【完結】Re:Connect ―揺れ動く、彼女の想い― 作:双子烏丸
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〈四対一、と言うわけ。これはまた〉
俺たちビルドダイバーズは、クロヒナタのコアガンダムⅡを取り囲んで包囲する。
彼女はこの状況に、淡々と呟く。
〈正直卑怯かもしれないですけれど、僕達も手加減できませんから。
……倒させていただきます〉
パルはクロヒナタにそう言うと、GNランチャーの銃口を向ける。
〈あらあら、優しいパルウィーズ君にしては、随分と怖い顔をするじゃない〉
〈当然です。僕達は貴方の目的も、聞いたのですから〉
彼女の言う通り、パルの表情は険しい。それにカザミも顔に怒りの感情が浮かんでいた。
〈ヒロトを消してやるだと? そして、自分が成り代わるだって!? ――いい加減にしろよ!〉
カザミのイージスナイトはショットランサーをぐっと、力を込めて握り構える。
〈そんな事、やっぱりどうかしている! ……悪でしかないぜ!〉
また、メイは複雑な表情で戦闘態勢を維持している。勿論……俺も。
「クロヒナタ、本当の狙いは――そう言うことか。
ヒナタを思っての行動なのは分かる。けど、それは絶対に間違っているんだ。
人間だろうと、電子生命体だろうと、心を持った存在として……お前は超えていけない一線を超えようとしている。
だから私たちが、ここで阻止する」
「何度も言うかもしれないけれど、俺もヒナタを想う気持ちは変わらない。――君と同じだ。
けれどクロヒナタ、君自身のためにも俺は、憎しみだけではないその暴走する想いと感情……止めてみせる」
これで形成は逆転した。
俺たちビルドダイバーズのみんなでなら、あのクロヒナタを止められるはず。
〈……どいつも……こいつも〉
モニターに映るクロヒナタは低い声で呟く。
〈くくく……く、くくく〉
気味の悪い嗤い声を一人響かせる。そして、恨ましげな瞳を俺たちに向けた。
「クロ……ヒナタ」
〈さすが、エルドラを救った救世主サマ達……ご高説、恐れ入ったわ。
だって命懸けで一つの世界を、無数に暮らす善良な人々を救ったのでしょう。みんなにとっては正に英雄、実に――――どうでもいいわ!〉
〈……何だと?〉
〈そのままの意味よ、カザミ。ワタシにとってはあんな遠くの知らない世界がどうなろうと、全くもってどうでもいいのよ。
ただ、見て見ぬフリでもしておけば済むじゃない〉
〈お前には、人の心って奴はないのか!〉
〈かも――しれないわねぇ。でもどうでもいいんだから仕方ないじゃない。
例え救世主として世界とやらを救っても、それにヒナタにとってもヒーローだって思われても私はねぇ、クガ・ヒロト〉
「――」
クロヒナタは俺の名前を出した途端、強い決意を込めて言った。
〈世界とやらを救おうが…………知ったことではないわ。
例え救世主でも知りはしない。ワタシにとってクガ・ヒロトは『私』を長年弄んで踏みにじった――悪。
そしてそれを味方するビルドダイバーズも、ただの敵でしかない!〉
その瞬間、イージスナイト、エクスヴァルキランダ―、ウォドムポッドのすぐ傍に、それぞれ三つの影が出現する。
〈何だとっ!〉
〈これは……僕達の〉
〈コピーを、用意したのか〉
三機の傍に現れたのは、それぞれ全く同じ姿をした黒い機体、コピーだった。
クロヒナタが対抗策として用意したコピー、彼女は得意げに微笑む。
〈これで四対四、頭数は揃ったわねぇ。
それにこのお人形も、遠隔ではあるけれど全てワタシが直接制御下に置いているの。ワタシと同じようにこの子たちも戦いながら学習していくのよ。一機分でも処理が大変なのに、ね。かなり無茶だってしているの。
でもそっちがその気なら、ワタシも全力で……相手してあげるわ!〉
今度は俺たち四人、ビルドダイバーズの全員に牙を向けるクロヒナタ。
俺への敵意がそのままみんなに。けれどこうなった以上は。
――時間は限られている。
クロヒナタが俺たち全員の戦いを覚えきる前に、決着をつけてみせる。けど――
今更ながら思った。例えバトルに勝っても、クロヒナタが大人しくするかどうか。
ヒナタに憑りつき人質のようになっているのもある。
けれどもう一つ、彼女はミラーミッション全体をここまでにしてしまう程に支配し、操る事が出来る。
今は俺たちのバトルに付き合っている分まだいいかもしれない。けれどもし目的を果たす為に、本気で手段を選ばなくなれば……何をするか分からない。
――このまま戦って、果たして止められるか――
するとその悩みに気づいたのか、メイが励ましてくれる。
〈心配するな。私たちで戦えば必ず、活路が見えて来るはずだ。――信じてくれ〉
不思議と、どこか自信があるかのような言葉。おかげいくらか心も軽くなった。
「分かった。とにかく、みんなの力を合わせて……彼女を」
メイの言う通りだ。カザミも、パルも力を貸している。
俺は一人なんかじゃない。――みんながいれば、きっと!
――――
〈だあああっ!〉
カザミのイージスナイトはショットランサーをコピーに振るった。
自分のガンプラと同じ姿の、黒いガンダムイージスナイトに。コピーはその攻撃をシールドで防ぎ反撃を繰り出す。
足先からビームサーベルを展開しての蹴り上げ、カザミは後退して避ける。
またパルのエクスヴァルキランダ―と黒いエクスヴァルキランダ―、そしてメイのウォドムポッドと黒いウォドムポッドもそれぞれGNランチャーとガンブレードによる射撃戦と、格闘戦を繰り広げている。
その中で俺と、クロヒナタは。
〈クガ・ヒロトに止められるかしら――ワタシを!〉
クロヒナタが乗る黒いコアガンダムⅡはアースアーマーにコアドッキングして迫る。
俺のコアガンダムⅡも同じくアースアーマーにドッキング、アースリィガンダムに姿を変えて迎え撃つ。
互いに跳躍、ビームサーベルを抜き黒いアースリィに迫る。……けれど。
〈無駄たって、分かっているでしょうに!〉
俺が放った斬撃を、コピーは軽く切り払う。攻撃を弾き、瞬時に左手に握るビームライフルの銃口を突きつける。
「これはっ!」
〈他愛ないわねぇ。――このまま!〉
やはり動きを読んでいるだけある。続けて繰り出そうとする零距離射撃、俺でもこれは回避するのは難しい。
一人だと強い相手かもしれない。だけど、今の俺には。
〈やらせはしないぜっ!〉
クロヒナタが突撃を繰り出そうとした瞬間に、左横からビームによる援護射撃が入って阻む。
とっさに彼女は放たれたビームを避ける。おかげで相手の攻撃は中断される、そのタイミングを突いて続けて二撃目の斬撃を俺は繰り出した。
「……今度こそ」
〈ちいっ、小賢しいわ!〉
もう少しで攻撃が届きそうだった。けれど、とっさにクロヒナタの黒いアースリィガンダムは右腕のアーマーを、俺に向けて射出する。
――しまった、せっかくのチャンスを――
思わず俺は不意をつかれた。放たれたアーマーの直撃を受け、吹き飛ばされて態勢を崩す。
一方、黒いアースリィガンダムの視線はさっきのビームを放ったガンダムイージスナイトへと向けられる。
〈よくもやったわね、カザミ〉
〈ヒロトをやるつもりなら、先ずは俺から倒してからにしやがれ!〉
〈――お望みなら!〉
俺に飛ばしたアースアーマーに右腕の代わりに、コピーはサターンアーマーの右腕アーマーを装着する。そして腕に備えられたブレーカドリルを大回転させて襲う。
強力なドリルの一撃、カザミのイージスナイトは持ち前の大盾で防ぎ切る。
〈カザミ、貴方はワタシを悪と言ったわねぇ。……ならクガ・ヒロトはどうなの!
彼は貴方達ビルドダイバーズよりも、ずっと傍にいた筈のムカイ・ヒナタを見放していたのよ! そんな相手など!〉
〈んな事決めつけるな! ヒロトはそんな奴じゃないなんて、仮にもヒナタを名乗るなら分かるはずだろ!〉
カザミは叫び、シールドでブレーカドリルを押し返す。そして先ほどコピーが行ったのと同じく、足先からビームの刃を放ち、今度は横蹴りを放つ。
〈見放してなんているわけがない。アイツは確かに不器用な所はある、けれどヒナタの事もとても大事に想っているはずなんだ!
ヒロトとはずっと戦って来た仲間だ、だからこそ分かる!〉
そのカザミからの言葉、横から聞いていた俺も……つい。
――俺はヒナタの事を大切に想っていた。けれど自分でもどう伝えればいいのか分からなかった。……その内どこか当たり前で、自分自身のその想いにも気づけないで――
〈黙りなさい! 勝手な事を!
――それにクガ・ヒロト。貴方にも余裕なんてあると思うの!〉
瞬間に、後ろに何か異形の影が現れる。
イージスナイトのコピー、それがMAに変形して俺の機体を掴んだ。
背後からの急襲。俺とした事が……気を取られてしまっていた。
クロヒナタの黒いアースリィガンダムはカザミとの戦いを離脱するとともに、マーズフォーガンダムにコアチェンジ。実体剣スラッシュブレイドの刃を構えて、再び俺に肉薄する。
〈お人形には押さえていてもらうわ。
ワタシの手で、貴方のガンプラ――切り刻んであげる!〉
〈今度は僕が、止めてみせます!〉
背後で数度、衝撃が走って揺れる。
アースリィガンダムを掴んで動きを封じていたコピー……黒いガンダムイージスナイト。その機体に数発のエネルギーが直撃した。
攻撃を受け、イージスナイトのコピーによる拘束が緩んだ。俺はその瞬間に一気に拘束から逃れると同時に――
〈今度はパルウィーズ、貴方と言うわけ〉
パルのエクスヴァルキランダ―が代わりに前に出て、スラッシュブレイドの一撃を防ぐ。
エクスヴァルキランダ―はGNグリップダガーで弾き、続けてランチャーデバイス、フレアーデバイスを合体させたGNメガフレアーデバイスの大火力を横一文字に薙ぐ。
〈邪魔……してくれるわね〉
炎の勢いに圧され、クロヒナタは大きく距離を取る。
〈やっぱり、クロヒナタさんはヒナタさんのためにここまで。
でもヒロトさんだって貴方以上に、きっと! だからエルドラでだって戦って来れたんです。……必ずヒナタさんの元に戻りたいって思いがあったから!〉
――そうだ、俺は――
確かにヒナタを置いて、エルドラを救うために命を懸けていた。
世界を救うためと言え……彼女に長い間黙って。エルドラの事を知って止めた時さえも俺は、それを聞かずに行ってしまった。
気持ちは十分に分かっていたけれど、あの世界を放っておけなかったから。
……けれど、俺は必ず無事で戻って来ると約束した。ヒナタはそれを受け入れて、いつもの笑顔で応援してくれていたんだ。
――本当はきっと、不安で心細かったのに。……世界よりも彼女の傍にいるべきだったかもしれなかった。
けれどヒナタは俺を信じて、現実世界で待っていてくれた。無事に戻ると――強く信じてくれたから――
〈ふっ、笑わせてくれるわねパルウィーズ〉
〈僕は笑えません。だからこそ僕達はエルドラを救えたから。ヒナタさんがヒロトさんの言葉を信じて応援してくれたらこそ!
そこまで信じられたのは――相手がヒロトさんだからなんです! 二人の間には、ちゃんと互いに強い絆があったから〉
〈クククっ! だから哀れと言っているのよ!
クガ・ヒロトに信じるような価値、ある訳ないのに!
絆ですって? ――そんな物など!〉
俺とパルウィーズを前に猛火に阻まれるクロヒナタ。……けれど、炎の壁を高出力のビームが薙ぎ、切り払う。
クロヒナタのマーズフォーガンダムはアーマーをウラヌスアーマーへと換え、ユーラヴェンガンダムへと姿を変えていた。あのビームは腕に構える大型ビームライフル、そのエネルギーだったんだ
〈そんな、メガフレアーデバイスの炎まで〉
〈貴方にも用はないわ。つまり……邪魔よ、パルウィーズ!〉
同時に、パルの反対側からエクスヴァルキランダ―のコピーが襲い来る。
〈せいぜいお人形と踊っていなさいな。――そして!〉
クロヒナタが乗る黒いユーラヴェンは俺に狙いを定める。
「言われなくても……相手ならするさ。――コアチェンジ! アース トゥ ウラヌス!」
俺も同様にコアチェンジを繰り出し、アースリィからユーラヴェンガンダムに。そしてコアチェンジとともにライフルをコピー目掛けて放った。
〈これは……っ!〉
クロヒナタも同じタイミングでライフルを構えて引き金を引いた。
そして、放たれた互いのエネルギーは正面から対衝突して――大きな塊となって爆散する。
〈貴方との戦いならば、全て学習済みのはずよ。
……まさか! ラーニングしたデータを上回ったとでも言うの!〉
ほんの少しだけれど、戦いをラーニングしてオリジナルよりも上回ったクロヒナタ、それに実力が追いつく事は出来た。
「当たり前だ。クロヒナタには許せないかもしれない。……けれど俺もヒナタへの想いは、譲れはしないから!」
〈そんな言葉なんかっ!!〉
「だから今――実力で示す!」
続けて俺はビットによるオールレンジ射撃を繰り出す。今度は一瞬クロヒナタよりも早く、そして的確に。
彼女もビットを射出しようとした、俺は射出したほぼ同時に全三機とも撃ち落とす事が出来た。
〈馬鹿な、今度はワタシよりも先に!? ……くはっ!〉
オールレンジ射撃だけではない。俺のユーラヴェンガンダムはリミテッドチェンジにより両腕をヴィーナスアーマーへと換えた。その両腕のミサイルハッチ、続けて展開して小型のミサイルを撃ち放った。
ミサイルは幾つも黒いユーラヴェンガンダムに直撃――爆発が機体を襲う。
〈何よ、この実力は! さっきよりも――〉
「ここまでの戦いを全て解析したのならその上を行けばいい。
ヒナタを取り返す為なら俺は、幾らだって実力を超えてみせる!」