【完結】Re:Connect ―揺れ動く、彼女の想い― 作:双子烏丸
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――ようやくGBNに来たわね、クガ・ヒロト――
セントラル・ディメンションのビルに映る彼、その姿が数十もあるディスプレイの一つに表示される。
これは全てワタシのコピーガンプラ――お人形が見ている光景。全て、あの子達の得た情報は手中に収めているのよ。
洞窟内部の広いドーム型の空洞。ワタシはそこでGBNの様子を観察していた。
「く……くくくくっ」
映像でこちらを睨む彼の顔。それはワタシと視線が合うかのように思えてつい、笑い声がこぼれてしまう。
――随分な顔をしているわねぇ。そう来なくては面白くないわ――
これには笑わずにはいられないわね。全て私の考え通りに事が運んでいる。これはまさに愉快と言うものねぇ、それに愉快と言えば……
「ワタシのお人形たちもよく暴れてくれるじゃない。美しい森も、あんなに真っ赤に燃え広がって……町だって瓦礫の山だわ。ああ、これで少しは精々したかしら。
――ねぇ、貴方のご感想もお聞かせ願いたいわ?」
蹂躙されるGBNの光景に愉悦なワタシは、その表情を後ろにも向ける。
そこには……。
「こんな事、許されるわけがない」
エネルギーのケーブルで全身を拘束し石柱に縛り上げ、身動きを封じたメイ。
もう何も出来ないのに口は達者ね。
「別に貴方に許される必要もないわ。ワタシはワタシの信条でやっているのだから」
とは言っても……。ワタシはディスプレイを見まわす。
「でもワタシのお人形たちは苦戦しているわね。思うように被害も広がらずに、運営やダイバーに押し止められ気味……鬱陶しいわね」
ワタシがミラーミッションを掌握して生み出した多数のガンプラのコピー、ワタシのお人形はGBNのダイバーによって次々とやられていた。
コピーはコピー、いくらでも生み出す事は出来ても、これは面白くないわ。
するとメイは――
「いくらこんな真似を続けても無駄だ。
コピーを使った所で……みんなの力があれば負けはしない。
現に今も被害も抑えられてもいるじゃないか。それにこうして私が捕まった所で、ヒロト達や他の誰かがすぐにお前を阻止するはずだ。
ヒトのGBNやガンプラにかける想いを……甘く見るな!」
これはまた随分なご高説を賜るじゃない。
「貴方は随分と信じているのね。
……まぁいいわ。せいぜい彼らには適当に、足掻いて貰うとしましょう」
「一体何を考えている?」
「さぁ? どうせ何も出来はしないのだから、じっくり考えてみたらどう?」
けれどワタシの答えには不満だったみたい。
「何かしら。その目、お気に召さない?」
「……当たり前だ」
「そう怖い目を向けなくてもいいでしょ。ワタシ、悲しくなっちゃうわ」
「よく言う。そんな事など微塵も思ってないくせに」
「分かっているじゃない、メイ」
まぁそれでも、話し相手がいるのは面白いわね。……例え憎いELダイバーでも。
「でも少しくらいは、救ってくれた事を感謝して欲しいわ。
その気になればワタシは貴方をそのまま消去だって出来たのよ。なのに今は傷だってほら、綺麗に修復してあげたでしょ?」
ハンドガンで撃たれた彼女の傷は、もう完治して消えている。だって、あのままじゃまともに話なんて出来ないもの。
「どうせ捕まえて利用するつもりだったんだろう。それに私があの時少しだけ見た、ヒナタ。お前は彼女にあんな――真似まで」
そう言うメイの視線は相変わらず鋭い。
あらあら、随分なものね。
「流石にワタシでも、あれは少しだけ悪いとは思っているのよ。
でもムカイ・ヒナタには眠っていて貰った方が都合がいい。心配しなくてもただ眠っているだけ……危害なんて加えはしないわ」
「今更こんな事を引き起こして、信じられると思うのか」
「アハハハハ! 本当に相変わらずな態度なのね、でも……」
――いい加減気に入らないわ――
ビームサーベルを展開し、ワタシは動けもしないメイの喉元に突きつける。
「あまり調子に乗らない方がいいわよ。貴方の生殺与奪の権は、ワタシが握っているのだから」
今この場を主導権はワタシにある。それを忘れてもらっては困るわ。
「それにね、本当は消去したくてたまらないのを我慢しているのよ?
貴方とそれに、もう一人」
ワタシはビームサーベルの刃先を喉元から胸元へと移動させる。
「貴方の中に宿るもう一人のELダイバーも。
例えもう欠片しか残っていないとしても、今度こそ跡形も残らないように……綺麗さっぱりね」
メイはこれに睨みつけて来た。さっきよりも怒りの感情が強い、そんな目だわ。
「それは――イヴの事を言っているのか」
「当たり前じゃない。察しの良いメイなら、どうしてなのか……説明は要らないかしら?」
そう言うと彼女は口を閉ざして目をそらす。
やっぱりね。ワタシはビームサーベルをメイから離し、刃を収める。
「ふっ、その反応は図星って事」
相変わらずメイは沈黙したまま。
「分かっているのなら……ワタシのしている事の正しさ、理解してくれるかしら。
もしそうなら貴方の扱いだって考えてあげてもいいわよ?」
「――冗談じゃない! 言ったはずだ、お前の正体は知らないがこんな真似、ヒナタが望んでいる訳がない」
ようやく口を開いたら、これって訳。
――望んでいる訳がないですって。そんな事、ワタシも分かっているわよ――
「はぁ、やっぱり意見は合いそうにないわね。
これでもワタシと貴方は似た者同士……データをこねくり回してこさえられた木偶同士なのに」
この言葉に不快感を覚えているみたいだけれど、メイの反応は想像通り。
「やはり薄々は感づいてはいた。
お前の正体は電子生命体、ELダイバーなんだな」
これもまた半分は正解。と言いたい所だけれど、それにも及びはしないわ。
「一緒にして貰いたくないわ。
さっきの言葉も訂正。……所詮貴方達にはワタシの事など、理解出来るわけがない」
あーあ、結局長い無駄話をしてしまったわ。
もう飽きた。興味をなくしたワタシは、メイから視線を外す。
「別に、今の状況でも十分に事足りるけれどね。
せっかく貴方が来てくれたもの。だから後もう一押し、協力して貰うわよ」
彼女には少しだけ利用価値がある。だから、ワタシの役に立って貰うの。
そしてワタシが見たディスプレイには、今一機のガンダムが迫るのが見える。
あれはクガ・ヒロトのヴィートル―ガンダム。やはり出て来たわね、今までの騒ぎなどそれに比べれば……。
――これで役者は揃ったわね。ここからが本番よ、クガ・ヒロト――