【完結】Re:Connect ―揺れ動く、彼女の想い―   作:双子烏丸

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私の幼馴染

 ――――

 

 私の幼なじみ、ヒロト。

 彼とは家族ぐるみでの付き合いで、ずっと小さい頃から一緒だった。

 

「……あら! おはよう、ヒナタちゃん」

 

「おはようございます。学校もありますから、ヒロトを迎えにきました」

 

 今日は月曜日。学校が始まるこの日に、私はいつものようにヒロトの家に迎えに来ていた。

 

 

 今私に挨拶してくれたのは、彼のお母さん。

 ヒロトのお母さんとも、そして小説家をしているお父さんとも、同じように仲良しなの。

 それに……こうして家に遊びに行くのよくあるから。

 

「いつも、ありがとうね。こうしてヒロトと仲良くしてくれて。

 あの子にとってもヒナタちゃんはきっと、大切な人だと思うから」

 

 ヒロトのお母さんは、私にそう言ってくれた。

 

「そう……かな、私……」

 

 これについ照れる感じがする。

 ちょっと照れ恥ずかしいけど、何だか嬉しいような……そんな気分。

 

 

「あらあら。ヒナタちゃんってば、照れちゃって。

 ヒロトは今、自分の部屋で着替えているところなの。多分もうすぐ……」

 

 するとその時別の部屋から――。

 

「来てくれたのか、ヒナタ」

 

 制服姿で、学生鞄を持ったヒロト。

 着替えも終わって、学校に行く準備は出来ているみたい。

 

「うん。ヒロトと一緒に学校に行きたかったから」

 

「ふーん。じゃあ……俺も準備が出来たし、行こうか。

 ……そう言うことだから行ってくるよ、母さん」

 

「ふふっ。行ってらっしゃい、二人とも」

 

 ヒロトのお母さんに見送られて、私達は家を後にする。

 

 

 

 ――――

 

 学校での一日は、いつもとあんまり変わらない。

 授業を受けて休み時間と昼休みにゆっくりする、いつものそんな日常。

 私とヒロトは同じクラス。いつものように一緒に、午前中の授業を受けたんだ。

 今日は、数学の授業が少しだけ難しかったのが印象的。

 家に帰ったら、授業の復習をしないとね。

 

 

 

 そして……昼休み。

 

「でさー! 昨日なんかカラオケで、過去最高の高得点を獲得したんだぜ」

 

「ははは……それは、すごいな」

 

「俺もカラオケはするけどさ、あまり上手くはないしな。今度一緒に遊びに行く時、歌い方とか教えてくれよ」

 

「ああいいぜ! ヒロトはどうする?」

 

「そうだな、なら時間がある時に、合わせてくれたら行くよ」

 

「よし決まりだ! だったら、いつ頃だったらいいかな……」

 

 

 

 向こうではヒロトと彼の男友達が、一緒にお喋りしていた。

 

 ――前までは、友達ともあまり関わらなったのにね――

 

 二年前のある出来事のせいでずっと沈んでいたけど、こうして見るとやっぱり安心する。

 あの頃のヒロトが、戻って来てくれたんだって。それに……私は。

 

「ねぇ、ヒナタ?」

 

「ん?」

 

 話しかけて来たのは私の女友達だった。

 

「ヒナタの幼馴染のヒロト、何だか変わったよね。

 前まではあんなに暗かったのに、元気になったって言うかそんな感じね」

 

 友達の言葉に、私は頷く。

 

「うん。最近ちょっと色々あったから」

 

「へぇー」

 

 そう言って彼女は私の机に上体を預け、頬杖をついてこっちを見つめる。

 

「一体何かあったのか、って言うのは野暮だから聞かないけど、良かったじゃない。

 だってヒナタもずっと心配だったでしょ?」

 

「それは……」

 

 たしかにずっと心配していたんだ。

 二年間ずっと、沈んでいた幼馴染を見ていて気がかりだったしそれに、そんなヒロトに対して何も出来ない自分にの無力さも……辛かった。

 

「でもとにかく、元気になって良かった! やっぱり幼馴染のヒナタのおかげかしら」

 

「……」

 

 ……どう、だろう。あの事で私はヒロトの力に、なれていたのかな?

 よく――分からなかった。だけど……

 

「分からないけど、私はヒロトが元気になっただけで嬉しいんだ」

 

 私はただ、彼が元のように明るく元気になっただけで嬉しいんだ。

 そう、それだけで……。

 

 

 

 ――――

 

 あれから午後の授業を受けた私達。

 一通り授業も終わって、私たち二人は一緒に家に帰るところだった。

 

「ふふっ。ここからの景色、とても綺麗だね」

 

 今日は弓道部の練習も、カフェでのアルバイトもないから、少し寄り道。

 海沿いにある遊歩道をヒロトと一緒に、景色を眺めながら歩いている。

 

「うん。こうしてゆっくり歩くのもいいな」

 

 ヒロトは軽く微笑んで横に広がる海を眺めていた。

 眺める海は湾になっていて、その向こうには大都会の風景だって見えるんだ。

 

 

 潮風が頬をなでてそれに、少ししょっぱい匂いだってする。

 

「そうだねヒロト。ねぇ、それと……

 

 私はこんな事を彼に言った。

 

「あらためてエルドラでの戦い、お疲れ様。みんなのおかげであの世界は救われたんだよね。……やっぱりヒーローだよ、ヒロトは」

 

 

 

 今でもちょっと信じられない話だけど、ヒロトとカザミさんとパルくん、それにメイさんたちは、ここからずっと遠くにある星――エルドラで戦っていたんだ。

 そこに暮らす人達と、そして先にエルドラで戦っていて敵に捕らわれていたダイバー、シド―さんを救うために。

 

 

 私がそれを知ったのはその戦いが終盤になってから。

 もちろん聞いたときには驚いたし、それに怖かった。

 だってエルドラでの戦いは命懸けの、危ない戦いだったから。もしヒロトに何かあったら……だから、これ以上戦ってほしくなんてなかった。

 

 

 けどヒロトは必ず帰って来ると、そう約束して戦いに向かった。

 シドーさんとエルドラを救うために、仲間と一緒に戦って――そして世界を救って約束どおり、無事に戻ってきてくれた。

 

 

「そう言ってくれてありがとう。ヒナタがいたから、エルドラでも戦って来れたんだ。

 ヒナタも見ただろ? あの世界とそこに暮らす人たち。みんなを守ることが出来て、本当に良かった」

 

 ……私も戦いが終わった後、ヒロトたちと一緒にエルドラに行ったことが何度かあった。

 GBNとエルドラは繋がっているみたいで、行き来することが出来るみたいなの。

 エルドラで暮らしているのは、犬と人間を一緒にした見た目の人たちで、そこでヒロトたちのサポートをしてくれた男の子、フレディくんやマイヤさんたちエルドラの人びととも仲良くなった。

 みんな、本当に……いい人ばかり。

 

「……うん。私もヒロトやみんなの力に、なれたんだよね」

 

 ヒロトは頷いた。

 

「もちろんだ。ヒナタ、君のおかげだよ。

 そうだ――また今度時間を見つけてエルドラに行こうか。

 今度は二人で。まだまだヒナタにも見せたい場所が、たくさんあるんだ」

 

「エルドラに、ヒロトと一緒に――」

 

 私の答えは、もちろん。

 

「うん! 喜んで。また……エルドラのみんなにも会いたいから」

 

「なら決まりだ。俺も楽しみにしている。

 だけど……」

 

 

 

 するとヒロトは歩みを止めて、辺りの景色を眺めていた。

 

「エルドラもGBNも良いけど、やっぱり僕たちが生きるこの現実もいいな。

 ヒナタもそう思うだろ?」

 

 視線を私に向けて話す彼に、私は――。

 

「もちろんだよ。私とヒロトがずっと一緒に過ごして来た、この世界だって。とっても良い……そんな場所だから」

 

 二人で並んで街の景色を眺めている、この素敵な時間。

 それはとてもゆっくりと、穏やかに流れているような――感じだった。

 

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