【完結】Re:Connect ―揺れ動く、彼女の想い―   作:双子烏丸

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鋼鉄樹海の模造品達(Side ヒロト)

 ――――

 

〈本当に……大丈夫でしょうか〉

 

 コピーを倒しながら洞窟の先へと進む。そんなさ中、パルは不安な表情で呟く。

 

「きっと大丈夫だ。だってあの人は強いから、心配することなんてないはずだ」

 

 俺たちはシドーさんを置いて、行ってしまった。この異変を止めるためとは言え半分見捨てたような感じで……。

 

「もっと、俺たちが強ければ……」

 

 立ち塞がるコピーガンプラを、今度はサターンアーマーにドッキングし、近接特化型となったサタニクスガンダムで倒す。

 右腕に装備した大型ドリル、ブレーカドリルを振り目の前の敵を粉砕して行く。シドーさんがいない分、俺が道を切り開く。

 

〈何を言っているんだ! 今俺たちに出来る事は、ヒロトだってもう分かっているだろ!〉

 

 サタニクスガンダムに並びコピーと戦う、カザミのガンダムイージスナイト。

 相変わらず道を阻むコピーガンプラ、それにあれから道程も長く続いていた。

 

 ――いつになったら最深部に辿りつく。けど、きっとあと少しで――

 

 

 

 

 ――――

 

 再び俺たちは洞窟から、大空間に出た。

 

 ――今度こそ辿り着いたのか。いや――

 

 違った。

 ここはまだミラーミッションの奥ではない。空間のずっと先には、今度は機体一機、二機が通過出来るほどの狭い洞窟の入り口が見えた。

 

 ――最深部までは確かに迫っている。けれどこの空間にも――

 

 今度の空間は鈍い光を放つ黒鉄色の、金属製の樹木が生える大森林の空間だった。

 鋼の森林には水銀の河が流れて……さっきの反転都市とはまた違う、奇妙な場所だ。

 

 

 ――けど、それよりも。

 

 

「今度はアルスの、コアガンダムまで……あんなに」

 

 そこで待ち構えていた敵は、俺のコアガンダムをアルスが解析して生み出したコアガンダム……アルスコアガンダム、そのコピーの大群だった。

 

 

 俺のアースアーマーを再現したものを装備したアルスアースリィガンダムに、νガンダム、アルケーガンダム、ターンXを模したアーマーを装着した――それぞれフェイクνガンダム、デュビアスアルケーガンダム、リバースターンXの三種まで。

 そして、広い大空間に鎮座するのは、数隻のエルドラ戦艦の姿。

 

〈まるで、あの戦いの最後、アルスがGBNに攻めて来た時と同じです

 さっきもでしたけれど、僕達の戦いをあえて再現しているような〉

 

 パルの言う通り、この戦場はあの時の戦いを再現しているような感じだ。

 

〈いや違う、それだけじゃない。あそこに見える機体は……〉

 

 それに、アルスコアガンダム以外にも数機のコピーガンプラがいた。

 カザミの示す先にいたのは、νガンダムとサザビーを足して割ったような、ファンネルをマントのようにして大剣――ジオニックソードを構えるガンダム、νジオンガンダムのコピーがいた。

 

〈キャプテンジオンのνジオンガンダムまでいやがる。あっちには、オーガのガンダムGP‐羅刹天のコピーに……タイガーウルフのジーエンアルトロンも〉

 

 それだけじゃない。GP‐羅刹天と、アルトロンをベースにした両肩に虎と狼を模した装甲と伸縮するクロ―、ツインジーエンハングを備えたジーエンアルトロン。それにまだ……。

 

〈マギーさんのガンダムラブファントム、それに兄さんのセラヴィーガンダムシェヘラザードまで〉

 

 フリーダムガンダムをベースにした、ビームサイズを装備したガンダムラブファントムと、パルのお兄さんであるシャフリヤールのガンプラ、重装甲、重火力のセラヴィーガンダムを更に強化改造したセラヴィーガンダムシェヘラザードの姿も。

 さらに――

 

「チャンピオンのガンダムTRYAGEマグナム、そして――リクのダブルオースカイメビウス」

 

 俺のすぐ目の前には、チャンピオン……クジョウさんのガンプラもある。そしてオリジナルのビルドダイバーズのリーダー、ダブルオーガンダムをベースにしたミカミ・リクの、ダブルオースカイメビウスまでいる。

 

 

 そう、アルスコアガンダムの群れ以外にこの場にいたのは、GBNの中でも屈指の実力を持つ最上級のダイバー達のガンプラだった。

 この二者による混成軍。こんな事まで、彼女は。

 

〈ビルドダイバーズのみんな……お疲れ様ね〉

 

 声がしたと思うと、再び出現したクロヒナタのコピーだった。

 

〈また現れましたねヒナタさん。いえ、区別するためにクロヒナタさんと、呼んでも良いですか〉

 

 彼女へと先に話しかけるパル。クロヒナタは微妙な表情を浮かべるものの。

 

〈ワタシとしては心外だけれど、まぁいいわ〉

 

 軽くそう呟き、彼女は俺たちに続ける。

 

〈確か、ゼルトザームと言ったわね。あれは本物に近づけるように他より強化したワタシ自慢のお人形だったのよ?

 よくアレを倒して来たわね、四人とも……いや〉

 

 途端、クロヒナタは意地の悪い表情を投げかけて、わざとらしく首を横に振る。

 

〈今はもう三人だわね。

 シドー・マサキ、彼を見捨てて貴方達はここまで来たんでしょう〉

 

「……それは」

 

 確かにそうだ。

 先に進むために俺たちは、シドーさんを置いてここまで来た。

 

〈そこまでして、ご苦労ね。

 ……でもね、ここまで来たらあともう少しよ。貴方達のゴール、ワタシのいるミラーミッションの最深部はもうすぐ先。けれど――〉

 

 クロヒナタは鋭い視線で俺たちを見据える。

 

〈今度はさっきのように行かないわよ。

 あの戦いの最終決戦、GBNに侵入したアルスコアガンダムの再現軍団と、そしてGBNトップクラスのダイバーが乗るガンプラのコピー。

 ……貴方達三人は切り抜けられるかしら?〉 

 

〈クロヒナタさんは……〉

 

 するとパルは、ぼそりと呟いた。

 

〈クロヒナタさんはそこまでして、一体どうしたいんですか?

 何のためにここまで酷い事を〉

 

 パルの問いにクスリと、可笑しそうに笑うクロヒナタ。

 

〈理由、それはさっきも言ったでしょ。ワタシはGBNもガンプラも嫌いだから目茶苦茶にしたいって。

 後は……復讐かしら。ワタシ……『ムカイ・ヒナタ』から大切なモノを奪い踏みにじった相手に対する、ね〉

 

 復讐――。そうか、やっぱりクロヒナタはそこまで、そんな風に思っていたのか。

 今度はカザミが、口を開いた。

 

〈ヒナタの偽物……いや、クロヒナタだったな。ならその復讐の先に、何をしたいって言うんだよ!

 決してヒナタが望まない、そんな復讐を続けて……意味なんてあるのかよ!〉

 

〈アハハッ! 何も分かっていないのねぇ。

 意味ですって? それは『不公平』だからよ。ヒトをさんざん傷つけておいて、それにすら気づきもしないでのうのうとしているなんて、反吐が出るじゃない。

 だから、そんな不公平は正さなくちゃいけないでしょう? 

 そう……例えば〉

 

 瞬間、彼女は俺を冷ややかに見下す。

 

〈誰かさんのように、ずっと被害者面してその挙句、勝手に乗り越えたって平然と……そして、世界ごときを一つ救った英雄として持て囃されるヒトなど〉

 

「――」

 

 

 そう、クロヒナタはきっと俺を、特に憎んでいる。復讐の対象には自分も含まれていることは、彼女と最初に顔を合わせた時から分かっていた。

 けれど、まだ腑に落ちない部分もある。それはパルも同じように思っていた。

 

〈きっとクロヒナタさんは、とても怒っているんですね。

 その復讐したいって思いも本物だって分かります。けれど……〉

 

 パルはきっと、真っすぐクロヒナタを見た。

 

〈復讐じゃなくて、本当に望んでいるのはきっと別のことだって思うんです。

 だって、クロヒナタさんはヒナタさんの事、強く想っているのは分かりますから。

 本当はヒナタさんに代わって復讐するよりも……幸せになって欲しいと、思っているんじゃないですか?〉

 

 

 

 瞬間、クロヒナタの態度が変わった。

 

〈……〉

 

 あの冷たい笑みは消え、彼女は黙って俯いた。

 どんな表情をしているかも分からない。

 ――けれど、両頬に流れるものを、俺は見た。

 光って輝く半透明の細い筋。頬を伝って流れる

それは、きっと……。

 

〈シアワセ、か〉

 

 聞こえるか聞こえないか、分からないくらいの呟き。

 

〈なら、それを確かめに来てみなさいな。

 来れるものなら……ね〉 

 

 

 

  ――――

 

 彼女のホログラムはそれを最後に消えた。

 同時に、辺りのコピーは一斉に襲い掛かって来る。

 

 ――いきなり来たか――

 

 ターンXを模した、大柄なアーマーを着込んだリバースターンX。その腕のビーム砲を俺のサタニクスガンダムに放つ。

 

 ――そんなエネルギーなど!――

 

 俺は力任せに右腕のブレーカドリルで弾き、同時にバーニアを大推力で迫る。

 そして左腕に装備したアームユニット――ヴァイスプライヤ。それを展開しアーマーを装着したアルスコアガンダムもろともに挟み込みそして、そのまま一気に……真っ二つに切断する。

 続けて赤く発光しトランザムで迫る、細身で尖ったシャープなアーマーを装着した、デュビアスアルケーガンダムの姿。

 両腕にはビーム……いや、GNソードを二本構えて、俺に斬りかかろうと。

 

 ――俺に迫って来るなら、こうするまで――

 

 トランザムで高速機動した所で、実体はある。

 斬撃を繰り出す一瞬に、ドリルで貫けば。……けれど。

 サタニクスガンダムの重武装では攻撃の振りが遅れる。予想以上に早く繰り出されたデュビアスアルケーの斬撃、せめてその攻撃を受けないように上体を捻り避けようとした。

 

「くっ!」

 

 大きなダメージは防げたけれど、攻撃は右肩と左胸装甲に受け斬撃痕を残す。

 そしてデュビアスアルケーは急旋回してGNソードで再度斬りかかる……が、流石に二度同じ手は食いはしない。

 今度こそタイミングを掴み、俺は相手が迫ると同時にブレーカドリルでデュビアスアルケーの胸を刺し貫く。

 

 ――けれどやっぱり、サターンアーマーでは厳しいか――

 

 この姿では小回りが利きにくい。

 今度は六方向からアルスコアガンダムガンダムが迫る。……けれど。そろそろ。

 

 

「コアチェンジ! サターン・トゥ・マーズ!」

 

 俺はサターンアーマーをパージする。

 外れて飛ぶアーマー、その時一緒に二基のサタニクスドリルはそのままアルスコアガンダムを二機貫き撃破する。

 それに代わるように深紅のサターンアーマーをコアガンダムⅡが纏いマーズフォーガンダムに。

 その腕に構えるのは大型の実体剣、スラッシュブレイド。残り四機の接近するアルスコアガンダムに向けて俺はスラッシュブレイドを一閃する。

 一撃の斬撃で、その軌跡にいた四機とも切り落とした。

 

〈はは、これは大変だな。――けど俺も〉

 

 すぐ近くでは、カザミが二機のコピーと同時に戦っていた。

 

〈……まさか俺の憧れの人とチャンピオンを同時に相手取るなんて、荷が重すぎらぁ〉 

 

 戦っていたのはキャプテンジオンのガンプラ、νジオンガンダムとそしてクジョウさんのガンダムTRYAGEマグナムだった。

 どちらも巨大な大剣で迫る中、カザミは受け流し、防戦一方であっても持ちこたえていた。

 

「あの二人のコピーを相手にしているのか。行けるか……カザミ」

 

〈ああ! 確かにあの二人は凄い人だ。けれど、こんなに大きい剣で同時に来られたら、どっちも攻撃がしにくいって、向こうは分かっちゃいないみたいだぜ。

 所詮はコピー、完全に模倣出来るわけがない!〉

 

 振りかぶられる大剣をかいくぐり、そしてその狭間でショットランサーの一撃をお見舞いする

 

〈いくらこいつら全員再現しようが、みんなのガンプラを模倣しても……心の無いコピーなんていくらいた所で! 俺の盾は貫けはしないぜ!〉

 

 確かに二機とも強敵だ。けれど、逆にその戦いには更なるコピーの援護や増援が入る余地がない。

 

 ――多分、カザミはしばらくは大丈夫そうだ。ならパルは――

 

 

 

 一方で、離れた場所で戦うパルのエクスヴァルキランダ―は。

 戦っているのは四機のアルスコアガンダムと、そしてフェイクνガンダム。

 左右非対称の角にモノアイのガンダム、それ以外のシルエットはオリジナルのνガンダムに近く、背部に装備したフィンファンネルを展開してエクスヴァルキランダ―へと放つ。

 ファンネルとともにアルスコアガンダムも周囲からコアスプレーガンを構えて、周囲から一斉射撃を繰り出していた。

 

〈そっちがその気なら!〉

 

 エクスヴァルキランダ―は両腕に拡散ビーム砲であるランチャーデバイス、そしてフレアーデバイスを構える。

 放たれる拡散ビームと、そして炎はファンネル

とアルスコアガンダムを撃ち抜き、焼き尽くす。

 残ったのは正面にいるフェイクνガンダム。

 その背後から他のコピーも続々と迫るけれど……エクスヴァルキランダ―は。

 

〈……このまま、焼き尽くしてあげます!〉

 

 ランチャーデバイス、フレアーデバイス、この二基の武器を組み合わせた合体武器――GNメガフレアーデバイス。

 二基分の武器のエネルギーを集中し、銃口から最大火力でフェイクνガンダムを、そして背後から迫っていたコピーもろとも焼き尽くした。

 

 ――パルも、上手くやっているみたいだな――

 

 

 俺は戦いながら様子を見ていた。……けれど、その時彼のエクスヴァルキランダ―に強力なエネルギーが襲う。

 

〈!!〉

 

 エクスヴァルキランダ―は間一髪でその塊を避けた。 

 エネルギーはそのまま下の鋼鉄樹海へと。鋼の樹々を粉砕して散らした。

 

〈セラヴィーガンダム……シェヘラザード〉

 

 攻撃を放ったのは宙高くに浮遊する、セラヴィーガンダムシェヘラザード、その手に握られたGNフィジカルバズーカだ。

 バズーカの砲身は再びエクスヴァルキランダ―にに向けてビームを放つ。

 

〈もしかしてと覚悟はしていましたけれど、こんな形で戦うなんて〉

 

 その戦い方も、攻撃の精度もダイバーであるシャフリヤールをコピーしたものだ。

 パルもさっきみたいに反撃する余裕もなくて、地上へと逃げる。

 鋼の樹を遮蔽物に、そして目くらましとしてシェヘラザードの攻撃を防ぐ。

 

 

 コピーされたのは本体だけじゃない。シェヘラザードの専用装備であるプトレマイオスアームまでコピーされてある。戦艦プトレマイオス、それを模した装備は今パーツごとに別れて各部に装着されていた。

 その一部、両腰に装備されたパーツにはGNキャノンが内蔵されていた。バズーカとこの二門のキャノンはエクスヴァルキランダ―を狙い放たれ、地上に破壊を巻き起こす。

 

 

 さらに、上空のエルドラ戦艦からの砲撃も俺たちに襲い掛かっている。

 ……もちろんパルにも。それらの攻撃が降り注ぐ中、機体は低空飛行する。

 

〈くっ! 同時にタイガーウルフさんのガンプラまで〉

 

 樹海を走るもう一機の影。それは両腕に狼と虎のアーマーを装備した拳、ウルフ拳とタイガー拳でエクスヴァルキランダ―を襲うのがちらりと見えた。

 

 ――ジーエンアルトロンまで襲い掛かっているのか――

 

 セラヴィーガンダムシェヘラザードとジーエンアルトロンを同時に相手にするエクスヴァルキランダ―。

 

 ――けれど、俺の方も――

 

 マギーさんのガンプラ、ガンダムラブファントムのコピーは両手に握るビームサイズを振るい俺のマーズフォーガンダムを襲う。

 その斬撃にスラッシュブレイドで受け止め、同じく攻撃を返す。

 激烈な近接線を繰り広げる俺とラブファントム。けれど、その横から俺に迫る別のコピー。

 

 ――今度はアルスアースリィまでも――

 

 俺のアースリィガンダムを模倣したアルスアースリィ……そのコピー。それまでビームサーベルを展開して斬りかかる。

 俺は一方でラブファントムのサイズを、そしてもう一方のスラッシュブレイドでそのビームサーベルを受け止める。

 

 ――さて、どちらから倒すか。ここは――

 

 マーズフォーの頭部をアルスアースリィに向け、バルカンを撃つ。

 これに怯み、隙が出来たアルスアースリィ。この一瞬で俺はスラッシュブレイドを構え直して放った斬撃で、その胴を両断する。

 ラブファントムの気は一瞬逸れた。俺は両断したスラッシュブレイドの切っ先を瞬時にラブファントムへと向け、一閃。その頭部を弾き飛ばした。

 

 ――やっぱり、本物のマギーさんには及ばない――

 

 頭を失いよろけるラブファントムに、ブレイドの刃先を真っすぐと突き刺し、止めを刺した。

 

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