【完結】Re:Connect ―揺れ動く、彼女の想い―   作:双子烏丸

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反転都市と蘇る異形(Side ヒロト)

 ――――

 

 

 テルティウム、イージスナイトが道を切り開き、それに俺のアースリィとエクスヴァルキランダ―が続く。

 そして……辿り着いたのは。

 

〈どうやらかなり広い場所に出てしまったな〉

 

 広い洞窟の通路を無数のコピーガンプラを倒して進んだ先には、更に広大な空間が広がっていた。

 スペースコロニー内部と同等の、いや下手をすればそれ以上の大空洞。

 

 ――ここまでエリアを広げたのか。しかも――

 

 場所そのものも、もうただの洞窟ではなくなっていた。

 空間に広がるのは高層ビルの立ち並ぶ大都市。 いや、人が全くいない、その廃墟が立ち並んでいた。

 しかも地面だけではない。空洞の上部にも同じような大都市の廃墟がある。

 上にも、下にも生える都市。しかもこんな洞窟の中に……エリアとしての実用性なんて全くない、奇妙な空間だ。

 

 ――エリアの中身まで、あんなに弄り回して――

 

〈おいみんな! ――避けろ!〉

 

 何かに気づいたかのように、シドーさんは叫ぶ。それから間もなく、急に俺たちの周囲に陰が出来て暗くなるのが俺にも分かった。

 見上げるとそこには、大きな崩落音とともに落ちてくる高層ビルが。

 このままでは押しつぶされる……。俺たちは落下し迫るビルから離れた。

 

 

 

 それと同時にビルは地面の大都市に落下して激しい土煙と瓦礫をまき散らす。

 

〈どうやら……こっちにも沢山敵がいるみたいですね〉

 

 パルの言葉通り、周囲にはさっき以上の数のコピーガンプラの姿がある。

 相変わらず様々なガンプラのコピー。だけど、その半分を占めるのは……。

 

〈おい! エルドラの……ヒトツメ、エルドラアーミーまでいるじゃないか!〉

 

 コピーガンプラに混じって存在したのは、俺たちがエルドラで戦ったデスアーミーのデータを元に作られたヒトツメ、エルドラアーミーが多数いた。

 エルドラアーミーだけじゃない、四連装の銃身を持つ大型ビームライフルを装備するエルドラドートレスに、それにエルドラウィンダムまで。

 

 ――普通のガンプラだけじゃない。エルドラの機体までコピーされているなんて、どうして――

 

 何故なのか考えていると、俺たちの正面の大空間に人型のホログラムが現れる。

 

〈やるわねぇ、思ったよりも早いご到着だわ。……さすがさすが〉

 

 現れたホログラムは、ヒナタ……いや、彼女の姿をしたクロヒナタだった。

 

〈ようやくご登場ってわけか! ――偽物め!〉 

 

 ホログラムに向けてカザミは叫ぶ。

 これにはクロヒナタも眉を吊り上げながらも、余裕の笑みを崩さない。

 

〈偽物……貴方も言うのね、カザミ。いえ、他のみんなだって、どうせ同じことを想っているのでしよう?

 性格は最低、残忍悪辣で……悪趣味な悪者。ヒナタとは似ても似つかない偽物であると〉

 

 嫌味と悪意がごった混ぜしたような歪んだ言葉と表情。

 けれど……不思議とどこか、物悲しいようにも思えたような。

 

〈僕は貴方の事は、正直分かりませんし断言までは出来ません。

 けれど、貴方がやった事はどれも酷いことばかりです。……許すことは出来ないくらいに〉

 

 パルも険しい表情でクロヒナタに言う。

 

〈こちらも同意見だ。例え何者だろうとGBNに、そしてビルドダイバーズに行った悪行は認めるわけにはいかない、君自身の言う通り悪者と言わざるを得ないな〉

 

 そしてシドーもそんな風に言う。これに俺は――

 

「……俺も、君が偽物か、本物かなんて分からない」

 

 呟くように一言、そしてクロヒナタを前に俺は続ける。

 

「けれどこんな事、もう止めてくれ。

 確かに俺には言う資格はないかもしれない。だけど、君がやっている事はヒナタが悲しむ、望んでなんていない。

 ……本当は君だって分かっているんじゃないのか?」

 

 彼女の怒りに憎悪。少しかもしれないけれど、俺も理解しているつもりだ。

 しかしその復讐で何もかも巻き込むなんて間違っている。ヒナタのためにも俺は彼女――クロヒナタを止めたかった。

 

 

 

〈……ふっ〉

 

 彼女のホログラムは感情の読めない微笑みを見せる。

 俺の言葉が届いたかどうかも、分からないまま。

 

〈誰も彼もつまらない答えをするわねぇ。それに……何度も同じ事を言われるのは、嫌いなのよ〉

 

 最後にクロヒナタは俺に視線を向けたような気がしたけれど、はっきりとは分からなかった。

 そしてシドーさんは再び言葉を伝える。

 

〈ヒロトの言う通りだ。

 今からでもまだ間に合う、こんな馬鹿な事は止めたまえ。

 メイにヒナタも返してくれ〉

 

〈シドー・マサキ、貴方までまだそんなつまらない話を続けるつもりなの。

 それより……〉

 

 

 

 クロヒナタの言葉と、同時に。

 俺たちの先頭にいたシドーのガンダムテルティウム、それに異形の影が襲い掛かる。

 左右非対称の歪なガンダム、特に異常に大型で禍々しい右腕のシルエット。

 鋭い爪まで伸びたその右手にはガンダムテルティウムの武装であるはずのハイパーバーストランス、それを大きく薙ぎ払う!

 

〈何だとっ!〉

 

 ガンダムテルティウムもランスを構え受け止めるけれど、あまりの勢いに後ろに飛ばされる。

 先ほどの攻撃の主、それも俺たちにとって見覚えのある機体だった。

 そしてそれを目の前にした、シドーさんは。

 

〈あれは俺のガンプラ、いや違う……ガンダム、ゼルトザームか!?〉

 

 シドー・マサキのガンダムテルティウム、その面影を残した異形の…………ガンダムゼルトザーム。

 エルドラに囚われ、アルスによって洗脳された彼が乗った、テルティウムを変貌させた機体。俺たちビルドダイバーズと幾度も戦った強敵まで、またこうして目の前に。

 

〈ふふっ……この特別なお人形達、気に入ってくれたかしら?〉

 

 愉悦な表情を浮かべるクロヒナタ。

 エルドラアーミーや他の機体、ゼルトザームもどれも黒色……つまりコピーして作られたモノだ。まさか、あり得ない。

 

〈どうして、GBNのガンプラでないエルドラのヒトツメまでコピーが出来るんですか?〉

 

〈アルスがコピーして生み出したものを、またコピーしたのかよ。

 一体どうやって〉

 

 パルとカザミ、この質問にクロヒナタの口元は余計に吊り上がる。

 

〈くっ、くくくく……。そうねぇ、そろそろ種明かしをしてもいいかしら。

 ワタシがどうやってコピーを生み出したのか、ね〉

 

 彼女はそう得意げに続ける。

 

〈GBNのガンプラのコピーも、そしてエルドラのヒトツメとやらのコピーだって、原理を辿れば同じこと。

 ここはミラーミッション、データさえあればコピーは作れる。通常ならアスレチックや千本ノック、知恵の輪だとか下らないことでデータを解析している。……けれどねぇ、それよりもっと効率的にデータを手に入れる手段があるとしたら、どう?〉

 

 含みのあるクロヒナタの言葉。

  

 ――他にデータを手に入れる、手段だって?――

 

 俺たちは今更ながら考えた。すると……カザミは。

 

〈データだって? まさかあのヒトツメは、俺の……!〉

 

 何か察したのか、途端に顔面蒼白になって冷や汗が流れる。

 

〈カザミには礼を言わないとね。

 だってヒトツメのデータを、エルドラでの戦闘映像を…………Gtubeで配信してくれたのだから〉 

 

 

 Gtube、それはガンプラに関する動画を投稿する動画投稿サイトだ。

 もちろんその中にはGBNでのガンプラバトルの動画もある。つまり、データの元となったのは……。

 

〈Gtubeの動画は探せば幾らだってあるのよ。おかげでお人形だってこの通り、と言うわけ〉

 

 動画から戦闘内容を解析し、こうしてコピーガンプラを生み出した。

 これを聞いてパルは悔し気な様子だった。 

 

 

〈みんなのガンプラやバトルまで、悪用したんですか。……そんなのって〉

 

〈悪いわねぇ。けど、ワタシの願いの為には使えるものは何もかも、使い捨てるだけだわ。

 ――さて、と。それじゃあ今度はエルドラでの戦いの再現と行きましょう。

 ねぇ? 救世主サマ〉

 

 ホログラムのクロヒナタはくすりと笑い。そして――彼女の姿は掻き消えた。

 

 

 

  ――――

 

 俺たちに襲い掛かるコピーされたガンプラと、そしてヒトツメの軍団。

 

 ――また奴らと戦うことになるのか――

 

 俺はアースアーマーからウラヌスアーマーへとコアチェンジ、ユーラヴェンガンダムへと姿を変え、ビットを射出して遠隔射撃を繰り出す。

 複数機によるビットのビーム攻撃、次々とコピーを撃破する。けれど……。

 

 ――この空間にいるコピー、次から次へときりがない――

 

 周囲には五体のエルドラアーミー、腕にはライフルを構えて俺を狙うけれど……当たるものか。

 

〈しつこいな!〉

 

 ビッドを操作し、周囲のエルドラアーミーを狙って即座に撃ち落とす。

 しかし一機撃ち落とした。そのエルドラアーミーはスピアーに持ち替えて迫り来る、けれど、すぐに俺のユーラヴェンガンダムはビームライフルを構えて放った。

 収束された高威力のビームはエルドラアーミーの胴体に大穴を開け、さらに背後にいたコピーガンプラも数機撃ち貫く。……最後には上から生えるビルの一部を粉砕し、その降り注ぐ瓦礫は下にいたコピーまで潰す。

 

 ――これで十五機程は撃破したか。けれど――

 

〈やっぱりきりがないですね、ヒロトさん〉

 

 エクスヴァルキランダ―は今、エルドラウィンダムと戦闘を行っているさ中だった。

 ビームサーベルで襲うエルドラウィンダムにダガーで応戦するパルのガンプラ。 

 ウィンダムは二本のビームサーベルを振るうものの、すぐにエクスヴァルキランダ―はビームサーベルが握られた片腕を切り落とし、続けて斜めに本体へと一閃し止めを刺した。

 

 

 真っ二つになり落下するエルドラウィンダム、今度はその背後から強大なビームが襲う。

 破壊されたウィンダムの残骸まで消し飛ばし、ビームはエクスヴァルキランダ―に迫る。

 

〈そんなっ!〉

 

 それを放ったのはエルドラドートレスの大型ビームライフル、シールドでは受け止めるのが限界で、動きが封じられていた。

 パルの苦戦の状況を、俺は多数のコピーと戦いながら横目で確認していた。……けれど、援護出来る余裕もない。

 

「大丈夫か、パル」

 

〈大変ではありますけれど……まだ、これぐらいなら!

 こっちも動けないけど、向こうだって同じです!〉

 

 エクスヴァルキランダ―はシールドで防ぎながらGNランチャーを構える。

 今度はエクスヴァルキランダ―から放たれるエネルギーの光筋。それはライフルを構えたエルドラドートレスに向かい、そして瞬時に消し飛ばした。

 

〈少し苦戦しましたけれど、どうにか〉

 

 パルはホッとしたように息をつくけれど。コピーはその暇さえ与えずにパル、そして俺にも襲い掛かる。

 

「確かにこんな状況、続くのは厳しいな」

 

〈ええ。こうしてコピーばかり倒したって仕方ありません、早く奥まで進まないといけないのに〉

 

 俺もパルに同意だ。

 

「出口はちゃんと見えている。……それなのに」

 

 

 

 この反転都市空間の出口、それは奥にぽっかり空いた大穴だった。

 けれどその前には立ち塞がる多数のコピーガンプラの壁。それを突破しようとシドーさんもカザミも頑張っている。

 俺たちは二人が戦いに集中出来るように、その背後の守りに専念していた。――けれど。

 

〈くっ! また防衛の七、八割は削ってやったぜ。今度こそ――〉

 

 イージスナイトとテルティウムは防衛線を形成するコピーの大半を撃破する。

 カザミはそう言うけれど、シドーさんは厳しい顔で。

 

〈……いや、駄目だ!〉

 

 一見は壊滅しかけているように見える、出口に防衛線を築くコピー。

 けれど、中央に立ち塞がる異形のコピーガンプラ、その本体の左側に装備されたビーム砲にエネルギーが充填される。

 

〈離れろカザミ! ヒロトにパルも!〉

 

 シドーさんに従って俺たちは散開する。

 それとほぼ同時だった。防衛線の中央から他とは桁違いの超高出力のビームが放たれた。

 極太のエネルギーの奔流は蛇のようにうねり、仲間であるはずの他のコピーガンプラまで巻き込みながら空間を薙ぎ払う。

 

〈相変わらず……凄い威力だ〉

 

〈まるで、本物みたいです〉

 

「……ああ」

 

 けどまともに話す余裕もない。ただ、荒れ狂う嵐のようなエネルギーから避けることだけで精一杯だった。

 やがてエネルギーが止み、辺りに残ったのは消し炭になった多数のコピーの残骸と、砕かれ削られた瓦礫と化した都市。

 悔し気に、カザミは呟く。

 

〈何だよっ! いくら出口を守る他のコピーを倒したって、アイツをどうにかしないと仕方ないじゃないか。

 ほら、せっかく俺とシドーさんで削り取った防衛線だって〉

 

 二人で壊滅寸前まで追い込んだ防衛線も、周囲から現れたコピーガンプラが寄り集まって再構築される。

 そう、中央にいる……ガンダムゼルトザームのコピーに。

 

 

 

 ――あの強さ、まるで本物みたいだ。

 Gtubeであそこまで再現が出来るなんて――

 

〈すまねぇヒロト。それに、みんなも〉

 

 暗い表情で呟くカザミ。申し訳がなさそうに下を向いて、続ける。

 

〈俺の動画のせいであいつらを蘇らせてしまった。

 こんな状況なのに、すまん!〉

 

 俺はそんな事ないと首を横に振る。

 

「カザミのせいじゃない。そんな責任なんて、あるわけがないだろ」

 

 けれどカザミは相変わらず思いつめたままだ。

 彼のイージスナイトはショットランサーを強く握りしめる。

 

〈かもしれない。……けど、せめて俺に出来る事は!〉

 

 瞬間、イージスナイトはブースターを噴かして単身突撃した。

 確かに今、防衛線は再構築中でまだ不完全なままだ。けれどカザミの狙いはただ一つ。

 

〈狙うはただ一機、ゼルトザームだけだ!〉

 

 ショットランサーを構え、中央のゼルトザームにビームの連射を放つ。

 

〈こんな奴をまた復活させたのは俺だ。だから俺の手で、また地獄に叩き落としてやるぜ!〉

 

 けれど、その射撃に左右からエルドラアーミーが現れて身代わりになる。

 爆散する機体、その背後から鋭い爪を生やした右手が出現する。

 イージスナイトはそれをシールドで防ぐけれど、その威力で後ろに後退する。

 

〈こなくそっ! 負けるかよ!〉

 

 カザミも負けじとショットランサーで突撃を仕掛けるけれど、ゼルトザームは続けて右手で武器を鷲掴みにして振り飛ばす。

 イージスナイトは至近距離のビルに叩きつけられて、建物に大穴を開ける。

 

 

 瓦礫から起き上がる機体、けれどその目の前にランスを振り上げるゼルトザームの姿が。

 

〈……そんな。俺は、こんな所で〉

 

 ゼルトザームは大型のハイパーバーストランスをイージスナイトに振り下ろす。

 ――けれど、それはあるガンプラによって受け止められる。

 

〈これ以上、お前に暴れさせはしない!〉

 

 全く同じランスによって、受け止められた攻撃。それはシドーさんのガンダムテルティウムだった。

 テルティウムはゼルトザームの攻撃を弾き、ランスによる連撃を仕掛ける。

 その鋭い突きは、ゼルトザーム右腕の一部を刺し貫く。

 

〈自分自身が相手とは……相手にとって申し分ないな〉

 

 けれどまだゼルトザームの継戦能力は衰えない。

 今度はさっきのビーム砲を展開し、至近距離でテルティウムに狙い、放った。まだ背後にいたイージスナイトまで巻き込み、その一撃はビルを粉砕する。

 盛大に巻き起こる爆発、爆煙の中からテルティウム、イージスナイトの二機が姿を現す。

 

〈悪い、助かったぜ〉

 

〈気にするな。

 けれど……こうなってはもう、仕方がないか〉

 

 そしてガンダムゼルトザームの姿も。機体はランスを握り、俺たちを見据える。

 シドーさんはカザミに、そして俺とパルにも指示を出す。

 

〈あのゼルトザームはこちらで食い止める。

 ……だから、その隙にみんなは先に行ってくれ。邪魔は絶対にさせないから〉

 

「何だって!?」

 

 思いも寄らない言葉に俺は、黙っていられなかった。

 

「シドーさんを一人残して、行けるわけがない。行くなら俺たち四人じゃないと」

 

〈ヒロトの言う通りだ! 俺も一緒に戦う、だから――〉

 

 カザミもそう言う、けれどシドーさんは首を横に振る。

 

〈残念だが、ここで時間をかけてはみんな消耗していくばかりだ。

 ……それに、テルティウムは既にかなりエネルギーを消耗している。どの道これ以上の戦力にはなり得はしない〉 

 

「……シドーさん」

 

 確かにシドーさんの言う通りかもしれなかった。

 ゼルトザームのコピーが健在である限り防衛線を突破なんて出来ない。それに、あのゼルトザームはまるで本物のように強い。今の状況をこれ以上続ければ、確かに消耗が続いて行く。

 

 ――俺たちは、早く先に進まないといけない――

 

〈何、心配なんてしなくても後を追うさ。

 手間取るかもしれないけれど、必ず……〉

 

 シドーさんのテルティウムはゼルトザームに向き合う。

 彼の覚悟、それは俺たちにも伝わった。

 

「必ず、無事でいてくれ」

 

 だからせめて、俺にはこの言葉しか言えなかった。

 これにシドーさんは頷く。

 

〈勿論だ。だから……ここから先は任せた!〉

 

 

 

 俺たちはその覚悟を、無駄には出来ない。

 

〈……ヒロトさん、カザミさん、行きましょう。

 僕達がやる事は決まっていますから〉

 

 ゼルトザームは今シドーさんが戦っている。おかげで防衛線は格段に弱まった。今なら三人で十分に突破可能だ。

 今度はパルが先頭を切って、防衛線に突撃をかける。

 

〈ちっ、確かにもう仕方ねえ。必ずまた助けに来るぜ!〉

 

 カザミも、武器を振り回して出口を守備するエルドラアーミーを次々と粉砕する。

 そして二人の活躍でついに突破口が開けた、エクスヴァルキランダ―、ガンダムイージスナイトは先に進む。

 

〈ヒロト! お前も早く!〉

 

 そうカザミは呼び掛ける。

 分かっている。……けれど。

 ガンダムテルティウムとゼルトザーム、二機はハイパーバーストランスで強烈な近接戦闘を繰り広げている。

 

「ありがとう、シドーさん。俺は必ず彼女を止めて、そして……」

 

 通信画面で彼は、フッと微笑んだ。

 

〈ああ、分かっているとも〉

 

 たった短い一言。けれど俺はシドーさんの言葉を信じるだけだ。

 

 ――必ず無事でいてくれ――

 

 そう。今はただ、それを願うしかない。

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