たまには脳筋プレイも悪くない 作:カマンベールチーズ
また短いです。
サリーが始めてから早くも一週間が経った。
メイプルは見た目重視の大盾のために、サリーは地底湖ダンジョンの攻略のために今日も件の湖に詰めている。
そんな二人に対して、現在キースは別行動をしていた。地底湖にいてもメイプルの手伝い以外にやることもないのだから、当然と言えば当然の話ではある。
今のところキースはまだ一層に留まっている。
ミィやフレデリカなどを筆頭に何人かには声を掛けられていたのだが、どうせなら幼馴染揃って二層に進みたいと思っていたのだ。
とはいえ、このゲームも始めて三ヶ月。その全てを一層で過ごしていた訳だから、いい加減もう探索していない場所も思い当たらないほどで、要するに暇つぶしの材料を探していた。
「ん? そういえばこの辺りって確か……やっぱりあった。この祠もなんなんだろうな?」
そんな時に見つけたのが、『NWO』を始めた当初に一度だけ来て以来立ち入ったことのない古びれた祠であった。
まるで人の気配というものがなく、手入れのされていない地面には延びっぱなしの草が不規則に生えている。長いこと風雨に晒されたのか、祠はボロボロで殆ど形を成していない。
こんな様子では祀られていた神様も呆れてとっくにいなくなってしまったんだろうな、なんて柄にもない言葉が考えるでもなく頭に浮かんできて、泡沫と消える前にふと疑問が湧いてきた。
実を言えば、この祠は結構有名な場所である。
これ見よがしというほどではないが、しっかり探索していれば明らかに目を引く程度には存在感があるので、なにかのイベントフラグではないかと言われ続けていたのだ。
結果としてなにも無いということで、ただのフィールドオブジェクト扱い。次第に掲示板の話題にも挙らなくなってしまった。
けれど、そう言えばこの祠で祀っていた神様とは、どんな神様だったのだろうかと気になってしまった。特に重要ではないと判断されただけで、ここを調べていたプレイヤーたちは知っているんだろうか、と。
そうして一度気になり出すともう止まらなかった。
まずは祠とその周辺を徹底的に調べた。相変わらずボロボロに寂れていることがわかっただけで、真新しい情報は見つからなかった。或いは、気づけなかっただけかもしれないが、真偽は不明だ。
今度は街に行ってNPCへの聞き込み調査や図書館で調べて回った。噂好きの年配女性のNPCから「いつから在るのかわからないほど昔から在る祠」という情報が得られた。同時に、随分前からあの状態のままで放置されているとも。
この時点で既に調査を始めてから三日が経っていた。
ゲーマーとしての勘が
どうしたものかと悩んで、時折メイプルたちのところに顔を出して気分転換しながら更に二日が経過。もう流石に諦めた方がいいかなと心が折れ掛けていた頃、突如として思わぬところから有力な情報源が現れた。
「祠ですか? そう言えば、ルルゥちゃんが昔なにか話してたような気がします! えっと、話を聞いて行かれますか?」
いつだったかクリアした【深淵の呼び声】というクエストでイベント進行NPCをしていて、現在は『ミリアの交換屋』として時々会うことのある彼女はキースの驚愕を他所にあっさりとそう言った。
呆然としながらもミリアに促されて彼女の家に入るキースは、錬金術師のルルゥを前にして漸く現実を受け止めた。
要するに、別のクエストのイベントNPCだったルルゥこそが、あの祠のイベントトリガーとしての役割を持っていたことになる。
あのクエスト以来、何度も『ルルゥの錬金術店』にお世話になっていたが、当然ながらこんな展開は一度もなかった。ミリアかルルゥのどちらかに祠について聞くことが、イベントの発生条件だったのだ。
つまり、【深淵の呼び声】のクリアを前提としたチェーンクエストである。一筋縄ではいかないだろう。
「……話は、聞いた。……祠について……知りたい、って……」
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クエスト【嘗ての栄華】
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クエスト名は【嘗ての栄華】。勿論聞いたことはない。
そもそも【深淵の呼び声】をクリアしたプレイヤーは、キースの知る限りではキースが数日前に直接協力したイズ以外には存在しない。
他に絶対いないとも言い切れないが、少なくとも【召喚術】や【錬金術】のアイテムを使っているプレイヤーがいれば掲示板で話題になっていないはずがない。
そうなると自動的に、このクエストの情報はキースが独占することになる。ゾクゾクと体が震えて、つい獰猛な笑みが浮かんでしまうのはゲーマーならば仕方のないことだろう。
「……わかった。……知っている、こと……全部、話す。……長くなる、けど……大丈夫……?」
間髪入れずにクエストを受理して、早速話を聞き始める。
因みに、このクエストはまず間違いなく高難易度だ。前提クエストが既に高難易度なのだから当たり前のことではあるが、それを上回るほどにクリアが難しいと思われた。
なによりもこの二人というかルルゥがいる以上、100%の確率で賢者とか魔神だとかが関わってくることになる。
もうその時点で難易度はハードを超えてベリーハード、最悪ルナティックまで到達することだろう。だからこそ、キースとしては俄然やる気が湧いてくる訳なのだが……。
「……あの辺り、には……昔……小さな村、があった……らしい……。……実際の、話……かは、わからない、けど……」
特徴的なルルゥの語りはともかく、本当に長い話だったので重要な部分を抜粋してみるとこうなった。
一つ、あの祠の周辺には昔、それこそ何千年前には小さな村があったということ。
その当時も名前すらない村で、ルルゥの祖父でもある師匠を含めて代々賢者の名を継ぐ者を中心に言い伝えられてきた話らしい。なんでも遠い先祖がその村の出身なんだとか。
二つ、祀っていた神様の名前は不明。綺麗さっぱり痕跡の一つも残されていないということ。
途轍もなく強大な力を持っていたことだけは言い伝えられている。それがどんな力なのかも、何故祀られていたのかも、不自然なほどに情報がない。ただ、明言した訳ではないようだが、もう既に件の神様は存在していないような言い方をしていたとか。
それが口を滑らせただけなのか、敢えて漏らしたのか。師匠からも無闇に探らないように言い含められているらしく、結局はルルゥも詳しくは知らないそうだ。
そして、最後に。
ルルゥの師匠が詮索を禁じた理由についてだが、これについては恐らくと前置きした上で語られた。
「……恐らく……魔神が関わって、る……と思う……」
そんな曖昧な言い方に比して、ルルゥの目には確信が宿っているようにキースには見えた。
そもそも魔神とは、文字通り全ての魔法を司る神なのだという。
火を、水を、風を、土を、光を、闇を……魔力そのものを操り、時間と空間さえも支配してみせた。まさしく神話のような荒唐無稽な話だ。
だが、不思議なことに古い伝承や神話の中に魔神と思われる存在についての記述はない。あくまでも賢者の名を継ぐ者の間でのみ伝わってきた存在であり、実在すら疑ってしまうほどに一般には知られていないのだ。
そこでキースはとある共通点に気づいた。
森羅万象を統べるような途轍もない力を持っていて、民間の間では幾ら調べても全くと言っていいほど情報がない。
先程どこかで聞いたような話だった。類似する部分が多い。
これでは、まるで────。
「……そう。……あの祠の、神様と……同じ……。賢者しか……知ら、ない……。……徹底的に……情報が、隠されて、いる……」
────
ルルゥ曰く、魔神は昔々の話ではあるが、初代賢者と呼ばれる存在が封印したのだという。
その封印は未だに継続しており、封印の維持のためには賢者の力が必要なのだとか。今はルルゥの祖父が賢者の名を継いでいるため、この瞬間も魔神を封じ続けていることになる。
しかし、最近の話だが、ルルゥは魔神の呪いを受けた。
それ自体はミリアとキースの尽力によってどうにかなったが、【深淵の呼び声】のボスは最後明らかに異常なパワーアップをしていた。ギミックと言えばそれまでだが、魔神の力による支援を受けていたとも取れる。
もしかしたら魔神の封印に綻びが出ていて、それに賢者は気がついていない……または、手が出せないという可能性もある。
このチェーンクエストをクリアしていけば、いずれは魔神との直接対決もあるかもしれない。
「……だから……祠の、調査をするなら……気をつけて……。……これを……持っていく、と良い。……特別に……あげる……」
実際にあるかもわからない魔神との直接対決にキースが思いを馳せていると、ルルゥから一つのアイテムを手渡された。
見た目はただの古びたペンダントだが、持ち主が命の危機に瀕した時に一度だけ助けてくれるらしい。その
そうしていると、ルルゥの話が終わったタイミングで新たにクエスト情報が更新されていた。
先程までは「ルルゥから話を聞こう」となっていたのだが、現在は「古びた祠に向かおう」となっている。どうやら無駄な寄り道などはなく、本丸に直行するようだ。
そんなこんなで、キースは二人の元を後にしたのだった。
あの祠に向かうにあたって、特に準備の必要はなかった。
ここ最近は暇だったのでアイテムの消費は殆どないし、装備のメンテナンスも問題ない。
まだ自分では生産できない『身代わり人形』もルルゥから購入済みであり、第一回イベントで使ってしまった『呪符』に関しては、使い勝手の良い【ウォール】系などの補填は終わっている。
つまり、今すぐ全力戦闘をしても支障はない状態という訳だ。
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キース
Lv47
HP 24/24〈+60〉
MP 35/35〈+595〉
【STR 0】
【VIT 0】
【AGI 0〈+52〉】
【DEX 0】
【INT 235〈+65〉】
装備
頭 【賢者の帽子Ⅷ】
体 【邪蟻の法衣:闇の衣】
右手 【癒しの杖:癒しの波動】
左手 【癒しの杖:癒しの波動】
足 【賢者のズボンⅥ】
靴 【黒狼の革靴Ⅶ】
装飾品 【ジャイアントオウルの耳飾り】
【邪蟻女王の首飾り】
【俊足の腕輪】
スキル
【スマッシュ】【ジャストスマッシュ】
【メディテート】【ブレス】【スペルバイブレイト】【マジックフォートレス】【インテリジェンスアタック】【リカバリー】【マジックブースト】【トランスファー】【ディセーブルマジック】【マジックファーニィス】
【ファイアボール】【ファイアウォール】【ファイアジャベリン】【ファイアホイール】【フレイムアクセル】【ファイアストーム】【フィジカルブースト・ファイア】【エンチャンテッド・ファイア】【ファイアエクスプロージョン】【プロミネンス】
【ウォーターボール】【ウォーターウォール】【アクアスラッシュ】【ワールプール】【ウォータージェット】【フラッシュフラッド】【フィジカルブースト・アクア】【エンチャンテッド・アクア】【メイルシュトローム】【タイダルウェイブ】
【ウィンドカッター】【ウィンドウォール】【ストームウェーブ】【ダウンバースト】【フライ】【トルネード】【フィジカルブースト・ウィンド】【エンチャンテッド・ウィンド】【タイフーン】【スーパーローテーション】
【サンドカッター】【ストーンウォール】【グラベルブラスト】【ピットフォール】【トンネル】【ボールダートス】【フィジカルブースト・アース】【エンチャンテッド・アース】【クラックスマッシュ】【アースクエイク】
【ダークボール】【ノクトビジョン】【カーズドシャドウ】【ダークプリズン】【シャドウボディ】【ダークエクスプロージョン】【メンタルブースト・ダーク】【エンチャンテッド・ダーク】【ダークヴォルテックス】【ダークマター】
【リフレッシュ】【ヒール】【パルスレーザーバースト】【ホーリープリズン】【イリュージョン】【ライトエクスプロージョン】【メンタルブースト・ライト】【エンチャンテッド・ライト】【フラッシュバースト】【ソーラーファーニィス】
【オフェンスフォール】【ディグレードカーテン】【サーマルエクステンション】【ドラウトゾーン】【パラレルシムーン】【ヒートブラスト】
【ディフェンスフォール】【マグマスクリーン】【ヴォルカニックブラスト】【ラーヴァドーム】【マグマオーシャン】【ラーヴァフロー】
【アシッドタッチ】【スチームブラインド】【コロジオン】【アシッドレイン】【ディソルーション】【オートクレーブ】
【パラライズ】【ライトニングシールド】【ケラウノスジャベリン】【アクティベイション】【サーマルニュートロン】【レールガン】
【フリーズタッチ】【アイスウォール】【アイスジャベリン】【アイスコフィン】【ホワイトアウト】【ブリザード】
【ポインズンミスト】【ソーンフェンス】【アイヴィーウィップ】【スウォーム】【デッドリーポイズンミスト】【コラプト】
【HP強化小】【MP強化小】【MPカット小】【MP回復速度強化小】【魔法威力強化小】【筋力強化小】【敏捷強化小】【知力強化小】【連撃強化小】【連唱強化小】【毒耐性小】【麻痺耐性小】【採取速度強化小】
【槍の心得Ⅵ】【杖の心得Ⅹ】【魔法の心得Ⅹ】【生産の心得Ⅷ】
【投擲】【状態異常攻撃Ⅱ】【召喚術】【詠唱破棄】【体術Ⅹ】【見切り】【魔法効果拡大Ⅴ】【魔法範囲拡大Ⅴ】【王者の威光】【統率】
【火魔法Ⅹ】【水魔法Ⅹ】【風魔法Ⅹ】
【土魔法Ⅹ】【闇魔法Ⅹ】【光魔法Ⅹ】
【塵魔法Ⅵ】【溶魔法Ⅵ】【灼魔法Ⅵ】
【雷魔法Ⅵ】【氷魔法Ⅵ】【木魔法Ⅵ】
【錬金術Ⅷ】【気配遮断Ⅳ】【気配察知Ⅹ】【しのび足Ⅱ】【潜水Ⅴ】【水泳Ⅶ】【跳躍Ⅴ】
【一騎当千】【虐殺者】【無慈悲ナル者】【大物喰らい】【駆除人】【剣の舞】【乾坤一擲】【空蝉】【串刺し公】【爆弾魔】【固定砲台】
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念のためステータス画面を開いて確認するが、ポイントの振り忘れもなく準備は完璧である。
幾つかイベント後にスキルレベルも上がっているが、新しい魔法の効果も既に確認してあるので問題ない。強いて言えば、種類が多すぎて咄嗟の判断に迷うくらいだろう。
「さて、準備は万端。鬼が出るか、蛇が出るか……」
不敵に笑って自身を鼓舞し、キースは祠へと手を伸ばした。
キースの手が触れた瞬間、古びた祠は地響きと共に縦に割れて、その下から暗く先の見えない地下へと続く階段が姿を現したのであった。
ステータス表記が長すぎて辛い。
これ魔法部分は削って注釈で後書きの方に載せた方がいいですかね?
それとも今のままの方がいいですか?
自分でやっておいてなんですが、目が滑って仕方ないですわ。
これでまだ一層って言うのが信じられないというか、この先スキルが増えたらどうなることやら……って感じですね。