たまには脳筋プレイも悪くない   作:カマンベールチーズ

18 / 24



なんか気が付いたら、最初に書こうと思っていた内容と全然違う内容になってた。
超展開だけど、夜勤明けで頭が働かない……まあいいか。
昔作ったプロットめちゃくちゃになったけど、多分明日以降の私がどうにかしてくれるでしょう(´-`).。oO


知力特化と【嘗ての栄華】①

 

 

 

 

 

 

 

「【ノクトビジョン】」

 

 

 

 縦に割れた祠の下から現れた、暗く先の見えない地下階段。

 まず、キースは暗視の魔法で視界を確保。次に発動の早い【錬金術】で作成した『ストーンウォールの呪符Ⅷ』を一枚取り出して持っておく。

 これで咄嗟の不意打ちに対処し、一撃必殺の威力を持つ自分の魔法を放つ時間を稼ぐのだ。

 

 

 

「【サモン・モンスター:スライム】」

 

 

 

 更に【召喚術】を使用してスライムを二体呼び出す。

 本来は最弱レベルのモンスターだが、キースの召喚するモンスターに常識は通用しない。これによって【MP 200】をコストとして支払い、召喚したモンスターを還すまでコスト分の【MP】は回復しなくなる。

『スライム』のステータスは【STR】【VIT】【AGI】【DEX】【INT】にそれぞれ一割ずつ。ここに来るまでの間に【虐殺者】と【無慈悲ナル者】は最大まで強化してあり、装備や他スキルの補正も含めて【INT 850】*1になるため、オール85のステータスを持つスライムがここに誕生した。

 

 

 

 ───────────────────────

 

 スライム

 HP 425/425 MP 425/425

 STR 85 VIT 85 AGI 85

 DEX 85 INT 85

 ───────────────────────

 

 

 

「一体は先行して。もう一体は天井から警戒」

 

 

 

 指示を受けたスライムのうち一体がピョンと跳ねて突入した。もう一体は天井でモンスターを警戒させる。

 先行させた方はともかく、敢えてスライムを召喚した理由はこの壁面や天井に張り付いて移動できるという特性が魅力的だったからである。

 地下となれば恐らく閉所で、暗くて見通しが悪いのは一目瞭然。奇襲が有効なのはプレイヤーだけでなくモンスターに対しても同様であり、その上で奇襲への対策にもなるという、まさしく一石二鳥の采配と言える。

 

 

 

 先行させたスライムを追い掛けるようにして、どこまで続くかもわからない階段を降りていく。

 暗闇に関しては、魔法のお陰で問題なく見えていた。召喚したモンスターがやられたり、戦闘に入ったりすれば召喚者に伝わるようになっているので、今のところは安全も確保されている。

 そのため、罠などにも最低限の警戒するだけでサクサクと先に進むことができた。

 

 

 

 一分も掛からずに階段を降り切ると、そこは小さな広間になっていた。

 広間自体は縦長の長方形のような形状の空間であり、元は教会の礼拝室していたのだろうが、今は瓦礫が散乱していて見る影もない。

 しかし、その中で()()()()()()()()()()()()があった。

 

 

 

「祭壇……でいいのか?」

 

 

 

 それは、恐らく祭壇のような物だった。

 大部分が黒曜石によく似た石材で作られていて、どこか禍々しさを感じるのは穿った見方だろうか。

 階段を降りて正面奥にあり、キースの指示によって先行していたスライムが突き当たりの壁で進行を遮られてしまい、祭壇の上で所在なさげにしているのが少しシュールだった。

 

 

 

「明らかに()()が怪しいよな……」

 

 

 

 何者かによる破壊活動があったのか、至る所に瓦礫が散乱し、罅割れてあちこち亀裂の走っている壁などに比べて傷の一つもないのは違和感が強すぎる。

 どう見ても罠にしか見えないが、この見えている地雷を踏みに行かなければ話が進まないのは明白である。

 覚悟を決めて広間に足を踏み入れ、中程まで歩いたところで事態は動いた。

 

 

 

「──!?」

 

 

 

 突如として、()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()

 いや、果たして()()は炎なのだろうか。咄嗟にスライムを助けようと水魔法を当てても消える様子はなかった。

 黒い炎のようなモノに包み込まれたスライムの姿は見えなかったが、ほんの十秒もすれば召喚者としての感覚によってやられてしまったことが伝わり、そのタイミングで黒い炎にも変化が表れた。

 

 

 

 

 

 黒い炎が禍々しい光を帯びて形を変える。

 怪しく揺らめきながら、初めに足が、次に下半身が、胴体が、腕が、頭ができて、少しずつ輪郭がハッキリとしていく。

 落ち窪んだ瞳には黒い炎が灯り、節くれ立った手足に痩せ細った胴回り。

 まるで木乃伊のような冒涜的な姿は、炎が形を変えて闇のローブとなったことで隠され、その手には怖気が走るほど美しい漆黒の長杖が握られていた。

 

 

 

 

 

『──ハ』

 

 

 

 

 

『──ハハハ』

 

 

 

 

 

『──ハハ、ハハハハハ』

 

 

 

 

 

『──フッ……ハハハハハハハハハ────ッッ!!!!』

 

 

 

 

 

 ノイズ掛かったような嗄れた嗤い声が広間に響き渡る。

 その声が耳に入るだけで、いとも容易く人間の精神を汚染してしまう破滅的な声に、キースは咄嗟に耳を塞いで蹲った。

 そんなキースを他所に、()()は徐に長杖の底でコツン、と地面を軽く叩いた。

 気力を振り絞り、反射的に閉じてしまっていた目を開いて即座に戦闘態勢へと移ろうとして、周囲の変化に気がつく。

 先程まで散乱していた瓦礫や壁面の亀裂が跡形もなく消え失せて、代わりに規則正しく長椅子が立ち並び、傷一つない重厚な石造りの壁に変わっていたのだ。

 

 

 

 最早キースは声も出せず、息すら忘れているのではないかというほどに現実離れした光景に呆然とするしかなかった。

 だが、敵はそれを許してくれるような相手ではない。

 次第に広間全体を震わせるような哄笑は止み、不気味な静寂が空間を支配した。

 キースは極限まで張り詰めた緊張感の中で思わず唾を飲み込むように喉を鳴らすと、その音に反応したかのように()()の意識が向けられたことに気づいた。

 

 

 

 そして────羽虫を払うかのように軽く、何気なく、無造作な動作で杖を振るった。

 キースの感覚が、今までにないほど強く警鐘を鳴らす。

 

 

 

 ()()()()()()()()()()()()

 

 

 

「!?」

 

 

 

 全力で、それこそ倒れ込むような勢いで身を低くしたのと同時、背後で()()()()()()()()()()()()()が聞こえた。

 腕と体幹の力で瞬時に立ち上がり、正面に注意を向けながら振り返って瞠目した。広間の入り口周辺の壁に、先程までなかったはずの深い亀裂が刻まれていたのだ。

 それはよく見れば、修復される前に壁にできていた亀裂にそっくりであることもわかっただろう。

 

 

 

『ほぅ……?』

 

 

 

 ()()が僅かに感心を帯びた声を零す。

 キースに向けられる意識も、偶然目についた羽虫に対するものから確かな興味を持ったものへと変化する。

 コツン、と再び地面を杖の底で叩けば、キースの見ている前で一瞬のうちに新しく壁に刻まれたはずの亀裂が跡形もなく消え失せた。

 その光景を見て、やはりと思う気持ちと、何気なく披露された途方もない力の片鱗にGAME OVERの文字が自然と浮かんだ。

 

 

 

『本調子には程遠いとはいえ……我が魔法を躱すか、人間』

 

 

 

 一見キースを褒めるような言葉に聞こえるが、そこに含まれる感情は無力な存在に向ける嘲りの感情が大部分を占めていた。

 僅かな興味と感心は、ただの気紛れでしかない。

 一度だけ雑に振るわれた即死攻撃を躱したとしても、()()にとってキースは軽く小突けば簡単に死んでしまう雑魚であることに変わりはないのだ。

 

 

 

『──小癪な』

 

 

 

「やっっば……!?」

 

 

 

 再び、今度は縦に杖が振り下ろされる。

 死に物狂いで地面を蹴って前の方に転がれば、一瞬前にキースが立っていた部分の地面が()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()

 またしても不可視の攻撃。音もなく、発動も早い。

 こうしてキースが無事であるのは、並外れた反応速度とゲーマーとして培ってきた経験からくる勘、あとは運の良さである。

 

 

 

『これも躱すか。なるほど……面白い!』

 

 

 

「……いい加減に、しろっ! 【パルスレーザーバースト】!」

 

 

 

 余裕綽々で品評してくる()()に向けて、挨拶代わりの光線を放つ。

 魔法の中でも低威力だが、キースの【INT】ならば一層のモンスターは一撃、ボスクラスの相手でも大抵は確殺できる威力がある。

 相手は得体の知れない存在。それでも無視できないダメージは与えられると思っていた。

 

 

 

「……!」

 

 

 

 しかし、嫌な予感がしたキースが咄嗟に身を逸らした直後、そのすぐ横を光線が貫いていった。

 何が起きたのか。一瞬のことだったが、キースはしっかりと見ていた。

 

 

 

「魔法の反射……!? 冗談キツいぞ、マジで……!」

 

 

 

 キースが魔法を放つ直前、()()が杖を掲げていた。

 光線は半透明の障壁のようなものに衝突し、次の瞬間には全く同じ軌道で跳ね返ってきたのだ。

 恐らく、魔法の威力や規模に関わらず反射するタイプの魔法なのだろう。余りに強力なので何かしら制限はあると思うが、キースの使える最速の魔法に合わせて来るなら出し抜くのも難しい。

 

 

 

『ククク……無駄なことを。この我に魔法で挑もうなど、笑止千万……!』

 

 

 

「それなら、これはどうだ? 【レールガン】!」

 

 

 

 インベントリから鉄球を一つ取り出し魔法を唱えると、魔法陣が掌の中にある鉄球に重なるように出現し、バチッとスパーク音を鳴らすと音速を超えて目標へと放たれた。

 この【レールガン】は最近新しく覚えたばかりの魔法だが、少し変わった特徴があった。

 一つは、金属製のアイテムを消費することでしか発動できないということ。もう一つは、魔法ダメージではなく、物理ダメージを与えるということだ。

 威力は使用したアイテムの重量に比例し、今回使用した鉄球なら先程の光線よりも威力は高い。

 

 

 

『──ふん』

 

 

 

 そして、今度こそ直撃した。

 激しい衝突音が響き、けれど()()は微動だにしなかった。

 電磁砲の弾丸として発射された鉄球が直撃した部分を中心に闇のローブが揺らめき消し飛ぶが、頭上に表示されている【HP】のバーを確認すれば全くダメージがないことがわかってしまった。

 これも効かないとなると流石にやばいと焦りが滲み始めるキースだったが、この結果に様子が変わったのは()()も同じだった。

 

 

 

『なに……? 人間風情の反撃で、我が護りが破られるだと……?』

 

 

 

 実を言うと、()()の纏っていた闇のローブはある一定のダメージまでを完全に無効化し、その一定を超えるダメージに対しても一度だけ絶対に防ぐというチート能力である。

 現状のプレイヤーでこの能力を破るほどの威力を発揮できるのはキース以外におらず、本来ならばここで詰むはずだった。

 そして、この能力が破られた時のみ行われる特殊行動の条件が満たされた。

 

 

 

『今の我は()()には程遠い影に過ぎないが…………これほどまでに力が弱まっているとは、忌々しい賢者め……!! 貴様もだ、人間風情が我が護りを破るだと!? この屈辱……貴様自身の命を以て晴らしてみせよう……!!』

 

 

 

 怨嗟の声と共に重力を無視したような動きで空中に浮き上がった『魔神の影』が、目にも留まらない異次元の速度でキース目掛けて飛翔する。

 余りの速さに回避も間に合わず衝突し────直後キースの全身を黒い炎が包み込んだ。

 

 

 

 

 

 

 

*1
【大物喰らい】が発動していないのでこの数値。







4000〜5000文字くらいだと、テンポがすごく良い。
通勤時間とか、仕事の休憩時間とかで四、五時間くらい集中して書けば仕上がるから気分も楽ですわ。
昔は頑張って読み応えを重視して8000文字前後にしようとして結構大変で筆が進まなかった気がするけど、文字数が半分くらいになっただけで全然違いますね。

不定期更新ですが、隙間時間を使って書いていく所存です。
最新話が出来上がり次第投稿するので、今後もよろしくお願いします。
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。