試合開始と同時に、
「まずは力比べといこうか」
弁慶は素早く近づき両手を出す、
ガシっ!
ヨコヅナもそれに合わせるように両手を出して組み合い、手四つになる。
ピシっ!ギシっ!!
両者の動きは止まっているが、踏ん張る力の反動により石造りの床に罅がはいる。
「…凄い力だべな」
「…ヨコヅナもやるね~」
解説百代『ほぉ、弁慶相手に互角とは、大したものだな井ノ中』
英雄武蔵坊弁慶相手に押されも投げられないもしないヨコヅナを見て感心する百代。
解説石田『…弁慶は予選で島を軽々と放り投げていた。井ノ中は島より重くパワーもあるだろうが…、それだけが理由ではないな』
解説百代『ああ、井ノ中が弁慶と互角な一番の理由は技術だ。さすが力士と言ったところか』
百代の解説通り、手四つの状態は単純な力比べにも見えるが実際は、押す押されない投げる投げられないの技術は重要。
弁慶はヨコヅナぐらいの体重の相手なら放り投げる事は可能、そうさせないようヨコヅナは技術を使って互角に渡り合っているのだ。
「ところで、杖を突き刺しまま素手なのは、オラに合わせて、くれてるんだか?」
「まぁね、汚名返上もしないといけないから、一年相手に武器を使って勝っても、意味がない」
「英雄だから、勝ち方にも、拘るって事だべか」
「もし私に、土を付けることが出来たら、負けを認めてあげるよ」
「その言葉、忘れないでくれだべ」
一方、由紀恵対辰子は、
「ヤァーっ!!」
由紀恵が連続の斬撃を繰り出す。
「わぁっ、うぁっ、痛っ痛っ」
辰子は全てを捌ききれず、何撃か喰らうも、
「このぉー!」
力の籠った拳を繰り出す。
由紀恵は回転するように拳をかわししつつ、その勢いのまま辰子の延髄に攻防一体の斬撃。
「わ、危ない~!」
しゃがんで紙一重でかわす辰子。
「この子ほんとに強いよぉ~」
一応由紀恵が優勢ではあるが、
(…急所への攻撃は的確に防がれる。それにあの拳、一発でももらえば危ないですね)
直ぐに倒せるほど実力差はない。
観客席の紋白は、
「少々舐め過ぎのように思えるな…」
その言葉を聞いて、
「今耐えてるだけでも凄いですけど、さすがに武蔵坊弁慶相手に真向勝負は無謀ですよね」
武蔵小杉はヨコヅナが弁慶相手に正面から組んだ事を指摘したのだと思った。
だが、
「我が言っておるのは逆だ、正確には相撲を舐めている言うべきか。…もしヨコが弁慶にも勝ってしまったら…少々複雑だな」
「ヨコちゃんが勝っても紋様は嬉しくないのぉ?」
「我の専属従者であるヨコが勝つ事自体は嬉しい。だが武士道プランの意義が下がってしまう」
「そうですね。ヨコヅナ君は唯の学生でしかありませんから」
小説投稿サイト『カクヨム』にて、
ヨコヅナが主人公のオリジナル小説、
『なんでオラ、こんなとこにいるだ?』を投稿しております。
https://kakuyomu.jp/works/1177354054922126022
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