真剣でちゃんこに恋しなさい!   作:ニッケン

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次回は3/5に投稿予定です。


64話

「勝者・デスミッショネルズ」

 

 実況の田尻耕、通称大佐が一回戦第三試合の勝利者宣言をする。

 

「やっぱりデスミッショネルズだべな」

「それも無傷での圧倒的勝利ですね」

「10秒かかってねぇもんな~」

「優勝候補とまで言われてるね」

 

 次が自分達試合の為通路で観戦していたヨコヅナ達。

 

「まぁ、二回戦の事は一回戦勝ってから考えべ」

「そうですね。行きいましょう」

「まゆっち、ヨコヅナ君頑張ってね!」

 

 伊予に見送られ『不倒天剣』が武舞台へと上がる。

 

 

 反対側の通路でも、

 

「二回戦進出おめでとう!弁慶ちゃん」

「ありがとうございます。清楚さん」

「姉御が負けてくれた方が俺等には…」

「何か言った与一?」

「いや、おめでとう姉御」

「二人の相手は『不倒天剣』だったね、後輩相手に一回戦負けなんてしたらアルゼンチン・バックブリーカーだよ与一」

「勝っても負けても姉御にプロレス技をかけられるのかよ」

「弁慶ちゃんなりの応援だよ」

「そうそう、気合い入れていかないと私がプロレス技をかける前に…痛い目見るよ」

「…痛いのは嫌だから、頑張るしかねぇな」

「清楚さんも怪我しない程度に頑張ってください」

「うん、足を引っ張らないように頑張るよ」

 

 入れ違いでクローン同士で激励しつつ、『桜ブロッサム』も武舞台へと上がる。

 

 

 

「不倒天剣対桜ブロッサム! 両チーム前へ」

 

 お互いが開始位置まで進み、

 

「清楚先輩、与一先輩、よろしくお願いしますだ」

「よ、よ宜しくお願いします!」

「こちらこそよろしくね、ヨコヅナ君、黛さん」

「まぁ、お互い怪我しない程度に頑張ろうや」

 

 川神学園の先輩後輩として声を掛け合う両チーム。

 そして、

 

「では第4試合、いざ尋常に…勝負ッッッ!!」

 

 大佐の色々と変わるかけ声で試合が始まる。

 

 

 開始と同時に桜ブロッサムは大きく下がって距離をとる。

 弓兵の与一がアタッカーなので、予選から同じ戦法だ。

 それに対してヨコヅナと由紀恵は左右に別れるように移動する。

 

解説石田『予選では不倒天剣は男女で戦う相手を分けていたな。この試合でも同じ戦法をとるつもりか?』

 

 本選からは天神館十勇士の石田三郎も解説席に座っている。

 

解説百代『いや、闘気は二人とも那須与一に向けられている。不倒天剣は二人がかりで与一を倒しに行くつもりのようだな』

解説石田『……解説だからと言って、選手の策をバラすのは不味かったかな」

解説百代『関係ないさ、那須与一には分かっているだろうからな』

 

 百代の言う通り、与一は向けられる闘気でヨコヅナと由紀恵が自分一人を狙っている事を察していた。狙っているだけでなく勝つ気満々だという事も、

 

「可愛げのねぇ後輩達だぜ」

「あの二人、試合が始まったらまるで別人だね…」

 

 試合前に声を掛け合った時は、ヨコヅナはニコニコと、由紀恵は緊張した面持ちだったのに、今は打って変わって二人とも武人の表情だ。

 

「清楚先輩はもっと下がっててください」

 

 そう言って与一は弓矢を構え、

 

「怪我しない程度に、と言ったが訂正するぜ。怪我しないように気をつけな!」

 

 本気で戦いに集中し闘気を高める。

 

(…さすが英雄)

(マジで強いだな…)

 

 ヨコヅナと由紀恵は警戒しつつ左右から慎重に少しづつ距離を詰める。

 

 

 

 

 通路では次が試合の為『源氏愚連隊』が観戦していた。

 

「あの与一が本気だ!?」

 

 珍しい与一の本気の闘気を感じて驚く義経。

 

「まゆっちは強いし、井ノ中って一年もかなりデキるからね。余裕は一切ないと思うよ」

 

 義経のパートナー椎名京も真剣は表情で試合を観ている。

 

「椎名さんならどう戦う?」

 

 京は与一と同じ天下五弓、義経よりも与一の考えが分かるだろう。

 

「不倒天剣が左右に離れたのは、一方に矢を放った隙にもう一人が与一を倒す為」

「それなら隙を作らないように、動きながら速射で矢を多く…」

「ううん、威力のない矢ではいくら放っても倒せないと思う。だからやるとしたら一矢目で一人を足止め、近づいてきたもう一人を仕留める」

「……どっちを先に?」

「それは私には予想出来ないかな……那須与一がどっちを脅威に思っているかだね」

 

 一矢目をヨコヅナに放った場合、由紀恵の速さなら二矢目までに剣の間合に入られる可能性がある。

 一矢目を由紀恵に放った場合、ヨコヅナの耐久力なら二矢目で倒せず捕まえられる可能性がある。

 

 

(どちらを先に射るか…、迷うまでもねぇな)

 

 京の予想は概ね当たっている。

 一矢目で一人を足止め、二矢目でもう一人を仕留めると与一も考えている。

 ただし一矢目でどちらを狙うかを迷ってはいない、そして狙う理由は脅威に思っているからでもない。

 理由を先に言ってしまえば、ヨコヅナも九鬼ビルで寝泊まりしていてどういう人間かを知っているからだ。

 

 

 与一は矢の先を由紀恵に向ける。

 それを見て由紀恵は身構え、ヨコヅナは前に出る。

 しかし、それは、

 

「真面目なヨコヅナなら引っかかると思ったぜ!」

 

((フェイント!?))

 

 与一は瞬時に狙いを変えヨコヅナに矢を向ける。

 ヨコヅナは反射的に頭部を守る為に腕を上げる。

 弓から矢が放たれる。

 

「ぐっ…」

 

 矢に射られたのはヨコヅナの脛、さすがのヨコヅナも激痛に顔が歪み動きが止まる。

 だが、それは不倒天剣の作戦通りではある、由紀恵は矢を放たれた隙に与一との距離を詰める。

 しかし、それも、

 

「あんたも真面目なんだな」

 

 与一の想定内、

 由紀恵の剣の間合に入るよりも早く与一の弓は狙いが定まっていた。一矢目を放って後瞬時に体の向きを由紀恵の方へと変えていたのだ。

 

 中二病でも英雄のクローン那須与一。

 矢が狙い通りヨコヅナの脛に当たったのかどうかなど、結果を見るまでもなく矢が指から離れた瞬間命中することが分かっていた。

 そして、最初のフェイントに引っ掛かり由紀恵が身構えた分のロスを含めると、仕留める為の弦を引き絞り力を溜める時間には十分だった。

 

「終わりだ!」

 




 小説投稿サイト『カクヨム』にて、

 ヨコヅナが主人公のオリジナル小説、

『なんでオラ、こんなとこにいるだ?』を投稿しております。

 https://kakuyomu.jp/works/1177354054922126022

 こちらも読んで頂ければ幸いです。
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