頭の中にAI住んでる系輪廻転生TS病弱少女のガールズ&パンツァー   作:文月フツカ

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筆休めとは烏滸がましいですが、少し休憩をば。


幕間/糖分ジャンキーと出会いの夢

これは、サンダースとの戦いが終わって数日後、アンツィオ戦が始まるまでの間に起こった、武部さん怖い事件(命名:俺)の概要である。

 

「申し訳ございません。当店では只今在庫も切れておりまして」

「そうですか……」

 

これで5件目なんだが!? なんでたかが練乳がどの店も在庫切れを起こしているんだ!?

 

『その答えを出すためにも練乳がいるんだ』

 

悪循環じゃねーか。あああこれじゃただの中毒者と何ら変わりないぞ。もう諦めてケーキとか蜂蜜とかで代用するか。

事の始まりは、普段から数十本は買いだめしている練乳が尽きたことだ。珍しく練習という名の通信作業が連続でハードであったため、つい一日の消費量を無視して吸い尽くしてしまった。ハイエへのエサも兼ねているため、自分が思っている以上にキメていたらしい。

 

「蜂蜜にしよう。同じ高カロリーだし甘いから代用できる……」

 

そんな風にぶつくさ言いながらスーパーへの足を進めていると、西住さんと武部さんが前から歩いてきた。

 

「ど、どうしたの夕姫さん!?」

「大丈夫!?」

 

二人が心配して駆け寄ってきてくれた。そんなに酷い顔だっただろうか。

 

「あ、甘い物……」

 

俺の懇願するような掠れた声に、西住さんはとても慌てていた。救急車を呼ぼうと急いで携帯を取り出したのだが、武部さんがそっとそれを手で制した。

 

「ねぇ夕姫。まさか練乳が何処にも売ってないからさ迷ってたとか言わないよね」

 

……。んんんんんどう言い訳しようかな! まさにその通り! 一言一句何も間違っていないんですよ。

 

「はぃ、いや、蜂蜜を、探していたのかな」

 

咄嗟に口から出た言葉は、まさかの代替物捜索中の言葉。しかも何か俺が聞いてるみたいな言い回しになってしまった。

 

「あのさー夕姫。いい加減その食生活直さないと死ぬよ?」

「まってください。脳を行使すると頭痛がするんですよ……糖分を取るとその頭痛が取れるんです! 一番手っ取り早くてですね!」

「流石に私も練乳を直はちょっとなぁ……」

 

西住さんまで……一番効率良い摂取方法だからいいと思うんだけど。まぁ傍から見たら気持ち悪いだろうけど。

 

「とにかくこれでも食べてなよ」

 

武部さんにチョコレートを食べさせてもらった。あーいい感じの甘さが脳内に広がっていく。

 

「どこか日陰に行こう?」

 

そう言って二人に支えられ、近くの喫茶店に入った。面目ない。

 

 

「とりあえずメニューに載っているケーキ全種類一つずつ」

 

店員さんがドン引きした表情で下がっていった。

 

「全種類って15種類はあるよ!?」

「大丈夫ですよ西住さん。食べれますよこれぐらい」

「太るよ夕姫」

「私は生まれてから体重が35㎏を超えたことはありません」

「は?」

 

え、さっむ……急に室内の気温が下がって静まり返った。長袖着てるとはいえ凄い冷える。

 

「ねぇ夕姫。今までさん、さんじゅうごきろ以上太った事、無いって言った?」

「い、いいました、よ?」

 

武部さんの目が凄いどす黒い。よく見たらケーキを持ってきてくれた店員の目もおっそろしく怖い! 女性に体重関係の話はダメだと知ってるけど、女性同士なら何も問題無かった筈では。

 

「毎日運動とかしてるんだよね?」

「体が脆いので特には」

「ふううううううううん」

「嘘じゃないですよ? 今度生徒会に定期健診の結果とか見せてもらえれば……」

 

ここで武部さんが机にダウン。西住さんも手に持っていたドーナツをそっとお皿に戻した。まだ一口しか食べてないのに。そんな風にしていると、喫茶店の扉が開いて、生徒会の三人が入って来た。

 

「ありゃ、来るタイミング間違えたかな」

「こっちの席で少しご一緒しましょう!」

 

ガバっと立ち上がった武部さんが強引に相席に持ち込み、角谷会長に詰め寄った。

 

「夕姫の定期健診の結果って見れませんか!」

 

無理矢理頼み込んで、小山さんが持っておいたノートPCで見せてもらった結果。武部さんから色々と質問というか詰問というか……根掘り葉掘り聞かれました。あの角谷会長でさえ、その結果には引き気味だった。

 

ちなみに練乳は業務スーパーにあった。近いからってコンビニばっかり回ってたのがダメだったようだ。

 

 

 

―――――――――――――――

 

西暦1943年・スモレンスク

 

俺はティーガーⅠの前部装甲上に座り、煙草を吸いながら作戦指示書を眺めていた。四号でそれなりに暴れ回っていたのが上層部の目に付いたのか、ピカピカの玩具(ティーガーⅠ)を受領した。そしてそれまで付き合いのあった乗組員も引き続き使えると思いきや、そうは問屋が卸さなかった。曰く、使える戦力を一か所に止めておく理由は無いとの事。俺以外は全員本国で教官職らしい。

 

「あー。兵員輸送車遅れてるのかね」

 

これぐらいぼやいても文句は出まい。別に頼んだ訳でもないのに戦車が新しくなって、せっかく慣れ親しんだ仲間は散り散りに。極めつけは、送られてくる奴らが色物っぽい。

一人は操縦の腕は熟練かつ整備の腕も超一流だが、何かと上に突っかかる中年操縦士。

徴兵組かつ、促成培養された兄妹の砲手と装填手……しかも成績を見るに落第ギリギリの新兵。

そして最後は、志願兵で幼い頃からナチスの教育を受けた新兵通信手。

 

吐きそう。もういっそ空襲で……あーもうこんなアホな事思っている間に到着したらしい。こういう場合出来る限り威厳を見せつけておかないと。一度下に見られると戦闘時色々としんどいのだ。

 

「失礼致します! ティーガーⅠ810号補充兵4名、着任します!」

 

敬礼してきた相手を無視するのも不味いので、指示書を折りたたみ地面に降りてから返礼して挨拶をする。

 

「戦場へようこそ。私が車長を務めている。ティーガーⅠ(コイツ)にも挨拶しておくと良い。お前らの死を着飾る棺桶だろうからな。出撃までまだ時間はある。貴様らがどの程度出来るか見せてもらおうか」

「はいはいっと」

「お会いできて光栄であります! 車長殿のお噂は聞き及んでおりました!」

「「……」」

 

分かってたけど、さっさと行動に移してくれるのは操縦士だけか。態度はアレだが、俺は腕があるならそこまで強く言う気は無い。どうやら俺の濁った眼を見て、操縦士の合格ラインに引っかかったらしい。

 

「世辞なぞ此処では何の役にも立たん。貴様らは一日でも早くこの戦車を自分の手足のように動かせなければならない。力を信じてドイツを信じろ。鉄の団結こそが力となるのだ」

 

自分で言ってて寒気がするぞこのセリフ。もう何度もナチス側で戦ってきたけど、このセリフ未だに気持ち悪い。

 

そして始まった練習(レクリエーション)も酷いものだった。

 

「作戦の通信周波数ぐらい全部覚えろ! それが無理ならメモを取るなり工夫を凝らせ!」

「何の訓練を受けてきたんだ! 行進間ならともかく、静止状態かつ無風でこの距離を外すな!」

「砲弾を落とすな! 過去にそれで爆散したアホもいるんだ!」

「運転と修理技術は素晴らしい。だがもう少しハンドルや備品を丁寧……だからハンドル殴るなって!」

 

あーーーもうどうするコレ。使えるのが操縦士だけって詰んでるぞこの戦車。さっと周波数合わせる手本を何度も見せたのにもたつくなヨー。まずその長い髪括れよ。ほらそこ、アル中じゃねーんだから砲弾持つ前からプルプル震えるな。勘で撃ってんじゃねーぞてめー!

 

 

 

「っは!?」

 

ね、寝てた……。いやー中々酷い夢だった。あの時のアイツらに比べたら、大洗女子の皆凄いいい子達で才能の塊やないか! 戦争じゃないからかな? 

でもあの後もまぁ大変だった。結局45年のラインラントで死ぬまでアイツらやらかしてくれたからな。最期なんて笑えるぞ。なんせあの通信手に背中から撃たれたんだからな。

 

 

あーー平和っていいネ! 最高! 

 

 




当時の名前
操縦士:アロイス・ハイドリヒ
砲撃手:ビアンカ・ベルツ
装填手:ゲオルグ・ベルツ
通信手:エルメンヒルデ・ツェーゲン・ハーゼンクレファー

恐らく本編でも特に掘り下げられない。
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