ウハウハ作戦、開始します!   作:ブネーネ

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ウハウハ作戦、暗躍します!

文部科学省学園艦教育局長である辻廉太からの土産を抱えて大洗女子学園に戻った生徒会三羽烏は資料を整理し、ほぼ私物化していた生徒会を締め切り緊急会議を行った。

 

学園艦の存続、絶望的と思われた願いは一縷の望みを以てようやく形になりつつある。

 

しかしその願いを叶えるためには苦難と困難の道を進む以外にはなかった、即ち全国戦車道大会における優勝である。

 

「会長……もう無理ですよ……」

 

「無理って言わなーい」

 

「会長、そうは言っても何もかもが足りません。これは駄目ですね…」

 

「駄目って言わなーい!!」

 

しかし優勝以前に問題があった、大洗女子学園には戦車道チームが無いのである。

 

戦車が足らぬ、人員が足らぬ、資金が足らぬ、時間が足らぬ、無いない尽くしのフルコースだ。

 

かつては大洗女子学園でも戦車道が行われていたという事実があった、しかし自然と解散していった後に何故か戦車の行方は不明になっていた。

 

とは言え戦車を売却したり廃棄した記録は残っていないために恐らくこの広大は大洗女子学園艦の中に隠されているという希望は残っている。

 

資金も予算をやりくりしつつ自前の設備とスタッフで作業を行う事で形にはなるだろう、しかし問題はここからだ。

 

どうあがいても集まる人員は素人で、強豪校と遣り合うには力不足。付け焼刃に尽きるだろうが初心者に対する講習は戦車道連盟に申請すれば教官の派遣は可能。

 

故にせめて優秀な指揮官が欲しい、烏合の衆では駄目、正道では各校の歴史に到底及ばない。

 

戦車道に詳しくカリスマがあって訓練が得意で王道奇道共に明るく臨機応変で賢く優秀な指揮官が欲しい。

 

そんな貴重かつフリーで都合のいい存在がいる筈もなく―――

 

 

「戦車道に詳しくカリスマがあって訓練が得意で王道奇道共に明るく臨機応変で賢く優秀な指揮官がいるんですが、欲しいですか?」

 

「はい」

 

 

―――居 ま し た。

 

 

 

 

 

 

 

黒森峰女学園、悲願の10連覇を逃す。

 

このニュースが飛び込んだ時、或いはその前から既に一人の男が、いや一つの組織が動き出していた。

 

「全てのマスコミの報道を操作、ある程度の袖の下は容認します」

 

「戦車道連盟の会長へアポを取り付けなさい」

 

「西住流の家元にもアポを、手土産も用意しなさい」

 

「私は閉会式で事態の鎮静化を図ります、原稿の用意を速やかに、後で確認して必要があれば私が修正します」

 

ここまでの騒動になっているのは文部科学省学園艦教育局長である辻廉太が動き出した事と理由は同じである。

 

しかしその中身は非常に政治的な問題となっており、言ってしまえば大人の思惑の為である。

 

この時期は戦車道世界大会やプロリーグと言ったイベント、そこに纏わる資金の動きに政治家達はご執心だ。

 

つまりはここで揉め事を起こせば自らが得る筈の利権に支障が出る事を恐れている連中がいる。

 

一役人でしかない辻はここで遂に動いた、つまり自分の好きにやらせろという上申を叩きつけたのだ。

 

上下関係の厳しい上の連中や、手続きの面倒事を嫌った他の役人には渋られたがそこは辻の力の見せどころ。

 

何せ戦車道の役人や重役、そして選手と縁が深いのは自分だ。役人共も政治家達も初めましてから始めるには手が遅い。相手の機嫌を損ねるなど以ての外だ。

 

伊達に戦車道連盟の一員として暗躍の手を伸ばしていたわけではない、全ては己の野望の為。

 

職権を濫用しつつ歴史を改変し、ガルパン少女の新たな一面を収集する事。

 

 

 

名付けてウハウハ作戦です!!

 

 

 

 

 

 

 

「私は地獄に落ちるでしょう、それだけの事をしてきたつもりです」

 

「まあまあ、それでも君が頑張っている事は皆知っているよ」

 

戦車道連盟本部の理事長室にて二人の男が杯を交わしていた。

 

一人は文部科学省学園艦教育局長、辻廉太。そしてもう一人は戦車道連盟理事長、児玉七郎。

 

年は違えど彼等は親交を深め、今では時に子供達や戦車道の将来を憂いこうして度々顔を合わせる事があった。

 

辻廉太という男を児玉は随分と買っていた、彼は若くして日本の未来を明るくするために教育という道に己を捧げていた。

 

あらゆる道に通じ、己の足で現場に直接乗り込む事を躊躇わず、使えるものは何でも使う。

 

大人になれば誰でも清廉潔白ではいられない、それでも彼は全ての泥を被るのを承知の上でとある計画を進めて来た。

 

児玉はある時、高潔な精神を持つ辻が『大洗女子学園を廃校にする為に各校の統廃合を決定した』と言い放った時は随分と驚いた。

 

―――そう、統廃合の計画を立ち上げたのは目の前の男、辻廉太なのだ。

 

しかも統廃合を決定したから大洗女子学園が廃校になるのではない、その逆なのだ。

 

児玉も道は違えど導く側の人間だ、最初は廃校を撤回した方がいいのではないかと勧めるも彼は断固として拒否した。

 

しかも戦車道の全国大会で奇跡的に大洗女子学園が優勝しても、大洗女子学園の廃校が撤回されない事を承知の上である。

 

『大洗女子学園を何回か視察して気付きましたがあの学校は将来的に廃校になるでしょう、であれば一時的な廃校撤回など無意味です』

 

一方で文科省の弱みとなる部分をあえて残したのも辻だった。戦車道を盾に国家の方針を操作する権利を奪取する事に成功したのだ。

 

まずは統廃合を撤回する前例を作る事、それがその他の学校の存在意義を守る事にもつながる。

 

『私が悪となります、そして私が消えれば全てが解決するよう全てを引き受けます』

 

児玉七郎にはその覚悟の重みが理解できなかった、何故そこまでするのか分からなかった。

 

『戦車道の存在は大きくなりすぎました、それに伴って動く莫大な資金も』

 

それはつまり、戦車道に関わる人材以外に重きを置かれなくなるという事だ。

 

閉鎖し、圧迫された環境では可能性は生まれない。それは狂ったスクールカーストの中で発生しかねないと。

 

それは礼節のある、淑やかで慎ましく、凛々しい婦女子を育成することを目指した武芸とされる戦車道の道から外れるものだと。

 

故に多様性が必要であり、それは外部からの因子が最も環境に変化を与えるという事。

 

それが学園艦を、少女たちの拠り所を守る事につながる事。

 

『理事長には誠に申し訳ございません。ですが私は学生達の将来の為に戦車道を利用します、戦車道の可能性を私は世界に知らしめたい』

 

『戦車道の可能性…それは興味も湧くがそれは一体なんだと言うのかね』

 

 

 

『戦車道は―――いいぞ』

 

 

 

全く伝わらなかったが、児玉七郎は受け入れる事にした。

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