【完結】Re:Connect ―揺れ動く、彼女の想い―   作:双子烏丸

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決断した答えと、揺るがす事実(side ヒロト) 

 ――――

 

〈もしもし、ヒロト〉

 

 俺がまだ家にいると、ヒナタから電話が来た。

 

「朝からどうしたんだ? その……一緒に出かけるのは夜からだろ」

 

 そう俺は答えた。

 今日は彼女と、昼くらいに遊園地に遊びに行く約束をしていた。昼の間は遊園地のアトラクションで遊んで、夜にはパレードを見に行くって、そんな感じだ。

 まるでデートみたいだな。……けど。

 

 

 

 ヒナタにはそこで何か果たしたい事、伝えたい事があるみたいだ。

 まだはっきりと、それが何かは俺に分からない。ただ――もしかすると。

 

〈うん、そうなんだけど、今ちょっと買い物にね。せっかくヒロトと遊園地に行くんだから、いつも以上に良い服装がいいって思ったから〉

 

 確かに二人で遊園地とかは、行くのは珍しいのかもしれない。

 けど、わざわざ服装を新しく買いに行くだなんんて。大体ヒナタとはこれまでもよく一緒に出かけたりはしている。でも……。

 

 ――そこまで気合を入れているのは、俺にとっては初めて見た気がする。

 やっぱりヒナタにとって今日はそれほど特別、なんだろうな――

 

 改めて俺はそう感じた。

 

「そっか。……俺も遊園地、楽しみにしている。

 出発するのは昼の一時だよな? それまでには、間に合うんだろ?」

 

〈もちろん! だって私が一番楽しみにしているんだから。

 一時間前にはヒロトの家の玄関前に、ちゃんと迎えに来るから心配しないで!〉

 

 電話越しに聞こえる、明るいヒナタの声。

 

「分かった。けど待ち合わせは俺の家より、街の駅前がいいな。

 ヒナタが買い物している間、俺も少しGBNで遊んでいるからさ」

 

〈それはいいね! GBN、やっぱり楽しいもん〉

 

「もちろん俺も時間にはちゃんと来るよ。

 ……それじゃあ、また昼頃に会おう」

 

〈うん。じゃあ、またね〉

 

 

 

 

 通話が終わって、俺は携帯をしまった。

 

 ――たしかに時間は大分あるしな。軽く遊ぶくらいは――

 

 俺も出かける準備をする。

 自分のガンプラが入った入れ物を手に、そのままバックへと。

 ……と、そうしようと思ったけど、俺は手を止めた。

 

「……」

 

 自分でも何を思ったのか分からない。

 けど俺は何気なく、つい入れ物を開けて中のガンプラを眺めた。

 入っているのは俺がずっと前に組み立てた機体、コアガンダムだった。

 他のアーマーとそして、コアガンダムⅡもそれぞれ別の入れ物に入っている。そっちの方も、いくつか持っていく予定だ。

 

 

 ただ……。

 

 ――やっぱり俺にとって、このコアガンダムは……特別なんだ――

 

 

 

 ――――

 

 GBNにログインした俺は、すぐにビルドダイバーズのみんなと合流する。

 カザミにパルに、そしてメイ。こうしてちゃんと四人で揃うのはほんの少し久々な感じだ。

 そして――

 

〈おうおうおう、こんなに敵が沢山だなんて、やっぱ合同ミッションはスゲーぜ!〉

 

 俺たちは他のフォースそして、ダイバーたちとともに大規模な合同ミッションを受けている所だ。

 エリアは広大な宇宙空間。俺たちの目の前には無数にも思えるモビルスーツの姿。

 それはガンダムのザクやグフ、それにドムに似たモビルスーツ……に近いが、厳密には違う。

 合同ミッションの内容は『機動戦士ガンダムSEED DESTINY』の最終決戦、メサイア攻防戦を再現したものだ。

 機体はそれぞれ、ザクウォーリア、グフイグナイテッド、ドムトルーパー。武装組織ザフトの量産モビルスーツで、それなりの相手だと思う。

 

 

 それらのモビルスーツももちろん、ローラシア級、ナスカ級と呼ばれる宇宙戦艦も点在しているのも見えるし、さらに巨大なゴンドワナ級と呼ばれる宇宙空母まで存在している。

 カザミの言う通りその迫力は確かに……凄いのかもな。何しろこのミッションは上級ミッションの中でも、それなりに高難易度な方だ。

 あの有名なロータスミッションには少し及ばないかもだけど、大軍勢を相手にする迫力で言えば

決して負けないだろう。

 

 

 

 俺はコアガンダムのジュピターアーマを装着させたジュピターヴガンダムで、戦いに参加していた。

 宇宙戦用の白いアーマーで、ビームガトリングガンと腕に装着したマニファーユニットと背面のマルチコンテナビットをそれぞれ二基……どちらも遠隔攻撃を可能とする機能を備えた装備が特徴だ。

 それに今回はコアガンダムⅡではなくて、以前メインで使っていたコアガンダムだ。もちろんコアガンダムⅡを作ったのは最近でそっちの方が性能は高い。……ただ、このコアガンダムとは長い付き合いで、思い出もある。だからこうして今でもガンプラバトルで使いもするんだ。

 

 

 

 メイもウォドムポッドから通信を入れる 

 

〈……見る限りこんなにとはな。だが、私達も負けてはいないさ〉

 

 対して俺たちは、複数のフォースとダイバーからなる連合チームだ。

 どれも高ランクのフォース、ダイバーばかり。中には名の知れた相手も。実際その半分近くは俺が知っていたりもする。

 

 

 そして――チームの中央には。

 水色のエネルギーで形成されたマントをたなびかせて腕を組む、蒼色のアーマーを纏ったガンダムが佇んでいた。

 そう、あれは……。

 

 チャンピオン、クジョウ・キョウヤのガンダムTRYAGEマグナム。まさかここで共に戦うなんて、ちょっと意外だった。

 フォース『アヴァロン』のリーダーである彼、俺も元々はそのメンバーでもあったから、どれ程に凄いのか……人以上には分かっているつもりだ。

 

 

〈チャンピオンもご登場とは。これは百人力いや、千人力だな! なぁ、パル〉

 

〈はい! 正直言って……僕たちでも厳しいって思ってましたけど、これならきっと!〉

 

 カザミとパルの言葉に、俺は黙って頷く。

 

 

 

 ――――

 

 

 

 戦いの火蓋は切って落とされた。

 他のフォース、ダイバーも、チャンピオンの存在に鼓舞されるように次々へと敵陣に突撃して行く。それに足の早いガンプラはもう、敵と接触して戦闘を繰り広げているのが見てとれる。

 ミッションの勝利条件は――敵陣の最奥に位置する、巨大な小惑星と人工物が合わさったような要塞メサイアの制圧だ。

 つまり……敵の壊滅でなく、それを突破しメサイアにたどり着けば俺たちの勝ちだ。

 

 

 他も大軍の一点に戦力を集中し、一気に押し切ろうとしている。やっぱりそれがこの状況で一番の戦術だからな。

 もちろん――俺たちも。

 

 

 

〈……ええい、僕だって〉

 

 パルのエクスヴァルキランダーは自身の武器であるGNランチャーで、ザクウォーリアを一機撃破した。しかし、続けて今度は別方向からグフイグナイテッドが襲う。

 グフイグナイテッドの専用装備である鞭――スレイヤーウィップ、まるで蛇のように迫る攻撃でランチャーの握る左腕を絡め取る。

 

〈まだまだっ!〉

 

 それでも動く右腕で翼を形成する双剣の一振り、GNツインガンブレードを引き抜くと、ウィップを切り払いそのまま相手の上半身と下半身を真っ二つに。

 

〈ほう? パルもやるものだ。では私も負けてはいられないな〉

 

 対してメイが乗るウォドムポッドは、その装備されたビーム砲に、エネルギーを充填する。

 狙うのはその射程上にある数機のモビルスーツと、そして……ナスカ級と呼ばれる宇宙戦艦だ。

 

〈最近暴れられていない分、暴れさせてもらおうか!〉

 

 ビーム砲から放たれる強力なエネルギー。それは射程上にあるモビルスーツをいくつも巻き込み、巨大戦艦もろとも消し飛ばす。

 

 

 

 ――やっぱり激しい戦いだな。パルやメイだけじゃない――

 

 見回すと他のダイバーによるガンプラも、あちこちで戦っている。

 Xガンダムはその特徴とも言える大型ビーム兵器、サテライトキャノンで一気に敵を薙ぎ払い、サザビーは背部から遠隔攻撃端末であるファンネルを放って本体は大型のビームサーベルで攻める。

 それに遠くではジムスナイパーカスタムによる精密射撃、近くではマスターガンダムによる拳法技が炸裂してもいる。

 

〈ヒロト! 見ているよりも一緒に戦ってくれよ! こっちも厳しいんだ〉

 

 通信でカザミからそう呼びかけられた。

 

 

 俺はカザミと共に背中合わせで戦っている。

 両腕のマニファーユニットを展開して複数の敵を撃破、撹乱すると同時にビームガトリングでも仕留めて行く。

 遠隔攻撃型のユニットは便利だけど、やっぱり自分で狙い撃った方がやりやすい感じだ。

 ……ただ、俺が相手している敵の数はかなり多い。マニファーユニット、コンテナビットを全基展開して応戦しているのが精一杯で、今はカザミの援護にまでは手が回り切らない。

 けど、それでもどうにか向こうの動向は把握出来る。

 

 

 

 カザミのガンダムイージスナイトが戦っているのは、両肩にシールドを備え頭部にブレードアンテナを生やしたザクウォーリアの上位機体、ザクファントムだった。

 手にはビームアックスを持ち、イージスナイト

はライテイ ショットランサー改……つまりランスで打ち合いをしていた。

 

〈……ちぃ……っ!〉

 

 ザクファントムによるビームアックスの振り下ろし、シールドで防ぐ間もなくとっさにランスで防ぐ。しかし勢いは向こうの方が強く、イージスナイトは押し負けて態勢を崩す。

 止めを刺そうと再びアックスを振りかぶるが……それは俺が許さない。

 

 幸いこっちの手も少し余裕が出来た。

 俺はコンテナビットの一基をイージスナイトに向かわせて、ビットの装備であるビームシールドでアックスの攻撃を防御する。

 

〈おっと、悪いなヒロト!〉

 

 俺はそのままビームガトリングの銃口をザクファントムに向けて連射、相手を撃破する。

 

「気にするな。困った時にはお互い様、だろ?」

 

〈ははは! 違いない!〉

 

 再び俺とカザミは、それぞれの戦いへと戻る。

 

 

 

 

 

〈なぁヒロト〉

 

「どうした?」

 

 共に戦いながら、俺はまたカザミと会話を交わす。

 

〈少しあっちを見てみろよ。……やっぱチャンピオン、スゲーぜ!〉

 

 カザミの示す先には、チャンピオン、クジョウ・キョウヤのガンダムTRYAGEマグナムとそして、赤い主翼を備えた青と白の色彩のガンダム――デスティニーガンダムが対峙していた。

 TRYAGEマグナムは大型のビームソードであるトライスラッシュブレイド、対してデスティニーは専用の大型近接装備アロンダイトで激しい剣撃を交えていた。

 上級ミッションに用意された強敵であるためその強さはかなりのはずだけど、チャンピオンはそれり互角、いやそれ以上に渡り合っている。

 

 互いの剣から発するエネルギーの輝きがせめぎ合う中で、チャンピオンのガンプラは剣を振るう。

 そして――ついにデスティニーガンダムの持つアロンダイトを弾き落とす。

 対してデスティニーはなおも抵抗として拳を開き内蔵されたビーム砲、パルマフィオキーナを展開する。

 その輝く拳はガンダムTRYAGEマグナムに伸びるけど、それよりも早く……スラッシュブレイドの剣先はデスティニーガンダムの胸部を貫いた。

 

 ――クジョウ・キョウヤさん……さすがGBNのチャンプだ。俺もまだまだなのかな――

 

 

 

 ――――

 

 おかげでミッションは大勝利だった。

 チャンプが道を切り開いたおかげで、あれから無事にメサイアを制圧も出来た。

 

 

 そして今は、高速フリゲート艦エターナルのブリッジに俺たちはいた。

 宇宙空間を航行するこの船。カザミ達三人は集まった他のダイバーと向こうでお喋りをしているみたいだけど、俺は一人で窓の向こうに見える宇宙空間を眺めていた。

 ミッション後の祝勝会みたいなものだ。多分話しているのは互いのガンプラの事や、ガンダム作品についてだろうな。

 

「……」

 

「なぁヒロト」

 

 半分鏡のように自分が映る窓に、メイの姿も現れる。

 後ろから近づく彼女に俺は振り返る。

 

「何か用か、メイ?」

 

「ヒロトはみんなに加わらなくてもいいのか? 何だか楽しそうな雰囲気だからな」

 

「俺はいいよ。今は一人にさせてくれ」

 

 メイは少しの間俺を見ていた。……けれど。

 

「分かった、そう言うならな」

 

 そう伝えると、彼女はまたみんなの所へと戻った。

 カザミとパルとも何か話している感じだったが、多分『ヒロトの事は気にするな』と言う、そんな事だろう。

 

 

 

 再び一人になって俺は考える。

 内容は、そう……ヒナタの事だ。

 

 ――夜の遊園地か。ヒナタと二人で……まるで、恋人だな――

 

 ……恋人。今まで殆ど考えもしなかったこの概念。自分でもその言葉が頭に浮かんだけどその実、それがどんな物かなんてよく分かっていない。

 でも多分、友達よりももっと近くて親密な関係だと、そんな物なんだろうな。

 

 ――もしかして彼女が望んでいるのは……それ、なのか――

 

 ヒナタは俺を、誰よりも大切に想っているんじゃないかって。だとしたらその答えは……。

 

 ――ヒナタとはただ幼馴染、友達みたいな感じくらいに考えていた部分が大きかった。

 ただ、彼女はずっと俺を想ってくれていたのは、分かっているつもりだ――

 

 

 

 まだ、俺にはイヴの思い出もあり、もちろん大切だと思っている。それに……今思い返せば彼女との関係も、そんな『恋人』のようなものだったのかもしれない。

 そうした事はあまり考えることは出来なかったけれど、互いに大切に想い合っていたそれは多分……。

 

 

  

 けれど、もう彼女はいないんだ。メイは確かに生まれ変わりかもしれないけれど、やはりメイはメイ、ビルドダイバーズの仲間だ。

 ……それにやっぱりこれまではイヴの事ばかりで、ヒナタを想う事は出来ていなかったのかもしれない。だから。

 

 ――これからはちゃんと、ヒナタと向き合いたい。今までの分、俺は彼女の事をもっと――

 

 

 

 

「――やぁ、ここで会えて良かったよ」

 

 今度はまた、別の相手から声をかけられた。

 その相手は……。

 

「俺も会えて嬉しいです……キョウヤさん」

 

 現れたのは、コートを身にまとった長身で薄い金髪の青年――GBNチャンピオンのクジョウ・キョウヤだった。

 彼は俺にふっと微笑む。

 

「一緒にミッションで共闘するとは、ヒロトがアヴァロンにいた頃を思い出すな。

 最も、今はもっと成長して新しく仲間も出来た。今更になるかもしれないが、私としても嬉しい限りだよ」

 

「はい、おかげさまで」

 

 今でも彼は俺にとって大きな存在だ。それは今も昔も、変わる事はない。

 

 

 

 ……ただ、クジョウ・キョウヤは俺と他愛のない話をするためだけに、来たわけではなかった。

 

「本当に、ヒロトと会えて幸運だった。……何しろ私の方から出向こうかと考えてもいたものだから」

 

 唐突な話に俺は首を傾げる。

 

「どう言うことですか?」

 

「実はな、どうしても伝えたい事があったんだ。

 とても重要なことだ。これを聞けばヒロトはきっと喜ぶと思う」

 

 思わせぶりな彼の言葉。俺は一体何の事かと、そう尋ねた。

 

「ああ。それはな……」

 

 

 

 キョウヤさんが教えてくれた、答え。

 

 それはまさに――――信じられない事だった。

 

 

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