たまには脳筋プレイも悪くない 作:カマンベールチーズ
他に書いてる作品があるのに新しく書き始める作者のクズです
しかも、新しく書いた方も不定期更新だし、続きを書くかもわからないものを投稿するという外道の極み………これは匿名じゃないと無理ですね
でも、防振りのキャラが可愛いので書きました、反省はしても後悔はしていません………!!
非才の身でどこまでキャラを魅力的に書けるか疑問ですが、多少のキャラ崩壊は独自設定という最強のタグがあるから、ね?
ちょっと最初の方は無理のある流れかもしれませんが、MMO初心者で勝手がわからないのでこの作品ではこういうものなんだなと寛大な心で流していただけると助かります
「正式版のリリースまで、あと五分」
ヘルメットのようなVRゲーム用のハードを頭に被った状態でベッドに横になり、そわそわと落ち着きなく備え付けの時計に目が向いてしまう。
「はぁ…………」
たったの五分が妙に長く思えた。気を鎮める為にも目を閉じて深い呼吸を意識する。
何度か繰り返すことで胸の中にあった高揚感が少しばかり落ち着いてきたような気がして、
まるでクリスマスプレゼントが貰えるのか期待と不安に揺れながら、自然と目が冴えてしまって眠れない小学生のようだ。
幼馴染の二人────
「今回は楓も誘うつもりみたいだし、久し振りに三人で遊べそうかな?」
自他共に認めるゲーマーである純義と理沙の二人は一緒にゲームで遊ぶ事も少なくない。
特に純義が引っ越してしまった中学二年生の頃からは、専らSNSやゲームだけが彼女達との繋がりだった。バイトの出来ない中学生にしてみれば電車代は高く、気軽に会いに行けなかったのは不思議な話ではないだろう。
因みに、そうした時には楓も一緒に誘うのだが、元からゲームに対して興味の薄い故に暫くプレイすると直ぐに飽きてしまい続かないのだ。
次第に理沙も無理に誘おうとはしなくなっていたけれど、正式版がリリースされる以前から何かと話題のNewWorld Onlineならば楓も長く続くのではないかと希望を持っているらしい。
とはいえ、実際に二人がゲームを始めるのはまだ先のことになりそうだった。殆どゲーム初心者の楓にリリース開始と同時にスタートダッシュは荷が重いという判断である。
「まあ楓のことは理沙に任せるとして…………俺は一足先にお楽しみの時間といこうか!」
そんなことを考えていると、気がつけばネット上の掲示板でリリース開始のカウントダウンが始まっていた。
初期設定は既に終えているので、後はゲーム内でステータスの設定などの部分を済ませるだけで始められるのだ。トイレにも予め行ってあるから安心である。
そして、時計の表示が13:00になった瞬間────NewWorld Onlineを起動した。
◆□◆□◆□◆□◆
電脳世界にダイブした際の独特な没入感の後、目を開くとそこは既にゲームの世界だった。
この殺風景な白い部屋の中で最後の設定を終えてからが本当の始まりになる。というわけで、スタートダッシュの為にも純義は事前知識の通りにさっさと設定を進める。
「えっと、まずは名前の設定か。これはいつも通りで問題ないから…………」
特に悩むことなく名前の欄にキースと入力していく。幼い頃からゲームの時には必ずこの名前でプレイしているので即決だった。
因みに、由来は桐島純義から姓名の頭文字を取っただけのシンプルなものだが、まだ四歳の頃に必死に頭を捻って絞り出した名前と考えれば良くできている方だろう。
「うーん、初期装備は何でもいいけど…………今回は楓も一緒に遊ぶし、いつもとは違う感じにしたいなぁ」
ラインナップは意外と豊富で少しばかり時間を取られたが、その中から純義は杖を選択した。
普段は持ち前の身体能力や反射神経を活かした身軽な近接武器を好んでおり、安全圏から砲台になることの多い魔法を使用することは珍しい。
もしかしたら楓と被る可能性もあるが、あの天然な幼馴染が純義の予想通りに杖を選ぶとは限らない。あれで意外と肝が座っているし、大盾なんかの盾役は性に合っているかもしれない。
「ステータスは純魔っぽく【MP】と【INT】に…………いや待てよ。いっそのこと極振りにするのも面白そうだ。折角いつもと違うスタイルだし、頭を空っぽにして遊んでみようかな」
ぶつぶつと独り言を呟きながらイメージを纏めた純義は【INT】に全てのステータスポイントを注ぎ込んだ。俗に言う極振りである。
VRMMOというジャンルで極振りは基本的に博打の要素が強い。ステータスがゲームの中に於ける仮想の身体能力となるので、かなりプレイスタイルが制限されてしまうのだ。
他のゲームでも僅かな成功者達は運良くスタイルにあった強力なスキルや装備などを入手できた強運の者だけであり、大多数のように真面にプレイしていたらとてもではないが地雷の誹りは免れないだろう。
そんな事情を理解した上で純義は極振りを選択していた。他のステータスは脳筋プレイの犠牲になったのだ。
身体能力にゲーム内の補正は受けられないが、なんとかなるだろうと楽観的に考えていた。
「外見は別に弄らなくてもいいかな。目立った容姿でもないし、バレることもないでしょう」
身長が伸ばせればあと一センチだけ伸ばしたんだけど、と少しだけ不満が漏れる。
リアルの身長は一七四センチと男性の平均身長からしてみれば低いわけではないのだが、目標の一七五センチには僅かに足りていない。平均とかそう言う問題ではないのだ。
妖怪いちたりないは物欲センサーに匹敵する恐ろしい概念なので、まだ十六歳と可能性はあっても近頃は焦りが見える。
純義は目立つ容姿ではないと思っているが、世間的にはイケメンと評されるだけの整った顔立ちではある。
しかし、どうにも特徴の少ない顔であるらしく、他人の印象に残り難い地味顔のようだ。まあ他のイケメンと比較すると、というだけなので密かに想いを寄せる女子は後を絶たないが。
補足するならば、同年代の男と比べて若干ながら線が細く中性的な雰囲気もあるとかで年上の女性には昔から大層モテる傾向にある。
同級生や下級生などには少しばかり頼りなく見えてしまうのかもしれない。
「それじゃあ、行ってみよう!」
そんなわけで現実に影響しない髪や瞳の色さえ碌に弄ることもなく設定を終えて、期待感に胸を膨らませながら目を閉じた。
次に目を開けた時、純義改めキースは異世界情緒溢れる城下町の中に立っていた。
「おお!」
キースから思わず感嘆の声が溢れた。VRMMOをやるといつも最初は感動してしまうのだ。
周囲を見渡せばキースと同じように初心者装備に身を包んだプレイヤーやNPCらしき姿がそこかしこに見られた。
町の外に向かって駆け出す初心者装備はスタートダッシュが目的なのだろう。
「おっと、これは急がないと出遅れるな」
それを見てキースも気を取り直し、メニューからマップを表示して目的の場所に向かう。
これから真っ直ぐ町の外には出ない。狩り場は早い者勝ちなので急ぐ必要はあるが、まずはスキルを手に入れないと効率が悪いのだ。
キースのステータスは【INT】の極振りなので、魔法系スキルがないと真面に戦うこともできない。
| キース Lv1 HP 24/24 MP 35/35〈+50〉
【STR 0〈+2〉】 【VIT 0〈+8〉】 【AGI 0】 【DEX 0】 【INT 100〈+11〉】
装備 頭 【空欄】 体 【初心者のローブ】 右手 【初心者の杖】 左手 【初心者の杖】 足 【空欄】 靴 【空欄】 装飾品 【空欄】 【空欄】 【空欄】
スキル なし |
|---|
これが現在のステータスである。
見ての通り【INT】以外はゴミと評するしかない有様だ。こうまで綺麗に0が並ぶと一周回って清々しい気分だった。
一応装備の補正のお陰で申し訳程度に【STR】はあるが、それもたったの2ではどうしようもない。
「うーん…………あっ、ここかな?」
キースが改めてステータスを確認している間に目的の場所に辿り着いた。
最初のスタート地点から結構近くにあったようだ。マップにもスキルショップという表示が出ているので間違いないだろう。
ここで無駄に高い【INT】を活かせるスキルを買うのだが、既に何を選ぶかは大体考えておいたので時間を無駄にしないためにもさっさと購入してしまう。
用は済んだのでスキルショップを出て、今度は装備の売っている店に向かう。
キースは購入したばかりのスキルは道中で取得していく。巻物を開くだけでいいので歩きながらでも簡単に済ませられるのは楽でいい。
こうしてスキル欄には新たに【火魔法Ⅰ】【水魔法Ⅰ】【風魔法Ⅰ】【土魔法Ⅰ】【闇魔法Ⅰ】【光魔法Ⅰ】の魔法系スキルと、パッシブの【MP強化小】【MP回復速度強化小】の二個を合わせて計八個が表示された。
初期に配布される3000Gの内、既に2800Gも使用してしまっている。金額は嵩んだが必要経費なので仕方がないだろう。
勿論200Gでは装備なんて買えるわけがないので『初心者のローブ』を売却して、代わりに『青羽の靴』という靴装備を購入した。
意外にも『初心者のローブ』が1200Gで売れたので限度額の中で最も【AGI】の補正値が高かった『青羽の靴』を買ったのだが、金額が1400Gだったのでキースは早くも無一文になってしまった。
| キース Lv1 HP 24/24 MP 35/35〈+60〉
【STR 0〈+2〉】 【VIT 0】 【AGI 0〈+9〉】 【DEX 0】 【INT 100〈+11〉】
装備 頭 【空欄】 体 【空欄】 右手 【初心者の杖】 左手 【初心者の杖】 足 【空欄】 靴 【青羽の靴】 装飾品 【空欄】 【空欄】 【空欄】
スキル 【ファイアボール】【ウォーターボール】 【ウィンドカッター】【サンドカッター】 【ダークボール】【リフレッシュ】 【MP強化小】【MP回復速度強化小】 【火魔法Ⅰ】【水魔法Ⅰ】【風魔法Ⅰ】 【土魔法Ⅰ】【闇魔法Ⅰ】【光魔法Ⅰ】 |
|---|
パッシブスキルの【MP強化小】によって最大MP+10とステータスには表示されないが、MP回復速度も5%増加している。
【ファイアボール】以下、【リフレッシュ】までのスキルは【火魔法Ⅰ】などの魔法系を取得すると自動的に覚える魔法である。
モンスターとの戦闘によってスキルが強化、要するに【火魔法Ⅰ】から【火魔法Ⅱ】になると新たに【ファイアボール】のような魔法を覚えていくことができるのだ。
『初心者のローブ』を売却してしまったのでVITが0になったが、当たらなければどうということはないので気にしなくていいだろう。
靴装備を購入したのは少し【AGI】の低さが気になったからだった。流石に0では他のプレイヤーとの足の速さが違いすぎて悪目立ちしてしまうのが嫌だったともいう。
なにはともあれ、これで準備は完了したので町の外に出て戦闘をすれば直ぐに金も溜まるだろう。
キースは満を持して、意気揚々とモンスターの蔓延る町の外へと足を向ける。靴装備のお陰で足の遅さも多少は解消されたので鈍足で目立つこともなくなった。
町の外はプレイヤーの初心者装備で溢れかえっている。角の生えた兎やスライムのようなモンスターと戦闘をしている様子も見ることができた。
だが、モンスターの数に対してプレイヤーが多すぎる。キースは町から続く道を外れて、森の奥に入っていった。
というのも、掲示板にβテストの時の情報で道を外れた場所の方がモンスターが強く、更に数も多くなるのだと書いてあったからだ。
リリース直後は特にフィールドがプレイヤーで混雑するのは想像に難くないので、運営的にも後で面倒がないし、こうした部分は正式版でも変更されていないだろうと考えた。
予想は大当たりで森の奥に向かって歩き始めてから直ぐにキースは初めてのモンスターと対峙した。
「ぷるっ」
「おっ! 初戦闘はスライムだな」
妙な鳴き声(?)を発して茂みの中から姿を表したのは半透明の青いゲル状のモンスターだった。
少しばかり戦闘を見た限りでは打撃に耐性がありそうだが、まず魔法を使っていくつもりのキースには関係のないことである。
「じゃあ、早速…………【ファイアボール】!」
一秒にも満たない詠唱待機時間の後、杖の先に展開された魔法陣から人の頭と同じくらいのサイズの
突然の攻撃をぷるぷると震えていただけのスライムに回避できるはずもなく、着弾した瞬間に耳を劈く轟音と共に断末魔の悲鳴も許さずスライムが爆炎の中に消え、余波によって背後の茂みや木々を諸共に吹き飛ばした。
「は?」
あまりの惨事にキースが唖然とする。
どうみてもオーバーキル。単体攻撃魔法の【ファイアボール】にあるまじき周辺被害である。
先程までスライムがいた場所を中心点として半径二メートル程の範囲が焦土と化している。へし折れ吹き飛ばされ、無残に地面に転がる木々がこの場で起きた事の悲惨さを物語っているようだ。
しかし、呆然としていられる時間は短かった。
火球の着弾時の轟音によって周囲からモンスターが集まってきているようだ。
キースは気を取り直して、まずは集まってくるモンスターを倒すことに集中することに決めた。だから現実逃避ではないのだ。
「【ウォーターボール】!」
ガサガサと揺れる茂みを狙って直径二十センチ程の
「【ウィンドカッター】!】」
茂みを飛び越えて襲い掛かってきた三匹のフォレストウルフに迎撃として不可視の
「【サンドカッター】!」
木の上から様子を窺っていたブルーバードに石飛礫の混ざった
「【ダークボール】!」
いつのまにか這い寄ってきていたオオムカデを杖で掬い上げてから直径二十センチ程の
「クソッタレ…………! いつまで湧いてくるんだ! キリがないぞ!」
消費MPの回復が追いつかない為に時には杖で殴り、足で蹴り飛ばし、迎撃が無理なら回避することで寄ってくるモンスターを確実に倒していく。
リアルで幼い頃から古武術を修めているだけあって体捌きに無駄はなく、ゴミのような【STR】でも急所に当てればクリティカル補正で少なくないダメージにはなる。
永遠に続くかと錯覚する程のモンスターの襲撃は一時間にも及ぶ激闘の末に終結した。
気がつけば周囲にモンスターの気配はなく、最後に残ったゴブリンの振るう剣を躱して顳顬に杖を突き入れ、生まれた隙を見逃さずに足を払い倒れ込んだゴブリンの喉を踏み潰す。
急所への攻撃と頭からの落下ダメージも利用することで、漸く最後のモンスターもポリゴンの光となって砕け散った。
「はああぁ…………疲れた」
キースが深い溜息と共に座り込む。
流石に息つく暇もない乱入に次ぐ乱入の混戦は堪えたようだ。【VIT 0】でオワタ式だったことも深い集中を強いられた要因である。
実は戦闘中に何度かスキル取得のログが流れていたが、生憎と確認する余裕もなかったのだ。
とはいえ、初期レベルの段階であれだけの数のモンスターを倒したのだ。
スキル取得に加えて回数は覚えていないがレベルアップの通知もあったので、これは期待できるぞと先程までの疲労も忘れてステータスを確認する。
| キース Lv17 HP 24/24 MP 2/35〈+60〉
【STR 0〈+2〉】 【VIT 0】 【AGI 0〈+9〉】 【DEX 0】 【INT 100〈+11〉】
装備 頭 【空欄】 体 【空欄】 右手 【初心者の杖】 左手 【初心者の杖】 足 【空欄】 靴 【青羽の靴】 装飾品 【空欄】 【空欄】 【空欄】
スキル 【メディテート】【ブレス】【スペルバイブレイト】 【ファイアボール】【ファイアウォール】【ファイアジャベリン】【ファイアホイール】【フレアアクセル】【ファイアストーム】 【ウォーターボール】【ウォーターウォール】【アクアスラッシュ】【ワールプール】【ウォータージェット】【フラッシュフラッド】 【ウィンドカッター】【ウィンドウォール】【ストームウェーブ】【ダウンバースト】【フライ】【トルネード】 【サンドカッター】【ストーンウォール】【グラベルブラスト】【ピットフォール】【トンネル】【ボールダートス】 【ダークボール】【ノクトビジョン】【カーズドシャドウ】【ダークプリズン】【シャドウボディ】【ダークエクスプロージョン】 【リフレッシュ】 【MP強化小】【MP回復速度強化小】 【杖の心得Ⅲ】【魔法の心得Ⅵ】 【詠唱破棄】【体術Ⅳ】【見切り】【挑発】【威圧】 【火魔法Ⅵ】【水魔法Ⅵ】【風魔法Ⅵ】 【土魔法Ⅵ】【闇魔法Ⅵ】【光魔法Ⅰ】 【気配遮断Ⅰ】【気配察知Ⅳ】【跳躍Ⅰ】 【一騎当千】【虐殺者】【大物喰らい】 |
|---|
「うわあ…………」
急激なステータスの変化に思わずキースが呻く。
異常な速度でのレベルアップによって、喜びよりも先に呆れてしまった。
それも束の間のことで直ぐに取得したスキルの詳細を見ていく。地面に散らばっているドロップアイテムを拾うことも忘れてはいけない。
激戦を制した後にも、キースには別の戦いが待っていたらしい。
膨大な確認作業と並行して行わなければならないアイテム回収に気が遠くなりながらも、黙々と作業を進めるのであった。
作者のイメージ
主人公のPSはサリーと同等のチート級です
ただし、本編にも書いてあるように昔は古武術などを習っていた時期があるので対プレイヤーは主人公、対モンスターはサリーの方が得意という感じて棲み分けていこうと思います
更に普段とは違うプレイスタイルではっちゃけてるのでメイプルみたいに変なスキルを発掘してくることもある予定なので、チート(リアル)とチート(スキル)が合わさって最強になりすぎないように気をつけたいと思います