たまには脳筋プレイも悪くない 作:カマンベールチーズ
突然お気に入りが50人以上も増えて嬉しいけど怖くなってきて急いで仕上げたので初投稿です。
何が起きたのか……オシエテ……オシエテ……(ガチ)
祠での戦闘から翌日のこと。
キースはNPCのルルゥに会うため、彼女たちの店を訪れていた。
今日ここに来た目的は二つある。
まず一つは、ルルゥから預けてもらったペンダントのこと。
アレのお陰で命が助かったこと。代わりに力を使い果たしたペンダントが見窄らしい見た目になってしまったこと。
NPCではあるけど、彼女たちの外見は人間そのもの。イベントアイテムで消費前提だったとしても、破格のスキルを取得するトリガーにもなったし、普通に使わずに返すつもりだったこともあって誠意を込めて謝罪した後に返却した。
この辺りは蛇足だが、ペンダントに関して感謝と謝罪を伝えたところ、特に問題は起きなかった。
どうやら『復活のペンダント』としての効果は時間経過で元通りになるという設定のようだ。理屈としては賢者の施した術式によって周囲の魔力を取り込み、守護の力を発揮するらしい。
まあ、キースとしても謝罪したのは自己満足でしかなかったし、本人が問題ないというなら話はこれで終わりである。
そして、もう一つの目的。
ぶっちゃけこちらの方が本題で、昨日の『魔神の影』との戦闘後、祭壇周りを調べたキースが見つけたものについての話だ。
祭壇には魔法を使用する際の魔法陣とは少し異なる雰囲気の幾何学模様とキースには読めない文字が無数に刻まれており、その中心部分には結晶のような物が鎮座していた。
本来は美しい赤色の結晶だったのだろう。しかし、地面に接している部分から侵食するかのようにドス黒く禍々しい色に染まってしまっており、無事な箇所で最も大きくても先端部分の十センチくらいのものだった。
なんか明らかにヤバそうな代物だったが、触っても大丈夫そうだったのでインベントリに直接ぶち込んで、詳しそうなルルゥの元へと持ってきたというわけだ。
「ところで、コイツを見てくれ。コイツをどう思う?」
「……すごく……大きい、です……」
そんな遣り取りもありつつ*1、予想通りルルゥはこの結晶についての知識を持っていた。クエストのNPCなので当然だが。
因みに、インベントリに入れた時は『??? (???)』となっており、名称も効果も全てわからない謎のアイテムだった。
「……これ、は……魔結晶……! …………けれど……大部分が……『魔神』の邪悪、な力で……汚染……されて、いる……」
曰く、魔結晶とは極めて稀に魔力の豊富な秘境などで発見される、結晶内部に高濃度の魔力を貯め込む性質を持った伝説に語られるような非常に貴重な素材らしい。
ルルゥは師匠、要するに今代の賢者が指輪に加工して嵌めていたのを知っていたということだった。
とても都合の良いことに装備品の素材として使用するために必要な加工方法も教えてもらったとかで、無事な部分を切除したらその場ですぐにやってくれました。
それから『魔神』の邪悪な力とやらで汚染されてしまった部分についてだが、これに関してはよくわからないそうだった。
そのままにしておくには危険な可能性があり、けれどキースは勿論ルルゥにも対処法が不明で下手に触ればなにが起きるか…………ということで、賢者の住処を記した地図を渡された。
困った時の賢者頼みである。それで良いのか弟子、というか孫。
因みに、マップに同期させることで白色の光点として表示されるようだが、残念ながら見当たらない。二層か、或いは更に先かもしれない。
ルルゥによって加工された結晶をインベントリに入れると『魔結晶』と表示された。汚染された結晶は変わらず『???』のままである。
『魔結晶』の装備について尋ねれば、結晶内部に貯め込んだ魔力を消費することで自身の魔力を使わずに魔法を発動することができるようになる装備が作れるらしい。
それが本当なら途轍もなく有用な装備になる。実際どの程度の代物なのかは作ってからでなければわからない話だが、アクセサリーの枠一つ潰すだけで外付けMPタンクが手に入るなら躊躇う必要はどこにもないだろう。
というか若干どこかで聞いたような話だった。某初心者で要塞の擬人化した姿の少女*2が【悪食】した時に同じような色をした結晶が大盾に発生していたような気がする。非常に貴重とは一体……?
元々新装備について相談するつもりだったのでキースはこの後イズのところに突撃することを決めたが、それはともかく。
基本的に『魔結晶』はなにもしなくても時間経過で所有者の余剰魔力から貯蔵してくれる*3そうだが、錬金術師ならば別の方法でもっと手っ取り早く貯めることもできるらしい。
更に詳しく聞いてみれば、まず必須アイテムとして先日追加されたばかりの『錬成陣』がある。
これまで説明したことはなかったが、【錬金術】のスキルは『錬金陣』の上に必要なアイテムを設置して『錬金』することで、各種『ポーション』や『爆弾』などを作っていた。『身代わり人形』なんかもここに含まれる。
補足として、【錬金術】は生産スキルの中では例外的にINTの値に依存したスキルだが、一定以上の品質のアイテムは作成できない仕様になっていた。そのため、同じ『ポーション』でも【調剤】で作った『ポーション』の方が性能は高くなる代わり、量産が容易という特徴がある。
キースの場合はINT極振りなので常に【錬金術】で作成可能な品質の上限、つまり最高品質のアイテムを作り出せるが、それでも他の生産スキル以上の品質は作れなかったのだ。
また『呪符』関連のアイテムはまた少し作り方が異なる。
まず『錬金』で『呪符』の元となる『紙』を作成して、その『紙』に文字を書くための『インク』をこれまた作成し、魔法ごとに全く別のモンスターの素材を採ってきて『触媒』を作成し、これらを『錬金』することで漸く『呪符』か完成する。
救済措置として『ミリアの交換屋』のお世話になれば必要な素材は大体揃えられるが、全て頼り切るにはコストが高くて金欠になり兼ねない*4し、馬鹿正直にフィールドを歩き回って素材を集めれば時間が掛かり過ぎる。
キースの弱点を埋めてくれる便利なアイテムではあるが、コスト対効果の面ではなかなか難しいものだったりする。
そんな感じで【錬金術】というスキルは、概ね『錬金陣』を介することで生産していたのだが、最近のアップデートによって新たに『錬成陣』というアイテムが追加された。
これがまた曲者で、同品質同アイテムを円を描くように等間隔で十個設置し、『錬成』によって消費することで上位互換のアイテム、または純粋に性能の上がった同アイテムを一個作ることができるのだ。
例えばHPを20回復する『ポーション』を十個墓地に送って、新たに召喚した『ポーション』はHPを100回復できる物だったとして。一度に回復可能な数値な間違いなく増えているが、総合的な数値を見れば半分になってしまっている。
キースのようなオワタ式なら質より量で良いし、最大HPが多いプレイヤーにとっては一度で大きく回復できる方が価値は高い。
あと、留意点として際限なく性能を上げられるわけではない。アイテムごとに効果の上限は決まっているため、そこは気をつけなければ損をするだけになってしまう。
取り敢えず『錬成陣』に関しては大体こんなものだろうか。
話を戻すが、『魔結晶』に魔力を貯める方法の一つとして『錬成陣』を使用することができるらしい。
まず陣の中央に『魔結晶』を設置する。装備品にした後はそのまま置けば良いとのことで、他のアイテムはモンスター素材であれば種類は問わず、必ず十個は用意しなければならない。
中央を囲うように素材を配置して、ここで使う項目は『錬成』ではなく、『抽出』という手法なんだとか。*5
要するに、この『抽出』によってモンスター素材から魔力を取り出して『魔結晶』に移せば、自然回復よりも手っ取り早く魔力を貯めることができるという話である。
一度の『抽出』でどれだけ魔力を貯められるかは素材となったモンスターの強さや希少さによって変わるということだが、そういう素材は装備のために残しておきたい。
そうなると対象はフィールドに幾らでも湧く雑魚モンスター一択になるので、まず間違いなく『魔結晶』の装備か完成してからは今まで以上に金策が大変になるだろうな、とキースは思わず遠い目になるのだった。
◆◇◆◇◆◇◆◇◆
「キース、こっちよ!」
そんなこんなで、ルルゥへの用事を済ませたキースは既に二層にいるイズにメッセージを飛ばして一層の噴水広場で合流していた。
因みに、クエスト【嘗ての栄華】は昨日の時点で完了している。達成報酬は百万Gとお金だけで渋かったが、実は報酬を得たのと同じタイミングで新たなクエストを受注していた。
名前は【導く者】で、賢者に会うことでクエストが進むようだ。つまり、まだ先の話である。
「久し振りね、キース。まだ一層にいたのね」
「リアルの関係でちょっとな。それより態々一層まで来てくれて助かった。ありがとう」
「いいのよ、それくらい。ふふっ……色々聞きたいことはあるけど、まずは仕事の話を済ませてからにしましょう?」
「……ああ、頼んだ」
なんだか不穏な含み笑いをするイズに冷や汗を流すが、努めて気にしないようにしながら注文を進めていく。
前述したようにイズは大型アップデート後すぐにクロムとその他臨時パーティ*6にキャリーされて二層に乗り込んでいたのだが、実はその時にキースも誘われていた。
勿論メイプルとサリーのことがあったので断り、今日まで一層に残っていた…………それに至る経緯を隠したまま。
特に理由もなく隠していたが、それぞれキースとメイプルには個人スレがある。もしバレているとしたら、幼馴染の女の子二人と遊んでいたことを隠していたキースはどのように見えるだろうか。
「なるほど。完全に【MP】だけに特化した装備一式と【STR】と【AGI】二極型の装備一式ね? 武器はあの槍を使うのかしら?」
「そのつもりだ。優先は【AGI】で【STR】は槍も含めて合計で80もあれば充分。【DEX】も少しだけあれば言うことなしだな」
「了解したわ。大仕事だけど、希少な素材もたくさん売ってもらったし、これなら期待してくれていいわよ? ────なにより、この『魔結晶』だったかしら? ふふっ。腕がなるわ!」
大量注文に加えて、今のイズだとかなり難易度が高いという『魔結晶』を使用したアクセサリーということで、むしろ気炎万丈やる気満々といった様子にキースは小さく安堵した。
随分と生産者の血が騒いでいるようだし、この分なら
ここは冷静になって思い出させてしまう前にさっさとお暇しようと、そう考えていたキースは…………色恋沙汰を連想させるような状況に対する女性の執着というものを根本的に理解していなかった。
「支払いはいつも通り完成後ということで問題ないな? 完成を楽しみにしてる。それじゃ、また────」
「────あら? キース。どこに行くつもりかしら?」
キースはクールに去るぜ、とその場を後にしようとしたが、いつのまにかイズによって腕を拘束されていた。
なにが起きたのかわからない。生産職のプレイヤーとは思えない力で、速さで、動きで、あっという間にキースは捕えられていた。一瞬の出来事であった。
最早キースは身動きはできない。というか、往来のど真ん中で年上の美人お姉さんに腕を組まれた思春期の男の子が抵抗できるわけがない。
「……あ、あのぅ……? イズさん、なにを……?」
「うふふっ。いつもと口調が違うけど、そっちが素なのかしらね? まあ、いいわ。それも後で聞けば良いことだしね」
「…………えっと、俺、用事があるので……!」
「あら、そんなに時間は取らせるつもりはないわよ? キースが素直になってくれたら、すぐに終わるわ。だから、お姉さんと少しだけお茶していきましょう。……ね?」
「アッ、ハイ」
そうしてキースは、イズに引き摺られるようにして近場のカフェの中へと姿を消した。
無駄に抵抗したのか、或いは用事があるという嘘がバレてしまったのか。キースが諸々のオハナシ(意味浅)から解放されたのは二時間後のことだった。
はい。
今朝ですね、なんとなく最新話を書こうと思いまして。
その前にこれまた特に意味もなく作品の詳細を確認したんですよ。
そうしたらですよ、お気に入りが290人くらいから340人くらいになってるじゃないですか……!
ビックリしましたよ、ホント……夢かと思って二度寝しました。
まあ、起きたら更に増えてたのでその時は宇宙猫になりましたが、そんなことはどうでもいいんです。
拙作を評価、お気に入り登録して頂き誠にありがとうございました!
感想も数件ほど頂き、本当に嬉しく思ってます!
昔に頑張って書いたプロットを見事爆殺(自爆)した直後のことなので余計混乱しましたが、それ以上にモチベがぶち上がって爆速で最新話仕上げて投稿しちゃいました。
こんな面白味のない作品で宜しければ、どうかこれからも読んでやってもらえると助かります!
改めて、ありがとうございます!
高評価、お気に入り登録、感想お待ちしています!(承認欲求モンスター)