頭の中にAI住んでる系輪廻転生TS病弱少女のガールズ&パンツァー   作:文月フツカ

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8話で●●する7話

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試合当日。

とうとうこの日がやってきた。片や大会優勝常連の名門強豪校で、片や聞いた事も無い無名の三流校。大会が始まった当初は、誰もこの展開は予想できなかっただろうな。

西住……みほさんも各校の隊長たちと試合前の挨拶をしている。

 

あーそれにしても眠い。試合開始まで2時間はあるから、皆には悪いけど少しだけ寝かせてもらおうか。

 

「会長、1時間ほど寝たいです」

「おー茂野ちゃん、昨日は緊張して寝れなかったとか?」

「……まぁそんな所です」

「なら私が膝枕でもしてあげようか?」

「体よく会長もサボりたいだけでは……」

 

昨日の抱き枕事件で睡眠不足なせいもあるけど、何より試合に響くのは避けたい。そういった適当な理由を付けて仮眠の許可を取ることができた。何かあったら起こしてくれハイエ。

 

『はいはい』

 

 

 

0,H.I.E

 

「夕姫さんが少し仮眠を取っているので、その間に皆で作戦の再確認をしましょう」

 

西住さんがその場で皆に指示を出している。華奢に見えるが戦車道家元の娘なだけあり、中々力も強い子だ。そのおかげで、今世の貧弱な体が抱き枕にされている間、負荷を軽減するのに少々手こずった。

 

「あっちゃー……時間が来たら起こすわけだけど、誰が起こすの? あ、私は夕姫を起こすのは嫌だよ」

「ん、いつも茂野ちゃんの面倒を見る武部ちゃんが?」

「この子は寝起きの機嫌がすっごく悪いの……焦点の合ってない仄暗い瞳で、色々と変な事言ってくるの」

 

まだ意識が覚醒していない状態で情報を送り込むと、寝ぼけてそのまま口に出してくれる。まぁご主人にはそれはもう苦労させられているんだから、これぐらいのお楽しみはあって然るべきだと思うよ。

あ、西住さんがじっと見つめては罪悪感で目を逸らしている。

良いリアクションを返してくれるであろう河嶋さんを希望したいな。でも角谷さんみたいな飄々とした人の焦る顔も見たい。

まぁやった後確実に何らかの形で報復されるだろうけどね。

そんな風に情報整理やら人間観察やらをしていると、起こしてもらう時間になった。さて誰が起こしに来てくれるのか……武部さんの説明聞いた後だと誰も来ない可能性があるから少々不安ではあるが。

 

「茂野ちゃ~ん……時間だよ~?」

 

角谷さんか。おっかなびっくりに声を掛ける辺り、武部さんの言葉が効いてるらしい。しかもよく見たら他の全員も近くに集まって見守っている。何かの儀式のように見えて怖いね。怖いなんて感情知らないけど。

この子は恥ずかしいエピソードは特に無いんだよね。

 

『色々と躊躇しない怪力腹黒ロリが起こしてくれたよ』

「ぁーいろいろ躊躇しないちからすごいはらぐろろり」

 

あれ、怪力腹黒ロリって言ってほしかったんだけどな。寝起きで呂律が回ってないなんて、世話の焼けるご主人だなホント。

だけど言いたいことが伝わったらしく、角谷さんがピシッと笑顔を固まらせている。

数秒間動きを止めた後すぐに笑顔に戻ると、寝ていたご主人のジャケットを突如として片手で掴み上げて立たせた。

 

「茂野ちゃん、そろそろ起きようか」

「あっハイ。おはようございます……あの、私何か言ってましたか」

「別に何も言ってないよ。じゃあ怪力腹黒ロリな私はもう行くよ」

「ごめんなさい会長。寝起きは本当に自制心が効いて無いので意図しない言葉が出てくるんです。私は会長の事が好きですよ!」

「え……ソッチ系だったの?」

「収拾が付かないっ」

 

この始末。

武部さんは半笑いと疲れた目で事態を見守り、西住さんは昨日の事を思い出しているのか苦笑い。あの風紀委員の人でさえ、口元を抑えてプルプル震えている。

そして意外と怪力な会長さんはそれはもういい笑顔だった。ははは中々面白いな。面白い感情とか知らないけどね。

 

「あー笑った笑った。まぁこれぐらいにしておこうか」

 

――おいクソAI。寝起きの頭に変な情報流し込むなっつってんだろ!?――

『私はただ色々と躊躇しない怪力腹黒ロリが起こしてくれたよって情報を伝えただけだ。だのにそれを態々声に出してしまった君の落ち度だと思うけどね』

 

この癖を治せない病気なら分かるが、開き直って治そうともしないんだから。

私が何も言ってないのに、勝手に自爆した例もあるのに、改善の意欲も見られない。

さて、試合はどうなる事やら。

 

 

 

1

 

キレそう。

どうせなんか寝起きにやらかすんだろうなと思っていたら案の定だった。しかもよりによってあの会長を煽ってしまったんだが。寝起きは特に変な事を口走りやすい。

11回前の転生では寝起きで無意識にいちごパンツのいちごになりたいとか言って大変だった。

しかもその時はハイエが囁いたんじゃなくて、完全に自分の無意識下で口走ったってんだから驚きだ。

 

まぁとにかく試合だ。仮眠を取った分集中力は戻った。

 

みほさんが向こうの選手と話している。あの顔はどこかで見た。

 

『赤星小梅。西住さんが黒森峰時代の試合で助けた選手の一人だ』

 

なるほど。あんな風に覚悟決まった人って凄い力を発揮するよな。いいなー友情。

そんな事を思っていると、戦車に乗り込む号令が下り、遂に試合が始まった。やれる事はやったんだって毎回言ってるけど、本当に後は腕と作戦次第なんだよなぁ。

 

ともあれ、我らカメさんチームはただただ嫌がらせを行う作戦だ。事前の打ち合わせ通り、試合開始数分で戦列からさっさと消える。

アリクイさんチームは大丈夫かな。出来うる限り速成教育(つめこみ)はしたけど、数週間って……。

 

「新しいチーム、茂野さん結構力入れて教えていたけど、大丈夫かな」

「1から10まで教えるべき所を、時間が無いから1と10のみ教えて後は実戦でって、中々酷い事をしてしまいました」

「優勝したら教えれなかった事を教えてやればいい」

「まー今は信じるしか無いって」

『おぉ、アリクイさんはやられたけど、フラッグ車を間一髪守ったよ』

 

あぁやっぱり……。早々にリタイアになって落ち込んでる事だろうから、試合終わったらなんか声を掛けておこう。円滑な部隊運用は適度に褒めたりエサで釣ったりとやる事が多い。

 

『それを面倒だから怠ったのが前回の810の末路だからね。後ぱらりら作戦が発動した』

 

ちらっと山の方を見ると、かなりの広範囲に煙幕が広がっていた。あの広がり具合なら陣地構築は余裕だろうな。問題は……今目の前を進行している黒森峰重戦車隊なんだよなぁ。

 

「茂野ちゃん、履帯?」

「はい。ヘッツァー擬きでは撃破を狙うだけ無駄です」

「……」

 

何かお三方が「こいつマジ?」みたいな表情で俺を見てきた。えぇ……勝つ事を諦めてるような発言は駄目って事か。

 

『まぁそう思うならそうなんじゃない?』

「プラウダの時みたいなのは出来ないの?ってもっと事前に聞けたねコレ」

「車体と砲塔の隙間を狙うアレですか?」

「そうそれ。それやったら西住ちゃん達が大分楽になると思うけど」

「出来なくは無いですが、色々と頭を酷使するので、以降は一切作戦や指示やら出せませんが」

 

あーっと会長は唸って悩んでいる。まぁ今後こんな風に一方的に横から狙える好機なんて無いだろうから……会長の気持ちも分かる。撃破できるときに減らしておかないと面倒だ。

 

「履帯に留めとくかー。かーしま、代われー」

「はい」

 

そう言うと会長は照準を覗いて2両の履帯を破壊した。

 

「かーしま、当たったぞー」

「わかってますっ……!」

 

小山さんは笑いながら戦車を森の中へ後退させる。

 

 

黒森峰は強い。

統率と戦闘教義(ドクトリン)を遵守し、装甲火力で真正面から叩き潰す。単純だが、それ故に強い。

軽戦車が目となり、重戦車が装甲に物言わせて切り開き、駆逐戦車が目の届かない所を潰し、中戦車が掻き回す。止めに航空支援や随伴歩兵が無い状態で超重戦車のマウスだろ?

そりゃ9連覇も出来るわけだ。数と性能でゴリ押しするスタイル、嫌いじゃない。だって一番楽だしな……セオリー通りにやればまず痛い目は見ないしな。

足回りがゴミクズなドイツ戦車で良くあそこまで出来るもんだ。

 

「西住ちゃん、アレやる?」

「はい! おちょくり作戦、始めてください!」

 

陣地攻略中の敵の背後を取って色々と煽る作戦だが、おおっと目の前にさっき履帯を破壊した戦車がいるじゃないか。

 

「会長、もう一度履帯を壊して差し上げましょう」

「いーねぇ」

 

敵がこちらに気づいて旋回し、横っ腹を見せたその時、会長がまた敵戦車の履帯を壊した。

本当ならもう2つぐらい別の履帯を壊しておきたかったけど、時間と弾は有限だから仕方ない。

 

「なんか上で叫んでいたな」

「そりゃ二度も履帯潰されたらねぇ……」

 

さて、いい具合におちょくって混乱させた訳だが。傍から見たらくっそウザイ事してるんだよなぁ。

突発的な事に弱い所もドイツそっくりだ。まぁ大洗以外こんな作戦やってくる所なんて無いから仕方ない。

俺みたいな頭固い奴には思い浮かばないな。

 

「あ、みほさん。最後尾のカモさんに煙幕出してもらいましょう」

「そうですね」

 

なるほど。突発的……去年の試合で、フラッグ車の西住さんが居なくなっただけで指揮系統が麻痺しただけはある。いい具合に煽ったけど、撃破している訳では無いので、戦況に変わりはない。

 

「ん? んんんんん?」

『……彼女たちは一体どこに行き着くんだろうねぇ』

 

ポルシェティーガーを走りながら修理する???? なんで出来んの???????

 

「ウチの自動車部って、学園長もお気に入りなんだよ。学園艦1周レースで勝ったら部費上がるぐらいには」

「あらゆる所から引っ張りだこじゃないですか」

「自慢の自動車部だよ」

『さしずめ、行進間修理とでも言うのかな』

 

 

2

 

渡河の最中、ウサギさんチームがエンストした。

水没か。DD戦車を思い出す。

……ちょっとでも時間を稼ぐために後ろからおちょくってやろう。

 

「ありゃ」

「ん、あー……はい、撤収」

 

直後、目の前に落ちる砲弾。エンジン音とか最小限に留めてたんだが。

 

『西住まほは戦術・戦略共に妹と並ぶ。恐らく微弱な振動と今までのこちらの作戦行動から予測したんだろう』

 

才能の塊。ああ言ってる場合じゃなくて、さっさと本隊に合流しないと。

みほさんの活躍もあって無事本隊も渡河を成功させたらしい。正直俺の心の中では見捨てるなんて選択肢も一瞬浮かんできたので少し肩身が狭い。

 

「あの3号、明らかに誘ってますね」

「でも西住ちゃんの言う通り、やれる時にやっとかないとねー」

『その3号に付いていくと、お待ちかねのマウスだ』

 

ハイエの言う通り、通路の突き当りで3号が堂々と停車して待ち構えていた。

 

「会長、あの舐め腐った3号だけでもやっておきましょう」

「はいよー」

 

左からマウスが出てくるまで残り2秒。会長が驚いて手を止める前に3号は撃破してもらった。勝利を確信して油断している時が一番潰しやすいのは、どの時代も変わらないものだ。

まぁ今は問題のマウスだが……。

 

とか思ってたら、マウスが砲身を団地の壁に引っ掛けた。

 

『今ので砲身が歪んだから命中率が下がったよ』

「退却してください!」

「残り少ない煙幕も使ってください!」

 

咄嗟にみほさんと俺が無線で全車に指示を出した。本当に残量が少ないから20秒も持たない。まぁ砲身が歪んでるからこの通路は損害無く退却出来る筈だ。周りの様子を確認するため、ハッチを開けて上半身を出した。

 

その数瞬後、目の前に居たカモさんチームが運悪く直撃を食らって吹き飛んだ……被弾した際の部品をまき散らしながら。

 

 

 

そしてまたも運悪く、破片の一つが俺の左目に直撃した。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




Q、え、プラウダの時みたいに芸達者な事しないんですか!?
A、あんまりやると説明が追いつかないのだ。なお次回もやらかす模様。
Q、頑張った要素どこですか?
A、そんなの私が知りたい。

ちょっと短いけどキリが良いのでご容赦ください。
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