たまには脳筋プレイも悪くない   作:カマンベールチーズ

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「さ、散々な目に遭ったぜ………」

「でも、作る側のことも考えて欲しい、ってのは尤もな話だよな。これからはもっと耐久値にも気を配るか」

「けどまあ、オーダーメイドの依頼は受けてくれたし、繋ぎの装備として購入した大盾の性能はかなり高いから今から期待が高まるぜ!」

────ザッザッザッ

「さて、今は無理でもいつかは盾以外のオーダーメイドも頼みたいし、今のうちに素材でも集めてくるかな」

「確か南の洞窟にいる岩蜥蜴とかの素材が盾役のプレイヤーに向いた装備を作るのに適してるって言ってたよな?そうと決まれば、善は急げだ!」

────カツン、コツン………ガタガタッ!

「ここが南の洞窟か。なんだかジメジメしてるな」

「──シギャア!」

「ぐっ!?な、なんだ?どこから………岩っ!?」

「なるほど、こいつが岩蜥蜴か!普段は岩に擬態しているって情報はこういうことだったのかよ!」

────ドスン!………ガギン!

「くっ、硬いなオイ!岩蜥蜴って名前は伊達じゃねえな………」

「幸いなのは動きが遅いから攻撃を防ぐのは難しくないってことだろうな。まあ、大盾は元から火力は低いし、持久戦は望むところだ!」

────シュタタ………ズズゥン!!

「うぉおぉおおおっ──!?あ、危ねぇっ、急に行動パターン変えるなよ!」

「咄嗟に躱さなかったらやばかったかもな。まさか壁を登ってから飛び掛かってくるとは思わなかったぜ」

「でもまあ、大技の後は反動ですぐに動けないみたいだし、そろそろ終わらせてもらうぜ?────【シールドバッシュ】!【炎斬】!オラッ、まだまだ行くぞ!」

────ドカ、バキ、ズバァン!………シュワァア







知力特化と第一回イベント①

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 運営から告知がされてから早くも一週間が経過して、遂にイベント当日がやってきた。

 最初にNWOの世界にログインする広場には多くのプレイヤーが集まってきており、その中にはキースやクロム、メイプルの姿もあった。

 空中には巨大なスクリーンが浮かんでおり、あれで面白いプレイヤーを中継するとのことだ。イベントに参加しないプレイヤーも楽しめるように考えられている。

 

 

 

「それでは、第一回イベント! バトルロイヤルを開始します!」

 

 

 

 どこからともなく聞こえるアナウンスに広場が歓声に沸いた。歓声というより怒号と言った方がいいかもしれない程の熱狂具合だ。

 プレイヤーの怒号が収まるのを待っていたのか、暫くすると再び大音量のアナウンスが流れる。

 

 

 

「もう一度改めてルールを説明します! 制限時間は三時間。ステージは新たに作られたイベント専用マップです! 倒したプレイヤーの数と倒された回数、それに被ダメージと与ダメージ。この四つの項目からポイントを算出し、順位を出します! 更に上位十名には記念品が贈られます! 頑張ってください!」

 

 

 

 そう言い終わる頃には、ちょうどイベントの開始予定時間が近づいていた。

 空中に浮かぶスクリーンにカウントダウンが表示されると広場の熱気は少しずつ収束していき、代わりに冷たい緊張感が支配していく。

 そして、ゼロになった瞬間キースを含めた参加者全員が光に包まれて転移した。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ここは…………草原か」

 

 

 

 キースが目を開くと、周囲は見渡す限りの全てが草原だった。

 目を凝らせば遠くに山も見えるが、かなり離れた位置にあることがわかる。徒歩で行くとなれば結構な時間は掛かるだろう。

 

 

 

「────隙ありぃぃ! 【スラッシュ】!」

 

 

 

 そうしてキースが転移地点の環境を観察している姿を無防備と見たのか、背後から一人のプレイヤーが飛び掛かってきた。

 そのプレイヤーが振りかぶった片手剣はスキルを発動したことで白色のエフェクトを刀身に纏い、飛び上がった勢いそのままにキースへと振り下ろされる。

 

 

 

「【ジャストスマッシュ】」

 

 

 

 だが、背後から奇襲を受けたはずのキースは片足を軸にしてクルリと体を一回転させるだけで攻撃を躱して、カウンターで杖を顔面に叩きつけた。

 顔面直撃でクリティカル、回避直後の反撃で【見切り】の判定が入って更に与ダメージは一.五倍になるので、名もなきプレイヤーは無残に地に伏し追撃によって頭と地面でサンドイッチされる羽目に遭った末に光となった。

 因みに、現在キースが装備している杖は【STR】のみ補正が入るタイプのものだった。見た目も棘棍棒のように先端部分に棘が生えており、非常に厳ついデザインになっている。

 

 

 

「奇襲がしたいなら叫ぶなよ」

 

 

 

 その場から一歩たりとも動くことなく迎撃したキースに対して、密かに周囲で機を窺っていたプレイヤーたちに動揺が走る。

 まあ周囲一面は草原なので遮るものなんてなく、普通に行動は筒抜けであるのだが。

 そんな一瞬の膠着状態も長くは続かず、複数の矢と魔法がキース目掛けて殺到する。有名人で顔も知られているので狙われるのは当然だが、大して意に介することはなかった。

 

 

 

「【起動】【起動】【起動】」

 

 

 

 微塵も焦りを見せることなく、淡々とキーワードを唱える。

 すると、掲げられた呪符は虚空に解けるようにして消え去り、キース目掛けて飛来する矢と魔法は無情にも石壁に遮られた。

 更に立て続けに呪符を発動し、石壁がキースの姿を隠すように周囲と隔てることで害あるものを弾く。

 

 

 

 キースが【錬金術】によって作成した呪符は消費アイテムであり、誰が使用してもステータスに関係なく一定の効果を発揮する。

 更に通常の魔法と違って再使用に必要な時間は特に設けられておらず、代わりに一つの魔法ごとにインベントリ内に収納できる数が制限されるという特徴がある。

 他にも【錬金術】のレベルを上げることで純粋に効果の高い物、また呪符に込められる魔法の種類を増やすことが可能になると汎用性は高い。

 

 

 

 例えば【ストーンウォール】であれば【錬金術Ⅱ】にならないと作ることはできない。

 先程キースが使用したのは【ストーンウォールの呪符Ⅶ】であり、これもまた【錬金術Ⅶ】でなければ作る条件を満たせないというわけだ。

 

 

 

 アイテムとしての効果は数字が大きくなる程に高くなるが、所持できる数に変わりはない。

【ウォール】系は十個まで所持可能なので石壁はあと七回使用すればなくなってしまう。

 とはいえ、属性ごとに壁系魔法は最大数までストックしてあるので石壁がなくなっても、まだ火壁や水壁などは残っているので問題はない。

 

 

 

 そして、キースのステータスを参照しない石壁の耐久力はそれなり程度でしかなく、僅か十秒と経たず壁面に亀裂が走る。

 たった十秒と言うべきか、よくぞ十秒も保ってくれたと労うべきか。

 キースからしてみれば反撃を用意する僅かな時間…………取るに足らない十秒という時間こそが欲しかったのだから言うに及ばないだろう。

 

 

 

「吹き飛べっ! 【スーパーローテーション】ッッ──────!!!!」

 

 

 

【スーパーローテーション】とは【風魔法Ⅹ】の時に覚えた最強の風属性魔法。

 キースを中心として緑色の極大魔法陣が地面に広がると、かつてのクエスト中に使用した【タイフーン】を遥かに上回る暴風が吹き荒れた。

 先程まで好き勝手にキースへと攻撃していた周囲のプレイヤーは余さず風に煽られ、渦に巻き取られ、体を切り刻まれる。規格外のINTによって尋常でない範囲を覆い尽くした暴風は草原エリア一帯にいるプレイヤーの尽くを光に変えた。

 

 

 

 暫くして魔法が収まると、一転して草原エリアは静寂に包まれた。

 石壁も余波によって消し飛んでしまったが、既に周囲にはプレイヤーも残っていないので期待した通りの役割を果たしたと言える。

 だが、次の戦闘まで時間はないだろう。あの暴風は遠くからでも視認できる規模だったので当然だが。

 

 

 

 ───────────────────────

 

 

 

 キース

 Lv44

 HP 24/24〈+60〉

 MP 35/35〈+495〉

 

【STR 0〈+35〉】

【VIT 0】

【AGI 0〈+52〉】

【DEX 0】

【INT 230〈+45〉】

 

 装備

 頭 【賢者の帽子Ⅷ】

 体 【邪蟻の法衣:闇の衣】

 右手 【アタックロッド・改二Ⅴ】

 左手 【アタックロッド・改二Ⅴ】

 足 【賢者のズボンⅥ】

 靴 【黒狼の革靴Ⅶ】

 装飾品 【ジャイアントオウルの耳飾り】

【邪蟻女王の首飾り】

【俊足の腕輪】

 

 スキル

【スマッシュ】【ジャストスマッシュ】

【メディテート】【ブレス】【スペルバイブレイト】【マジックフォートレス】【インテリジェンスアタック】【リカバリー】【マジックブースト】【トランスファー】【ディセーブルマジック】【マジックファーニィス】

【ファイアボール】【ファイアウォール】【ファイアジャベリン】【ファイアホイール】【フレイムアクセル】【ファイアストーム】【フィジカルブースト・ファイア】【エンチャンテッド・ファイア】【ファイアエクスプロージョン】【プロミネンス】

【ウォーターボール】【ウォーターウォール】【アクアスラッシュ】【ワールプール】【ウォータージェット】【フラッシュフラッド】【フィジカルブースト・アクア】【エンチャンテッド・アクア】【メイルシュトローム】【タイダルウェイブ】

【ウィンドカッター】【ウィンドウォール】【ストームウェーブ】【ダウンバースト】【フライ】【トルネード】【フィジカルブースト・ウィンド】【エンチャンテッド・ウィンド】【タイフーン】【スーパーローテーション】

【サンドカッター】【ストーンウォール】【グラベルブラスト】【ピットフォール】【トンネル】【ボールダートス】【フィジカルブースト・アース】【エンチャンテッド・アース】【クラックスマッシュ】【アースクエイク】

【ダークボール】【ノクトビジョン】【カーズドシャドウ】【ダークプリズン】【シャドウボディ】【ダークエクスプロージョン】【メンタルブースト・ダーク】【エンチャンテッド・ダーク】【ダークヴォルテックス】【ダークマター】

【リフレッシュ】【ヒール】【パルスレーザーバースト】【ホーリープリズン】【イリュージョン】【ライトエクスプロージョン】【メンタルブースト・ライト】【エンチャンテッド・ライト】【フラッシュバースト】【ソーラーファーニィス】

【オフェンスフォール】【ディグレードカーテン】【サーマルエクステンション】【ドラウトゾーン】【パラレルシムーン】

【ディフェンスフォール】【マグマスクリーン】【ヴォルカニックブラスト】【ラーヴァドーム】【マグマオーシャン】

【アシッドタッチ】【スチームブラインド】【コロジオン】【アシッドレイン】【ディソルーション】

【パラライズ】【ライトニングシールド】【ケラウノスジャベリン】【アクティベイション】【サーマルニュートロン】

【フリーズタッチ】【アイスウォール】【アイスジャベリン】【アイスコフィン】【ホワイトアウト】

【ポインズンミスト】【ソーンフェンス】【アイヴィーウィップ】【スウォーム】【デッドリーポイズンミスト】

【HP強化小】【MP強化小】【MPカット小】【MP回復速度強化小】【魔法威力強化小】【筋力強化小】【敏捷強化小】【知力強化小】【連撃強化小】【連唱強化小】【毒耐性小】【麻痺耐性小】

【槍の心得Ⅴ】【杖の心得Ⅹ】【魔法の心得Ⅹ】【生産の心得Ⅶ】

【投擲】【状態異常攻撃Ⅱ】【召喚術】【詠唱破棄】【体術Ⅹ】【見切り】【魔法効果拡大Ⅲ】【魔法範囲拡大Ⅲ】【王者の威光】【統率】

【火魔法Ⅹ】【水魔法Ⅹ】【風魔法Ⅹ】

【土魔法Ⅹ】【闇魔法Ⅹ】【光魔法Ⅹ】

【塵魔法Ⅴ】【溶魔法Ⅴ】【灼魔法Ⅴ】

【雷魔法Ⅴ】【氷魔法Ⅴ】【木魔法Ⅴ】

【錬金術Ⅶ】【気配遮断Ⅳ】【気配察知Ⅹ】【しのび足Ⅱ】【潜水Ⅰ】【水泳Ⅲ】【跳躍Ⅴ】

【一騎当千】【虐殺者】【無慈悲ナル者】【大物喰らい】【駆除人】【剣の舞】【乾坤一擲】【空蝉】【串刺し公】【爆弾魔】

 

 

 

 ───────────────────────

 

 

 

 現在のキースのステータスがこれである。

 レベルの上がり方が遅いのは【錬金術】に夢中になっていた時期があり、その期間は殆ど戦闘をしていなかった所為だろう。

 それでも戦闘の効率が良いのでプレイヤー全体を通して見ても上位に入るレベルになっている。

 

 

 

 優れた職人であるイズのオーダーメイドにして、キースも貴重な素材を採ってこれる実力者なので現状では最高レベルの装備品が作れた。

 いっそのこと装備の補正だけでも戦闘に支障はない程の力作揃いだ。

 特に魔法メインのプレイヤーにとって死活問題である【MP】を重視したことで、大幅に継戦能力の増加を図れた点が最大の利点に違いない。

 

 

 

 ───────────────────────

 

『アタックロッド・改二Ⅴ』

【STR +35】

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 ───────────────────────

 

『賢者の帽子Ⅷ』

【INT +13】【MP +140】

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『賢者のズボンⅥ』

【INT +11】【MP +130】

 ───────────────────────

 ───────────────────────

 

『黒狼の革靴Ⅶ』

【AGI +22】【MP +85】

 ───────────────────────

 

 

 

 これがイズの製作した装備の性能だ。

 全体的に高性能、かつ強化も可能な限りしてもらったので現状でこれ以上を望むのは酷というものだろう。

 あとは状況に応じて杖を持ち替えて戦うのがキースの基本スタイルである。

 

 

 

 そして、キースのステータスで最も大きく変化したのは魔法スキルの部分だった。

 たまに息抜きで槍を使うようになったことで幾つかスキルショップで購入したり、行動の結果スキルを取得したのでかなり数が増えている。

 なによりも火・水・風・土・闇・光属性の魔法のスキルレベルを全て最大まであげることで、新たに六種類の魔法系スキルを取得することになったのが注目する部分だろう。

 

 

 

 最初にスキルショップで購入可能な魔法系スキルを『基礎魔法』として、新スキルは『派生魔法』とでも言うべきものかもしれない。

 基礎となる魔法を全て極めなければ取得できないともなれば、そう不自然な呼び方でもなかった。

 加えて【魔法効果拡大】【魔法範囲拡大】のスキルによって、メンテナンスで下がった威力や規模が以前にも劣らないものに戻った。このままスキルレベルが上がれば更に手のつけられないことになるのは想像に難くない。

 

 

 

 ───────────────────────

 

【マジックファーニィス】

 発動すると、一定時間MP回復速度を100%増加する。効果持続時間は十分間。消費MPなし。三十分後、再使用可。

 取得条件

【杖の心得Ⅶ】と【魔法の心得Ⅶ】を取得すること。

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 このスキルは魔法使いのプレイヤーには地味に嬉しい類のものだった。

 MPの回復する速度が通常時の二倍になるだけでも大分運用は変わってくる。単純に魔法の回転率を上げられるので特にソロプレイヤーには重宝された。

 しかも、スキル発動中に【メディテート】を使用すれば十秒で2%と、本来の二倍の効率で回復できるという仕様も発見されているのだ。

 

 

 

 他にも一時期狂ったように爆弾を乱用していたことがあり、気がつけばいつのまにか【爆弾魔】なんていうスキルを取得していた。

 爆弾系アイテムの効果を一.五倍にするという生産職からしてみれば垂涎ものの効果である。

 事情を話してイズを経由して取得方法を掲示板に流してもらい、この行動によってキースは生産職の間で密かに『爆弾の神』として祀られているとか。

 

 

 

 -閑話休題(それはさておき)

 

 

 

 特になにをするでもなくキースが棒立ちで待っていると、暫くして予想通りに先程の魔法の範囲外にいたプレイヤーたちが次々と集まってきた。

 あの異様な規模の魔法が誰によるものかは余程に情弱な者でなければ察しはつく。

 それでも寄ってくるのは好奇心による怖いもの見たさ、有名プレイヤーを打倒することで成り上がろうと企む者など多岐に渡る────まあ、どんな理由があろうと末路は変わらない。

 

 

 

「【サモン・モンスター:ゴーレム】【サモン・モンスター:ウルフ】【サモン・モンスター:ホーク】」

 

 

 

 キースは【召喚術】によって最大MPをコストとして事前に支払うことで忠実なる従僕を喚び出した。

 

 

 

 キースの左右に魔法陣が発生する。

 魔法陣に呼応して地面が盛り上がり、二メートルを超える土で体を構成したゴーレムが生まれた。

 二体のゴーレムは徐々に迫り来る害意から主人を守るように静かに側に侍る。

 

 

 

 次いで正面の魔法陣より一匹の狼が灰色の毛並みを靡かせながら躍り出た。

 それは番犬の如く主人の眼前にて立ち塞がり、牙を剥き喉を重く唸らせて今にも飛び掛からんばかりに体勢を低く構える。

 

 

 

 最後に空中に浮かぶ魔法陣から甲高い鳴き声と共に一羽の鷹が飛び出して来た。

 キースの肩の上に留まり、遥か遠く鷹の目にて主人を狙う敵を睨み据える。

 

 

 

 召喚獣はプレイヤーが常に指示を出す必要もなく自動で迎撃してくれる仕様になっている。

 それを四体も同時に使役すれば当然ながら非常に便利だが、一体につきコストとして払ったMPは召喚獣を送還するまで絶対に回復しなくなり、四体だとMP400も支払わなければならない。

 強力なスキルには大抵デメリットが付いて回るが、その中でも【召喚術】に関しては後から運営によって修正されたものであった。

 

 

 

 というのも、召喚獣のステータスは主人となるプレイヤーの【INT】の値に強く依存する。

 HPとMPは召喚者の【INT】の二分の一の値になり、他のステータスはモンスターの種別ごとに配分は異なるが五割を割り振る形になり、一つの項目は絶対に三割以上にはならない。

 

 

 

 例えば『ゴーレム』であれば【VIT】に三割と【STR】に二割。

『ウルフ』ならば【STR】と【AGI】に二割ずつと【VIT】に一割。

『ホーク』は【AGI】に三割と【STR】と【DEX】に一割ずつとなる。

 

 

 

 ところで、キースはステータスポイントを【INT】に極振りしている特異なプレイヤーである。

 初期に配布される100、加えてレベル44になるまでに130のポイントがもらえるので、極振りすれば【INT 230】になる。

 因みに、現時点でスキルや装備の補正を除いて二百を超えるステータスを持つプレイヤーはいない。

 

 

 

 それから装備は防具とアクセサリーだけでも【INT +45】と破格な数値だろう。

 更に【召喚術】を使用するにあたって『癒しの杖』に持ち替えたので、『アタックロッド・改二Ⅴ』の【STR +35】に代わって【INT +20】【MP +100】に補正が変わった。

 これによって【MP】に余裕が生まれるだけでなく、ただでさえ高い【INT】が磐石となる。

 

 

 

 そして、先程の蹂躙劇によって【虐殺者】と【無慈悲ナル者】の効果を最大まで上げたことで常に【INT +125】の補正を受ける。

 ここまでの合計で【INT 420】になり、それが【一騎当千】と【大物喰らい】の効果によって二倍と二倍で倍率が重複して四倍になって【INT 1680】まで上がる。

 ダメ押しとして【知力強化小】の効果で【INT】を5%増加して、最終的には【INT 1764】になるのだ。

 

 

 

 この馬鹿げた数値の【INT】を基準としてキースの召喚獣のステータスを仮に表記するとこうなった。

 因みに、小数点以下は全て繰り上げ計算になるのがNWOクオリティである。

 

 

 

 ───────────────────────

 

 クレイゴーレム

 HP 882/882 MP 882/882

 STR 353 VIT 530 AGI 0

 DEX 0 INT 0

 ───────────────────────

 ───────────────────────

 

 グレイウルフ

 HP 882/882 MP 882/882

 STR 353 VIT 177 AGI 353

 DEX 0 INT 0

 ───────────────────────

 ───────────────────────

 

 バトルホーク

 HP 882/882 MP 882/882

 STR 177 VIT 0 AGI 530

 DEX 177 INT 0

 ───────────────────────

 

 

 

 このように明らかにプレイヤーよりもステータスの高い召喚獣になってしまうのだ。

 一部のステータスに特化したトッププレイヤーならばギリギリでスキルや装備の補正値を含めて並ぶかどうかという領域である。

 完全に化け物です本当にありがとうございました。下手なボスより強いよ。by運営。

 

 

 

「【統率】」

 

 

 

 そこに追い討ちの如くスキルを発動する。

【統率】はパーティーの味方や支配下にある存在のHPとMPを除く全てのステータスを20%増加するというものだ。

 発動してから十分間効果が持続し、再使用には一時間の冷却期間を設けなければならない。

 

 

 

 キースの周囲に侍る召喚獣たちの体に真紅のエフェクトが纏わりついた。

 これで十分間、ただでさえプレイヤーよりも強かった召喚獣たちの全てのステータスが二割増加することになる。

 

 

 

 そして、漸くただならぬ様子に気がついたのか。好奇心で近寄って来ていただけのプレイヤーは慌てて離れようとする。

 だが、彼等の判断は遅かった…………致命的なまでに手遅れだった。

 

 

 

「俺に近寄って来たのが運の尽きだったな。生憎と誰一人逃がすつもりはない! ────【王者の威光】ッ!!」

 

 

 

 スキルを発動した瞬間、ドクンッと心臓の拍動のようにキースから目に見えない波動が円周状に広がっていき、まだ遠くにいたプレイヤーまで届いて体を突き抜けた。

 すると、無色透明の波動に触れてしまったプレイヤーたちが相次いで糸の切れた操り人形のように地に伏し、また体を痙攣させながら倒れ込み、地に足を縫いとめられたかのように身動き一つ取れなくなる謎の現象が起きた。

 

 

 

 ───────────────────────

 

【王者の威光】

 このスキルの所有者はモンスターからの注意を向けられやすくなる。

 発動すると、注意を向けているモンスターや半径五十メートル以内にいるプレイヤーに対して気絶、麻痺、萎縮の効果を付与する。一時間後、再使用可。使用回数は一日三回。

 取得条件

 五百体以上のモンスターの注意を一度に奪い、かつ戦闘に勝利すること。

 ───────────────────────

 

 

 

 直接的な攻撃力は皆無のスキルだが、これはキースの取得したあらゆるスキルの中で最も性質の悪い類のものである。

 現に範囲内にいたプレイヤーの九割はいずれかの状態異常、運の悪い者は複数掛かっている。

 元ネタが某週刊誌に掲載されている海◯王を目指す少年が主人公の物語の能力なので、発動者よりもレベルが低いと一気に状態異常に掛かり易くなる仕様になっていた。

 

 

 

 このスキルから免れた残り一割程度のプレイヤーはキースとのレベル差が少ないか、運良く掛からなかった者だけだ。

 しかし、状態異常にならなかったプレイヤーも周囲のあまりの惨状に数秒程、足を止めてしまい…………その一瞬が明暗を分けた。

 

 

 

「ウルフ、ホーク! 行けっ! 動けるプレイヤーから順に仕留めろ!」

「グルゥアァ──!!」

「ピュィイィ──!!」

 

 

 

 キースの号令の下に二体の化け物が目にも留まらない速度で草原を駆け抜け、飛び回っては運良く状態異常にならなかったプレイヤーを蹂躙していく。

 規格外の召喚獣たちに為す術なく、殆どの者はなにが起きたかもわからずに光となって消える。

 

 

 

「ゴーレムは砲丸投げの時間だ。幸い的は動かないからな。確実に仕留めていけ!」

「「────ッ!!」」

 

 

 

 続けて、側に侍っていた『ゴーレム』に対してもインベントリの中から鉄球を山のように取り出して、鉄球を投げつけるように指示を出す。

 こちらの動きが鈍くても相手が動けなければ的にしかならないのだ。

 AIであるが故に動かない相手に対して的を外すようなこともなく、一投するごとにプレイヤーは轟音と共に爆散してポリゴンとなっていく。

 

 

 

「ふはははっ! 【ファイアボール】【ウォーターボール】【ウィンドカッター】【サンドカッター】【ダークボール】! 逃がさないって言ってるだろ! 【パルスレーザーバースト】──!!」

 

 

 

 当然のようにキースが黙して観ているだけのはずもなく、一気にテンションをぶち上げて絨毯爆撃の如く発動の早い魔法を矢継ぎ早に繰り出してはエリア諸共にプレイヤーを消し飛ばしていく。

 遥か遠く幸運にも状態異常にならず脇目も振らずに逃げ出した相手には射程の長い光線を放って光に変える。

 

 

 

 こうして草原エリアはプレイヤーの悲鳴と怒号が響き渡り、地と空を二つの影が縦横無尽に目視不可能な程の速度で駆け抜け、砲弾のような勢いで鉄球が飛び交い、絶え間なく放たれる魔法によって破壊し尽くされるこの世の地獄と化した。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 







作者のイメージ
この話を書いた時はまずなんと言っても装備の設定が難しすぎましたね。
原作を読み返しても【鍛冶】スキルによる装備の強化をした際に、どんな感じで補正値が上昇するのかなんて書いてないですもん。
そもそも強化された装備の補正値なんてメイプルの純白装備しか出ていませんし、今回の主人公の装備は全部オリジナルのつもりで書きました。
強化の感覚としては『〇〇のローブⅠ』のように一つ強化されるごとにHPならば10増加、MPならば5増加、他は1ずつ増加するってイメージにしたんですけど、これで大丈夫そうですかね?
実際に反映するかはわかりませんが、なにかアドバイスや意見とかあったら遠慮せずに教えてください。


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