【完結】Re:Connect ―揺れ動く、彼女の想い―   作:双子烏丸

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答えが出ないこの想い(Side ヒロト)

 ――――

 

 一人、俺はGBNの空を、自分のガンプラであるコアガンダムⅡに乗って飛んでいた。

 このコアガンダムⅡは簡単な可変機構を持ち航空機のように変形して空を飛べる。まさに今、最適な機体だな。

 

 ――メイはああ言ってくれたけど、俺は――

 

 まだ、気持ちの整理が難しい。どうすれば良いのか決めることが出来ないでいた。

 だから……こうして自分だけで空を飛んで、少し気分を紛らわせている。

 

 ――それに丁度、行ってみたい場所もある。……もうすぐ見えてくるはずだ――

 

 眼下に広がるのは地上の景色。

 流れる風景。やがて……ある場所が見えて来た。

 この場所こそ俺の来たかった所。それは――

 

 

 

 コアガンダムⅡをモビルスーツ形態に変形させ、地上を荒らさないようにゆっくりと着陸した。

 俺はコックピットハッチを開きガンダムの外に出て地上に足を下ろす。

 ……ふわりと柔らかい足元の感覚。地面に降りるとともに、それが伝わった。

 

 

 ここは一面の草原。

 快晴な青空の下、日の光に照らされているこの場所。穏やかな風に吹かれまるでさざ波のように新緑色の草が揺れている。

 俺は何気なく、草原を散策する。

 

 ――ここはまだ、誰とも来たことがない。何しろ俺とイヴとの大切な思い出の場所だから――

 

 

 

 二年前、この草原は彼女のお気に入りの場所だった。

 ……思い出すな。ここで純白のドレスと輝く金髪を揺らしながら、くるくると楽しそうに舞っていた電子生命体、ELダイバーの少女――イヴの姿。

 そして俺に向けられた笑顔――。今でも鮮明に、あの時の事が思い浮かぶ。

 

 ――イヴの存在は今でも俺にとってかけがえのないもの。それにこれからだって――

 

 振り返っても、彼女と過ごしたどの思い出も俺の宝物だ。

 もうイヴはいないけど、俺の思い出や一部分は同じELダイバーであるメイに引き継がれ、そして――彼女が自身を犠牲にして守ろうとした、GBNそのもの。

 

 ――すべてイヴがいてくれたからこそ。俺も彼女から、大事なものを沢山貰ったんだ。 

 だけど――

 

 一方で俺はふと寂しさも思えた。

 

 ――もう俺は、前みたいにイヴを探すことはなくなった。

 けど、今でもどこかで戻って来て欲しいって。また二人で笑いあって、共に過ごしたいと思う自分もいる――

 

 

 いつかメイの言った言葉――ELダイバーは死なないという言葉。 

 もしかすると何らかの出来事でまた、イヴと会えるかもしれない。そんな希望がどこかにある。

 

 ――もしまたイヴと会えるなら俺は何だって出来るだろう。何しろ今でも彼女は俺の、誰よりも大切な――

 

 

 

 

 …………

 

 ――俺は――

 

 そこまで考えて、俺には心にある引っ掛かり覚えた。

 

 ――誰よりも大切な人……か。ただ俺には――

 

 大切な人、それはもちろん沢山いた。

 俺の父さんや母さん、それに現実世界の友達。

 もちろんビルドダイバーズのカザミやパルにメイ、そして俺たちが戦って守ったフレディたちエルドラのみんなも、誰も俺にとって大切な人だ。

 ……けど。

 

 

『でも私、それと違う仲良くなの! ……幼馴染と違う絆を作りたいんだ!』

 

 この間、幼馴染のヒナタが言った言葉。あれはいつもの様子とは違った。

 

 

 今までは幼馴染として思っていた彼女が、この頃から距離を縮めて、さらにはあんな事を俺に言った。

 ……いや今までだって、ヒナタは幼馴染と少し違う別のものがあるかもしれないと言うのは、思ったことはあった。

 それでも最近は、やたらそう思う機会が多くなった。

 ヒナタの方だって幼馴染とはまた違う様子を、よく見せる。

 

 

 彼女の俺に対して向ける感情、それは一体。――けど。

 

 ――多分ヒナタの想いは、何だか似ている。俺が、イヴに向けている感情と。

 誰よりも大切な……好きだっていう感情だ。この俺に――

 

 はっきりとは分からない。それに、俺自身そうしたことに鈍いから。上手く言えないけれどそんな気がする。

 

 

 

 ヒナタはそう、俺のことを想っていた。だとしたら。

 

 ――対して俺はどれくらい彼女の事を思って、あげられたんだ――

 

『しかしヒナタの事も、もっと考えてあげる事だ。彼女だってヒロトを大切に想っているはずだから』

 

 今度はメイの言った言葉を思い出す。

 

 

 

 もちろん俺もちゃんとヒナタの事は考えていたし、想ってもいた。

 エルドラでの戦いの終盤には、俺が命がけの戦いをしていると黙っていたくなくて彼女にもその事を教えた。それにヒナタが自分の弓神事の事だって、俺も気にかけてもいた。だってこれまでずっと一緒だった大切な幼馴染だからだ。

 

 

 しかし――メイにああ言われた時、俺はいくらか躊躇った。

 それはイヴや……彼女の生まれ変わりとも言える、メイ。

 二人への想いも天秤にかけた時にヒナタをどれだけ考えることが出来ていたか、自信がなかったからだ。

 

 

 分かっている。俺は多分、比べれば考えが……足りていないかもしれないって。

 これまでも、それに此処にいる今でさえ俺が考えている事の大部分は、もういないイヴの事だ。

 

 

 メイについてはその延長で思っている部分もあってそれに、エルドラでもともに戦って心が折れた時にも支えてくれた、かけがえのない仲間だ。

 

 

 ……それに比べたら、ヒナタは今まで一緒に過ごした幼馴染だけど、考えもそして想いさえも足りていないと、そうも思えた。

 ヒナタは俺の事を、誰よりも想っているとしたら、俺にそれに応える程の想いがあるか……

 

 ――俺もまたヒナタの想いに応えるために、一番に考えるべきなのか。

 けど俺には――

 

 俺にはイヴへの想いだって今でもある。

 その想いを忘れることは、おそらくは――出来ない。

 それにヒナタが俺をそう想っていたとしても俺がただ、それに応えなければと言うのは……ただの義務感にも思う。本当に応えるつもりならきっと、それだけじゃ足りない。

 

 

 

 ……それに誰よりも大切な、好きなと言うのは一体、具体的には何だろうか。

 あの時――イヴと過ごした時でさえ、その感情ははっきりと分からないままだった、

 

 ――分からない事だらけだ。ヒナタの、そして俺の気持ちさえ、これからどうすればいいかも――

 

 今ですら答えが見つからない。けれど――見つけなければ。

 

 

 

 ――もしイヴがいてくれたら、今の俺を見て、どう思うのかな。教えて……欲しいよ――

 

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