説、

『なんでオラ、こんなとこにいるだ?』を投稿しております。

 https://kakuyomu.jp/works/1177354054922126022

 こちらも読んで頂ければ幸いです。
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