【完結】Re:Connect ―揺れ動く、彼女の想い―   作:双子烏丸

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幾度目かの、エルドラ

――――

 

「それでは、お疲れ様でした!」

 

「ご苦労様ヒナタちゃん。それじゃ、ヒロトくんにもよろしくな」

 

 アルバイトも終わって、私は手を振っている店長さんに見送られて店を出た。

 すると……。

 

 

「早かったね……ヒナタ」

 

 店の出口前には、私服姿のヒロトが待っていた。

 

「あっ、ヒロト! もしかして……ずっといたの?」

 

「十分くらい前からな。もしかして早く終わるかもって思ったから。

 それに、特にすることもなかったし」

 

 少し素っ気ない感じで言った言葉だけど、私のことを気にかけているような感じもした。

 

「店長さんがヒロトと会うってことだから、少しだけ早く帰らせてくれたんだ。

 でも、逆に待たせちゃったみたいで、ごめんね」

 

「いいよ。俺が好きでやったことだから。

 ……それより仕事も終わったんだし、二人でGBNに、さ」

 

 そうだった。私はヒロトと、GBNをする約束をしていたんだった。

 

「そうだね。じゃあヒロトも一緒だし……今から行こう!」

 

 

 今日は一緒にGBNに。そして――ヒロトたちが救ったあの世界、エルドラにだって。

 ……また訪れる予定なんだ。

 

 

 

 ――――

 

 街にあるガンプラのお店、ガンダムベース。

 GBNはその中にある専用の筐体でプレイすることができるの。

 

 

 私たちはガンダムベースの別室でGBNにログインしようと。

 椅子に座って専用のヘッドギアを装着して……っと。

 そしてログインを始めると、私の意識は――。

 

 

 

 ――――

 

 現実世界から、GBNへと。

 ログインした私はGBNのロビーに立っていた。

 服装も私服から、白と赤の着物……巫女服姿に。弓道をしているから私のGBNでの姿――ダイバールックは、その影響もあったりするんだ。

 

 

 ちなみに私の隣には一緒にログインしたヒロトがいる。彼の姿は灰色のマント……うーん、それよりポンチョって言うのに近いのかな。それを羽織った、まるで旅人みたいな恰好なんだ。

 

 

「やぁ、ヒロトにそれにヒナタ」

 

 私たちの前にはビルドダイバーズの仲間、メイさんがいた。

 

「来たよ、メイ。……カザミとパルがいないのが少し残念だけど」

 

「ふふ、あの二人も忙しいらしくてな」

 

「最初はヒナタと二人でと思ったけれど、やっぱりビルドダイバーズのみんなでと考えたんだ。

 それで誘ったんだけど、まぁ仕方ない。今日はこの三人で行こう」

 

「そうだな……みんなで会いに行くのはまた今度か。

 でも、ヒロトと一緒で私は良かったと思う」

 

「俺もだメイ」

 

 

 

 ヒロトに、それにメイさん。

 何だかとても――仲良さそう。

 

「……それに、ヒナタも。今日は一緒出来て嬉しいよ」

 

 するとメイさんは私にも、そんな言葉をかけた。

 

「あっ――」

 

 ふいに言われたから私は少し固まった。だけど……。

 

「――うん。わたしもメイさんと一緒で、嬉しいです。

 やっぱりみんなの方が……楽しいですから」

 

 私はメイさんに笑ってみせて、そう答えた。

 

「そうか。まぁ今日は三人だが、きっとフレディ達も喜んでくれるさ。

 その後はGBNでヒナタが楽しめるような簡単なミッションでも受けようか」

 

 

 今日の予定はそんな感じ。

 じゃあエルドラのみんなに、会いに行こうかな。

 何だか少しだけ……複雑な気持ちだけど。

 

 

 

 ――――

 

 エルドラは私たちの住む地球よりずっと遠くにある別の星。

 GBNの一角でエルドラへと転送が出来て、移動はほんのアッという間。

 ……ただ、何百、何千光年も遠い星にあっという間に転送できるなんて、ちょっと不思議だけど。

 

 

「さてと、無事エルドラについたな」

 

 私とヒロト、メイさんは石造りな雰囲気の、神殿みたいな遺跡の中にいた。

 よく海外にある世界遺産の遺跡みたいな、それにいくらか似ている感じもあるかな。

 

 

 この遺跡は別惑星、エルドラにある場所なの。GBNからエルドラに来るときにはまず、ここに転送されることになっているんだよ。

 何度かエルドラには来ているけど感じ的には、GBNにいるのと大きく変わらないと言うか、その延長線上と言うか……。

 でも、GBNと違って私たち実体化しているんだよね。……それもやっぱり。

 

「ここが別の星でそれに実体を持って……だなんて。何度来ても、不思議な気分」

 

 私のそんな呟きに、ヒロトは。

 

「そうだね。俺とみんなも最初はGBNの中だと、思ってたんだ。

 まぁ――まさか現実だなんて、思わないよな」

 

「私も薄々違和感があったが、驚いたのはヒロトと同じさ。

 だがここでも人は生きて、生活している。シドー・マサキの救出も理由だが、だから私たちは……」

 

 

 それを守るために戦ったんだと……。メイさんはそう、言いたかったんじゃないかな。

 

 

 

 

 遺跡の外に出るとヒロトのコアガンダムとそれに、メイさんのウォドムポッドがあった。

 村までは歩いて、ちょっと時間がかかる。だから私たちと同じく実体化した、ガンプラに乗って移動なの。

 

「ヒナタ、一緒に行こうか」

 

 私はヒロトと一緒にコアガンダムで、そしてメイさんはウォドムポッドに乗って村に向かう。

 ヒロトの言葉に私は頷く。

 

「少し羨ましいかも、な。こちらは一人で乗っていくのだからな。

 まぁいい、とにかく村に向かうとしよう」

 

 

 こうして私たち三人はガンプラに乗り込んで、村に向かうことに。

 ……フレディさんたち、元気かな。

 そう気になる私だった。

 


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