【完結】Re:Connect ―揺れ動く、彼女の想い― 作:双子烏丸
――――
ミラーミッションで待っていると言ったクロヒナタ。
彼女からの挑戦、俺たちがどうするか……言うまでもない。
GBNを救うため、メイを助け出すため。――そしてヒナタとも。
その為にも俺は、俺たちは。
「さて、改めてこんな事に巻き込んでしまって、すまない」
GBNのロビーで、俺たちはクジョウさんと別れを告げる。
「そんな事はないです。これは俺たちが……決着をつけないといけないから」
そう言って俺はすぐ横にいる、シドーさんにも。
「謝るのは俺だ。こっちの事情に付き合わせてしまって、けど二人を救うためには少しでも戦力が欲しかったんだ」
ヒナタ、メイ、二人とGBNを救うためにロビーに集まったのは俺とカザミにパル、そしてシドーの四人。
俺たち三人はともかく、シドー・マサキは今度の事とそこまで関係はない。ただメイがいない代わりに彼に手を貸して貰っている。
「全然、問題ないさ。俺がずっと意識を失っていた時も、ヒナタちゃんは姉と一緒に看てくれていたんだ。
だから今出来る事があるのなら」
いや、シドーさんの思いは俺たちと同じだ。
「……ありがとう。その力、どうか借りさせてもらう」
するとクジョウさんは、改めこんな事を。
「例のクロヒナタはミラーミッションの最深部に待ち構えている。コピーガンプラを生み出し続ける、今回の異常の中枢へと。
ヒロト、君たちは今からそこに乗り込み、異常を止めてヒナタとメイを助けに行くことになる。
……しかし」
途端に彼は顔をくもらせる。
「もはやミラーミッション、そのエリアは全て彼女の支配下にあると言える。
それにシステムもGBNから切り離され、こちらからはどうなっているのか検討がつかない。
恐らくは彼女が大部分を改造し、もはや以前の物とはかけ離れて、敵も待ち構えているだろう。
それに……もう一つ、言わなければならない事がある」
「何ですか、それは」
心配そうなパル。そして、クジョウさんが話すのは。
「システムがGBNと切り離され、ミラーミッションはもはや運営の管理下から外れている。
つまり、そんなエリアに君たちが出向くことは、リンクしている君たちの意識そのものの安全も保障出来なくなる」
これがクジョウさんが抱える危惧。薄々ながらも俺たちもそれは分かっていた。
ミラーミッションに侵入すると言うことは、相当にリスクがあると言うことを。
「管理から外れた、得体のしれないエリアの中。もしそこで君たちに何かあれば、現実世界の肉体に意識が戻らないままになるかもしれない。
今のヒナタちゃんの二の舞になるかもしれない。改めて聞くが…………それでも行くのか?」
ここからの戦いは、安全の保障はどこにもない。
行けば戻れないかもしれない。クジョウさんも、そして運営も俺たちの身を案じている。
けれど、そんな覚悟なんて。
「もう――覚悟を決めている」
俺は既に出来ていた。もちろん……
「ああ! 命がけなのはエルドラの時だってそうだったさ。今更どうってないぜ」
「それよりここで何もしないで、後悔するのがもっと嫌ですから」
「……絶対に、二人とも救い出す。もちろんGBNの異変も解決してみせる」
カザミ、パル、シドーさんも俺と同じ思いだった。
ちなみにカザミは憎らし気にこんな事も呟くのが聞こえた。
「こんな事をしたアイツだって、思い知らせてやるぜ。
……ヒナタの振りをした偽物め!」
「偽物ですか? カザミさん、そうなのでしょうか?」
「決まっているだろ! あんな酷い態度と言葉、有り得ないじゃないか。
それに、メイにまで平気で手をかけようとするなんてよ……しかも、ヒロトの前で見せつけるようにだぜ。あんな奴は絶対…………ヒナタじゃない」
下を向いて、振り絞るようなカザミの呟き。
あの黒いヒナタ。これまで一緒にいたヒナタとは全く違う、真逆な存在。
俺もあのクロヒナタは別の存在、偽物だと思う。そう思いたいけれど。
『それに知ったような口を利かないで欲しいわ。 ……貴方にはそれを言う資格など、あるわけがないのだから』
『ワタシは貴方を、絶対に許しはしない』
――けど同時にあの俺に向けた怒り、あれは全てヒナタの――
この騒ぎを引き起こしたクロヒナタ、あれは本物のヒナタと何か強い関係があるように思えた。
それに彼女が抱える、怒りや憎しみ、強い負の感情は。
――俺はもう一度、あの黒いヒナタとも会って話がしたい。もし彼女の思いが想像通りなら――
クロヒナタの思いさえも、もしかすると……俺が受け止めるべき事かもしれない。
ロビー中央に端末を操作し、俺たちはミラーミッションへのミッションを開く。
あのクロヒナタがビルドダイバーズに用意したミッション画面。それはひどく画面にノイズが走って、文章も殆どが文字化けして読めはしない。
ただ、既に俺たち四人はミッションに登録されている事、それに参加するかどうか[YES]か[NO]の表示だけは、どうにか読むことが出来た。
――この[YES]を押せば、もう後戻りはできない――
「今更かもしれないけれど、もう……本当に覚悟は決まったのかい?」
最後にクジョウさんは俺たちにそう聞く。
それにもちろんと、みんな頷く。
――そんなの聞くまでもない。俺は、俺たちは――
みんなを代表して俺は画面のボタンに指を伸ばす。
――そして。
――――
ミラーミッションのエリアに、俺たちは突入する。
〈エリアが……こんなに広く〉
通信でパルはそう呟くのが聞こえた。
岩肌に囲まれた広大な洞窟。それはずっと先まで、奥は全く見えない程に長く続いている。
俺のアースリィガンダムとガンダムイージスナイト、ガンドラゴンモードのエクスヴァルキランダ―、それにガンダムテルティウムの四機は、その中を飛行して進む。
〈四機並んでいても全然スペースがある。ミラーミッションの洞窟、こんなに広かったか〉
カザミの言葉通り、周囲の空間は四機並んで飛行してもまだその二、三倍は余裕があるくらいに広い。
ずっと奥に続くそれは、きっとミラーミッションの最深部まで続いているはずだ。
だけど、やっぱりそう簡単に行くわけがなかった。
〈正面から敵機の反応が! ……なっ!〉
こっちにも響く敵機出現の警告音。
そうパルが言った途端、洞窟の奥から幾つものビーム、実弾が飛来して襲う。
――早速か!――
俺たちは一斉に散開して回避し、シールドで防ぐ。
〈みんな! 気を付けてくれよ!〉
シドーさんのガンダムテルティウムは早速戦闘態勢へと入る。
〈団体さんでお出迎えか、こりゃ楽しくなりそうだぜ!〉
〈もちろんです。こんな所で止まるわけにはいきませんから〉
カザミにパルも、もちろん俺だって。
「そうだ。こんなに多く敵がいても、俺は――俺たちはっ!」
例えどれだけ行く手を阻まれたとしても、そんなもの、突破するだけだ。
洞窟から次々と姿を見せるコピーガンプラ。手前から奥まで、大量に存在する様々な機体のコピー。それが武器を構えて俺たちに襲い掛かる。
カラミティガンダムにズザ、ジムスナイパーカスタム、加えてガンダムレオパルド、遠距離攻撃型の機体はまるで雨のようにビームと実弾、ミサイルを俺たちに放つ。
〈さすがに閉鎖空間の中で、これは厳しいか。まずは……突破口を作る!〉
ガンダムテルティウムはビームライフルを構えて最大出力で敵の集中する一点に攻撃を放つ。
放たれたビームは敵陣に貫き、さらに洞窟の奥にまでいるコピーガンプラまで、まとめて粉砕する。
〈カザミ! 共に先陣を任せた、一気に奥まで抜ける!〉
〈おうよ!〉
シドーさんの一撃で敵陣にはいくらかの穴が開いた。それに先ほどまでビームや実弾を放っていたコピーも、倒した敵の中に多く含まれていた。
攻撃も数段和らいだ。今ならあの中に迫る事が出来る。
〈ビルドダイバーズの一番の盾! この俺ジャスティス・カザミとガンダムイージスナイトが道を切り開く!〉
続く攻撃も大盾、イージスシールドで防いでショットランサーを手に突撃する。
周囲を取り囲む敵機、それをものともせずに武器を振り回して薙ぎ払う。
〈こんな、ただのコピーに負けるかよ!〉
初めて会った時よりもずっと強くなったカザミ。多数の敵に退くこともせず、次々に粉砕していく。けれど……多すぎる。
〈くそっ!〉
三機、黒いソードインパルスガンダムとサザビー、それとガンダムエクシアが対艦刀アロンダイト、ビームサーベル、GNソードで迫る。
〈残念だが、倒させてもらう〉
それを阻むのは、シドーさんのテルティウムだ。
イージスのショットランサーよりも一回り大型の槍、ハイパーバーストランスを一閃し、三機まとめて粉砕する。
〈ふっ、サンクス! シドーさん!〉
〈例には及ばないさ。……パルくん、それにヒロトも私たちに続いてくれ〉
先を行き道をイージスナイトとテルティウムが開き、その後をアースリィとエクスエクスヴァルキランダ―が続く。
〈分かりました! ……うわっと〉
するとドラゴンの形態――ガンドラゴンモードになっていたエクスヴァルキランダ―の脚部にアッガイのクロ―が掴みかかる。
〈僕のモルジアーナに触らないでください!〉
瞬間ガンドラゴンモードのエクスヴァルキランダ―の口から、GNフレアーデバイスによる業火が吹き荒れ、焼き尽くす。
そして周囲にいたコピーガンプラまで
〈貴方達もみんな燃えて下さい! 僕は今……怒っているんです!〉
仲間も、GBNにも手を出された怒り、パルも感じているんだろうか。
――俺だって怒りはある。けれどそれ以上に貫きたい、想いがある――
俺のアースリィガンダムも襲い掛かる敵を、ビームサーベルとライフルで倒して行く。
「大丈夫か、パル」
〈ええ、こっちも!〉
エクスヴァルキランダ―はガンドラゴンモードからMS形態へと変形し、腕に装備したGNグリップダガーを振りコピーを切り裂く。
〈みんな、敵に構う暇はない! それよりも先に進むことに集中しろ〉
最初の攻撃で開けた敵陣の穴も、再び塞がりつつある。ガンダムテルティウムは再度ビームライフルで最大出力で撃ち放つ。
……どの道コピーを倒してもきりがない。シドーさんの言う通り、とにかく先へと進むしかない。