頭の中にAI住んでる系輪廻転生TS病弱少女のガールズ&パンツァー   作:文月フツカ

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3話から展開が動き出す2話

1

 

あ”ーーーーー、体が痛い。

 

『戦車を少し運転しただけで筋肉痛とは恐れ入った』

 

なんだこの体ー。運動にとことん拒否反応を示しているぞ?

 

「茂野ちゃんさぁ……体弱いねー」

「……湿布ください」

 

はいはい貼ってあげるよといいながら、角谷会長は服を脱がし始めた。

いたーい。

 

『あと数分でお風呂上がりの西住さん達がやってくるよ』

 

俺も変な夢見たからお風呂入りたいぜ。

 

「腕細いなー……あれ、これ私より細くない?」

「数年前に事故にあって以来、ただでさえ弱かった体が更に脆くなったんです」

「よく生きていたね茂野ちゃん」

 

いや死にました。本来の意識というか魂はもうしっかりと消え去って俺が入りました。

 

『あー糖分が欲しい』

 

お前ふざけんなよ。体も痛みで碌に動かせないこの状況で頭痛まで押し付ける気かよ。

 

「失礼します。あの、夕姫大丈夫?」

 

あ、Aチームの皆がお見舞いに来てくれた。ご迷惑をお掛けするねホント。

 

「あ、このフルーツ食べてね。ってか夕姫も戦車動かせたの!?」

「その場でマニュアル読んで動かしたんですよ」

「ええー!?」

「流石学年次席……やってることが麻子とおんなじだね」

 

西住さんはそれはもう驚いていた。

 

「あぁ茂野さんだったか」

「知っておられたんですか!? あ、初めまして茂野殿! 私、秋山優花里と申します!」

「よろしくお願いいたしますね秋山さん。冷泉さんもお元気そうで」

「あのあの、敬語とかじゃなくて大丈夫ですよ! その……茂野殿は有名ですから」

 

あのさ、俺って一体どういう評価を受けているの?

 

『学年次席、運動以外は万能の天才、首席の冷泉さんとは永遠のライバル、不良潰し、普通科でありながら特科にも勝てる人』

 

「私は有名ではありませんよ。それに敬語は小さな時からですので、もう離れないというか……」

 

嘘だけど。言葉遣いなんて幾らでも変えれるし、この喋り方が素に近い。

だけど敬語の方が、色々な人と話すとき、一番波風が立たないのだ。

有名な所として、プラウダ高校のカチューシャ。アレに初対面でこの喋り方なんて、相手を怒らせるだけだろうし、黒森峰女学園でも同じだろう。

 

「ほら西住さん。ご用件を言わないと」

「あ、そうだった。あの、茂野さん! 私たちと戦車道をやりませんか!?」

「いいですよ」

「茂野さんの体が弱いのは知っています。だけど私たちでって、え!?」

「茂野ちゃんさー、まだ科目決めて無かったから私が入れておいたよ。いい成績出したら遅刻サボリ見逃しだよー」

 

冷泉さんと俺が同時に会長に尊敬の眼差しを送った。

 

「麻子も夕姫も……進級できないよホント。私の事沙織先輩って言ってみ?」

「ぐ、ぐぬぬ……」

「沙織先輩。ご指導ご鞭撻のほど、よろしくお願い致します」

「もー夕姫も吹っ切れてないでさぁ、もっとちゃんとしなよー!」

 

ママ……。

 

『凄い子だね武部さんは。手のかかる君と冷泉さんをしっかりと引っ張っている』

 

俺はしっかりとしているだろ。金もあるしコミュニケーション能力も高いと自負しているが。

 

『はは』

 

「そういえば茂野さんに聞きたかった事があるんだ。茂野さんは、練乳のチューブを直に吸っているのか」

「え」

 

え。

待って。ちょっと待って。

 

『フフッ』

 

「あ、あのー。えっと、いやいや、あれ?」

「夜中にコンビニに行った帰り、歩きながらレジ袋から練乳チューブを取り出して吸っているのを見かけてな」

「茂野ちゃん。それはまた……凄いね」

「……ねぇ夕姫、私言ったよね。体に悪いからそれはやっちゃダメって」

「その、甘い物を取らないと頭が働かなくて。でも甘い物が好きな訳じゃないから、手っ取り早く効率的に済ませるにはアレが一番早くて」

「それで?」

「これからも続けると、思い……ます」

 

ママ怖い……。

あの後、武部さんからしっかりとお叱りを頂戴した。冷泉さんも気まずそうに一言謝ってくれた。

仕方ないんだ、アレが一番甘くてハイエが納得するんだから。

 

『別にケーキでもいいんだ。ケーキだと30個ほど食べてもらうけど』

 

無理に決まってるだろ。てめーAIの分際で糖分とかどうなってんだ。

 

『糖分をエネルギーにしてあげているんだ。機械だって電力が無いと動かないだろ? 若しくは砂糖と水を滅茶苦茶煮詰めた物でも良い。甘ければ固体液体問わない』

 

想像しただけで吐き気を催す。

 

 

2

 

念のためにもう数日静養を言い渡されていた俺だが、予想よりも早く回復したので、戦車道の授業に出ることにした。

 

でも体力無いのに何が出来るのかと思い車庫前に移動すると、なんか凄い色をした戦車らが鎮座していた。

 

「き、金色……こっちはピンク、極めつけは旗ですか」

 

だ、だっせぇ。いやピンクなら砂漠で使えるかもしれない事も無いが、金色ってどこで使うんだ。

 

『戦車道は戦争じゃないから、別にいいんじゃないかな』

 

見つかる確率上げてまで好きなスキンを使うのか……ロマンだなぁ。

 

「おー茂野ちゃん。どの戦車に乗りたい?」

 

デフォルトカラーの四号以外嫌なんですが。

 

「会長、茂野は我等生徒会の見える範囲に置いておきましょう。目を離すと何をしでかすかわかりません」

「桃ちゃん、それは茂野さんに失礼だよ」

 

そんなに俺って変な行動してるのかな。やられたらやり返すぐらいは当たり前だと思ったんだが。

 

『虐めてきた親を社会的に殺して家庭崩壊に導いた奴は言うことが違うね』

 

倍返しは当たり前だよなぁ。誤解とか避けるためにダミー日記でも書くかね。

 

『ダミーの時点で誤解が生まれるって気づいた方がいいよ』

 

「まぁそれもそっか。じゃあ私らとチームね」

「会長……私は何をすればいいんですか」

「茂野ちゃんには通信手やってもらうよ。どうせ装填手とか無理でしょ」

「砲手は出来ますよ」

「それは私がやる。貴様は黙って状況把握に努めろ!」

 

はーい。まぁ妥当だよね。おそらく砲弾持つだけで翌日に響くんだろうなこの体。

そうやって練習の日々が始まった。

 

 

「開けた場所は遮蔽物を利用して身を隠せ!」

 

河島さんが色々な車両に指示を送りながらつつがなく練習が進んではいる。戦時に促成栽培されたインスタント感覚の兵士は、実戦に出たらまぁ役に立たない。なんせ少しでも数を補うために、明らかに力不足の奴もあの手この手で無理矢理合格圏に捻じ込んでくるのだ。

あの時の装填手/砲手の兄妹も、最初は全く使えなかったものだ。敵車両に砲塔を向けられているのに砲弾を落とす奴があるかと怒鳴りたかったが、ぐっと堪えて焦るなと言ったなそういえば。

 

「角谷会長。この金色で身を隠せってギャグにしか聞こえませんが」

「カッコイイじゃん」

「えぇぇ……」

 

小山さんは苦笑いしながら俺にお茶を入れてくれた。いただきます。

 

「はぁー。しかし、なんでまたいきなり戦車道なんですか」

「プロリーグ発足のため、文科省が全国で推奨してるからだねー」

「大変なんですねー」

 

『……なるほどねぇ』

 

お前さ、意味深な事言って賢く振舞っても認識してるの俺だけなんだぜ。

 

『失敬だな君は。私はあらゆる事象を見渡せるんだぜ。所謂、全知という奴さ』

 

あーはいはい。ならその全知様は何を見通したんですかね。

 

『大洗の学園艦が廃校になる未来』

 

は????

 

『日本文部科学省 学園艦教育局局長が既に色々と動いているみたいだ。会長さんは戦車道大会で優勝すれば廃校を撤回する約束を取り付けたんだ。だからこうやって戦車道を復活させたのさ』

 

はぁー。いつの時代も理不尽ってあるなー。俺もここ気に入ってたんだけどな。

 

『次はどこの学校に行くかね』

 

……いやぁ、ここ楽しいから最後まで足掻いてみようかなぁ。

 

『ふーん』

 

 

聖グロリアーナとの練習試合が決まった。生徒会の人脈って凄いな。大会の準優勝校なんて普通は相手にしてくれないと思うんだけど。

で、その作戦会議するから俺も召集された。河島さん曰く、頭脳は優秀なんだから働けとの事。

 

河島さんの考えた対グロリアーナの作戦。家元の娘である西住さんの意見。まぁ確かに自分の戦車の弱点とか把握して無い訳ないわな。

でも戦争で戦車乗っていると、敵戦車よりも対戦車火器抱えて死角から撃ってくる歩兵の方が怖い。まぁ歩兵のルールとか無いから純粋な撃ち合いだろうから大丈夫か。

 

「茂野さんは何か意見ありませんか」

「そうですねぇ。今の私から言えるのは、怪我しないようにとしか。あと戦車の色」

 

『ティーガーⅠ欲しいね。あれあるだけで大分戦況がひっくり返せる』

 

乗組員居ないじゃん。仮にあっても四号のメンバーをティーガーⅠに乗せるにしても遅すぎる。

 

『似たようなのならあるよ。この船の下部にポルシェティーガーがあるみたいだ』

 

あれ使えるか?

ちょび髭伍長の前でやらかしてくれた時、笑い堪えながら修理大変だったじゃん。

 

『失敗するという歴史を知ってるだけで、失敗した原因を調べようともしないで笑うのも如何なものかと』

 

うるせー。あー10式で無双したいなー。あと結構夜遅くまで会議は続いた。河島さんは意外と脳筋だということが分かった。

 

 

3

 

練習試合当日。

 

「はぇー、すっごい」

 

大洗の学園艦だけでも驚いたのだが、グロリアーナはもっとデカいとは。この大きさの空母で太平洋席巻したいな。攻撃隊の全力出撃はさぞや映えるだろうなー。

 

『この世界の学園名は中々個性があるね。コアラの森学園とか』

 

コアラの森ぃ!? 何がどういう経緯でそんな名前になったんだ!?

こ、この世界面白いな……。

 

 

試合会場。向こうの戦車がやってきた。

あれがダージリンさんか。金髪で如何にもお嬢様と言った感じだ。後ろの子たちもまた凄く可愛い。やっぱりこの世界は全体的に美形が多いな。

 

「それにしても、個性的な戦車ですわねぇ」

 

旗、ピンク、金色だもんなぁ。このカラーリングで待ち伏せやるってんだから片腹痛い。西住さんは戦車をこんな風にするのは今まで無かったから楽しいって言ってたけど、俺の転生歴でも居なかったな。あ、零戦の羽に吾輩は猫であるって書いた奴は居たな。碌な死に方してなかったけど。

 

「騎士道精神で、お互い頑張りましょう」

 

俺の知ってる騎士道って、あくまで騎士のためだった気がする。格下にやる慈悲とか情とかありませんのって感じだった。身代金払えないなら処刑ですのよ! まずは名乗りから始めるのがお戦闘の流儀ですわ!

ちなみにそんな常識知らねぇよいいから突っ込めって感じで色々やらかしたのがフランスの聖女。

少なくとも中世のイングランドは鎌倉武士には及ばない程だが蛮族だったよ。

 

『いいから観念して金色38tに乗りなよ』

 

戦車の色、どうにもならなかったな……。

はい試合開始。楽しもうな!

 

 

4

 

四号が敵を引き付けるために別行動をしている中、待機中の俺たちと言えば……。

バレーをしてるバレー部。トランプで遊ぶ1年。日向ぼっこをする生徒会。歴女チームは真面目に前方を見ているが、戦車の色と旗が全然真面目じゃない。いや本人たちの感性は尊重すべきにしても、旗は外すべきだったかなぁ。

 

「待つのも作戦のうちだよー」

 

俺は車内で手元の地図を見ながらハイエと話している。

 

拡張現実(アナザーリアル)で目に映すよ。今ここら辺だ。あと5分ほどで戻ってくる』

 

この貧弱砲では精々壊せて履帯。それも角度を付けずに当てられた場合のみ。砲手をしている河島さんの腕は、お世辞にも上手とはいえない。

 

『小回りを生かして後ろからチクチクとだね』

 

問題はそれをするには練度も話し合う時間も無い訳か。ここでスモークグレネード使うか?

 

『お勧めしない。大会でもないのに使って対策されたら目も当てられない』

 

「あと5分で四号から連絡が入ります。全員車内に戻ってください」

 

とりあえず通信で呼びかけて全員を車内に戻す。これで即応体制は整った。一年が革命起こしたのにと文句を言っているが……ごめんなさい。

 

「あと3分で到着します」

 

西住さんからの通信と同時、私も皆に今一度指示を出す。

 

「分かってるとは思いますが、一番先頭の車両は西住さんの四号です。射線から外れるまで身を隠して撃たないようお願いします」

 

皆が元気よく返事をしてくれる。これなら安心だ。

 

そしてとうとう四号が敵を引き連れてやってきた。俺が敵ならこの渓谷に入る前に停車して斥候を出すがな。でもこっちの戦車だとまともに戦えるのは三突と四号ぐらいだからなぁ。

 

「う、撃て撃て!」

 

その言葉と同時に一斉に砲撃が開始された。

河嶋さん……まぁいいか。どうせこの地形と三突の旗でバレてるか。

 

 

 

そのあとはもう酷かった。闇雲に撃っても当たらないものは当たらない。一年生は怖くなって逃げ出してしまった。戦車の外の方が危ないと思うんだがなぁ。

38tは履帯が外れて、敵の視認外に出たため気づかれずにやり過ごした。この色でやり過ごしたのかぁ。

 

敵も味方も去った戦場跡。

まだ白旗が上がってないから動けるんだが……会長も腕組んで空を見上げて悩んでる。河嶋さんはまぁ……小山さんと向こうで話し合ってる。というか小山さんが河嶋さんを宥めている。

 

よっこいしょ。

俺はそんな中で外れた履帯を戻す作業を黙々と行う。こっちに気づいた会長が、油で手が汚れるのも気にせずに手伝ってくれる。

 

「……これは?」

「そこを連結させてください。重いので気を付けてくださいねっと」

「はいよ……ごめんね茂野ちゃん」

「私に謝られても。西住さんは残存車両を率いて市街戦をする気でしょう。平原での撃ち合いはダメですが、遮蔽物が多い所なら勝機はあります」

 

そも、数日前まで普通の女学生だったのに、いきなり戦車で戦えってこと自体無理がある。

死なないとはいえ怖いものは怖いのだ。逃げた一年も仕方ないし、砲撃指示が早かった河嶋さんにも非はない。

 

「会長、私は知っていますよ」

「……何を知ってるの?」

 

廃校の事は、まだ言わない方がいいのかな。

 

「いえ、またいずれ。履帯も直りましたから行きましょうか。作戦はもう考えてあります」

「いいねぇ。遊撃になった奴の恐ろしさを思い知らせてやろう。かーしま、こやま、行くぞー!」

 

さぁ、反撃開始だ。手負いの亀だってやる時はやってやるぜ。

 

 

「こんな格言を知ってる? イギリス人は恋愛と戦争では手段を択ばない」

 

「さーんじょー!」

 

あんなにカッコつけたのに滅茶苦茶ギリギリで笑えない。

 

『あー残念だけどこの砲撃外れるよ』

 

「小山さん急速発進用意! 砲撃後即座に離脱します。主力の四号の盾になりつつ路地裏へ!」

 

案の定外してくれた河嶋さんだが、外れると分っているならやりようはある。いや当ててほしいけどね!

向こうもあまりに突発的だったからか、一瞬砲撃を躊躇ってくれた。

その隙になんとか四号を先頭に離脱が叶った。

 

ハッチから顔を出して西住さんに目を向ける。すると短く頷いてハンドサインを出してくれた。

 

『自由に動いて 怪我無きように』

 

俺なら盾にするけどな。でも隊長は西住さんだ。それに戦争ばかりやって頭が固い俺より、西住さんの方が柔軟な策を思いつくだろう。

 

混戦で自分の車両の指揮に集中する時や、頭使って必死に策考えているときに、どうするか喚かれるのも気が散るだろう。俺も戦時にそれぐらい自らの判断で動けないのかと無線で切れたことがあるから気持ちは分かる。

 

離脱時、土産と言わんばかりに四号が一台撃破したので、さらに動きやすくなった。

 

「小山さん。後ろの敵を狙うので、次の角を曲がって停止してください。合図とともに急速後退して相手にぶつかります。会長は砲撃を、河嶋さんは装填をお願いします」

「はいよー」

「わかったよ!」

「ああ分かった!」

 

『敵は砲塔を真横に向け切っている。今だ』

 

「急速後退!」

 

全力で後ろに下がって、相手の側面に体当たりをする。怯んだ隙に砲塔を素早く回転させて砲撃を当てる。幸いにも白旗はもぎ取れた。

体力があれば、操縦とかやるんだがな。知識だけだとこの程度だもんなぁ。

 

『あとは、あぁこれはもうダメだ。ぶつかった衝撃でまた履帯が外れている』

 

「おい茂野、次はどうするんだ!」

「あー、今のでまた履帯外れたのでここまでですね。一か八かで再装填して撃ってみます?」

 

『装填完了まで五秒、だけど敵照準は既にこちらを補足してるからダメだね』

 

次の瞬間には車内に衝撃が走った。

 

衝撃に備えていたとはいえ、頭を思いっきりぶつけた。

角谷会長に頭撫でて貰えた。

 

 

四号のメンバーは本当に素人なのだろうか。戦車の動き、砲撃精度、装填速度、通信など、どれとっても一流に近いんだが。

 

『家元二人、学園首席、戦車マニア、コミュ力激高 ポテンシャル凄いよね』

 

え、家元が二人?

 

『五十鈴華は五十鈴流華道の家元だ』

 

へぇー。そういえば見た目も性格も180度違うが、あの時の操縦士を思い出した。

 

『あぁ、彼は即応修理とかいう訳の分からない技術を持ってたね』

 

麻子さんは修理技術は無いが、その分運転技術全振りだな。既に彼より上っぽい。

まぁそうはいっても、結局のところ負けてしまったのだが。

 

『君から見て西住さんはどうだい』

 

敵に回したくない。どんな動きをするか分からないのは、戦場で一番怖い。だが味方ならこの上なく頼もしいね。この体に体力があれば、色々動いてあげられるんだけど。

 

『なるほどね。まぁ動けたとしても、君だけの力じゃ何も出来ないだろうね』

 

うるせー。

 

「んじゃ、あんこう踊りやろっか」

「は?」

「茂野さん、実はね……」

 

小山さんから説明を受けたけど、あの踊り俺もやるん? いいけどまた寝込むよ俺。

え、連帯責任? えぇぇ……俺がトイレ行ってる間に罰ゲーム決めてたってなんだよーぅ。

 

後に、平然と踊る生徒会を見て畏怖の念を抱いた。どういう神経してるんだ。

 

 

5

 

夜。冷泉さんと波止場で西住さんたちを待っていた。潮風が寒い。この体は相も変わらず貧弱が過ぎる。そうして小刻みに震えていると、冷泉さんがコーヒーを買ってきてくれた。

 

「ありがとうございます」

「気にするな。一つ聞きたかったんだが、茂野さんも西住さんに負けないぐらい作戦を立てれるのではないか」

『無理でしょ。私が敵位置を教えているから上手くいってるだけだもんね!』

 

はいはい感謝してるよ。

 

「まぁ立てられなくはないです。ただ、私が考えるのはどうもつまらない作戦でして……西住さんのように、皆さんで協力してという前提が、私には無いんです」

「あぁ、有能だけいればいいという考えか」

「もちろん皆さんの事を無能だなんて思ってませんよ。ただこの考えはスポーツではどうなのかと」

 

勿論俺だってハイエが居なければ、無能を通り越しているだけで邪魔な存在だろうさ。戦争とスポーツの線引きが出来ていなくて、中途半端なのは俺な訳で。

 

「茂野さんはやっぱり不思議ちゃんって奴かもな。ただの学生がそんな思考や瞳をするものか」

「ふふふ」

 

『逃げ出した一年生たちも謝るために外で待っているね』

 

逃げたんじゃないさ。次の戦いの覚悟を決めるため、一時撤退しただけさ。

 

『大本営発表みたいだね』

 

「あ、西住さんたちが帰ってきた」

「みたいですね」

 

 

次は全国大会かー。出来れば最後までドイツ戦車は相手にしたくないな。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




コイツに体力があれば、それこそ無双系になってしまう。

文才と絵心欲しいなー
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