たまには脳筋プレイも悪くない 作:カマンベールチーズ
「──あれ?今なにか聞こえたような……?」
────ドォン!
「……やっぱり聞こえる。なんだろう……爆発音みたいな」
────ミシミシッ……バキバキバキ!
「いや怖いよ!森の奥でなにが起こってるの!?ど、どうしよう……見に行った方がいいのかな?」
「──よ、よぉし!なにかイベントかもしれないし、ゲーマーとして見に行かないのは損だよね!ヤバそうなモンスターじゃなければいいけど…………」
────ブォンッ……ドバァン!
「ひゃっ!?なになになに──!?今なにか掠めて……モンスター?あっ、消えちゃった。…………や、やっぱり行かない方がいいかも」
────ドン!ドゴォ!グシャアッ!!
「う、うぅっ……ここまで来たら見ない方が怖い!逃げるな私っ!どうせゲームなんだし、最悪は死に戻るだけ──!」
「こここ、この辺りから聞こえてきたような……?というか、フィールドが見るも無残な姿に……もう更地だよね、これ」
「──っ!?だ、誰かいるっ?遠くてよく見えないけど……人型のモンスター?…………違う!プレイヤー!?それじゃあ、さっきまでの爆発音はもしかして────?」
────ドォン!
「ア、アレはっ!……本当に、プレイヤーだったんだ。同じ魔法使いなのに、私のと違って凄く大きな火球──────格好いいっ!」
「あの人にできるってことは他のプレイヤーにも可能性はあるってことだよ、ね?…………ちょっと、頑張ってみようかな」
NewWorld Onlineの正式リリースが開始してから三時間と経たない間に劇的な成長を遂げたキースのステータスがこれである。
| キース Lv17 HP 24/24 MP 35/35〈+60〉
【STR 0〈+2〉】 【VIT 0】 【AGI 0〈+9〉】 【DEX 0】 【INT 145〈+17〉】
装備 頭 【空欄】 体 【空欄】 右手 【初心者の杖】 左手 【初心者の杖】 足 【空欄】 靴 【青羽の靴】 装飾品 【ジャイアントオウルの耳飾り】 【空欄】 【空欄】
スキル 【メディテート】【ブレス】【スペルバイブレイト】 【ファイアボール】【ファイアウォール】【ファイアジャベリン】【ファイアホイール】【フレアアクセル】【ファイアストーム】 【ウォーターボール】【ウォーターウォール】【アクアスラッシュ】【ワールプール】【ウォータージェット】【フラッシュフラッド】 【ウィンドカッター】【ウィンドウォール】【ストームウェーブ】【ダウンバースト】【フライ】【トルネード】 【サンドカッター】【ストーンウォール】【グラベルブラスト】【ピットフォール】【トンネル】【ボールダートス】 【ダークボール】【ノクトビジョン】【カーズドシャドウ】【ダークプリズン】【シャドウボディ】【ダークエクスプロージョン】 【リフレッシュ】 【MP強化小】【MP回復速度強化小】 【杖の心得Ⅲ】【魔法の心得Ⅵ】 【詠唱破棄】【体術Ⅳ】【見切り】【挑発】【威圧】 【火魔法Ⅵ】【水魔法Ⅵ】【風魔法Ⅵ】 【土魔法Ⅵ】【闇魔法Ⅵ】【光魔法Ⅰ】 【気配遮断Ⅰ】【気配察知Ⅳ】【跳躍Ⅰ】 【一騎当千】【虐殺者】【大物喰らい】 |
|---|
まずスキルの量が尋常ではない。
魔法系スキルを全て覚えた以上は覚悟していたことだが、あの激戦の間にいつのまにか取得していたものなので実感が湧かない。
やがてドロップアイテムも拾い終わり、スキルの確認も終わったキースが今度こそ仰向けに倒れこんだ。
スキルに関しては魔法系スキルは発動してみないとはっきりと分からない部分があるので置いておくとして、上から順に確認していったのだ。
| 【杖の心得Ⅰ】 MP回復速度を+1%増加する。 取得条件 杖による攻撃でモンスターを五十体倒すこと。 |
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| 【魔法の心得Ⅰ】 消費MPを1%カットする。 取得条件 魔法による攻撃でモンスターを五十体討伐すること。 |
| 【メディテート】 使用すると、十秒で最大MPの1%MPを回復する。効果持続時間は十分。消費MPなし。 【メディテート】時にはあらゆる攻撃行動を取れなくなる。 取得条件 【杖の心得Ⅰ】と【魔法の心得Ⅰ】を取得すること。 |
| 【ブレス】 使用すると、少しだけ状態異常になり難くなる。効果時間は十分。消費MPなし。 取得条件 【杖の心得Ⅱ】と【魔法の心得Ⅱ】を取得すること。 |
| 【スペルバイブレイト】 使用すると、低確率で魔法の詠唱を妨害する。消費MPなし。三分後再使用可能。 取得条件 【杖の心得Ⅲ】と【魔法の心得Ⅲ】を取得すること。 |
【杖の心得Ⅰ】【魔法の心得Ⅰ】は地味に嬉しい類のものである。パッシブスキルは正義なのだ。
現在はそれぞれのスキルによってMP回復速度+3%増加、消費MP6%カットが加算されるという状態になっている。
【メディテート】は非常に使い勝手がいい。キースにとってMP不足は鬼門なので頻繁に使うことになるだろう。
【ブレス】はあまり使わない可能性がある。オワタ式なので攻撃を喰らうつもりはないのだ。
【スペルバイブレイト】はタイミングが合えば使うかもしれないが、基本的に対人戦で使用する機会があるかもしれないという程度である。
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【詠唱破棄】
魔法系スキルの詠唱待機時間を省略する。効果持続時間は十秒間。使用回数は一日十回。
取得条件
一時間以内に魔法によるダメージでモンスターを五百体討伐すること。要求【INT】値百以上。
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【体術Ⅰ】
回避行動に補正。
ノックバック耐性上昇。
取得条件
十体のモンスターと戦闘した際に回避行動によってノーダメージで勝利すること。
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【見切り】
目視した相手の攻撃動作を察知する。
回避直後にクリティカルを発生させた場合、与えるダメージが一.五倍になる。
取得条件
一時間以内に回避からクリティカルのコンボを繋げて十体のモンスターに止めを刺すこと。
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【挑発】
モンスターの注意を一点に引き寄せる。三分後再使用可能。
取得条件
十体以上のモンスターの注意を一度に奪うこと。アイテム使用可。
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【威圧】
スキルを発動したプレイヤーを認識している対象に気絶を付与する。
このスキルの所有者よりレベルが低い対象にのみ有効。三十分後、再使用可。
取得条件
百体以上のモンスターの注意を一度に奪い、かつ戦闘に勝利すること。
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【詠唱破棄】はかなり有用だ。それこそキースの切り札になり得るスキルである。
一日の使用回数が制限されているが、そうした制限を設けるのも納得する程の性能なのだから仕方ないだろう。
このスキルを使用するにあたって注意する点は消費MPくらいだ。バカスカと気持ちよく魔法を打ちまくってガス欠になったので負けましたでは話にならない。
【体術】はイマイチ効果が実感し難いが、テキスト通りに回避行動に補正が入るならば【見切り】と組み合わせることで安定して火力を出すことも可能になる。
これならクソザコナメクジなキースの【STR】でも多少は真面に戦えるかもしれない。
また【挑発】から【威圧】のコンボも凶悪だ。正に害悪コンボである。
モンスターにしか【挑発】が効かないデメリットを加味してみても、対人戦での【威圧】の出番は確実にある。
きっと某海賊漫画みたいにキースの【威圧】によってバタバタとプレイヤーが倒れる様が見れることだろう。
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【気配遮断Ⅰ】
使用すると、モンスターが姿を見失い注意が逸れる。同レベル以下の索敵系スキルを無効化する。効果持続時間は十秒間。三分後再使用可能。
取得条件
アクティブ化していないモンスターに十回不意打ちを成功させる。
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【気配察知Ⅰ】
範囲内の敵対者の位置情報を自動的に取得する。同レベル以下の隠密系スキルを無効化する。範囲は十メートル以内。
取得条件
十メートル以上離れた場所に隠れているモンスターに十回遠距離攻撃を当てる。
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【跳躍Ⅰ】
使用すると、跳躍距離が一メートル伸びる。
取得条件
戦闘中に跳躍行動を十回行う。
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この三つのスキルはどれも使いやすく、それでいて使用する機会も多いだろう。
【気配遮断】と【気配察知】は定番のスキルとして、効果だけみると微妙そうな【跳躍】も障害物の多いフィールドで活かせる。
既に【気配察知Ⅳ】になっているので索敵範囲は十四メートルに増えている。
そして最後に、他のゲームでは称号として実装されていそうな名前のスキル群である。
これがまたチート級の性能で確認した時にはキースのアイテム拾いの手が一時的に止まってしまう程の驚愕を齎した。
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【一騎当千】
このスキルの所有者のINTを二倍にする。【STR】【VIT】【AGI】のステータスを上げるために必要なポイントが通常の三倍になる。
取得条件
一時間以内に魔法による攻撃でモンスターを千体討伐すること。要求【INT】値百以上。
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【虐殺者】
無防備な相手を魔法で倒す度に【INT +1】
ただし効果はスキル発動から一日の間。
上限は【INT +25】
取得条件
ノンアクティブ状態のモンスターを一方的に虐殺し続けること。かつ、それまでに一度もデスペナルティを受けていないこと。
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【大物喰らい】
HP、MP以外のステータスのうち四つ以上が戦闘相手よりも低い値の時にHP、MP以外のステータスが二倍になる。
取得条件
HP、MP以外のステータスのうち、四つ以上が戦闘相手であるモンスターの半分以下のプレイヤーが、単独で対象のモンスターを討伐すること。
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まず【一騎当千】によって【INT】が二倍される。
続けて大体の敵は条件に該当するので、殆どが【大物喰らい】によって実質的に常に二倍の対象となる。
これだけでも合わせて四倍なので【INT 600】。ほんの一時間前と比べても六倍のステータス差になってくる。戦闘中に魔法の威力や規模が跳ね上がった要因は間違いなくこのスキルだ。
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ジャイアントオウルの耳飾り【レア】
【INT +6】
自動回復:十分で最大MPの一割回復
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更に加えて、先程の戦闘に紛れていたらしいジャイアントオウルとやらがドロップした『ジャイアントオウルの首飾り』によって【INT +6】が加算されている。
『初心者の杖』と合わせて【INT +17】になることから、これも四倍になって最終的に【INT 668】になるだろう。
因みに、ログを見たところ【大物喰らい】を取得したのはジャイアントオウルを倒した時らしい。
これに【虐殺者】による最大INT+25も四倍でINT+100となり、最終的に【INT 768】というイカれた状態になるのだ。
それこそ先程の戦闘が収束する頃には【ファイアボール】の火球は直径五十センチ程の大きさになっていたばかりか、着弾した際には半径およそ五メートルを吹き飛ばしていた。
現にキースが戦闘をしていた森の一角は既に影も形もない有様であり、先程までここに緑があったとは思えない完全な荒地になっている。
ゲームなので自然と修復されるはずなのだが、キースは少し不安になったらしく運営に森林破壊の謝罪と修復をしてもらえないかという旨のメールを送信していた。
「ああー…………なんだか疲れたなぁ…………もう少しレベルを上げたら一旦ログアウトしよう」
微妙に重たいような気がする体を持ち上げて、あと少しだけプレイすることを決めたキースは改めて森の奥に足を進める。
序でに道中で薬草などのアイテムを採取しながらレベル上げに勤しむこと三時間。キースはレベル19まで上げてから、この日はログアウトした。
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『────それでどうだったの!? NWOをプレイしてみた感想はっ!』
NewWorld Online、略してNWOの世界から現実世界に戻ってきたキースこと桐島純義は三十分前からずっとメッセージを送ってきていた幼馴染の片割れに連絡を取った。
その際に開口一番で告げられたのが前述のセリフである。随分と興奮しているようで端末の画面一杯に映る少女の頬は上気して赤らんでいる。
少女の正体は純義の二人いる幼馴染の内の一人、ゲーマー仲間でもある白峯理沙である。
明るい茶髪に榛色の瞳、豊かな表情に活発な雰囲気と正に今時の女子高校生という風体だが、趣味はゲームで部活もバイトもやっていない。
運動神経抜群なので中学・高校と部活に勧誘されたらしいが、ゲームの為に断ったそうだ。
元から容姿は整っていたが、高校生になってから一層のこと磨きが掛かり下手なアイドルやモデルなどよりも周囲の耳目を集めそうな容姿である。
どことは言わないが体型はスレンダーで系統としても可愛い系ではなく綺麗系や美人系になるだろう。
もう一人の幼馴染である本条楓は可愛い系なのでどちらからともなく中学に進学した辺りから異性として意識し始めてしまい、一時期は少しばかり気まずい空気が漂ったこともあった。
まあ、そうした純義と幼馴染'sの事情は一旦横に置いておいて先に理沙からの質問である。
ニヤリと意地悪げな笑みを浮かべてから、純義は実に楽しげな様子で声を弾ませながら至極シンプルに回答した。
「ふふふ…………それは勿論! 最高に面白かったですとも!」
『うわー! くぅぅっ…………いいなー、羨ましいなあっ! 私も早く楓と一緒に始めたいのにぃ────!』
純義の煽りは効果覿面だったらしく、画面の中で理沙が心底から悔しそうに叫んでいた。
このまま煽りすぎると拗ねて面倒なことになるので純義も程々に楽しんだ辺りで揶揄うのは止める。この見極めが大事なのだ。
因みに、過去には楓や理沙を揶揄って遊びすぎて酷い目にあった経験があるのだが、その時の機嫌にもよるので実は割とリスキーな遊びだったりする。
それはさておき、こんなにも理沙が悔しそうなのにも関わらずゲームを買わないのには深いようで浅い理由がある。
普段ならば気になったゲームはリリースと同時に始める理沙だが、今回は少し事情が異なるのだ。
元来ゲームに興味の薄い部分はあるが、楓をNWOに誘うこと自体は現時点でも可能である。けれど、可能ならばゲームを勧める前から楓がCMなどで事前にNWOの存在を認知している方が都合がいいのだ。
というのも、楓という少女は一言で表せばとても素直な性格をしている。
それは言い換えると騙されやすい、または人の意見に流されやすいとも言い表わせるのだ。
実際に限定商品などの言葉に弱く、そうと聞けばついつい欲しくなってしまうらしい。まあ日本人らしい気質ではある。
これを踏まえてゲームの話に戻るが、楓は強く勧められると断れない性格なのでNWOを始めさせることは簡単なのだ。
しかし、その後も長く続けるにはやはり楽しくなければならない。
とはいえ、NWOはβテストの時点から一見の価値ありと話題になっていたゲームの為、これも問題はないだろう。
あとは幼馴染の純義が既にプレイしていて、理沙にNWOを面白いと勧めてきたから折角なので一緒にやろうと誘えば楓もあまり抵抗なく始められるというわけだ。
マイペースな楓はガンガン攻略するようなタイプでもないので、長く一緒に遊ぶには足並みを揃えて彼女のペースでプレイするのが大事である。
珍しく理沙がリリースと同時に開始していない背景には、そのような理由が隠されていたのだ。
「──────って感じでさ。やっぱり話題になってたのは伊達じゃないな」
『なるほど。景色が綺麗なのは良いことだね。キャラの操作性はどうだった?』
「そうだなあ…………戦闘に関しても特に不自由は感じなかったかな。ゲーム初心者でも楽しく遊べると思う」
『そっか…………うん。ちょっと安心した』
そう言って理沙は言葉通りに安心しきった緩んだ笑顔を見せた。
一瞬のことだったが、幼馴染とはいえど異性に晒すには無防備すぎる表情である。美少女の安心した緩み顔とか男性特攻にも程があった。
純義も内心の動揺が表に現れそうなところをギリギリで堪えて、涼しげな顔を取り繕って「良かったな」と声を掛けるに留める。これも幼馴染の為せる技なのかもしれない。
『ところで、話は変わるんだけどさ』
「また唐突だな。なんだ?」
『いや、大したことじゃないよ。ただスミはどんなビルドでプレイしてるのかなって。ちょっと気になっただけ』
敢えて補足するまでもないことだろうが、セリフの中で理沙が零した『スミ』という名前は純義の愛称である。
その昔、まだ幼稚園児だった幼馴染'sが『スミヨシ』だと可愛くない! と謎の理論を振りかざした結果、彼女たちの間で定着したのが『スミ』という愛称の由来だった。
因みに、理沙は『スミ』と呼び捨てにしており、楓は『スミくん』と君付けだったりする。特に理由はないが、呼び捨ては恥ずかしいそうだ。
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どうやら純義のプレイスタイルが気になっただけのようだ。切り替えが早いというか、既に理沙の興味の対象はこちらに向いているらしい。
ちょっと気になっただけと付け加えたのは、要するに純義が得意のビルドを組んでいると思っているのだろう。まさか普段とはかなり方向性の異なる【INT】極振りの脳筋プレイとは予想できないはずだ。
「ああ…………なるほど。うーん、別に教えてもいいんだけど…………どうしようかな」
『えっ? なになに? もしかしてNWOでは【AGI】特化の物理アタッカー以外でやるつもりなの?』
「あれは基本的にソロプレイ仕様のビルドだからな。今回は楓も含めた三人でプレイする予定なんだし、偶には遊んでみてもいいだろ?」
『それは私も悩んでた! …………おっと、危ない危ない。肝心なところを聞いてなかった。それで結局のところ、どんなネタビルドにして遊ぶつもり? さっさと白状して楽になりなさい!』
折角なので理沙がゲームを始めた時に実地でお披露目と行きたかったが、どうにも誤魔化されてくれなそうだと純義も気づいて小さく嘆息する。
サプライズの計画は断念したが、今この瞬間に驚かせることは可能である。
最後の方で微妙に変なノリが挟まる程には興味津々な理沙に対して、純義は恰も物的な証拠を並べ立てられて追い詰められた犯人と言った雰囲気を取り繕って自供した。
「くっ…………わ、わかった。俺の負けだ…………話すよ…………今までのこと、全部」
『………………それなら、まずは動機から聞きましょう。何故、ネタビルドにしようと?』
「ああ、いや、それはさっき言った通りだ。────うっ、嘘じゃないぞ!? 本当だっ! 一人でプレイするならともかく、初心者も同然の楓がいるんだ! いつも通りとはいかないさ!」
『ふむ。一理ありますね。では、次の質問です。貴方は数多あるネタの中から、何故件のビルドを選択したのですか?』
「それは、俺にもわからない。どうしてだろうな? 不思議と惹かれたんだ。そう…………【INT】極振りの固定砲台脳筋プレイでNWOの最強プレイヤーになるっていうドリームになっ!」
『プハッ────!!? …………あはははははっ! 嘘でしょっ!? VRで極振りとかネタに走りすぎだって! あーっ、面白すぎっ!』
正しく笑い転げているという言葉が当てはまる勢いで爆笑する理沙を見て、少し当てが外れた純義は苦笑しながらジッと幼馴染の痴態を眺めた。
それはもう薄い部屋着で身悶えれば当然のように思春期男子から見て非常に眼福な光景になるだろう。
暫くして理沙が落ち着いてきた頃、純義は何事もなかったかのように澄まし顔で言った。
「────最高だろ?」
『ぷぷっ…………そのドヤ顔やめて! これ以上笑ったら腹筋割れちゃう!』
「ふははっ! 割れるがいい! 綺麗なシックスパックにな!」
『もうやめてー!』
そんなこんなで妙なテンションで一頻りコミュニケーションを取っていた二人は、その後も三十分くらいNWOの話を中心に盛り上がった。
作者のイメージ
初日の時点でレベルは一気に上がりましたが、基本的に主人公はレベルという点に於いて廃人勢には勝てません
だいたいカスミより少し低いくらいのレベルで進行していきます
戦闘職なので流石にイズよりは上ですが、そもそも極振りかつ二人が合流するまではソロプレイなのでレベル上げの効率はかなり悪い感じですかね
設定からして他の作品の二番煎じの内容になりそうですけど、まあ気楽に書いていこうと思います