【完結】Re:Connect ―揺れ動く、彼女の想い―   作:双子烏丸

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 ―許されなくてもせめて、俺の想いは―(Side ヒロト)

 ――――

 

 俺はヒナタと二人……ただ、静かに過ごしていた。

 また母親が戻って来るまでこうして眠っている彼女と一緒に、この小さな病室で。

 

 ――まさかこんな風になるなんて、思ってもいなかったよ……ヒナタ――

 

 横目で眺めるのは彼女の穏やかな表情。けどそれでも。

 いつもみたいにもう俺を見てくれない、話だってしてくれない。――朗らかな笑顔を見せることだって。

 ヒナタはいつも俺の事を気にかけてくれた。だけど今は逆に俺の方が彼女を気にかけているんだ。

 

 ――こんなにヒナタの事を想ったのは、今までどれくらいあったんだろうか――

 

 時々俺は彼女の手を握りもする。その時にほんのり温かい体温も伝わって来る。

 

 ――大丈夫、ちゃんと俺が傍にいるから――

 

 ただ傍にいるだけだけど、それでもヒナタが寂しくないように。

 

 

 

 

 そんな風にして俺は穏やかに過ごしていた。……するとようやく。

 

「ごめんなさいねヒロト君。少しだけ、戻るのが遅れてしまいって」

 

 やっと病室にヒナタの母親が戻って来た。一時間くらいで戻って来ると言う話だったけれど、それより十五分くらい遅れた感じだった。

 けれど俺はそれくらいなら全然平気だった。

 

「謝らなくても大丈夫ですから。こうして俺も一緒にヒナタの傍に、いたかったから」

 

 そう――せめてこんな時くらいは。

 

「本当にありがとう。こんな事、ヒロト君にとっても大変なのに。

 後はもう私一人で平気だから今日はもう帰って大丈夫よ。でも良ければまた、ヒナタに会いに来てね」 

 ヒナタの母親はこう俺に言ってくれた。

 

 

 

 本当はもっとヒナタといたかった。例え眠って俺の存在を気が付かないとしても……それでも。

 けれどこうしていても、これ以上俺に出来ることはない。きっと今、彼女の心はGBNの何処かにあるはずだ。

 ――だから行かないといけない。

 

「それなら俺はこれで。……でも最後に」

 

「どうかした?」

 

「……最後にもう一度だけ、ヒナタと二人にして欲しい。少し別れを伝えたいから」 

 

 でもほんの少しだけ、俺にはここで出来ることがあった。

 

 

 

 ――――

 

 母親に席を外してもらってまたヒナタと二人だけに。

 俺はすぐ隣の、眠っているヒナタの横顔を改めて眺める。穏やかに眠っている彼女。ただ目覚めはしないだけだ。

 

 

 こうなるまで俺はヒナタの事を、見ていなかったのか? 他の事ばかりで……どれ程、知らない内に彼女を傷つけていたんだろうか。

 

 ――でもこれからは、俺はもっと君の事を想いたいって。……もう、信じてはくれないかもしれないけれど――

 

 俺の一番はイヴだと、ヒナタはそう考えて『もういい』と離れていった。

 辛い思いをさせて、傷つけて――裏切った。

 

 

 

 今さら許して欲しいなんて、都合の良い事は考えていない。

 ただ、もう一度ヒナタと会いたい。ちゃんと謝って、今度こそ俺は彼女に心からの想いを伝えたい。

 

「俺はそろそろ行くよ。だって君を、取り戻さないといけないから」

 

 聞こえてなんていないけれど、そう伝えずにはいられなかった。

 

「これまでだって……あの遊園地での告白を拒絶したことも、その後もまたイヴの話でヒナタを傷つけた。

 確かにイヴは俺にとって大切な人だ。だけど……分かったんだ。

 遅くなったかもしれないけど、それよりも本当は――」

 

 そこから先の言葉は俺とヒナタだけの秘密だ。

 ――そして。 

 

 

 眠っているヒナタ、俺はそっと彼女と口付けを交わした。

 柔らかな唇に触れて十数秒くらい。けど感覚としてはとても、そうとても長く感じた。

 

 まるで、時が止まったかのように。

 

 これが俺にとって初めてのキスだ。寝ている彼女に勝手にした口付けだけど、ヒナタだってきっと……そう望んでいたはずだから。

 

 

 それから、またゆっくりとヒナタから離れる。

 

 ――これで少しでも、想いが伝われば――

 

 まるで慣れていない、不慣れでぎこちないキスだけど。けれど俺なりに想いが強く伝わるように。

 ……これで今度こそここで出来ることはもう終わりだ。

 

 ――さよなら、ヒナタ――

 

 俺は病室の出口へ。俺は扉に手をかけると、最後もう一度だけ眠っている彼女に振り返る。

 

 ――俺の気持ち。目を覚ましたらまた伝えるよ。

 今度こそ想いが伝わるまで……何度でも――

 

 それは決意だ。俺はもう逃げない、裏切ったりもしない。

 だってヒナタは俺の――本当に大事な。

 

 

 

 

 ――――

 

 ヒナタを……救い出すんだ。例えどこにいようとも。

 

 

 病院を出て急いでガンダムベースに、GBNへと向かう。

 そしてログインした俺は電話でカザミが話していた『異常』が何なのか知った。

 

「ガンプラが、あんなに暴れているとは」

 

「全部真っ黒だし……どうしたんだ?」

 

「また何かのイベントかしら」

 

 ロビーでは群衆が集まり、上のモニターを見上げていた。

 いくつも表示されたモニター。そこには街や都市で、森に砂漠それに宇宙空間などあちこちのエリアで破壊行為を繰り広げている、黒いガンプラの姿がある。

 

 ――ミラーミッションのコピーガンプラがあんなに現れて――

 

 出現しているコピーは色々だ。色々な作品のガンダムに、他の機体までも多数……ダイバーのオリジナルガンプラさえも。

 

 ――あんな物まで一体どうやって。けど、確かにGBNに何らかの異常が発生している

 これは誰かによるものなのか――

 

 恐らくはヒナタも。誰がどんな手段で、何を目的にしてなのか知らない。

 ――けど。

 

 ――ヒナタが囚われているのだとしたら、例えどこにいても見つけ出してみせる。

 俺の手で――

 

 

 

 その時、ロビー全体がぐらりと揺れた。

 周りはさらに同様する。

 

「何だこの揺れは!」

 

「まさか……セントラル・ディメンションにまで」

 

 俺は急いで外が見える場所へと移動する。

 そしてそこにある大きな窓から見えたのは、いくつもの黒いモビルスーツの姿だった。

 その内の一体。すぐ近くでライフルを構えて飛行する黒いコピーのモビルジン、そのモノアイが鈍く輝いて俺を見た。

 

 ――ここにまで現れたか。……なら――

 

 俺もまた戦うしかない。ヒナタへの手がかりだって――もしかすると。

 

 

 

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