魔王城でおやすみシスターズ   作:Dr.クロ

2 / 3
人質になった2人の姫、だけどそんな感じを気にせず今回も良い睡眠の為に頑張る。


第二夜~シーツとコーヒーとデス~

さて、本編に入る前に前回の最後に書いた事についての補足を語ろう。

 

現代の様な時代。

 

そこで2人は生きていた。

 

妹の事を大事にしながら生きていた男。

 

いかつい見た目とは裏腹に可愛いものとスイーツが好きな男。

 

普通に過ごしていたら特に接点がなかった2人だが、ある悲劇が起きた。

 

1人目の男が大事にしていた妹が事故で無くなってしまった。

 

悲観にくれた1人目は死のうとして、それを偶然見かけた2人目が止めに入った。

 

お互いに死なせてくれと死ぬなと言っていた所に……トラックが衝突した。

 

2人はそれにより生を終えてしまったが不憫に思った神様が2人を要望した特典を持たせてファンタジーの世界に転生させた。

 

1人目は特典に妹と共に見ていたアニメで好きだったキャラの使っていたのを魔力で使える様にして欲しい。

 

2人目は動物を除いた言語を全て理解できる様にと可愛いものやスイーツを食べてもおかしくない女に生まれ変わらせて欲しい。

 

その結果、2人は女性に生まれ変わった。

 

なお現在の2人は前世のことをほとんど覚えておらず、自身たちが転生者だと言うことも覚えてなかった。

 

捕捉はこれにて、それでは本編に戻ろう。

 

 

 

 

前回から翌日。

 

今日もユウグレは2人の姫に会いに行く所であった。

 

牢屋に近づくとスヤの呻き声とウトの慰める声が耳に入る。

 

ユウグレ「ん?何かあったのかな?」

 

確かめる為にユウグレは牢屋の中に入っておはようと声をかける。

 

ウト「お、ユウグレか」

 

ユウグレ「何かあったの…って何その木!?」

 

要件を聞こうとして何時の間にか牢屋の中に生えている木に驚いてしまう。

 

その下で何時の間にか来ていたでびあくま2頭が水やりしていた。

 

ウト「む、これか?私が品種改良して作った特製のコーヒーの木だ。種をまけばすぐに実がなるぞ」

 

ユウグレ「成長早すぎでしょ!?」

 

ほげぇ!?と驚くユウグレにまぁ、一杯と淹れたのかコーヒーが入ったカップを手渡す。

 

ウト「味は保証する。美味いぞ」

 

あ、どうもと受け取って一口飲んでみる。

 

ユウグレ「うわっ!凄く美味しい…!」

 

ウト「その味を何時でも飲めるようにするために品種改良したからな」

 

苦労したと漏らすウトにそうなんだとコーヒーの美味さに舌鼓を打ちながらユウグレは鏡を見て震えてるスヤを見る。

 

ユウグレ「ところでスヤ姫さん。なにに震えているの?」

 

ウト「あぁ、顔にシーツの跡ができてしまったんだと」

 

それは同情しちゃうなとユウグレはスヤを見ながら頬を掻く。

 

同じ女性として肌に跡が付くのは嫌なのが分かるのだ。

 

スヤ「…魔王城はシーツの質も悪いのか…っ!」

 

ユウグレ「あはは、ごめんねー;」

 

なんとも言えない顔をするユウグレの後に後はこれだろとウトがスヤの王冠を指す。

 

ウト「王冠つけながら寝るからだろ」

 

ユウグレ「あ、着けたまま寝ちゃってたんだ」

 

なんで?と首を傾げるユウグレにスヤは王冠を触りながら困った顔をする。

 

スヤ「…前髪留めていないと落ち着かないの…」

 

ユウグレ「あーそうなんだ」

 

ウト「ヘアバンドがあればいいんだが…材料があっても道具がな」

 

枕を作る際に余った材料を見て呟くウトに道具を貸す位なら良いかなとユウグレが思っていると……

 

???「姫達~食事よォ~って、あんら~ユウグレ様じゃないですか」

 

そこに右腕が沢山のハサミで出来ていて、顔の左側に仮面をした男性が来る。

 

ユウグレ「あ、シザーマジシャンさん!」

 

シザーマジシャン「今日も遊びに来られていたのですね~」

 

そうなんですよ~と微笑むユウグレにシザーマジシャンも楽しそうに笑う。

 

スヤ「(…ハサミ)」

 

ウト「(ハサミだらけの身体だな…)」

 

2人は2人でシザーマジシャンの右腕に目が行っていた。

 

ユウグレ「あれ?なんか腕調子悪そうだけど大丈夫?」

 

シザーマジシャン「分かります?ハサミの留め具の調子が悪くて……それで姫様達のお食事を運ぶのに遅れちゃったんですよ」

 

右腕を見て聞くユウグレにシザーマジシャンはそう返しながらテーブルに2人の食事のを置いた瞬間。

 

ポロッ

 

シザーマジシャンの右腕に付いていた留め具と思われるのが外れる。

 

シザーマジシャン「やだぁ~ついに壊れちゃったわ!代わりの留め具がないと困ったわ……」

 

ウト「代わりの留め具か。何かあったか…」

 

スヤ「……」

 

困り果てるシザーマジシャンにウトは探す前にスヤが自分の王冠を差し出す。

 

ウト「…おい、スヤ。まさか…」

 

スヤ「…これ、あげる。その代わり、ハサミを一つ…」

 

シザーマジシャン「えっ!?冠くれるの良いの!?」

 

あんらぁ~!とシザーマジシャンは嬉しそうにスヤから冠を受け取る。

 

シザーマジシャン「ありがとうね!!ハサミも沢山あげるわぁ~~~!!」

 

ホントありがとう!とお礼を述べてシザーマジシャンは様々な大きさのハサミを置いてご機嫌で牢屋を出て行く。

 

ウト「…すまん。王国の民たちよ。これもスヤの安眠のため…」

 

ユウグレ「お、王冠渡しちゃうなんて凄いねスヤ姫さん;」

 

嬉しそうにヘアバンドを作り始めてるスヤを見ながらウトは王国へと謝罪の言葉を手を合わせて延べ、ユウグレは苦笑するしかなかった。

 

 

スヤ「かわいくできた…!」

 

ユウグレ「おー、可愛いね!」

 

冠と同じ形のヘアバンドにユウグレは褒める。

 

ウト「うう、可愛すぎだろ」

 

ユウグレ「……でもこれで顔に痕できなくなるの?」

 

悶えてるウトを横目にユウグレはそう聞くとスヤはあっとなる。

 

スヤ「そうだ…シーツ問題が解決していない…!」

 

ユウグレ「あ、やっぱりそっち改善する;」

 

震えるスヤにユウグレは冷や汗を掻く。

 

ウト「良い布があればいいんだがな…」

 

スヤ「貰ったこの大きなハサミもどうすれば…」

 

うーむと唸る姉妹にユウグレも何が上げた方が良いかなと思っていると……牢屋の前を魔物の1人、うろこトナカイが通り過ぎる。

 

その際にスヤはうろこトナカイの背中にあるマントに目が入る。

 

ユウグレ「(なかなか綺麗なマント…どこかで買ったのかな?)」

 

ユウグレもそう思った後にスヤを見てあっとなる。

 

スヤ「……」がしょん

 

ウト「スヤ、それはちょっと怖いぞ;」

 

何時の間にか貰った中で一番大きなハサミを手に持ったスヤにウトはそう注意する。

 

ユウグレ「えっと…もしかして…」

 

スヤ「…マントハント行ってくる」

 

それを聞いた瞬間、ユウグレはすぐさま考える。

 

止める→でびあくま乱舞に襲われて気絶→その間に姫がマントを切り裂くりまくる→兄に怒られる。

 

止めないでマントを付けていた魔物を教える→姫はそのマントを取る→兄に怒られるけど被害が少なくて済む(その魔物にトラウマが出来るかもしれない)。

 

ユウグレ「…さっきのマント付けていた魔物教えるからそれ終わったら牢屋に戻ってくれる?」

 

スヤ「…いいよ」

 

後者を選択してそう言うユウグレにスヤは頷く。

 

ウト「(なるほどな。逆らうよりすぐ終わらせた方が被害少ないと考えそっちを選んだのか)」

 

まぁ、それが妥当だよな……とウトはそう思いながら後に続いた。

 

ウト「でさっきマント付けていたのは誰なんだ?」

 

ユウグレ「うろこトナカイって言う魔物なんだけど…(あんなマント、普段付けていたっけあの人?)」

 

スヤに代わって確認するウトにユウグレは言ってからあれ?となる。

 

覚えている限り、彼がマントをしていると言う姿を見た事ない。

 

んーと唸っている間に前を歩いていたスヤが見つけたと呟く。

 

スヤ「…あれ、マント付けてる」

 

ユウグレ「んー?あれはレッドシベリアンさんたちだから違う……ってスヤ姫さん!?」

 

探してるのとは違うと言い切る前に切ろうとするスヤにユウグレとウトは慌てて止めに入る。

 

ユウグレ「待って待って!あの人たちは違う!違うから!」

 

ウト「よく見ろスヤ!色が違うだろ!」

 

そう言われてスヤはそう言えばと目に入ったマントは綺麗な真っ白な奴だったなと思い出す。

 

スヤ「…じゃあ違うか…」

 

ユウグレ「そうそう違うからね。うろこトナカイって子だからねしてたの」

 

トナカイと聞いてスヤはトナカイと探す。

 

ふうと息を吐くユウグレに先ほどマントを切られそうになっていたレッドシベリアンが話しかける。

 

レッドシベリアン「あの、ユウグレ様、何をされてるんでしょうか?」

 

ユウグレ「んー…シーツ探し?」

 

はぁ?と告げられた事に訝し気になるレッドシベリアンにそれじゃあとユウグレはスヤ達と共にそそくさと去る。

 

ユウグレ「うろこトナカイさん何処かなー?」

 

スヤ「何処だ…何処だ…私のシーツ…!」

 

ジャキン、ジャキン、ジャキン!

 

目的の人物を探すユウグレの前でスヤは大きなハサミを鳴らす。

 

ウト「(イライラし始めてるなスヤ…)」

 

ユウグレ「(なんだか魔物より恐ろしくない?スヤ姫さん)」

 

その様子にユウグレがうわぁとなっているとついに目標が見つかった。

 

うろこトナカイ「良し!楽に荷物を運べたぜ!サンキューおばけふろしき」

 

???「なんのこれしき」

 

彼は宙に浮かぶ手と顔がある布に話しかけていた

 

ユウグレ「あ、あれはおばけふろしきさん!」

 

ウト「おばけふろしき?」

 

その布を見てユウグレは思い出したと声をだして、ウトは首を傾げる。

 

ユウグレ「うん。生きている布の魔物で九十九族って呼べる種族の一種なんだ」

 

ウト「そうだったのか…。……ってことはシーツの材料は」

 

簡単に説明するユウグレにウトは納得してからこれから先の展開が頭を過り……

 

「ぐべろば!?」

 

うろこトナカイ「おばけふろしきぃぃぃぃぃぃぃ!?」

 

断末魔と悲鳴にユウグレとウトは顔を向けると頭と腕を除いてスヤにより両断されるおばけふろしきの姿があった。

 

ウト「(やはりこうなったか…)」

 

ユウグレ「お、おばけふろしきさーん!?」

 

ウトは手を合わせ、ユウグレは絶叫する。

 

うろこトナカイ「(ガクガク)」

 

スヤ「…にっ」

 

手に入れられたと喜ぶスヤに普通に悪役だなとユウグレとウトは思っていると……

 

おばけふろしき2「ど、どうした!?同族の悲鳴が聞こえたんだげんば!?」

 

被害者がもう1人増えるな……と断末魔を聞きながらウトとユウグレは再び手を合わせるのであった。

 

 

スヤ「姉さん用のもゲットできた…」

 

ウト「良かったなスヤ」

 

笑顔で言うスヤにウトは引きつった顔でそう言う。

 

ユウグレ「(おばけふろしきさんの死体なのに普通に使うんだ……)」

 

触ってみたら触ってみたらで確かに良い手触りだったけど採取光景を見せられていたのでなんとも言えないのだ。

 

そんなウトとユウグレを気にせずにスヤはぬのおばけシーツをベッドに敷いて一旦距離を取る。

 

スヤ「(…でも…ただ寝てはダメ。新しいシーツには作法がある…。手に入れるのに苦労したらならなおさら、これをしないとはじまらない…!)」

 

勢いをつけて走り出し……

 

スヤ「(いざ、シーツの海へー!)」

 

シーツへと飛び込んだ。

 

スヤ「(! す…すごい…いいにおい…しかも残った霊気で肌が潤ってる…。さすが生きた布…これは…すいこまれ…る…)すやぁ…」

 

ウト「寝たか…良い寝顔だ」

 

ユウグレ「それだけ気持ち良いんだね」

 

ふっと笑うウトにユウグレは困った顔をして返す。

 

するとそこにタソガレが来る。

 

タソガレ「また抜け出したと聞いた……なんだこの木!?」

 

ウト「私の私物だが」

 

怒鳴ろうとして木に驚くタソガレにウトはしれっと返す。

 

私物!?と驚くタソガレにウトはシーとする。

 

ウト「スヤが寝てるんだ。大きな声出すな」

 

タソガレ「あ、ああ……しかしよくこんなのを……」

 

戸惑うタソガレにまぁ、一杯飲んでみろとウトはコーヒーを差し出す。

 

ユウグレ「お兄様、とっても美味しいよこのコーヒー」

 

木とコーヒーを見ていたタソガレはそう言われてコーヒーを啜って見る。

 

タソガレ「おお……」

 

ウト「美味いだろ?それ元々は一杯500Gするんだぞ」

 

感嘆するタソガレにウトは楽し気に言う。

 

タソガレ自身、甘い物が主に好きではあるが今飲んだウトのコーヒーは程よく良い香りと美味さも良かった。

 

これは自分だけ飲むのは勿体ないと考えてある考えを思いつく。

 

タソガレ「ウト姫よ。頼みたい事がある」

 

ウト「ん?なんだ?」

 

コーヒーを持ちながらそう言うタソガレにウトは飲みながら聞く。

 

タソガレ「このコーヒーを魔王城で売らせて欲しいのだ。無論、ちゃんと利益の一部をそちらに渡すし、ユウグレと一緒にいれば魔王城内を歩く事も許す」

 

ユウグレ「おお、好条件だねお兄様!」

 

ウト「ほぅ…売ると言うといくらぐらいだ?」

 

驚くユウグレの後にウトは聞く。

 

タソガレ「もちろんそちらが言った500Gで売るつもりだ。部下相手にぼったくるつもりはない。どうだろうか?」

 

ウト「ふむ…そうだな」

 

少し考えてウトは持ってきてた荷物からそろばんを出すと計算を始める。

 

ウト「……よし、それくらいなら良いだろう。小遣い稼ぎなもんだしな」

 

タソガレ「交渉成立だな。もしも断られたらどれ位にすれば良いか悩んでいたぞ」

 

そう言いながら手を差し出すタソガレにウトも握り返す。

 

こうして魔王城で新たな人気商品が増えた。

 

姫もまた安眠出来る様になった……と思われた。

 

 

2日後の魔王城

 

グヒャホホホホホホホホホホホホホホ

 

ゴギョギョゴギョギョギョギョギョギョ

 

スヤ「…うるさい…」

 

ウト「最近のなんだこの騒音は…!」

 

響き渡る鳴き声と思われるのにスヤは枕で塞ぎながら呻き、ウトも来ていたユウグレに聞く。

 

ユウグレ「あーあれは最近増えた新入りの魔獣のイビキだよ」

 

ウト「これ唸り声じゃなくてイビキかよ……」

 

はた迷惑すぎるだろ……とウトはぼやく

 

スヤ「じゃあその原因をなんとかすればいいのか…」ジャキン

 

ユウグレ「退治は勘弁してあげて!」

 

ハサミを構えるスヤをユウグレは慌てて止める。

 

ウト「それは最終手段にしておけスヤ。それ以外で静かに眠れる方法を探したらどうだ?」

 

スヤ「……そうする」

 

最終手段にしないでとユウグレが願う中で気分転換に散歩に出たらどうだ?とウトは提案する。

 

ウト「散歩しながらアイデア探せばいいではないか」

 

スヤ「ん、そうする」

 

折角条件付きだけど歩けるんだからなと言うウトにスヤは頷き、3人は歩き出す。

 

ミノタウロス「あ、姫達だ」

 

はりとげマジロ「魔王様が言ってた通り、ユウグレ様付きで歩いてるな」

 

そんな3人のに魔物たちは興味深げに見ている。

 

ウト「なんだかこっちを見てるな」

 

ユウグレ「そりゃあお姫様2人が歩いてたら見られるのは当然だよ」

 

ああ、確かにそうかとウトは許可をくれたとはいえ、逃げないか気になるのも仕方がない事だ。

 

ミノタウロス「あ!ユウグレ様に姫達!そっちは危ない!!」

 

スヤ「え?」

 

ウト「む?」

 

どういう事……と3人が聞く前に……

 

ぐにっ!

 

先頭を歩いていたスヤは床にいたスライムの様な魔物、なめらかグミを踏んで……

 

つるっ!

 

表面のぬめりで滑らせてしまい……

 

ボチャーーーン!!!

 

マグマに落ちた。

 

少ししてスヤ姫の墓と書かれたお墓が浮かび上がって来る。

 

魔物ズ「「「「姫ェェェェェェェェェェェェ!?」」」」

 

ユウグレ「スヤ姫さぁぁん!?」

 

スヤ姫死亡に誰もが絶叫する。

 

はりとげマジロは気づく。

 

妹が死んだなら姉が驚いてる。

 

なのに反応がない。

 

恐る恐るウトを見たはりとげマジロは目を見開く。

 

はりとげマジロ「あ、ああ……」

 

ユウグレ「ま、まさか…」

 

はりとげマジロの声にユウグレはヤバいと思いながらウトを見る。

 

そして気づくと共にはりとげマジロが声を絞り出す。

 

はりとげマジロ「し、しろめになって……死んでる……」

 

魔物ズ「「「はいぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃ!?」」」

 

そう、ウトは白目を剥きながら、口から血を垂れ流して……ショック死していた。

 

ミノタウロス「おい!どうすんだ!?2人の姫が永眠したぞ!?一応人質なのに!?」

 

フランケンゾンビ「眠りたがってたし、良いんじゃね?」

 

手下ゴブリン「良くねーよ!?」

 

ユウグレ「早くあくましゅうどうしさん呼んできて!」

 

はりとげマジロのやべぇやべぇをBGMにマグマに浮かんだスヤ姫の墓と直立不動してるウト姫(死)に焦る魔物達へとユウグレは慌てて指示を出す。

 

 

ーおお、ウト姫とスヤ姫よ……死んでしまうとは情けない!-

 

ウト「う…ここは…?」

 

ユウグレ「あ、目が覚めた!よかったぁ…」

 

声の後に意識が戻ったウトにユウグレは心底安心した顔を見せる。

 

ウト「ユウグレ。ここは一体…」

 

スヤ「はっ!」

 

体を起こした後に隣でスヤも目覚める。

 

???「お目覚めかな?」

 

そんな2人へと司祭の格好をした魔族の青年が声をかける。

 

スヤ「うん……うん!?」

 

ウト「…誰だお前は」

 

ユウグレ「この人はあくましゅうどうしさん!十傑衆の一人で悪魔協会のフロアボスもしている魔物だよ」

 

初めて会う人物だったので聞くウトにユウグレが紹介する。

 

あくましゅうどうし「紹介されましたあくましゅうどうしと言います。協会は魔王城地下にあるんだ。もうマグマに落ちたり、ショック死しないようにね」

 

ウト「しょ、ショック死していたのか私は…」

 

スヤ「いたっ…」

 

うわ、恥ずかしいとウトは顔を赤くしてるとスヤの声に顔を向けると左手を抑えるスヤの姿があった。

 

スヤ「(なんだこの寝床は…?ここで寝ていたのか?なんて質の悪い…安眠要素ゼロじゃないか…!)まるで棺桶…」

 

ユウグレ「いや、棺桶だからね;」

 

あくましゅうどうし「そりゃあ死んでたんだから棺桶で寝かせられるのは当然でしょ」

 

呟いたスヤのにユウグレとあくましゅうどうしはツッコミを入れる。

 

スヤ「(新天地など…なかった…)」

 

ユウグレ「す、スヤ姫さん?」

 

落ち込むスヤにユウグレは心配そうに声をかける。

 

スヤ「(これじゃあ騒音で寝た方が何倍も……ん?騒音?)」

 

マシだ……と内心思っていたが棺桶の分厚い蓋を見て気づく。

 

スヤ「(そうか…質が悪いのなら…)」

 

ユウグレ「す、スヤ姫さん?」

 

すっと立ち上がるスヤはあくましゅうどうしを見る。

 

スヤ「いやぁ……君のツノ、ギザギザして良いツノだね」

 

あくましゅうどうし「え?」

 

ウト「(…あ、もしや…)」

 

そう呟いたスヤのにウトはあくましゅうどうしの未来を知った。

 

\ぎゃあぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!?/

 

直後、悲鳴が迸った。

 

あくましゅうどうし「何を!何をするんだウワアアアアア!!!!」

 

ユウグレ「あわわわわ!?」

 

スヤがあくましゅうどうしの角をヤスリの様に使い、棺桶の縁を磨く。

 

それにユウグレは顔を青ざめて震える。

 

ウト「待てスヤ」

 

ユウグレ「(ウト姫さん!止めてくれるんだね!)」

 

そんなスヤにウトが待ったをかける。

 

期待するユウグレだが……

 

ウト「もう少し優しくやったらどうだ?」

 

スヤ「あ、そっか。その方が削り過ぎにならない」

 

あくましゅうどうし&ユウグレ「(そこじゃないっ!)」

 

違ったアドバイスに2人は叫ぶ。

 

その後、あくましゅうどうしはアドバイスを受けた事で優しく角で棺桶のやすり掛けをされ続けた。

 

スヤ「ふぅ…やすりはこれぐらいでいいかな?」

 

あくましゅうどうし「はあはあ……し、死ぬかと思った」

 

ユウグレ「だ、大丈夫?」

 

暫くして開放されて息を整えるあくましゅうどうしにユウグレは声をかけ、なんとかと返される。

 

ウト「やすりがけの次はワックスだな」

 

うんと頷き返してから傍の棺桶にスヤが死ぬ原因でもあったなめらかグミがいた。

 

ユウグレ「あ、まさか…」

 

止めたげてとユウグレが言う前にスヤはなめらかグミを掴み……

 

スヤ「ワックス!」

 

なめらかグミ「ぎゃあぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!?」

 

あくましゅうどうし「姫ぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇ!?」

 

先程のあくましゅうどうしを使った様に勢い良くこすって綺麗にする。

 

ウト「ムラなくしっかりしないとな」

 

ユウグレ「いや、死んじゃう!死んじゃうからやめてあげて!」

 

慌てて止めようとしてる中で騒ぎに気付いた他の魔物達が来る中でワックスがけが終わったのかなめらかグミを開放する。

 

スヤ「あとは持ってきた枕とシーツを入れて…」

 

ユウグレ「いつの間に!?」

 

そしてどこからともなく出した枕とシーツをセットすると蓋をして寝る。

 

ウト「……さて、この棺桶買い取りたいのだがいくらだ?」

 

ユウグレ「買い取るの!?」

 

妹の睡眠を見届けてからそう聞くウトにユウグレは驚く。

 

あくましゅうどうし「あ、すいません。それ備品ですから売れないし、私物化しないで、一旦部屋に運ぶけども;」

 

ウト「これでもか?」パチン

 

そう言って指を鳴らすと魔法陣が出現し……

 

ドドン!!

 

大量のGが出現する。

 

どくされゾンビ「な、なんだあの量!?」

 

きゅうけつき「大体1000万Gある様な……流石王族、懐が多い;」

 

その量に魔物達はざわめく。

 

あくましゅうどうし「あ、すいません。どれ位詰まれても売るのはできないので、もし新しいのを作ってくれるなら姫が眠ってるのを譲ると言うのでまだ良いけど」

 

魔物ズ「「「「(断った!そして妥協案出した!あくましゅうどうし様パネェ!!)」」」」

 

ユウグレ「(流石十傑集の一人…あくましゅうどうしさん!)」

 

ウト「作れば良いのか?」

 

再び断るあくましゅうどうしに魔物達はおおおおお!となり、ユウグレも感嘆する中でウトが確認する。

 

あくましゅうどうし「はい、備品だから勝手に持ってかれたらダメだからなのと、交換と言う形で譲歩するなら大丈夫かと」

 

ウト「……何処で作ればいい?」

 

あ、なら案内するねとユウグレはウトを案内する。

 

あくましゅうどうし「(作ると言っても時間かかりそうなのと1日で無理だろうし、しばらくしたら運ぼうっと)」

 

そう考えながら暫し待とうねと魔物達に指示を出す。

 

 

15分後

 

ウト「できたぞ」

 

魔物ズ「「「「えぇぇぇぇぇぇぇぇぇ!?」」」」

 

豪華な石棺を運んで来たウトに誰もが驚く。

 

あくましゅうどうし「な、なんて凄い石棺だ」

 

ユウグレ「ウト姫さんの錬金術凄いね~」

 

ウト「材料があれば即出来るから良い素材のを使わせて貰ったぞ」

 

おおと驚嘆するあくましゅうどうしにウトはそう言う。

 

あくましゅうどうし「これなら代わりとして十分だね。さ、運ぼうか」

 

魔物ズ「「「「分かりました」」」」

 

ユウグレ「慎重にねー!」

 

ウト「妹起こすなよー」

 

スヤが入った棺桶をあくましゅうどうし先導のもと、魔物達は持ち上げて運び出す。

 

それを後ろに続きながらユウグレがウトに話しかける。

 

ユウグレ「ウト姫さんの錬金術、凄いねー。何処で教わったの?」

 

ウト「私の錬金術か?どう説明しようかねぇ……」

 

ふうむとウトは顎を摩る。

 

それにユウグレは首を傾げる。

 

ユウグレ「どうしたの?もしかして極秘?」

 

ウト「極秘と言うか、説明が難しいと言うか……」

 

どう言えば良いか悩んでいるウトにそれだけ難しい感じかなとユウグレは思う。

 

ウト「私もどうして使えるのかもわからないしな……

 

ユウグレ「え?なんか言った?」

 

顔を向けるユウグレになんでもないとウトは返す。

 

しばらくして棺桶は牢屋に置かれる。

 

あくましゅうどうし「それじゃあ僕達は仕事に戻るから、次からは死なないようにね」

 

ユウグレ「はーい!」

 

ウト「そう簡単に死なないと思うぞ。普通人は」

 

だからだよとウトのにあくましゅうどうしは苦笑しながら帰って行った。

 

ウト「良い人だったな。あくましゅうどうし」

 

ユウグレ「うん。昔から見てくれていたもの」

 

呟くウトにユウグレはそう返す。

 

ユウグレ「でもお父様が見せてくれた写真では衣装が違ったけどね」

 

ウト「写真?」

 

そんなのあるのか?と聞いたウトはうんと返される。

 

ウト「じゃあ今度見せてくれないか?」

 

ユウグレ「うん!部屋に写真あるから見せてあげるね!」

 

楽しみにしてるよとウトは笑う。

 

ウト「では私もそろそろ寝るとするか」

 

ユウグレ「それじゃあおやすみなさいウト姫さん」

 

おやすみとユウグレは牢屋を出る。

 

ウトはベッドに向かう途中で棺桶を少し開けて寝ているスヤを見る。

 

ウト「おやすみ、スヤ。静かに寝れるといいな」

 

そう言って棺桶を締めて自分もベッドに入って眠る。

 

こうしてまた1つ、快眠グッズを手に入れたスヤ姫達であった。

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。