【完結】Re:Connect ―揺れ動く、彼女の想い― 作:双子烏丸
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ヒロトとの関係が幼なじみだけじゃなくなって――恋人として。
そんな風に付き合い出してから、もうしばらく経ったんだ。
恋人同士の付き合い。今でもまだ私も、ヒロトだって慣れていない感じ。小さい頃からずっと幼なじみとしてだったから、どんな感じなのか互いにいまいちなのかな。……多分、本当に慣れるのにはまだまだかかるかも。
だけど、これから慣れて行って、もっとヒロトとこの特別な関係を深められたらって。
そう考えただけでも私は、喜びと期待で胸が一杯なんだよ。
――そんな中で、私たちは。
『良かったら明日一日一杯、GBNに遊びに……ううん、デートに行かないか』
『ヒロトがそう言ってくれて嬉しい。もちろん、OKだよ』
昨日、二人で交わした会話。
ヒロトからデートに誘ってくれてとても嬉しかったんだ。でも、ちょっと気になったりも。
『でも、ヒロトが考えてくれたデートって一体どんな感じなのかな。
ふふっ! 凄く楽しみ』
私の言葉に、ヒロトは照れながらでも、どこか得意げに笑ってくれたの。
『俺も色々考えたんだ。どうすればヒナタが一番、喜んでくれるのか。
それでさ、二人でGBNで一日かけて回れたらなんて。一日であの世界を全部回りきる事は難しいけど、その中で特に良いと思った場所をあちこち。――そして』
ヒロトはこんな事も、私に続けたんだ。
『そして最後に……とっておきの所を用意しているんだ。
だから、本当に楽しみにしていて欲しい』
その言葉通り、私はヒロトとGBNで一緒に過ごしてまわったんだ。
ヒロトが選んでくれたのはどれも素敵な場所ばかり。途中ぺリシアエリアでガンプラを観ていた時に、メイさん、カザミさん、パルウィーズさん達三人に出会った時には……驚いちゃったな。
だけどそこで一緒にって誘われた時、ヒロトは私とのデートを優先してくれたんだ。みんなには悪いけど――正直私は嬉しかったの。
――本当に一番に想ってくれているんだって、だから私は――
自分勝手かもしれない。だけど、そんな風にヒロトから想われていると分かるのが嬉しくて。
今まで私は彼を想っていて、それだけで良いと思っていたけれど。……でも今こんな風にヒロトから想ってくれて、一緒にいるのが嬉しく思って…………ずっと幸せだって。
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そうしてGBNを巡った私たち。
ヒロトと一緒に楽しくて、かけがえのない時間を過ごして……そして今。
私はヒロトと一緒に、彼のガンプラ、コアガンダムⅡのコックピットに乗っていたんだ。
機体はコアフライヤー、つまり飛行機みたな形態になってゲートの中を飛んでいたの。
GBNのディメンションとディメンションを繋ぐ通路。そして出口が――もうすぐ。
「ようやく……着いたかな」
ゲートを通って出て来た先は、一面の宇宙空間だった。
「――わぁ」
限りなく広大で、無数の星々が煌めく大宇宙。
辺りに見える星だって綺麗だけど、目の前に一大きく見える……天の川。
「こんな景色、GBNでも初めてだよ!
あれって天の川だよね! 現実の夜空で見るよりもずっと大きくて、輝いて見えるけど」
つい感動してしまう私に、ヒロトは。
「ここは普通の宇宙空間よりずっと遠くの、外宇宙をイメージして作られたディメンションなんだ。
それに天の川って言うのは、俺たちが住む地球が属している銀河系が、あんな風に見えるから言う。だから地球よりもっと銀河系の外れへと向かうと、その銀河の――天の川はもっと鮮やかに、大きく見えて来る。
……あんな風に」
「そうなんだね、ヒロト。遠くの宇宙に行くと天の川が、銀河があんな風に見えるんだね!」
「まぁ、銀河系の外れへと離れて行けばだけど……ヒナタの言う通り。それに――」
ちょっとだけ自慢げな表情を見せて、彼はこんな事を教えてくれる。
「実はこのディメンション、今日完成されたばかりだ。
まだ公式には告知されていないけれど、運営とも関わりがあるクジョウさんが、先にここの事を教えてくれた」
「出来たばかりって事は、もしかしてここに来るのは私たちが初めてなんだ。……驚きかも」
ヒロトはうんと頷いて答えた。
「ヒナタの言う通り。――そしてあそこが、これから向かう目的地だ」
彼が指さす先にあった目的地。それは、宇宙に浮かんでいる小惑星。……地表にドームみたいな建物がいくつもある、小惑星なんだ。
「あれは?」
「このディメンションに用意された宇宙ステーション、中には色々とあるみたいなんだ。
それに……」
「うん? どうかした?」
今、何か言おうとしていたヒロト。私は聞こうとしたけれど、彼は。
「……いや、まだいい。せっかくだから最後までとっておきたいから」
「?」
「とにかく、俺たちはあの宇宙ステーションに向かうんだ。
――今は言えないけど、楽しみにしていて欲しい」
やっぱり、ヒロトは何か用意してくれているみたい。
――こんな風にサプライズだとか、ヒロトからは初めてな気がするよ――
多分恋人として初めての。そう考えるとなおさら、胸がドキドキとしてしまう。
――ヒロトは何を用意してくれているのかな。きっと……凄い事なんだろうな――
――――
宇宙ステーションに入った私とヒロト。
隣り合う肩が触れそうなくらいに、二人で一緒に歩くステーションの中は、驚くくらい人がいなかった。
「はい。良ければ……ヒナタと」
ステーションにあるお店でヒロトはソフトクリームを二つ買って、一つ、私にくれたんだ。
「ありがとうヒロト! ――うん、やっぱり甘くて美味しいよ」
彼からのソフトクリームを一舐めして、私は嬉しいって表情になった。
そして私はこんな事を聞いてみた。
「ねぇ、ここは本当に……人がいないんだね」
真っ白くて清潔な通路を歩くのは、私とヒロトの二人だけ。
通りの横にあるいくつかのお店には店員の人はいるけれど……。
「店の店員はノンプレイヤーダイバー……NPDだから、実際ここにいる人間は俺たちだけなんだ」
出来たばかりだから、まだ誰も来ていない場所でヒロトと二人きり。
「でも、すぐにここも他のディメンションみたいに人で賑わっていくんだ。……その時にまたここに来よう。きっと今とは違う感じだと思うから」
「そうだね。またヒロトと、一緒に」
するとつい、私の肩がヒロトの肩と触れるくらい、距離が短くなっていた。
「……あっ、ごめんね……つい」
けれどヒロトは全く気にしていないみたいで。それどころか、ちょっとだけ彼も嬉しいように微笑んで。
「俺は全然、大丈夫だ。ヒナタとはもっと……その、こうしていたい」
今までだったら出来そうで、でも出来なかった事と、交わせそうで交わせなかった言葉。
けれど今はこうして……二人で。自分でもどうにかなりそうなくらい、胸の中が一杯なんだって。
そう――分かるから。
――――
そうして宇宙ステーションの中を歩いて、辿り着いた場所。
そこは……。
「――俺はここに、連れて来たかったんだ」
「良い所だね。宇宙ステーションなのに、こんな風になっているなんて」
新緑色の草木や綺麗な花、流れる小川のせせらぎまで聞こえる――自然公園。私たちは公園の小道を一緒に歩くの。
歩きながら感じる、自然に囲まれて空気。何だか心地よくて、かすかに緑と花の甘い香りがかすかに感じるんだ。
「ここも、とても良いね。気持ちがいい――そんな場所だね」
ヒロトとくっついて歩いて草花が生えている中を、そして今、小川にかかっている小さな橋を渡る所だった。
ちょっと立ち止まって、軽くしゃがんで川を覗いてみた。
「きらきらと透き通っていて、綺麗な川。ねぇヒロト! 小さいお魚だって泳いでいるよ!」
「……そうだな。ヒナタの言う通り、綺麗だ」
ヒロトは私の傍で、そっと優しく言ってくれた。だけど、彼は。
「でも今は、先に行こう。公園は後でゆっくり見る時間があるから」
何だか少しだけ急いでいるみたいだった。どうしてなのか分からないけど、そんな気がしたと言うか、感じた。
「あっ、つい私見惚れちゃってて。ごめんねヒロト」
「いや。俺の方こそ、変に急がせてしまって。
けれど今は少しだけ、どうしても」
「大丈夫だよ。今ヒロトの言う通りにしよう、その後、ゆっくりすればいいだけだから」
そして私とヒロトはまた、公園の中を歩く。改めて見回すと公園は意外に広いって分かるの。
それにね、上を見上げると。
「まるで地上みたいだけど。でもここは宇宙なんだって……不思議な気持ちだよね」
自然公園はさっき外から見えた小惑星上にあるドーム型の建物の一つにあるみたいなんだ。だから、上は大きな丸天井で、それに天井が全部半透明な窓みたいにまっているの。
その向こうには……外の宇宙空間、あの大きな天の川だって見える。
まるで、空の上に大宇宙が広がっているみたいな、そんな感覚がするんだ。
「ここで――いいかな」
少しだけ、周りを確認してヒロトが一人呟くのが聞こえた。そして彼は私に視線を投げかけると、言ったんだ。
「この場所ならきっと、景色が良く見えると思う。
二人で座ろう、ヒナタ」
ヒロトが言って指差したのは、もうすぐ目の前にあるベンチだった。
二人並んで座っても余裕があるくらいの、長いベンチ。確かにちょっと歩き続けたもん。GBNだと疲れとか感じにくいかもだけど、そろそろ座りたいって思っていたから。
「そうだね。ちょっと休憩、かな」
私の言葉に彼は頷いて答える。
通り脇にある長いベンチ。私たち二人は一緒に座るんだ。
「ふふっ、ここから見る景色……いいね。公園の自然だって見渡せるし、宇宙(そら)だって」
私たちがベンチに座っているのは、公園の小高い丘の上。
公園の木や草花、それにさっき渡った小川だって見渡せるの。それに公園の中で一番高いのはこの場所なんだ。だから、丸天井に映る宇宙が、ここからよく見渡せる。
「ヒロト、やっぱり宇宙って広くて綺麗だね。
星だってきらきらだし、あの天の川も、ここからだともっと大きく綺麗に見えるよ」
「ああ。きっと、そうだろうって俺も思ったから」
歩いていたみたいに、また一緒に隣り合ってベンチに座る私とヒロト。
しばらく、ここからの景色を眺めていた。けれどすぐに互いに顔を見合わせて。
「ヒナタが気に入ってくれたら、俺は嬉しい。この場所だってそうだし――GBNと言う世界だって」
景色よりも今は私を見つめて、ヒロトは私に続けるんだ。
「もうヒナタがGBNを初めてから結構経った。この世界にも、大分慣れたかな?」
「とっても、ね。GBNでは何もかもが楽しいもん、全然飽きないくらい。その世界だってどこまでも広くて、美しくて、GBNにいるみんなの想いと思い出が詰まった世界だから」
ヒロトの言葉に心から、私は答えたの。そして――
「改めて、私をここに連れて来てありがとう。
こんなに素敵な世界に……私を」
「こんな時はどういたしましてと、言えばいいのか。
けれど、ヒナタを連れて来るのがこんなに遅く……本当ならもっと早くそうしたかった。だけど、イヴの事と、エルドラの事があったから、俺は」
「私は平気だよ。今こうしてGBNにいられるから。だから、とても嬉しいんだ。
ここで……大好きなヒロトと一緒にいられるのが」
私が思う、正直な想い。ヒロトもそんな私に。
「俺もだ。――心から、君と」
そんな風に言って、今度は彼の方から私の所にもっと近づく。ぴったりと、私とヒロトの身体どうしがくっつくくらいに。
ベンチには全然余裕があるけれど、それでもこうしてくっついて。周りには誰もいないから、こんな風にしているのを見ている人だっていない。……だけど、こうしていると胸が強く、鼓動するのを感じてしまう。
「ふふっ」
するとヒロトは突然、小さく笑い声をあげたのが聞こえた。
気になって、私は聞いてみた。
「どうかしたの?」
「いや……俺は、長くGBNで過ごしていた。けれど気づかなかった、こうしてくっつくとGBNでも胸の鼓動が…………こんなに感じるなんて。
ヒナタが今、ドキドキしているんだって、俺に分かる」
「――っ」
思いもよらなかった言葉。私の感情まで、一気に高まってしまうくらいに。だけどね、私も。
「私だって感じるよ。同じようにヒロトだって、胸がドキドキしているって」
それに、ヒロトは頬を赤くして、ぼそりと。
「……ヒナタとこうした関係なのが、まだ慣れていなくて。
実はずっと俺も、君の事でドキドキしていて…………何言っているんだろうな」
若干しどろもどろになっている彼。
「やっぱりもう幼なじみとは……違うから。俺と、ヒナタは」
「……そう、だね。…………恋人だもん」
互いに慣れない言葉と気持ちで会話して、ついどっちとも照れてしまって、話の間が空く。
ほんの少しの間沈黙してしまって、でも、そんな中でヒロトは今度は、こんな事を。
「……ヒナタ」
「どうしたの?」
「ヒナタは――どうして俺がここに連れて来たのか、分かるかな?」
彼の質問。そう言えば、最後にここに連れて来たって事は、やっぱり何かあるんだって。
「えっと、ここでヒロトがサプライズを用意しているから、かな。
それにこの場所だって素敵な場所だから……だからそれで」
「ははは。もちろん、ヒナタの言った事はどっちとも正解だ」
朗らかに笑ってヒロトはこう答えた。加えて私に、こんな事も言ってくれた。
「でももう一つ、大きな理由がある。
ここはGBNでも新しく出来たばかりだって言っただろ。だからこそ、この新しいGBNの場所に、ヒナタと一緒に来たかった」
「新しい場所……だから?」
「そうだ。…………二年前から今まで、昔の事ばかりでヒナタの事を想う事を殆どしてなかった。
君を放っておいて、何も言わずにイヴとばかり過ごして大切にしていた。……その後も、彼女の思い出と自分の後悔を引きずり、ヒナタが傍にいたのに…………俺は」
「……」
そう、ヒロトにはイヴさんの事もあるんだ。――彼女の事だって
「あれからもヒナタは変わらないで傍にいてくれた。なのに俺は気に留めもしないで、失った事ばかりだった。イヴを失って、世界が色あせたように思えて……君がいてくれたのに。
ずっと、どれだけヒナタが大切なのか、自分で見れていなかった。何もかもが終わってから、ヒナタが思いを伝えてくれてから、ようやく俺は気づけたかもしれない」
少し俯き加減でヒロトは話していた。だけど、ふと顔を上げると、改めて想いを私に伝えてくれた。
「けど、これからはヒナタの事を想いたい。
俺にとって何より大切な人として……君の事を。だから思い出だって改めて、これから作っていきたいから」
「――ヒロト」
「二年前、イヴとGBNを巡った思い出はある。けれどこの場所は俺も来た事がない、だからまだ、何も思い出がない場所だ。
一緒に新しくGBNでも沢山の思い出を作って行きたい。俺とヒナタ、二人にとって一番大切になる思い出をこれから。――その一歩になれたら。
ヒナタ…………あの天の川を見て欲しい」
「……えっ?」
いきなり促されて、私は丸天井に映る宇宙を、天の川を見た。
すると、そこに見えたのは。
「わぁ――っ、すごいよ!」
まるで光の花のようだった。
宇宙一杯に次から次へと撃ちあがって、花開く光の華。……それは。
「この時の為に用意した沢山の花火。
今自動操縦で、コアガンダムⅡが打ち上げている所だ」
どれも色とりどりで綺麗な花火、宇宙の星だって綺麗だけど、もっと。……私は目を奪われていた。
「ヒロトが私のために、用意してくれたんだね。私……私は…………」
気持ちが上手く言葉にならなくて、これ以上出て来ない。そんな私に、ヒロトは優しく言ってくれる。
「言っただろ、新しく思い出を作って行こうって。
恋人になってから少し経った今、伝えるのが今更かもしれないけれど……改めて伝えたかったから」
彼の言葉も、それにこの花火だって。私は……また胸の中が一杯に、今度ははち切れそうになりそうで。
「今更なんかじゃないよ。私は今、とても幸せなんだから。
本当に――幸せなんだ」
そう言って私はヒロトにぎゅっと、抱きついたんだ。
「こんな風に甘えるのも慣れてないけど、いいかな。
何だか今……ヒロトと、こうしたくて」
少しはっとした顔を見せた。けどその後で、嬉しそうに微笑むとヒロトも、私の事を抱きとめてくれた。
優しく、でも私とおなじくらいぎゅっと強く。
「俺だってそうだ。
今まで悲しませて寂しく思わせた分、これからはもうそんな思いはさせない。一番大切な人として、ヒナタの傍にいたい。
これから先も、ずっと」
ヒロトはそっと、私に顔を近づけるの。彼がどうしたいのか分かって……心がきゅっと感じた私も、同じようにヒロトに近づいて――キスで想いを通じ合わせたたんだ。
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私と、ヒロト。それからは手を繋いで、互いに寄りかかるようにくっついて、一緒に花火を眺めるの。
「私はね、ずっとヒロトのとっての、一番でいたかったの」
「うん、ヒナタの言う通りだ。俺はそう思っているから……これからだって」
ヒロトは私の想いに応えるように、ほんの少し手を強く握るの。強くなるけど、でもその手は優しいままで。
私も同じくらい手をぎゅっと握りかえすの。そして私からも改めて、想いを伝えるの。
「嬉しいよ。……これからもずっと、ヒロトの一番でいたいんだ。
ワガママかもしれないけど……ずっと、ずっとこの先も」
そんな私たちが見ている中で、綺麗な花火はまだ咲き続けている。
「ねぇ、今ヒロトと一緒にいると思うんだ。ずっと、こうしていたいって。
このまま永遠に、時が止まればいいかもって。変な考えかな」
「変じゃないさ。その気持ちは俺も分かるから。
だけど、これからだってヒナタと沢山、思い出を作りたい。だから時間が止まってしまうのは困る。けれど――」
ヒロトの言いたい事だって、もちろん、私だって分かるよ。
私は彼に満面に微笑んで……こう答えたんだ。
「――この瞬間だって、大切な思い出なんだって。
ねっ、ヒロト!」
今も、これから先だって。
ヒロトと繋いだ大切な、想い。――私はずっと大事にしたいんだ。
――fin――