【完結】Re:Connect ―揺れ動く、彼女の想い― 作:双子烏丸
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視線の先に見える的の姿。
弓に矢をつがえて、私は狙いを定めて強く引く。
集中して……的の中心を狙って、そして――
ストン!
放たれた矢はまっすぐ的に向かって飛んで行って、その中心に命中した。
――うん! やったね!――
上手く決められて満足な気持ち。やっぱりこうした時ってスッキリすると言うか、良い気分だな。
今は弓道場で部活中。弓道着姿で私とそしてもう一人。
「さすがですヒナタ先輩!」
「ふふっ、ありがとね。褒めてくれると嬉しいな」
一緒にいたのは、一年生の後輩の女の子。彼女も私と同じ弓道部なの。
「先輩は私の憧れですから。この前だって凄い活躍でしたし」
後輩ちゃんは、憧れの眼差しで私を見つめている。
「私たちの代表として、弓神事で大活躍でしたし。……私もいつかヒナタ先輩みたいになりたいです」
こうして慕われてるの、何だか悪くないな。でもちょびっと、照れちゃう部分もあるかな。
「きっとなれるよ。……だから今日も、一緒に練習を頑張ろう。
今日は弓を引くコツを教えようかな。ちょっと弓矢を構えてみて」
だから私も先輩として面倒を見て、力にならないとね。
後輩ちゃんは私の言葉通り、弓と矢を持って構えた。
「これでどうでしょうか?」
「うんうん。見たところ、いい感じだね。姿勢だって綺麗だし悪くないよ」
弓矢を構える彼女の姿を見て、私はその傍に近づく。そして相手の手に軽く触れて……
「でも、ちょっと右腕の位置が低いかも。それに肩の力を抜いてみて。……これで良いかな」
後輩ちゃんはアドバイス通りに、姿勢を少しだけ変えてくれた。
「あっ、何だか良い感じかも。これなら」
「この状態で矢を射てみて。もちろん的にも集中して、ね」
「はい。これで狙って……」
弓を構えて後輩ちゃんは的を狙って、矢を放った。
「――やった!」
後輩ちゃんの矢も的の真ん中に。……ほんのちょっとだけずれたけど、それでも中心の赤い範囲にはちゃんと入っている。
「こんなの初めてかも! こうすれば上手く、出来るんですね」
「後はコツを掴んだり、慣れたりすれば自分でも出来るって思うから。そこは日々の練習かな」
実際、彼女の素質はとても良いもん。きっと頑張ればもっともっと伸びるって、思うから。
「ヒナタ先輩のおかげです。いつも私たち後輩にも優しく丁寧に指導してくれたから……。
それに今日もありがとうございます」
そう言って後輩ちゃんは、深々とお辞儀をしたの。
「助けになれて私も良かったよ。……じゃあ、時間もあるからもう少し、練習を続けようか」
部活だって私の学校生活の一部。
GBNももちろん楽しんでいるけど、こっちだってちゃんと頑張っているんだ。
「はい! 私、一生懸命頑張ります!」
「でもあまり、力みすぎないでね。――あっ」
そう話しながらつい、私は弓道場の端に視線が行った。
そこに立ってこっちを見ていた人。私が一番好きな、その人は……。
――もしかして、ずっと見てたのかな……ねぇ、ヒロト――
――――
「それじゃあ、私はこれで失礼します。また明日ですね先輩!」
部活が終わって、後輩ちゃんは荷物をまとめて帰り支度を済ませていた。
ま、私も支度はちゃんと済ませて、今は制服姿なんだけどね。
「うん。それじゃ……またね」
私は手を振って帰って行く後輩ちゃんを見送った。
そして彼女と別れた後、少し弓道場を回って移動して……そこで。
「練習、終わったのか」
振り返ってヒロトはそう、私に声をかけてくれた。
「うん。今日も私、頑張ったんだから。練習しないと弓の腕だって鈍っちゃうし」
そんな風に私は返事を返した。
「それにヒロト、もしかしてさっきの練習ずっと見てたの?」
「途中からだったけれど後輩に弓道を教えていた所は見ていた。
やっぱりヒナタは優しいから、良い先輩としてとても似合っているよ」
ヒロトに褒められて嬉しかった。
「ふふっ、そう言ってもらえると、私……」
それにこうして、彼が私の所に来てくれたのだって。
「それに部活を見に来てくれたのも、嬉しかったんだ。もしかして何か用事かな?」
「えっと、その……特に何でもないさ。ただ、どんな様子かって思ったから」
ヒロトにしては珍しく、何だかどぎまぎしているような雰囲気。
「ふーん。そうなんだね」
「たまたまなんだ。
こっちも特に予定だってないし、何なら一緒に家に帰ろうか。
学校だって今日は早く終わったし」
今はまだ全然昼間なの。
学校の授業も早く終わって、弓道の練習もそこまで時間をとったわけじゃないから。
ヒロトの言うとおり家に帰るのもありだけど、まだまだ時間はたくさん残っているもん。だからもったいないよね。
「ヒロト、予定がないなら……今から街に遊びにいかない?
別に珍しいことじゃないけど、せっかくだから」
これまでだってヒロトとはよく一緒に街で遊んでもいるから。……デートってわけじゃないけど、友達として。
「街に、か。
そうだな、俺は全然問題ない。ヒナタがそう言うならそうしようか」
これで決まりだね。
……こうして現実でもヒロトと一緒に過ごすのだって私、好きなんだ。