【完結】Re:Connect ―揺れ動く、彼女の想い―   作:双子烏丸

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いつか振り向いてくれると、信じて

 

 

 ―――― 

 

 声のした方を見ると、そこには私と同い年くらいの女の子が。

 

「……座る所が空いてなくて。もし、良ければでいいのですけど」

 

 私の前に立っていたのは、垂れ目気味の明るくてふわっとした女の子。

 猫耳と尻尾を生やした、紫色の瞳と白い髪で跳ねっ毛気味なショートカットの子で、ワンピースから紫の薄い上着を着ているのが似合っている感じかな。

 

「うん。全然大丈夫ですよ」

 

「ありがとうございます! それじゃあ、失礼して……」

 

 女の子は丁寧に一礼して、私の横に座った。

 

 

 

「ここってとっても良い場所ですね。スペースコロニーにいる体験なんて、GBNじゃないと出来ないから」

 

 隣に座った女の子は、こんな事を呟いていた。

 そして私に視線を向けると。

 

「……ねぇ、そう思わない? えっと」

 

「私の名前はヒナタ。……ムカイ・ヒナタって言うの」

 

 この子とは今日初めて会うんだ。だからそう、自己紹介をしないと。

 

「ヒナタ……さん、素敵な名前です! 何だか太陽みたいに明るくてキラキラしている感じって言うかな、とても気に入っちゃった」

 

 女の子はぱあっと笑顔を向ける。

 

「じゃあ私も自己紹介しようかな。

 私はミユ、現実世界では高校生をしているんだ。ヒナタさんも多分同じかしら?」

 

 それに私は頷いてこたえた。

 

「はい。私も高校生なんですよ。ミユさんとは年も近いから、仲良くなれそうかな」

 

 

 

 ――――

 

 広場で知り合った女の子――ミユさん。ちょっと不思議と気の合いそうな、そんな感じがするんだ。

 

「……へぇ! ヒナタさん、お友達がたくさんいるんだね」

 

「最近知り合ったんです。カザミさんにパルくんに……それにメイさん。そんなみんなの仲間に――ビルドダイバーズの一員として、私も入ったの。

 みんなとても素敵な私の友達なんだ」

 

「ビルドダイバーズかー! 名前だけは知っているかな。えっと、この前の大きなイベントで活躍したフォースのことかしら。

 うーんと、確か同じ名前のフォースが二つあったと思うけど、どっちかな。感じ的には……コアガンダム……だっけ、あの色々姿を変えたりするガンダムがいる新しい方のビルドダイバーズかな?」

 

 私はうんと答えた。

 この前のイベントと言うのは、エルドラからGBNへとアルスが侵攻してきた事なんだ。

 エルドラでの戦いでヒロト達に追い詰められたアルスは、ヒロトのコアガンダムとプラネットシステムをコピーした機体でGBNに攻めて来た。その時、ヒロトたちビルドダイバーズはもちろん、他のダイバーのみんなとも協力して撃退したの。

 

 

 ……ただ、その本当の事を知っているのは私達を含めた、ほんの少しの人たちだけなの。

 だって他の星から侵略者がやって来たなんてSFだもん。とても信じられないしそれに、こんな事が知られたらパニックになるかも。だから一般にはGBNが主催した、イベントだって事になっているの。

 

「私は後になってそんなイベントがあったって知ったんだけど、とっても凄かったみたいだね。

 チャンピオンが所属するアヴァロンに、あと百鬼や初代の方のビルドダイバーズも、GBNトップクラスのフォースやそれにダイバーも勢揃いでのイベント。きっとワクワクだったんだろうな!」

 

 本当の事情を知らないミユさんは、そんな風に楽しそうな想像をしている感じだった。

 

 ――そうだよね。普通の人は何も知らないんだから。あの戦いが本当はどんなものかも、それにエルドラという別の世界が危機にさらされていたのも――

 

 でも普通って言うのは、そう言うことなのかもね。

 

「うん。とてもワクワク……だったんだ」

 

 少し困惑しながらも、私は微笑んで答えた。

 

「でも私がGBNを始めてビルドダイバーズに入ったのは、そのイベントが終わってからだから全然初心者なんだよ」

 

「ふふっ、私だってそれこそGBN歴は一年近くだけどアマチュアって言うか、そこまでガッツリ遊んでいるわけでもないから。実力もあまり大したことないんだ」

 

 ミユさんは軽く苦笑いして、こう続ける。

 

「GBNはたまに遊んでいるけど、それでもやっぱり楽しいよね。ヒナタさんもそう思いませんか?」

 

「たしかに始めたばかりだけど、そうだね。

 私GBNの方は……幼馴染のヒロトがやっていたから、始めたの。つまり彼の影響なんだ」

 

 

 

 するとその言葉を聞いたミユさんは、目をキラキラ輝かせて私に顔を近づけた。

 

「ヒナタさん――幼馴染さんがいるんですね!!」 

 

「えっ!? あの……」

 

 いきなりそんな事をされて私も驚いてしまった。

 

「どうりで気が合うのかも、しれませんね! ……実は私も、幼馴染の男の子がいるんです。とっても仲が良くて大好きな子なの

 今日だってミラーミッションって言うのを、一緒にやってみようって予定しているの。だから先にログインしてここで、待ち合わせをね」

 

 ミユさんも幼馴染がいたんだ。だから私もさっき気が合う感じがしたのかな。

 

「ヒロトさん……でしたっけ。ヒナタさんの話と様子だと、きっと素敵な方なんだろうな」

 

 彼女からヒロトの事を聞かれて嬉しかった。

 だからほんの少し得意げに、私は――。

  

「うん! 優しくて頼りになって、私だけじゃなくてみんなの事も大切に出来る、そんな人なの!

 それにガンダムやGBNが大好きで、ガンプラを作ったりガンプラバトルが凄いんだ。……さっき話していたコアガンダムもヒロトが作ったガンプラなんだよ」

 

「……! あのガンプラ、まさかミユさんの幼馴染さんの物だったなんて。  

 ヒロトさんは本当に凄い方なんですね!」

 

「そう言われると、私も少し照れるかも」

 

 ヒロトの事が凄いって言われて、不思議な気持ち。でも確かに凄いのは本当だよね。

 ガンプラの方もだけど、なんたってエルドラと言う世界を救った救世主だもん。……だけど。

 

「けどそんなヒロトに対して、私……」

 

「ん?」

 

 せっかくだから、少しだけ誰かに話を聞いてもらいたかった。だから私は――。

 

「……最近、ヒロトとどう接すればいいか、少しだけ分からなくなったの。

 だってヒロトには他に好きな人がいて、私はきっと幼馴染くらいにしか思われてないんじゃないかって。もちろん当たり前かもしれないけど、でも、それだけでいるのが寂しくて。……前までは大丈夫だったのに」

 

「……ヒナタさん」

 

「でもそんな思い、ヒロトに迷惑をかけるかもしれないから。自分も少し辛いけど、それでも彼を困らせるのも嫌だから。

 だからどうしたらいいのか、自分でもこうして悩んでいる所なんだ」

 

 

 

 私の言葉にミユさんは思い悩む感じだった。

 

「何だか難しい話だね。……けど」

 

 すると彼女はこんな事を話してくれる。

 

「きっと、ヒナタさんは彼のことが好きなんじゃないかな。幼馴染って言うのもだけど、それ以上に。

 でないとそんなにヒロトさんのために思えないって思うから」

 

「私が、ヒロトの事を……」

 

 好きだって思っている。それも幼馴染よりも、もっと好きだって言う感情。

 

「うん! それに他に好きな人がいるって事も、きっと大丈夫。

 だってずっと二人は一緒ですから、向こうだってちゃんと想ってくれていると思うから。ヒロトさんはまだ自分で気づいていないだけで、きっかけがあればヒナタさんの想いに応えてくれるんじゃないかなって」

 

 と、ここでミユさんは恥ずかしがるような、少し申し訳がない様子を見せた。

 

「あはは。きっと大丈夫って言っちゃったのに、これじゃ私の推測だね。

 ごめんね、何だか余計な事話しちゃったかも」

 

 そう謝る彼女だけど、私は……。

 

「そんな事ないよ。むしろ、心のつっかえが取れたような、楽になった感じかな。

 ありがとう、ミユさん」

 

 

 

 話を聞いてくれて、そしてそれに答えてくれた優しさが、私には嬉しかった。

 それに言ってくれたことで何だか、気持ちの整理がついたかも。

 

「……私、ヒロトに想ってもらえるように頑張ってみようかな!

 もちろん彼の想いも尊重しながら、少しずつでもいいから私のことを好きになってくれたらって」

 

 そう私は決めた。うやむやのままで後悔しないように、今出来ることはやって置きたかった。

 ミユさんも私の言葉にまるで、自分のことみたいに嬉しそうにしている。

 

「うんうん。ヒナタさんのそれが一番だよ。

 ……あっ!」

 

 

 

 するとミユさんはある方向に視線を向けた。

 その先には彼女と同じ猫耳を生やした、小柄な男の子がこっちに手を振っている。

 多分彼がミユさんの幼馴染みさん……かな

 

「ようやくフウタが来てくれたみたい。それじゃあ、ヒナタさんとはこれでお別れです」

 

「ちょっと名残惜しいけど、どうか二人でGBN、楽しんで来てね」

 

 ミユはそれに、微笑んでこたえた。

 

「ふふっ、ありがとう。私もヒナタさんのことを応援してますから!」

 

 

 

 この言葉を最後に、ミユさんは私の元から去っていった。

 

 ――ようやくすっきりしたかも、かな――

 

 するとその時、誰かからメッセージが届いた。

 メニューを開いて確認するとそれはヒロトから。内容はさっきの事を、気にかけている内容だね。

 

 ――やっぱり心配させてたんだ――

 

 でも今は、もう平気。

 私はヒロトに心配しないで大丈夫って、そう返信した。これで彼も安心してくれるかな。

 

 ――これで良いかな。それにヒロトのことも、私――

 

 これからは自分でも頑張ってみよう。ちゃんとヒロトに、好きだって思ってもらえるように。

 

 

 きっといつか。私は強く信じてるから。

 

 

 

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