弁慶は横目に辰子の様子を見て、
「どうやら悠長にしている暇はなさそうだね」
由紀恵に辰子を倒される前にヨコヅナを倒さなくてはいけない。そう思った弁慶は手四つの状態のまま、蹴りを出そうと僅かに重心を変えようと…
「っ!?」
その瞬間弁慶は体勢を崩され僅かに膝が落ち、蹴りが出せなくなる。
「力士相手に簡単に組んだこと後悔するんだべな」
解説石田『互角どころか井ノ中の方が押している!?』
解説百代『…力の流れを把握しているな』
「この程度で、調子に乗らないことだね!」
押し返そうと力を込める弁慶。それに対してヨコヅナは左腕は引きつつ右腕の肘を弁慶に向けるように振る。
弁慶は咄嗟に右手を離す、ヨコヅナが手首の関節を極めようとしている事を察したからだ。
ヨコヅナはまだ掴んでいる左をさらに引き、一本背負いで弁慶を投げる。
「なんのこれしき!」
弁慶は投げの力に逆らわず、ヨコヅナの背で側転するようにして足から着地する。
「次はこっちの番だよ、ヨコヅナなら本気でも大丈夫だよね!」
ドスンっ!と弁慶の強烈な中段突きがヨコヅナの腹に突き刺さる。
が、
パスンっ!と間髪入れずヨコヅナの張り差しが弁慶の耳を捉える。
「腹と違って鼓膜は鍛えれないべ」
動きが止まった弁慶に素早く組み付くヨコヅナ。
右ハズ押し左おっつけの形で弁慶をドンドンと押していく。
「くっ…この…」
弁慶は何とか踏み止まろうとするが、背骨を伸ばされせられてる状態では力が入らない。いかに怪力であろうと力が入らない体制では押されてしまう。
解説百代『おっとこれは…井ノ中は弁慶を場外に押し出すつもりか?」
解説石田『相撲と違って場外に出ても、10秒以内に戻れば負けにならないのだから意味ないだろ』
石田の言う通りこの大会のルールでは場外に押し出すなど意味はない。
だが、弁慶は「土を付けることが出来たら負けを認める」と言ってしまった以上場外に出されるわけにはいかない。
「ハァーっ!!」
全力をもって踏み止まろうする弁慶。
「っ!??」
突如天地が逆転する。
全力で抵抗する弁慶にヨコヅナが完璧なタイミングで掬い投げを繰り出したのだ。
ダンっ!と背中から叩きつけられる弁慶。
解説石田『なんだと!?あの弁慶が床に叩きつけられた!?』
解説百代『見事な掬い投げだったな。相撲なら井ノ中の完勝だ』
倒れている弁慶を見下ろしながら、
「解説の言う通り相撲ならオラの勝ちだべ。まぁ武舞台は石造りだから土はついてないべがな」
「……はぁ~、まいったねぇ。汚名を返上どころか上積みしちゃったよ」
弁慶はゆっくり立ち上がり、
「審判、降参するよ。私達の負けだ」
自分の敗北を審判に伝える。
「そこまで!!勝者『不倒天剣』!」
優勝候補のデス・ミッショネルを下し、ヨコヅナと由紀恵は三回戦進出を決めた。
小説投稿サイト『カクヨム』にて、
ヨコヅナが主人公のオリジナル小説、
『なんでオラ、こんなとこにいるだ?』を投稿しております。
https://kakuyomu.jp/works/1177354054922126022
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